2016年12月31日 昼 ガランガランと鈴の音がする。続いて柏手の音。 そんな神社の境内から、横に回ったところに小さな建物がある。昔は物置として使われていたが、今はもう使用されていないその古い建物に、男が入っていった。 薄暗いその建物の中はがらんとしていて、ほとんど何もない。隅に少し、祭りか何かに使われていたような、今となってはガラクタと言ってもいい物が少し置いてある程度で、その上にはうっすら埃が積もっていた。 そんな物置の真ん中に、古い毛布が広げられている。そして、その上に少年はいた。 全裸で男を見つめている。手がゆっくりとペニスを掴む。その手が上下に動く。初めは動いているのかどうか分からないくらいに小さく、やがて、勃起すると共にその動きは大きくなる。 男はその様子をしばらく見つめていた。やがて、その少年に近づき、その手を払いのけてペニスを握った。 「ん・・・」 少年が小さな声を上げる。その声に重なるように、また鈴が鳴らされる。 「年の瀬にこんな所でこんなことしてるなんてな・・・」 男が呟く。自分に言っているようでもあり、少年に言っているようでもある。 「金、欲しいんだろ?」 少年がこくっと頷いた。 「だろうな。こんな所に住んでるんだもんな」 少年はこの物置に住み着いていた。もちろん、許可を得ている訳じゃ無い。しかし、もう誰もこの物置のことなど気にしていない。だから少年が住み着いていることも、誰も気付いていない。 男が少年の足を持ち上げて、体を折り曲げる。尻が持ち上げられ、男の目に少年のアナルが晒される。 「ここも使い込んでるんだろうな」 男は指を入れる。 「うっ」 小さな喘ぎ声。男は持っていたカバンから、ローションを取り出す。中身を少年のアナルに塗り付ける。 指を2本挿入する。少年は少し眉間に皺を寄せる。男は構わず指を3本に増やす。少年か顔を背ける。 「こっちを見ろ」 男が命じた。少年は顔を男に向ける。男は少しにやけた顔をしている。 「自分で解せ」 男は指を抜く。代わりに少年は自分の指をアナルに入れた。その様子を見ながら、男は立ち上がり、服を脱ぐ。男のペニスが勃起していた。 男は少年の足の間にしゃがみ込み、再び足を持ち上げた。少年のアナルにペニスを押し付ける。そのまま無言で挿入した。 「ううっ」 少年の体に男のペニスがめり込む。そのまま奥まで挿入する。 「これまで何人に掘られたんだ?」 男はそう言いながら、腰を動かす。少年は答えない。男の動きに合わせるように少年の体が揺れる。時々、小さな呻き声が漏れる。 また鈴の音。そして柏手。 「ほら、神様に見られてるぞ」 男は少年の体を折り曲げ、挿入しているペニスに体重を掛ける。そのまま腰を動かす。少年の体が奧まで貫かれる。 「気持ち良いんだろ?」 やはり少年は答えない。しかし、彼の喘ぎ声は苦痛の声ではない。その証拠に、少年のペニスは勃起している。 「ほら、どこに出して欲しいんだ?」 男が腰を打ち付けながら少年に言う。答えは期待していない。案の定、何も答えない。 「おぁっ」 男の体が小刻みに震える。少年の奥深くで射精していた。 男は少年のアナルからペニスを引き抜き、そのままペニスを少年にしゃぶらせる。 しばらくしゃぶらせた後、服を着て、サイフを手にした。 「いくら欲しいんだ?」 少年は何本か指を立てる。男は鼻で笑う。 「ふん、まるで乞食だな」 男はサイフから札を抜き、足下に落とす。少年は全裸のままそれに這い寄り、かき集めるようにして握りしめる。その間に、男は物置の扉を開いて出て行った。 一人残った少年は、床に敷かれた毛布の下に男からもらった金をしまった。 2016年12月31日 午後 物置に別の男が入ってきた。さっきの男が出て行ってから1時間も経っていない。 少年は同じように毛布の上に仰向けになり、ペニスをしごき始める。 今度の男もしばらくその様子を見つめる。やがて、立ち上がるように命じた。 男は物置の壁の隙間から外を見る。普段ならそれほど人はいないであろうこの神社も、大晦日の今日はちらほらと参拝しにやってくる人がいる。ここからは鈴は見えないが、賽銭箱の前に何人か並んでいるのが分かる。 「大晦日らしい光景か・・・」 そして、男は体を反転させて、壁にもたれる。 「さぁ、来年、俺に良いことがあるように祈ってもらおうか」 そして、ズボンと下着を下ろした。勃起したペニスが現れた。 少年は男の前に跪き、両手を顔の前で合わせるようにして男のペニスに添えた。口を開く。 「奥まで咥えろよ」 口に含む。そのペニスは太く、長い。少年の口が塞がれる。そのまま頭を前後させ、男の為に祈り始める。 「根元までだ」 少年はその命令に応じようとする。が、根元まで咥える前に、その先端が喉を突く。 「うごっ」 苦しくて声が出る。男のペニスから口を離す。 「満足にフェラもできないのか」 男の手のひらが少年の頬を叩く。まるで、物置の壁の向こうから聞こえる柏手のようだった。今はなにか話し声が聞こえる。内容までは聞き取れないが、恐らく数人の少年達の声。ちょうど今、男の為に祈っている少年と同じような年代だろう。 彼等は何か楽しそうに話しながら賽銭箱の前の短い行列に並んでいる。程なく彼等の番が来た。鈴を鳴らし、柏手を打つ。 その頃、少年は頭を男の股間に押し付けられていた。男のペニスが少年の喉を犯す。少年が嘔吐いても男は力を緩めない。少年の目から涙が溢れる。それでも男は容赦しない。更に押し付ける。少年の喉を無理矢理押し開き、その奧まで犯そうとする。 「ごえっ」 少年の口から淡い色の液体が漏れ出した。男は気にせず、更にペニスを押し込む。 「おげっ」 少年がまた吐く。体が崩れ落ちそうになる。男はそんな少年を押し倒し、仰向けにする。その体の上に乗り、ペニスを咥えさせる。少年の頭の上に座ると、脇に下から手を入れ、肩を持ち上げる。頭を仰け反らせ、その喉にペニスを押し込む。少年の首が膨らみ、男の動きに合わせてその膨らみが前後に動く。ついに男はペニスを根元まで少年の口に挿入した。そのままグリグリと腰を押し付ける。少年は絶え間なく何かを吐き続けている。やがて、少年の体の力が抜け、白目をむいた。男はそんな少年の喉をまるでオナホールのように使い続ける。何度も出し入れし、やがて、その奥に射精した。 射精した後も、男は少年の喉奥までペニスを差し込んだままだった。そのまま少年の頬を叩く。少年の目に黒目が戻る。とたんにもがき苦しみだす。そんな少年を押さえ付け、再び男が腰を使い始める。少年の体が痙攣したかのように震えだし、呻きながらもがき続ける。そんな折り、物置の壁のすぐ向こうで少年達のグループの楽しげな声が聞こえた。さっき、賽銭箱の前にいたグループだろう。彼等の声が一瞬途切れる。男に喉を犯されている少年の呻き声が聞こえたのだろうか。男は少し動きを止めて聞き耳を立てる。その間もペニスは少年の喉奧に入ったままだ。壁の隙間から外を見てみる。神社の沿道を結構な人数の参拝客が歩いているのが見えた。隙間のすぐ前を何かが通り過ぎる。さっきの少年だろう。男は一旦腰を引き、すぐに少年の口に再び腰を押し付けた。もう少年の喉は男のペニスを易々と受け入れる。しかし、口の隅から泡を吹いている。男の動きに合わせて、呻き声とぐちゃぐちゃという音が少年の口から漏れる。男はむしろ、外の少年達にその音を聞かせたいと思っているかのように、少年の喉を使い続けた。 喉の奥での3回目の射精の後、ようやく少年は解放された。毛布の上に座り込み、何かを吐きながら激しく咳き込んでいた。男は毛布の端で自分の股間に付いた少年の吐瀉物を拭いとると、服を着て出て行った。金は床の少年の吐瀉物の中に投げ捨てられるように置かれていた。少年も、涙と吐瀉物で汚れた顔を毛布の端で拭った。 2016年12月31日 夕方 少年はぐったりと毛布の上に横になっていた。その目に入口の扉の間の細い隙間からうっすらと外の光が入っているのが写る。その光が何かで遮られる。隙間がほんの少し広がる。少年はまた股間に手を伸ばし、ペニスを握り、目を閉じた。 少しずつ、扉の隙間が広がる。やがて、人がぎりぎり入れるくらいまで広がると、そこから人影が物置の中に入ってきた。逆光の中のその黒い人影は、入口の内側で立ち止まると後ろ手にゆっくりと扉を閉め、そのままそこで少年を見つめていた。少年はまたゆっくりとペニスをしごき始める。やがて、ペニスが勃起する。目を開き、その人影を見つめた。人影が近づいてくる。少年の傍らで跪き、勃起したペニスに顔を近づけた。 その顔は、これまで少年を犯してきたような男達とは違っていた。その人影は、少年とさほど歳が変わらないように見えた。少年は手をとめ、その手で勃起したペニスを覆い隠した。 「見せろよ」 人影が言う。大人の声じゃない。少年は体を横にして、その人影に背を向ける。 「さっき、やってただろ」 手が少年の体に触れる。少年は体を小さく丸めてその手を拒絶する。しかし、手は少年の背中からお尻を這い回る。やがて、人影が少年の顔の前に跪いた。 「僕のも舐めてよ」 人影の股間から、勃起したペニスが突き出している。それを少年の顔に近づける。少年は顔を背ける。 「金くれそうな相手以外とはやらないってこと?」 少年は答えない。 「そっか・・・じゃ、神主さんに誰かいるって言っちゃうよ?」 人影は立ち上がり、ペニスをズボンの中にしまう。 「そこで体売ってるみたいだって。それとも警察の方がいい?」 扉の方に歩みだそうとする人影の背中に少年が抱き付いた。 「なんだよ、今更」 人影は少年を振りほどこうとする。 「だ、抱いて下さい」 小さな声だった。人影が動きを止める。 「僕に抱いてほしい?」 少年は首を縦に振る。 「じゃ、土下座してお願いしてよ」 人影の前に少年が膝を突く。そのまま、頭を下げた。 「だ、抱いて・・・く・・・下さい」 そのまましばらく時間が過ぎる。やがて、人影が言った。 「頭上げろ」 少年が頭を上げると、人影の下半身でペニスが勃起していた。すでにズボンと下着はずり下げられている。少年はその股間に近づき、何も言わずにそのペニスをしゃぶり始めた。 「うわ・・・」 初めてされるフェラチオに、人影が声を出す。 「お前、いくつ?」 無意識に、あるいは本能的に人影が腰を動かす。少年の口からいやらしい音が漏れる。 「いくつなの? 答えないとけいさ・・・」 「13です」 少年が口を離して言った。 「こっち見て」 人影が言う。少年は顔を上げる。二人の目が合った。 「タメかよ・・・こんなことしてるくせに」 人影が少年の頭を股間に押し付ける。少年はフェラチオを再開する。 「あっち向いて」 少年は跪いたまま、人影に背を向ける。 「分かってるだろ? 四つん這いだよ」 命じられた通り、少年は床に手を付いて四つん這いになった。そんな少年の尻が広げられる。人影が少年の中に入ってきた。 「くっ」 ローションも使わずにペニスを押し込む人影。幸い、これまでのセックスで少年の奧にはローションが塗り込められたままだったし、少年のアナルも広がっていた。人影はペニスを少年の奥まで進める。 「熱いんだ」 初めてアナルに挿入した人影が、その熱さに驚く。そのまま、腰を動かす。 「あっ」 そして、すぐに射精した。すぐに少年のアナルからペニスを引き抜く。 「もいっかいしゃぶって」 少年は四つん這いのまま体を反転させ、人影の勃起したままのペニスにしゃぶりつく。すぐに口の中で2回目の射精。少年はそれを飲み込んだ。 それが終わると人影はそそくさと下着とズボンを引っ張り上げた。 「明日も来るから逃げるなよ」 それだけ言い残して、物置から出て行った。 少年は口の周りを手で拭った。精液の匂いがする。大人のその匂いより、強く感じる。それがいつまでもまとわりついているような気がした。 2016年12月31日 夜 少年は、古い毛布にくるまって少しうとうとしていた。 外からは、鈴と柏手の音が絶え間なく聞こえていた。 カップルや友達同士、あるいは家族の話す声も聞こえる。大晦日を迎えて、少し華やいだ感じの声だ。だが、少年にはそんな世界は無縁だった。彼の両親が事故で死んでから、この古い物置に住み着いてもう数ヶ月経つ。その間、誰も少年を連れ戻しには来なかった。彼は生きて行くために、ここで体を売り始めた。そして迎えた初めての孤独な年の瀬。さすがに少し寂しさを感じていた。 物置の入口の扉が軋んだ。誰かが入ってくる。物置の中は小さな電球一つ。その光は入口までは届いていない。床が軋み、足音が近づいてくる。 「あっ」 その姿を見て、少年は小さな声を出す。そして、少しだけ笑顔になった。 「ほら、お腹空いたろ」 手にぶら下げていたコンビニの袋を少年の前に置く。中には弁当と、ペットボトルのお茶が入っている。 「あ・・・ありがと」 小さな声で少年が言った。男は無言で少年に笑いかける。少年は袋から弁当を取り出し、食べ始めた。 毛布の上にあぐらをかいて弁当を食べている少年の前に男が立つ。ベルトを緩め、ズボンを下ろす。少年はそんな男を見上げ、食べかけの弁当を横に置く。そのまま男の下着を下ろし、まだ食べ物を頬張ったままの口で男のペニスにしゃぶりついた。 何度か頭を前後させ、弁当を一口頬張り、またフェラチオする。それを何度も繰り返す。それがこの男とのいつもの行為だった。 外の話し声が聞こえる。さっきより少しざわついた感じだ。2016年の終わりが近づいているのだろう。 「今年はここで年を越すのか?」 男がフェラチオしている少年に尋ねた。少年は頭を上下に動かす。 「そうか。寂しくないのか?」 少年が上目遣いに男を見上げた。その表情からはどっちなのか読み取れない。 「ウチに来るか?」 少年が目を大きく見開いた。 「ここで年を越すよりはいいだろ?」 少年が咥えていた男のペニスを離す。少し俯き、そして横に置いてある弁当を手に取り、続きを食べ始めた。 「四つん這いになって」 男がそう言うと、少年はまた弁当を横に置き、男に尻を向けて四つん這いになった。男は弁当を少年の顔の前に置く。 「食べながら」 そう言って、少年のお尻の方に戻る。少年は弁当に頭を突っ込み、箸を使わずに犬のように食べる。そんな少年のアナルにローションが垂らされ、そして男が入ってきた。 「うぅ」 少年はこれまで何度かこの男に抱かれてきた。最初の客でもあったこの男は、なぜか少年が辛いとき・・・お金が無くなったり、寂しかったり・・・には姿を現した。単なる偶然なのかもしれないが、少年にとって、この街で心を許せるたった一人の相手だった。もっとも、この街以外で少年が心を許せる相手は誰一人としていないのだが。 アナルを掘られながら、少年は弁当に頭を突っ込んで食べ続けた。時々、男がお尻を叩く。すると、少年は体の向きを変えてペニスを頬張る。さっきと同じように、食べ物を口に入れたまま。しばらく口を使われると、今度は頭を軽く叩かれる。また体の向きを変えて、アナルに挿入される。男に叩かれなくても、少年が自分からそうすることもある。そうやって、ゆっくりと時間をかけて、食事とセックスを楽しんだ。 何度かそうやって体の向きを変えるうちに、男が食べ物を頬張ったままの少年の口の中で射精した。精液が混ざった食べ物を少年は味わい、飲み下す。男が少年の横にあぐらをかいて座る。 「美味いか?」 少年はこくっと頷く。 「そうか」 男は笑顔で少年の頭を撫でた。少年も笑顔を返した。 少年は物置の隅に置いてあった汚れた服を着る。扉のところで男が少年を待っている。結局、この年末年始は男と一緒に過ごすことにした。男も一人暮らし、気を遣うことはないと言われ、少年自身が決断した。 少年は服を着終えると、毛布の下のお金をズボンの尻のポケットに突っ込んで、男と共に物置を出た。二人は神社の方に回る。賽銭箱の前にはけっこうな行列が出来ていた。男が腕時計を見る。 「あと少しで2017年が始まる」 少年は回りを見回す。こんな人混みの中に来たのは久しぶりだった。 「私達もお参りしていこう」 男と少年は、賽銭箱の前の行列の後に付いて並んだ。 二人が賽銭箱の前に立った丁度その時、108回目の除夜の鐘の音が聞こえてきた。 2017年1月1日 男はお参りを済ませると、横を歩く少年に尋ねた。 「何をお祈りした?」 少年は男を見上げ、そして顔を前に向ける。何も答えなかった。 「私は、君が、こんな辛い人生が早く終わるようにってね」 そして、着ていたコートを脱いで、少年の肩に掛けた。少年はコートをたぐり寄せ、顔の下半分を覆った。 「おじさんの匂い・・・」 小さな声でぽつりと言う。男が少年の顔を見る。少年は男の顔を見上げて、笑顔になった。そして、またコートで顔の下半分を覆うと、大きく息を吸い込んだ。 男の大きな家には灯りが点いていた。少年が少し不安そうに男を見上げる。 「大丈夫だよ」 男は少年に笑顔を見せる。コートの上から少年の肩を抱き、玄関の扉を開いた。 暖かい灯りとぬくもりが、少年を包んだ。 その灯りの向こうから、3つのシルエットが二人を出迎えた。 <すずのね 完> |