あれから2年・・・
−「空」その後−

あれから2年、祐一と輔は少しだけ大人になっていた。

ねぇ・・・
なに?
どうだったの?
なにが?
昨日、行ったんでしょ、病院。
ああ、うん、大丈夫
ホントに?
祐一には嘘つかないって。ホントだよ
先生はなんて行ってたの?
まだ大丈夫とは言えないけど・・・かなり可能性は低いってさ
まだ大丈夫じゃないんだ・・・
ああ。一応3年くらいがめどなんだって。再発するかどうか
まだ1年あるんだ・・・
でも、大丈夫だよ。お前がいるし
なんでだよ?
再発したら、またお前が助けてくれるだろ?
嫌だよ、もう・・・けっこう痛かったんだよ、麻酔覚めてから
ごめんな
謝るなよ
だって・・・
心配すんなって。俺が付いててやるよ
そうだな。お前がいてくれたら・・・
高いよ
そうだな
マジにとるなよ
そうだな
それよりお前さ・・・
なに?
副委員長にコクられたって前言ってたろ?
うん・・・
どうするの?
・・・
副委員長、人気高いし、性格もいいし、付き合ったら?
でも・・・
嫌い?
そうじゃないんだけどさ・・・
なにか気に入らないとこあるの、副委員長
そうじゃなくて・・・俺は誰とも付き合わないつもりだし
なんで?
だって・・・俺・・・
なに?
再発するかもしれないし、そうなったら、死ぬかもしれないんだから
なに言ってるんだよ
でも、まだ可能性はあるし
輔・・・
俺、やっぱり恐いんだよ
・・・
・・・
お前の気持ち、分かる・・・とは言えないけど
うん
もっと前向きになってもいいんじゃないかな
だけど・・・
分かってる。いや、わかんないけど・・・
・・・
でもさ、お前が前向きにならないと、なんにも始まらないんじゃないかな
だけどさ・・・
わかってるって。すぐになんて言わないよ
うん
お前がまだおびえているのは分かってる。俺もまだ、ちょっと恐い
うん
でも、なにかあったら・・・俺がいるじゃん
・・・
俺とお前は、同じ血が流れてるんだよ?
うん
お前の体の中には、俺の血が流れてるんだからさ
うん
そう簡単には死ぬわけないよ。俺、こう見えてもけっこうしぶといからさ
そうだな
だから・・・な
うん
だから・・・
わかった
一人じゃないんだからさ
うん

そうだな
・・・
でも、まだ副委員長とは・・・
わかったよ
ごめん
謝るなよ
うん
ほら・・・
ああ
よかった
なにが?
輔がいて
うん 俺もよかった、祐一がいてくれて
うん

ああ
ほら、笑えよ
なんだよ
笑えったら
 

そんな二人の笑顔に曇りはなかった。再発へのおびえも、その先に待ち受けているかもしれない死の恐怖も、死が二人を分かつかもしれないという心配も今の二人には関係なかった。お互いがそこに存在すること・・・それだけで心の底から喜び合える二人だった。
text : むつみ




himaさんから、「空」の二人の2年後の姿のイラストを頂きました。

このイラスト、すごく感じるものがあったので、
テキストを付けさせていただきました。

二人の笑顔・・・
あの二人は、今、こうして笑っていられるんですね。
たぶん、輔の病気の再発の可能性もあるでしょう。
二人は今、15歳のはずですから、
進学や恋、友達との関係、親との関係といった
いろんな悩み事もあるでしょう。

でも・・・

今、この瞬間、この二人にはそんなことは関係ない、
ただ、お互いがそこにいることで安心していられる、
そんな関係の二人なんです、彼らは。

「今、僕が感じている『空』と言う作品へ対しての本心であり、答えのつもりです」
このイラストを頂いたときのhimaさんの言葉です。

改めて、himaさんと「空」をコラボ出来たこと、
うれしく思います。良かったと思います。

おいらとhimaさんの中では、今でも「空」は現在進行形なんです。
物語として書くことはない、とは思いますが、
でも、二人はこれからもずっと成長していくことでしょう。

ありがとうございました、himaさん。
これからも二人を見守ってあげてくださいね(^^)/
  


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