TM by青野さま

 東京湾の臨海部に聳え立つ巨大なイベントホール。
 その中で「東京ゲームショ●2○○X」が行われていた。

 イベント会場の中のひとつのブースの中で、激しい戦いが行われていた。TMというゲームの発売記念で行われているゲーム大会の決勝戦だ。

 特設ステージの上に備えられた巨大なスクリーン上では、リアルな3Dヴァーチャルの家の中の2人のプレーヤーによって、ハエ退治バトルが展開されていた。

 スプレーを噴射し、ハエ叩きを叩きつける。
 ハエ一匹殺すごとに得点が加わっていく。
 制限時間1分のうちに何匹殺せるかが勝負だ。

 制限時間の終了を告げる「TIME UP」の文字が現れ、司会が終了を宣言する。

 「最終結果が出ました!制限時間内に最も多くの蝿を退治できたのは・・・東京都代表、竜田一樹くん12歳です!おめでと〜う!」

 聴衆の大音量の拍手とともにステージにスポットライトが当たり、一人の少年を映し出す。
 少年はガッツポーズを決め、優勝のうれしさに満面の笑みを湛える。

 「優勝商品は・・・ハエ取りスプレー一年分です!おめでとう(笑)」

 会場は爆笑の渦につつまれ、ステージの上の少年は笑いながら
 自分の部屋がスプレーでいっぱいになった図を想像して冷や汗をかいていた。


 満場の拍手でゆれる会場の隅で、一人の男が唇の端をゆがめて笑っていた。

 「竜田一樹。なかなかかわいい子じゃないか。今夜の見世物は喜ばれそうだ」

*****

 一樹はゲーム大会優勝の余韻を味わいながらイベント会場を出て、
 電車で数駅のところにある自宅へ帰ろうとしていた。

 「ハエ取りゲーム優勝者の竜田一樹くんだね」

 一樹は後ろからふいに自分の名前を呼ばれ、ふりかえった。
 スーツ姿の男が、こちらを見ていた。

 「はい、そうですけど・・・何か?」
 「優勝商品のスプレーを渡したいんだけど、今から車で家まで届けるから、道案内のため一緒に来てくれるかな?」
 「えっ、今からですか?!」
 「これから暗くなるし、一人で帰るのは危ない。ついでに君も送ってあげよう」

 (会場の人はあとで宅配便で送るといっていたけど、事情がかわったのかな?ついでに僕も送ってもらえるみたいだし、電車にのらなくて済むならいっちゃおうか)

 「いいですよ」
 「良かった。じゃあ、こっちに来て。この車に乗って」

 男は、車に乗ろうとする少年の背後に回ると首筋にスタンガンを押し当て、
 すばやくスイッチを入れた。
 迸る電気の音とともに崩れ落ちた少年を、車に押し込んだ。
 少年を載せた車は、誰にも気付かれずにに、夕暮れの街を静かに走り去った。

*****

 一樹は目を覚ますと、見覚えのない景色が見えた。
 1本の蛍光灯とコンクリートの天井。

 僕、どうしてこんなところにいるんだろう?
 ゲーム会場を出て、変なおじさんに呼び止められて・・・
 う、頭が痛い。思い出せない・・・

 意識が戻ると、自分は何も身に付けていない裸の状態であり、コンクリートの床で仰向けの状態で寝かせられていたことに気付いた。
 手は前で手錠によって拘束されていて、足も足枷で固定されて身動きができない状態だった。
 そして、お尻の穴が何らかの金属の器具が差し込まれ、肛門が開いた状態に固定されていた。
 異物感とお尻の穴から空気が入ってくる冷たさに驚いた。

 一樹の意識が戻ったことを知った男が部屋に入ってきた。

 「お目覚めかな。一樹君」
 「あんたはあの時の・・・いったいこれは何なんだ?何のつもりだ!」
 「そう吠えるな。ちゃんと説明してやるよ」
 「手錠を外せっ!」
 「ガチャガチャうるさいガキだな。少しは黙って人の話を聞けって教わらなかったのか?」

 男は一樹の剥き出しの脇腹を数回蹴りこむと、痛みに悶える一樹を無視して話しはじめた。

 「これからお前にはゲームをしてもらう。ゲームといっても、お前の得意な『蝿叩き』だよ。一生懸命ハエを叩き落してさえくれればいいんだよ。お前にとっては簡単なことだろ?」
 「・・・くそっ、痛てぇ〜、何しやがる!」

 とびかかろうとする一樹に再び蹴り込む。容赦ない蹴りに、一樹は怯んだ。
 男の大人しく言うことに従ったほうが安全だと思った。
 男は一樹の変化を見て取ると、手錠と足枷を外した。

 「ルールは簡単だ。鉄扉の向こうの隣の部屋の中にいる蝿を全滅させればいい」

 意味不明な男の要求に一樹はとまどっていた。
 蝿叩きぐらい、自分でやればいいじゃないか。
 なんで、僕を誘拐してこんな格好にして蝿叩きを強制させるのだろう。

 「ただし、道具の使用は許可しない。全部手でつぶせ。いいな」

 さらに意味不明な要求だ。
 一樹は身体の痛みと意味不明な要求の不条理さで頭を混乱させていた。

 「全部の蝿を殺すことができたら、ゲームエンド。ここから解放して自由にしてやる」

 解放するという言葉を聞いて、一樹は俄然元気がでてきた。
 意味不明なゲームだが、クリアさえすれば自由になれる。
 たかがゲームが現実になっただけじゃないか。
 だったらクリアしてやろうじゃん!

 「隣の部屋へ行け。そしたら、ゲーム・スタートだ」

 男はそう言い残して、もと来た部屋へと去っていた。
 一樹は蹴られた痛みをこらえながら立ち上がり、鉄でできた重いドアを開けた。
 部屋は真っ暗だった。
 一樹は部屋に足を踏み入れた。
 足でぐにゃりと変なものを踏んだ感触がしたが、勇気を振り絞って中へ入った。
 ブーンという蝿の羽音が聞こえた。
 扉から手を放すと、自然に扉が閉まり、ガチャンと鍵がかかる音がした。

 不意に明かりがついた。
 学校の教室の半分ぐらいの広さの部屋だった。
 天井には蛍光灯がひとつあるだけで、その他に何もないようだった。
 一樹は足元を見て、息を呑んだ。
 一面茶色の粘着質の「うんこ」と細かく動く「蝿」だらけだった。
 うんこを見て、一樹の嗅覚が戻った。

 臭い!臭い!くっさ〜い!

 それはすでに臭いというものを通り越して、息苦しいほどだった。
 その部屋にはとてつもない異臭が充満していたのだった。

 一樹はあわてて片足を排泄物の海から引き上げると、その足に沢山の蝿が群がってきた。
 あわてて手で振り払おうとした直後、一樹はバランスを崩して背中から倒れてしまった。

 ぐちゃり。

 耳元で聞こえる嫌な音。
 背後に染み渡る冷たく粘着質の感触。
 どうにもならない嫌悪感。

 反射的に立ち上がると、一樹の背中めがけてハエが集まってきた。
 あまりの数の蝿に逃げ惑う一樹。
 鉄扉を再び開けようとするが、押しても引いても開かない。
 扉の前で崩れ落ち、涙をこぼす一樹。

 「出せ〜!出してくれ〜!出してください〜!お願いします!」

 叫んでも叫んでも、声は部屋の外に届くことは無く、部屋の中に反響するだけだった。

 泣き崩れる一樹は、自分の開かれた肛門中に一匹の蝿が入ってきたことに気付かなかった。
 蝿は腸管の中を移動し、一樹の身体の中に産卵した。
 一樹がその惨状に気付いたのは、しばらくたって自分の肛門から蛆が這い出してくるという信じられない光景を見てからだった。

 泣き疲れ脱出を諦めた一樹は、ゲームクリアに望みをかけて蝿叩きを続けた。
 壁にとまった蝿を手が腫れ上がるまで叩きつづけた。
 しかし、蝿は叩いても叩いても出てきた。
 蝿は床にびっしりと敷き詰められたうんこに叩き潰されるペースを上回るスピードで産卵し、蛆から孵った蝿が次から次へと出てくるからだった。
 それでも一樹は、この苦痛から解放されることを望んで叩き続けた。
 無駄だと知りながら。

*****

 そのころ、真っ暗ななかにぼんやりと蝋燭の光に照らされてディナーを楽しむ一団がいた。うんこ部屋の中にしかけられた隠しカメラの映像をスクリーン大画面に映し、一樹のプレイ画面見ていた。

 「企画は良かったんですけど、やはりこう、ディナーの最中にうんこが剥き出しでは・・・」
 「企画倒れもたまにはありますよ」
 「あの少年、いつまで叩き続けるつもりなんだろうね」
 「うんこがすべて蝿の死体にかわるのが速いか、それとも気がふれるのが速いか」
 「どちらにしろ、そんなに我々も長くは見ていられませんからなあ」
 「かわいそうだが、あの糞塗れの少年には勝手にやっていトもらって、別のビデオでも見ますか。最近入手したとっておきのビデオがあるんですよ、ムフフフ」
 「私もちょうど飽きてきたころなんですよ」
 「じゃ、給仕くん。画面を切り替えてこのビデオを流してくれ」
 「かしこまりました」

 給仕と呼ばれた、一樹とそんなに年齢は変わらないと思われる全裸の少年は、大画面にうつされる少年に同情しながら、画面を切り替えるために映像コントロールルームへと向かった。

 画面には、尻の穴から蛆をぼたぼたとたらしながら、生気のない瞳で機械のように壁を叩き続ける少年の姿が映し続けられていた。



青野さまから、相互リンク記念にいただいちゃいました。

はっきりって・・・すんごいですね(汗)
鬼畜とかじゃなくて・・・
残酷というか、なんというか・・・
エログロって感じですね。

青野さまのサイトの印象とは、全然ちがった感じ、
最近こういうの読んでなかったからある意味新鮮です。(笑)

青野さま、どうもありがとうございました。

でも、これ、食事中の方、見ない方がいいですね。
まぁ、おいらのサイト、食事しながら見る人なんて
まず、いないでしょうけど(笑)

ってことで、
【警告】
食事中の方は閲覧しないことを強く推奨します。


って、ここで警告しても遅いか(爆)


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