「おしっこ、飲ませて」 そう聞こえた。 「えっ」 僕は振り返る。そして、蒼の顔を見た。 その顔は、真剣そのものだった。 蒼と僕は友達だ。幼なじみでもある。小さい頃からずっと一緒にいて、たぶん、お互いのいろんなことを一番良く知ってる仲だ。 学校でもずっと一緒のクラスだった。小学校の6年間、そして中学に入って1年ちょっと。その間、クラス替えがあっても、僕等はいつも同じクラスになった。 学校の行き帰りもいつも一緒だ。学校から帰っても、僕の家か蒼の家のどっちかで一緒にいる。一度、親にそんなにいつも一緒にいて飽きないのかって聞かれたことがある。でも、飽きるとか飽きないとかじゃないんだ、僕と蒼は。二人が揃っていて、一緒にいて、それが僕等なんだって。だから僕等は一緒にいることが当たり前なんだって。そう答えると、親は半分呆れながら、でも納得してくれた。それが僕と蒼の関係だ。 そんな僕等。もちろん、その日も一緒に学校から帰ったんだけど、その途中で、急に蒼が小さな声で言ったんだ。 「おしっこ、飲ませて」 小さな声だったから、僕の聞き間違いかと思った。 「えっ」 僕は立ち止まって蒼の顔を見た。 「な、なんて・・・」 蒼の顔は真剣そのものだった。 「言った・・・の?」 僕の声も小さくなった。その表情。僕の聞き間違いじゃない、僕の心の中の僕が言っていた。思わず目を逸らす。 「本気?」 顔を合わせずに蒼に聞いた。 「・・・うん」 小さな声だった。 普通の友達だったら、ここでふざけんなよ、とか言ったり茶化したりして、ごまかして終わりにすると思う。でも、僕と蒼はそういう関係じゃない。相手がふざけてるのか真剣なのかはお互いに分かる。蒼は真剣だった。それが分かってるから僕はそれ以上、何も言えなかった。 「今日、蒼の家行ってもいい?」 蒼は頷く。 「じゃあ」 それだけ言って、僕等は蒼の家に向かった。 蒼の家はマンション暮らしの僕の家とは違って、一軒家だ。お父さんは会社を経営していて、お母さんもその会社の重役だ。だから、いつも蒼は夜まで家に一人だ。僕等は無言のまま、蒼の部屋に入った。 「本気なの?」 それは分かってる。でも、ベッドの上に座っている蒼に、もう一度聞いた。 でも、もし本気なんだとしたら・・・本気だってことは分かってるんだけど・・・僕はどうすれば良いんだろう。 そもそも友達の・・・それも世界で一番仲の良い友達だ・・・そんな友達の望みは叶えてあげたい。それに、僕だって蒼の手を握ったりするのは嬉しい。それにどきどきする。蒼も同じだってことは知っていた。言われたことはないけど、蒼は僕を好きなんだって僕は知っている。僕が蒼を好きだってことも、蒼は知っている。そう、お互い、この世で一番好きな相手なんだ。 それはそれで良い。 そして、蒼は僕におしっこ飲ませてって言った。 「本気」 蒼は珍しく少し俯き加減で言う。 「それって・・・どうして?」 理由を聞いた。そりゃあ、蒼が僕を好きなのは知っている。僕だって蒼に負けないくらい蒼のことが好きだ。でも、だからといっておしっこを飲ませて欲しいなんて思ったことはない。それに、昨日まで・・・いや、さっきまではそんなこと言われたこともないし、そんな気配もなかった。それなのに、急に。何か理由があるんだろうか。 「分かんないんだけど・・・なんか、夢見て」 「夢?」 「うん。なんだか・・・その・・・」 蒼がチラリと僕を見る。僕は立ち上がり、蒼の横に座った。 「なんなの?」 「うん・・・その・・・」 僕を見て、そしてまた顔を伏せる。 「夢の中で、僕と遼がおしっこの掛け合いしてて」 「どんな夢だよ」 「うん、僕もそう思ったんだけど」 そして、蒼は膝の上で拳を軽く握った。 「夢の中で、遼のおしっこ飲んでて」 そして、溜め息を吐いた。 「目が覚めたら、夢精してた」 「マジか」 二人揃って溜め息を吐いた。そして、しばらく黙り込んだ。 「よしっ」 蒼の横に座っていた僕は、膝を叩いて立ち上がった。 「紙コップかなんかあるの?」 そう蒼に尋ねた。 「ないけど」 「じゃあ、コップかなんかにする?」 蒼が僕の顔を見た。 「僕のおしっこ、飲みたいんでしょ?」 「えっ」 なんだか気まずい雰囲気だ。あれは冗談だったとでも言うんだろうか。 「あ、その・・・」 また顔を伏せる。 「その、直接、飲みたい」 「直接?」 最初は意味が分からなかった。 「ええっマジか」 でも、すぐに理解した。顔を伏せたまま、蒼が頷いた。 「そっちかぁ・・・」 驚いたけど、一旦は蒼の言う通り、僕のおしっこを飲ませてあげようって思った。でもそれは、僕がコップにおしっこして、それを蒼が飲むって感じで想像していた。 でも、蒼は僕のちんこから出たおしっこを、直接飲みたいって、コップとかに入れて飲むんじゃなくて、僕のちんこから直接飲みたいって思ってるんだ。流石にそれは少しびびった。 「う〜ん・・・」 少し悩む。そりゃあ、僕と蒼はお互い一番好きな相手で、実は一緒にオナニーしたことだってあるし、なんならお互い扱き合って出し合ったことだってある。秘密だけど。だからちんこを見られるとかはまぁ大丈夫なんだけど、でも、僕が蒼の口の中におしっこするってことな訳で・・・ 「そっちかぁ・・・」 腕を組んで首を捻る。そんな僕を蒼が見上げる。 「なんか、気持ち悪くない?」 そう言い終わった瞬間、マズいと思った。 「あ、いや、その、蒼のことが気持ち悪いなんて言ってるんじゃなくて、その、さ・・・」 焦って上手く言葉にならない。 「その、おしっこ・・・人のおしっこってのがさ・・・自分のならまだしもさ・・・」 自分でも何を言ってるのか分からなくなる。また少し口を噤む。蒼の横に座る。蒼が座り直す。心なしか、僕から少し離れた気がした。 「僕のおしっこなんか・・・気持ち悪いんじゃないかなって」 蒼が僕を見て、そしてまた頭を垂れた。 「遼のだから気持ち悪くない。遼のだから・・・」 体を僕にくっつけた。 「飲みたい」 僕は蒼の肩に腕を回した。そして、小声で言った。 「まじかぁ」 すると、蒼が小さく頷いた。 しばらくそのまま二人とも動かなかった。僕は頭の中でいろいろ考えていた。蒼が飲みたいと言うなら、それは別に構わない。っていうか、本気で飲みたいって言うなら、少しくらいなら飲ませてあげたい。そして、蒼は本気だ。それはよく分かってる。でも、おしっこを飲みたいってどういうことだろう。 人のおしっこを飲む。そんなことしたいって思うのってどうなんだろう。好きだから? でも僕だって蒼のことは好きだけど、蒼のおしっこを飲みたいと思ったことはない。 そこまで考えたところで、僕の体の奥にピリッと電気みたいなのが走った。 あの、蒼が、僕の、おしっこを、飲みたい、って言った。 そして、蒼が、僕の、おしっこを、飲む。 それって・・・ もしそうなったら・・・ その後、僕は・・・・・ 蒼が僕の膝に手を置いた。僕を見ている。 「嫌なら・・・」 「嫌じゃない。蒼が飲みたいのなら」 僕は考えるのを止めた。蒼の手を握って立ち上がる。 「ここで、飲む?」 すると、蒼が首を横に振った。 「全部飲める自信ないし、こぼすかもしれないし」 (少しじゃなくて、全部飲むつもりだったんだ) すると、突然尿意を感じた。 「あ、僕、けっこうおしっこしたい・・・かもしれない」 「だから、お風呂場で、裸で」 「分かった」 蒼がその場で服を脱ぎ始めた。僕も服を脱ぐ。お互い全裸になる。別に蒼の前で裸になるのは全然平気だ。蒼が僕を見る。蒼のちんこが勃っていた。 「勃ってる」 僕が言うと、少しだけ恥ずかしそうにする。 「飲ませてもらうの想像したら・・・」 二人全裸で蒼の部屋を出る。家の中を全裸で歩き、バスルームに入る。二人でバスタブの中に立った。 蒼が僕の前でしゃがむ。僕を見上げた。 「いい?」 僕に問い掛ける。僕は頷く。 「じゃあ」 蒼が口を開いた。 「じゃ」 僕も言った。そして、おしっこをしようとした。 蒼が口を開いて僕を見上げている。その顔を見ながら、僕はおしっこをしようとした。が、なんだか緊張しているのか、なかなかおしっこが出ない。 「ちょっと待って、出ない」 蒼に言う。蒼は口を開けたまま僕を見上げている。 「出そうなんだけど、なんか、出ないっていうか・・・」 僕は蒼に、一番好きな友達におしっこを飲ませようとしてるんだ。そう考えると緊張というか、プレッシャーみたいな、なんだかよく分からないものに体の自由を奪われるような感じがした。おしっこが上手く出ない。蒼は口を開けて待っている。それなのに、僕は・・・飲んでもらうって決めたのに、僕は・・・・・ 目を閉じる。少し違うことを考える。といっても蒼のことだ。初めは一緒に扱き合った時のことを考えようとした。でも、それを考えると勃ちそうになる。勃っちゃうとますますおしっこが出なくなりそうだ。だから全然違うことを考える。この後一緒に僕の家に行って一緒に夜ご飯食べようかとか、今日の夜ご飯は何かな、とか・・・ 「あっ」 ちんこの先におしっこが押し寄せる感覚、そしておしっこが出始めた。蒼の口が大きく開く。一瞬、おしっこが出て、蒼の口の中に入る。でも、すぐに止まってしまう。蒼が一旦口を閉じた。たぶんおしっこを飲み込んだんだろう。 「まだ出る?」 蒼が僕に聞いた。僕は頷く。蒼がまた口を開く。 「出る」 前ほど緊張みたいなことはしなかった。おしっこが出る。蒼の口の中に出す。蒼がそれを口で受け止める。蒼の開いた口の中に僕のおしっこが溜まっていく。このままだと溢れそうだ。一旦おしっこを止めようとした。でも、止まらない。蒼の口から僕のおしっこが溢れ出す。蒼は口を閉じる。その間も僕のおしっこは止まらない。蒼は少し俯いて僕のおしっこを飲み込む。その間、僕のおしっこが頭に掛かる。顔を上げ、まるで水を浴びるように顔で僕のおしっこを受け止める。そしてまた口を開く。口の中に溜まる。口を閉じてそれを飲み込む。今度は体におしっこを掛ける。蒼は手でそれを受けて体に塗り広げる。また口を開く。飲む。おしっこの勢いがようやく弱まった。すると、蒼が僕のちんこを口に含んだ。最後はその状態で僕のおしっこを飲む。片手でちんこを扱きながら、もう一方の手で体に掛かった僕のおしっこを塗り広げながら。 おしっこを終えた僕の目の前で、蒼はオナニーした。体に僕のおしっこを塗り広げ、僕のおしっこに塗れた手の指を舐めながら、髪の毛から僕のおしっこを滴らせながら、そしてその様子を僕に見られながらオナニーしていた。 「遼・・・」 僕の名前を呼びながら、僕のおしっこに塗れた体で僕に抱き付いてきた。そして、射精した。 僕も蒼を抱き締めた。しばらくそのまま動かなかった。 「蒼、おしっこ臭い」 ようやく落ち着いた頃、僕はそう言った。 「遼もだよ」 そして、二人とも恥ずかしそうに笑った。 それから二人でシャワーを浴びて、バスタブのおしっこをきれいに洗い流した。お互いの体に鼻を近づけておしっこの臭いがしなくなったことを確認してから、蒼の部屋に戻った。 二人とも服を着る。そして、いつもの二人に戻る。さっきのあのバスルームでのことがまるで夢の中の出来事のように感じる。でも、実際にそれを僕等はしたんだ。それは間違いのない事実だ。 服を着た僕等は、今度は僕の家に向かう。蒼の家を出る前に、親にスマホでメッセージを送っておいたので、僕の家では蒼の分まで夜ご飯を準備してくれている筈だ。 そして、僕の家の食卓には蒼の大好物の唐揚げが山盛りになっていた。僕はそれにかぶりつく蒼の口を見つめていた。 その夜、もちろん僕は夢を見た。 夢の中で、僕と蒼がおしっこの掛け合いをしていた。やがて、僕は蒼の前にしゃがみ込む。そして、蒼を見上げて口を開いた。 蒼のおしっこが僕の口の中に入ってくる。僕はそれを飲み込んだ。幸福感。そして、夢の中なのにおしっこの臭いを感じた。 目が覚めたとき、夢精していた。 「そう・・・だよな」 僕は頷いた。 <NOM 完> |