サ イ
PSI
目の前に僕のお尻がある。 いや、正確に言うと違う。 その僕のお尻はなにも履いていなかった。僕が身につけているトランクスも、ズボンも。 手が僕のお尻に触れる。ゆっくりと、僕のお尻をもみ始める。僕が声を出す。同時に僕のちんこが勃起する。それを包み込むように握りしめて、ゆっくりと上下にしごく。やがて、僕は四つん這いになり、お尻を向ける。そして・・・ 電車が僕の降りる駅に着いた。僕は、満員の電車から人を押しのけながら駅に降りた。そこまで離れると、もうあのイメージは入ってこない。僕はいつものように改札を抜けて、学校に向かった。 (あ、カズ来た) 後ろの方から、カズの意識を感じた。今朝は少し機嫌が悪いようだ。どうやら、朝からこないだのテストのことで親ともめたみたいだった。 (そりゃ、社会27点じゃな) そんなことを思っている間に、意識はぐんぐんと僕に近づく。意識が大きく輝いた。カズが僕を見つけたみたいだ。他にもいろんな意識が回りを歩いていたけど、カズの意識はその中で一際はっきりと見える。カズが僕の背中を見ている。どんどん僕に近づいてくる。 (来る) 「おはよ!」 背中をばしっと叩かれる。いつもの挨拶だ。 「んだよ、おはよ」 僕もたたき返す。カズが僕の横に並ぶ。 「昨日、テスト返ってきたろ?」 「うん」 「どうだった?」 昨日は一緒に帰らなかったから、テストの結果について話をするのは今日が初めてだった。 「まあまあかな」 僕は当たり障りのない答えを返した。 「やっぱ、お前アッタマいいもんな」 カズの頭の中に、科目毎の点数一覧が表示されていた。最低点は社会の27点。あとは・・・それほどじゃないけど、ほめられた点数ではなさそうだ。 「カズはどうだったの?」 「ん・・・聞くな」 笑顔全開でそう言うカズ。そんなカズのことは嫌いじゃない。 「もう・・・だからちゃんと勉強しろって言ったのに」 「お前みたくアッタマよくないもん」 そして、カズが僕の肩に腕を回した。 カズは少しどきどきしているようだった。肩に腕を回すということ・・・別に特別なことじゃない。でも、それがカズにとっては少し特別なんだってことを僕は知っていた。カズの意識がオレンジ色っぽくなっている。それは僕に対する好意の印。いや、もっとちゃんと言えば、カズが僕を好きってこと。単なる友達じゃなくて、カズは僕のことを好きなんだ。 カズはこれまで何回も僕に「好きだ」って告白することを想像しているのを知っている。でも、それはカズの想像の中だけの話で、実際に告白されたことはない。それどころか、僕に僕のことを好きだということを知られまいとしている。今だってそうだ。普通に、何の気なしに僕の肩に手を回しているふりをしてる。でも、カズにとっては、僕の肩を抱くって感じ。それがこうやって体をくっつけてるとひしひしと伝わってくる。 僕もそんなカズが嫌いじゃない。だから、ずっと肩を抱かれたまま、僕等は学校に向かった。カズの心の中のいろんなことが見えた。あんまり見ちゃいけないかな、とか思うけど、カズがなにを思っているのか興味がない訳じゃない。こうしていると、いろんなことが見えてしまうんだ。 人の心の中が見えるのが、普通じゃないことだって気が付いたのは、ずっと小さいころだった。それまでは、それが普通だと思っていた。人の気持ちとか感情とかが、僕の頭の中にイメージとして入ってくる。そして、その色で、いい感情なのか、悪い感情なのかがわかる。 小さいときは、それが普通だと思っていたから、見えたことを見えた通りに言ったりしていた。その度に、感情を示す色が暗くなっていく。時には恐怖を示す暗い青色になったりした。だから、僕はそれは良いことじゃないんだってことを理解した。他の人には心の中とかが見えないんだってことを理解したのはもっと後になってからだったけど、人の心の中とか、感情とかは、見えても見えないふりをすることが人に嫌われたり恐れられたりしないことなんだってことを経験で僕は理解したんだ。 それ以来、僕はたくさんの人の心の中を見てきた。友達の心の奥の暗い部分、親や先生の心の深い部分、普通の人の心の闇の部分・・・どんな人にも人には知られたくない部分があるってことはもううんざりするほど経験してきた。だから・・・あまり、人の心の奥は覗かないようにする方法も身につけた。 もっとも、どんな人の心も覗ける訳じゃない。 というか・・・だいたい誰の心も覗くことはできるんだけど、どんな場合でもできる、という訳じゃない。基本的に、知らない人の方が心が見えにくい。少し離れていたりすると、全然見えなかったりする。そういう人の心を覗くには、触れるくらいの距離にいるか、それとも本当に触るかする必要がある。 何回かそうやって心を読むと、少し距離があっても見えるようになる。 そして、親とか、カズみたいにいつも一緒にいる相手だと、相当離れていても心が見えるようになる。だから、今朝もカズが僕に気が付く前に、僕は後ろからカズが来ていることがわかったんだ。これが基本。 でも、基本通りに行かないこともある。 一つは強烈な意識の場合。たとえば今朝の電車みたいな人。あの人は、僕から1mか2mくらい離れたとこにいたはずだけど、その意識が強烈に僕に中に入り込んできた。 あの人と一緒になったのは3回目くらいだったけど、初めから僕に強い興味を持っていた。だから、そんなによく知らなくても、少し離れていても、その人の心が見える。というか、意識が僕の中に入ってくる。そういう人は、1日に数人くらい出会う。仕事のことで怒られたりとか、恋人のことでいろいろ考えてたりとか・・・ 逆に、全然見えない人ってのもいる。 たとえば、酔っぱらい。 少し酔っぱらったくらいなら見えるんだけど、ある程度より酔っぱらうと見えなくなる。普通、酔っぱらったら意識が解放されて、見え易くなりそうなんだけど、そうじゃない。モザイクがうねうね動いてるみたいな感じで、全然分からなかったりする。 あとは、特定の人。どういう理由なのかわからないけど、見えないタイプの人ってのがいる。まあ、めったにそういう人には出会わないんだけどね。今までで5人くらいかな、そういうタイプは。 学校では、いろいろな心が僕の中に入ってくる。でも、それはいわば見慣れた風景って感じ。なんていうか・・・みんな雑談してる中で、そんな声が耳に入ってくるって感じ。そういうときは、自分が興味あることしか気にならないのと同じように、たいていの人の心は気にならない。でも、たまに僕のことが心に現れたりとすると、やっぱりちょっと気になってしまう。特に、その心が暗い色だったりすると。 僕の場合・・・他にも人の意識が見える人がいるのかどうかわかんないけど・・・良い方の心、うれしいとか、楽しいとかは、赤やオレンジ色といった暖色系の色だ。その度合いっていうか、レベルは色の明るさとなって見える。カズの僕に対する心はいつも明るい色だ。だいたいオレンジ色かピンク色。 悪い感情だと、寒色系の色になる。悪い感情が強いと、色はどんどん暗くなる。たとえば、今朝のカズの親ともめた時は、少し暗めの緑色だった。でも、この色のパターンは決まってるって訳じゃなくて、人によって違ったりするから、色だけでは判断できなかったりする。それこそ、よく知ってる人の時だけかな、色で判断できるのは。 こうやって、ずっと人の心を見てきて、今まで同じように心が見えるって人に出会ったことはない。もし、それを隠してたとしても、心を見ればすぐに分かるはず。でも、今までそういう人に会ったことがない。小学生の頃に超能力の本を読んで、僕みたいな人の心が見える能力は「テレパシー」っていうやつなんだって知った。そして、一般的には超能力者なんていない、ということも。 僕は何なんだろうって悩んだこともあった。普通の人間じゃない、超能力者。突然変異? それとも・・・ 能力で悩んだ訳じゃない。この能力のせいで辛い思いとか、別にしたわけじゃない。他の人が僕のことをどう思ってるかがよく分かっちゃうけど、小さい頃からそれが普通だったから、別に気にならないし。笑顔で僕に接してくれるけど、心の中ではすごく憎たらしく思われてるとか・・・僕は、同年代の他の子に比べると、妙に大人びた考えとか発言をするらしい。たぶん、この能力のせいだと思う。人の心を見て、それを表に出さずに対処する・・・そういう経験を積んできた僕は、当然、大人びてしまうんだろうって。でも、そんなことで僕に悪い感情を持つ人は少ない。ほとんどの人は、僕のことを頼りにしてくれる。利用されてる、って言い方もできるけど、同じことだ。先生だって、僕をクラス委員にして利用している。別にそれはかまわない。全然。 やっぱり、この能力で一番困るのは、不意に強い心が見えたときだ。たとえば、急に後ろから声をかけられたらびっくりして振り返っちゃうのと同じように、急に強い心を感じると、ついついそっちを見てしまう。それで変な顔をされることもある。なんでこの子は俺の方見てるんだ?とか。 一回、万引きをしようとしてる男の人に出会ったことがある。そんな心、今まで見たことなかったから、ついついその人をじっと見てしまった。 (こいつ、なんだよ) とか思われて、その人はその店から出ていったんだけど・・・心の中で、(まさか俺の心読んだんじゃないだろうな)なんて考えてるのが分かると、ちょっとどきっとしたりする。もちろん、本当にそんなことがあるなんて思ってたわけじゃないけど。 学校だと、友達の心だったら、だいたい校舎、そして校庭の隅まで見ることが出来る。あいつ、今こんなこと考えてんだ、とか。先生の意識も見えるから、今日は小テストやる気なんだとか、分かっちゃう。問題と答えも分かることも結構多いから・・・僕は成績は常に上位だったりするけど。 そんな中で、あんまり普通じゃない心に出会ったりする。僕の友達でも、本人は気付いてないけど、他人の心を読める奴がいる。僕みたいに何を考えているのかわかるってほどじゃなくて、何となく感じるって程度だけど。だから、そいつはよく「勘がいい」って言われてる。そういう心には気を付けるようにしている。だって、何かのはずみで僕の能力を感じるかもしれない。そうしたら、その先、どうなるのか・・・僕の能力に気が付くことはないとは思うけど、やっぱり注意するに越したことはない。 あと、犯罪者の心。さっき言った万引きも入れると、僕はこれまで3人の犯罪者に出会ったことになる。これが多いのか少ないのかはさっぱり分からないけど。あいつを殺してやりたいとか、銀行強盗をやろうとしてるとか・・・本当にしたのかどうかは知らない。あきらめたのか、やりかけて出来なかったのか、やって失敗したのか、成功したのか。そういう心を持った人と出会うと、どうすればいいのか分からなくなる。犯罪とまではいかないけど、それに近いことを考えている人ならいっぱいいる。気に入らない上司を殴ってやろうと思ってる人とか、今日はどんなことをしていじめてやろうか考えてる奴とか。そういう心を持った人に何か言えたり、場合によっては警察に通報したりすれば、犯罪とかいじめとかは減るんじゃないかって思う。それが正義なのかもしれない。でも、僕にはそれは出来ない。自分の能力を人に教えることになるし、そもそも話したところで信じてもらえる訳がない。信じてもらえなかったのに、僕が言った通りに何か起きたりしたら、たぶん僕は予言者とか言われるか、気味悪がられるかのどっちかだ。そんなの、どっちにもなりたくない。だから、僕はなにも言わない。自分の能力は絶対誰にも知られたくない。 そうやって、これまで生きてきた、そんな中で、初めて・・・僕はある心を感じた。 (ん・・・) 来週に迫ったマラソン大会の練習を終えて、疲れてベッドでうとうとしていた。そのとき、僕はそれを感じた。誰かが僕の体を触っている。僕の部屋には僕以外誰もいない。もちろん、僕の体を触っている人なんかいない。でも、それは確かに僕の体をはい回っている。 (誰かが僕の心の中で、僕の体を触ってる) 僕はすぐにそう理解した。 そういう体験は今までに何回かしたことはある。電車の中の意識もそうだった。でも、これは、そういうレベルじゃなかった。電車の中での体験は、あくまでもその人の考えが見えるだけ。その人の頭の中で、想像されていることが見えるだけだった。でも、今の感覚はリアルそのもの。むしろ、リアルよりリアルな感じだった。肉体っていうフィルターを通さずに、直接僕自身を触っている、そういう感触。 その誰かの・・・おそらく手・・・は、少しずつ僕の体の下の方に動いていく。僕の履いているトランクスを少しずつずらして・・・その感触とともに、イメージが僕の頭の中に入ってくる。自分の体を外から見ている。その手は僕のトランクスを毛が見えるところまで引きずり下ろした。顔が火照る。実際に、僕の顔は熱くなっていた。その意識は、手を止めて僕の体を見つめる。僕のおへその下、「毛」の少し上にほくろがあった。それは、その誰かの想像じゃない。実際に、僕のおへその少し下には小さなほくろがある。普段ならトランクスで隠れている部分だから、誰もそのことは知らない。でも、その誰かの意識は、それを知っていた。 (想像じゃない) 僕は確信した。誰かが僕の頭の中に入っている。僕の意識を読み、僕が知っていることを知り、僕が感じることを感じている・・・間違いなく、相手もテレパシーが使えるんだということを。 そう思った瞬間、その誰かは僕の中からふっと消えた。 僕は普通にベッドの上で寝ていた。服を脱がされてたりとか、トランクスがずり下ろされてたりはしていない。すべてはあの誰かの意識の中のことだった。 でも・・・想像の中のトランクスは、今、僕が実際に履いているトランクスそのものだったし、あのほくろも・・・・・あの意識の中で行われたことは、僕の意識の中でもリアルだった。僕は、僕の意識の中で実際に体を触られたんだ。 (どうしよう) 別に何かが「リアルで実際にあった」わけじゃない。でも、僕は動揺していた。しばらく体を堅くして、近くにいる人達の意識を探ってみたりした。でも、あの誰からしき人の意識は感じなかった。ごく普通の、いつも通りの意識しか見えなかった。 「意識の中で実際におきた」初めての体験に、僕は戸惑っていた。 でも、意外とその体験はすぐに気にならなくなった。それから数日は、少しびくびくしながら過ごしたけど、誰かが僕の中に入ってくることもなかったし、それらしい意識と出会うこともなかった。そして、数日が過ぎると、むしろ(僕と同じような人がどこかにいるんだ)と思うようになっていた。初めて出会った「人の心が見える」人、そして、僕もそれができることを知っている人・・・ (どんな人なんだろう) 興味がわいてきた。あの時は、動揺して、その人の心を覗きに行くことが出来なかった。今度、もしまた出会えたら、その時は・・・ そして、その機会は思っていたより早くやってきた。 いつものように、学校に行く途中の電車で、あの人に意識の中で脱がされていた。今日はぼくのちんこを握っていた。実際の僕のものより、少し大きいかな、とか思いながら、その意識を感じていた。その時だった。 誰かがお尻を触っていた。思わず振り向いた。でも、誰も触っていそうな感じじゃない。そして、体をねじっているこの瞬間も、その手はずっと僕のお尻をさわり続けている。 (来た!) 僕の裸を想像していた人の意識が、何か警戒している。僕が急に振り向いたりしたからだろうか。でも、今はそんなことはどうでもよかった。遙かにリアルな感じで僕のお尻を触っている誰かの意識に僕は集中した。その手は僕のベルトをゆるめ、ズボンとトランクスを一気に下ろした。僕は満員電車のなかで下半身裸で立っていた。もちろん、リアルじゃない。でも、その意識は、その感覚は、そのイメージは僕の中では現実だった。リアル以上だ。顔が熱くなる。真っ赤になっているのが自分でもわかる。意味がないのに、手で股間を覆った。でも、その誰かが僕の手をつかみ、そこからどける。リアルの僕の手は股間を隠したままだけど、意識の中では僕は股間を晒していた。 たくさんの人が僕を見ている。僕は、そんな視線の中で、体を動かすことができなかった。誰かが僕のちんこを握り、まるで見せびらかすかのようにゆっくりとしごいた。それはさっきの想像の中の僕のちんことは違い、僕の本物のちんこだった。大きさも、形も、僕がよく知っている、僕のちんこそのものだった。 (いやだ) 意識の中で言う。そして、相手の意識を探ろうとする。と、僕のお尻の割れ目をすっとなでる。 (ひっ) 意識の中で声が出た・・・いや、ひょっとしたら、リアルでも出ちゃったかもしれない。目の前の人が僕を見る。 (見ないで) 僕は勃起していた。満員電車の中で、下半身を晒して勃起していた。それを目の前の人たち、たくさんの人たちに見られていた。 指がお尻の穴を触る。大勢の人に見られながら、ちんこをしごかれる。もう、リアルと意識の中の出来事とが区別できなかった。 いつもの駅のホームに立っていた。 頭がぼんやりしていた。あれから自分がどうなったのか、よく覚えていなかった。のろのろと学生服をチェックしてみる。べつに変わったところはない。足に力が入らなかった。僕はホームのベンチに座り込んだ。しばらく動けなかった。なぜ動けないのか、自分でもよくわからなかった。 結局、学校には1時間遅れて行った。そして、午後は早退した。 僕は、その誰かの意識を覗くことができなかった。それどころじゃなかった。あんなところで裸にされて、しごかれて・・・僕の中ではリアルだった。直接脳に伝わってくる感じ。だから、僕は電車の中で見られながら、されていた。その誰かの意識を覗く余裕なんてなかった。 学校からの帰り道、そのことを考えていた。 (誰が・・・) 途中、公園のベンチに座って、意識を集中してあたりを探ってみた。かなり広い範囲まで探ったつもりだ。でも、それらしい人は誰もいない。今度はいつ、どこで何をされるのか・・・不安だった。 でも、どこか期待していた。 マラソン大会当日、僕はまたあれをされるかもしれないから、朝からオナニーした。一回出しておけば、あんな風に動けなくなるようなことはないだろうって考えたから。 念のために、下着はボクブリにして、更にぴったり目のスパッツを履く。その上にウェアを着た。これなら、勃起しても分かりにくいだろう。 学校までは何事も起こらなかった。 マラソン大会のコースは、学年別に分かれていて、基本的には学校の周囲のコースを走ることになる。僕は、カズと並んでスタートし、一緒に校門から外に走り出た。 カズはけっこうマラソンが得意だ。でも、僕はカズ以上だ。これまでの練習では、何回かトップになったこともある。正直、今日は優勝するつもりでいた。でも、カズもかなり飛ばしている。なんせ、負けず嫌いの性格だし・・・そういう意味では、いいペースメーカーかもしれない。 校門を出てからかなりの距離を走ってきた。そろそろ折り返し、公園の近くまで来ていた。カズのペースが落ちている。そろそろ、カズ的にはきつくなってきてるのかな、そう思ったとき、カズががくんとペースを落とした。僕は自分のペースを維持していた。どんどんカズと僕の間の距離が広がっていく。少しペースをあげても大丈夫みたいだ。僕の前には一人しかいない。今からなら十分追いつける。優勝できる、僕はそう確信してペースをあげた。 何かが僕のお尻の中に入ってきた。いや、体が前につんのめるくらいに突き上げられた。それは僕のお尻に穴をこじ開けて、一気に入ってきた。 「んっ」 最初に感じたのは驚きだ。急に一気に奥まで貫かれた僕は少しバランスを崩した。その何かは、そんな僕なんかお構いなしに、僕のお尻を犯し始めた。奥まで突き立てられ、そして引き抜かれ、また一気に貫かれる。僕は思わず足を止めて、道に手を突いた。四つん這いのような姿勢になった僕のお尻の穴を、何かが責め立てていた。太くて長い・・・誰かのちんこが。それは僕の体の内側から僕の体を愛撫しているようだった。 「くっ」 勃起した。僕は道の真ん中で四つん這いになってお尻を犯され、勃起している。 「どうした?」 カズが僕を見つけて駆け寄ってきた。 (こんなところ、カズに見られたくない) 僕は平静を装って立ち上がろうとした。その瞬間、それはまた僕の一番奥を突き上げる。 「うっ」 それを見たカズは、おそらく僕が足を痛めたんだと思ったようだ。 「大丈夫?」 カズが僕を立ち上がらせ、肩を貸してくれる。僕はカズにはそのまま勘違いしてもらってるほうがいいと思った。 「うん・・・なんと・・・か」 その間も、僕を貫くそれは、激しく動いていた。体が震える。足に力が入らない。 「公園のベンチで休もう」 カズがそういって、僕を公園の方に連れていってくれる。僕のちんこは勃起したままだ。 (スパッツ履いて来てよかった) カズに抱えられながら、何かにお尻を掘られながら、僕はそんなことを考えた。それをその誰かが読みとったのか、それは僕のお尻を犯しながら、ちんこを、乳首をさわり始めた。 「あっ」 「痛む?」 カズが僕の足を見た。そのとき・・・ (あれ、立ってる?) 僕の股間がスパッツを押し上げ、ウェアを持ち上げているのに気が付いた。そのカズの意識が僕の中になだれ込んできた。 (や、やばい) そう思った瞬間、お尻の中の何かが奥を突く。びくん、と僕のちんこが脈を打つ。それが、ウェア越しにも分かったことが、カズの意識がら読み取れた。 「くっ」 僕はカズに下半身が見えないように、前屈みになった。 (なにが起きたんだ?) カズは状況が理解できないようだ。そして、ようやく公園にたどり着く。 「ト、トイレ」 僕は前屈みになったまま、公園のトイレに駆け込んだ。個室に入ってドアを閉める。そのとたん、僕のお尻を貫く何かの動きが早く、激しくなった。僕はトイレの壁に手を突いて、お尻をその何かに突き出した。 「うくっ」 「大丈夫?」 僕がうめき声を漏らしたのと同時にカズの声がした。心配して様子を見に来たカズが、ドアの前に立っている。 「だ、大丈夫だから・・・」 何とか声を振り絞る。でも、とても大丈夫なようには聞こえない。 「ん・・・ふぁ・・・」 お尻のあたりから、玉やちんこの方に熱い何かが広がる。 (い、いきそう) 僕はあわててウェアとスパッツをずりおろした。 「んあっ」 ボクブリをおろしたその瞬間、僕のちんこから大量の精液が吹き出した。朝、出してきたとは思えない、すごい量だ。 「おい、大丈夫かよ、おい!」 僕のうめき声を聞いて、カズがドアをどんどんと叩き始めた。なにか、大変なことになっていないかと心配していた。僕はあわてて服を引きずりあげて、ドアの鍵を外した。 「大丈夫・・・か?」 カズがドアを押し開けて入ってきた。その瞬間、その臭いと壁に飛び散っている白いしぶきに気が付いた。 「大丈夫・・・ごめん」 僕はそれだけ言って、カズの体を押しのけるようにしてトイレから出た。あの何かはもう消えていた。 (あれって・・・) カズの心が入ってきた。僕があそこで何をされていたのかはカズは知らない。でも、僕があそこで何をしていたのかは、カズは分かっていた。僕はカズの心を見ないようにしながら、なにも言わずに、振り返りもせずに学校に向かって歩いた。でも、カズの気持ちは僕の中に入ってきた。 (してたんだ・・・・よな? 聞いてみる? でも、なんで・・・) (なにも言わないで) 僕は強く思った。でも、それはカズには届かない。 「あの、さ・・・」 「してたよ」 半ばやけになって、僕は言った。カズは黙り込んだ。僕も黙り込んだ。二人とも、一言も話さなかった。 マラソン大会は、僕もカズも失格ということになった。コースをちゃんと回れなかったから。僕は言い訳をしようとした。少なくとも、カズは、体調を崩した(ことになっている)僕を助けようとしてコースを外れたんだし、カズには失格という処分はあたらない、と思った。でも、カズはなにも言わなかった。失格という処分をなにも言わずに受け入れていた。そんなこと、カズにはどうでもいいのが僕には分かっていた。 (なんであの時、マラソン大会の最中なのに、あんなこと・・・) カズの頭の中は、それでいっぱいだった。しかも、暗い色で。 その日、僕とカズは別々に帰った。でも、僕にはカズの心がずっと見えていた。 (なんで、あんなこと、あんなところで・・・) ずっと、そのことばかりが僕の頭に響いていた。 翌日も、僕はカズと顔をあわさないようにしていた。カズの頭の中は相変わらずだった。昨日の夜、家に帰ってからは少しはましになったのに、今日、僕の姿を見かけたとたん、またあのことで頭がいっぱいになっている。そして、時々僕の股間を盗み見ている。カズの想像の中で、僕の股間は大きくなっていた。 (なんて言えばいいんだろう) もし、カズに聞かれたときにどう答えればいいのか、全然わからない。本当のことはもちろん言えない。いや、もし言ったとしても、信じてもらえないだろう。 もし、信じてもらうために、カズが考えていることを言葉にしたら・・・それは、僕の能力を人に教えること。そんな能力があることが人にばれること。みんなから避けられるようになること、今までのような関係ではいられなくなること。 (できない、絶対に) それだけははっきりしている。だったら、なんて説明するのか・・・ 結論は出なかった。 数日後、結論が出ないままカズが声をかけてきた。 「今日、ちょっといい?」 最近は、意識して他の誰かの意識を探らないようにしていた。電車の中でも、学校でも、そして、カズの意識も。特にカズの意識はある意味怖かった。あのことを、カズがどう考えているのか、僕のことをどう考えているのか知るのが怖いと思った。だから、僕は自分の意識に閉じこもろうとしたのかも知れない。でも、カズは行動に出たんだ。僕はおそるおそるカズの意識を探ってみた。 (あのことについて聞きたい) カズの意識の中で、ネオンサインみたいにそれがぴかぴか光っていた。そして、その奥に、暗い色がよどんでいる。 (脅す) (脅迫) (言うことを聞かせる) (犯す) そんな言葉が、濁った暗い沼からぼこぼことわき上がってくる、そんな感じだった。カズがこんなことを考えるなんて・・・少し驚いた。それと同時に、僕とやりたいという強い気持ちが、その沼の上に霧のように広がっている。だったら・・・ 「うん・・・カズに言わなきゃならないこともあるし」 (あのこと、説明してくれるんだ) カズの心の色が少しだけ明るくなった。僕がちゃんと説明することをカズは期待している。でも、本当のことを言う訳にはいかない。 「カズにしてほしいんだ」 カズの家で、カズの部屋で二人きりになるやいなや、僕はそう切り出した。カズにあのことを聞き出そうと思う余裕を与えない、それが僕が考えた僕に出来ることだ。カズは僕としたいと思っている。あの時、なにが起きたかを聞き出して、それをネタに僕を脅して僕としたいと思っているカズ、もちろん、心の奥底でそう思っているだけで、それが本当にカズに出来るとは思っていなかった。それだけに、それを切り出すことで、ごまかせると思った。 「な、なにを?」 カズは本当に驚いていた。心が水面に写る景色のように揺らいだ。動揺している証拠だ。 「わかってるでしょ、あの時だって・・・」 「あ、あの時」 「カズに立ってるの見られたから・・・我慢できなくなって・・・」 僕はカズの股間に手を当てた。勃起しているのは分かっていた。カズも僕の股間を触りたいと考えている。でも、それをしていいのか、迷っている。僕はカズの手を取って、僕の股間に押し当てた。 「ほら・・・もう、我慢できない」 実際に、僕はもう我慢できなかった。マラソン大会以降、あの何かは僕の中に入ってきていない。あれだけ僕を犯して、僕をいかせたあれは、あの日以来一度も現れなかった。カズのことを心配する一方で、またあんなことをされたいという気持ちがあった。そして、 (心の中で犯されただけであんなに気持ちよかったんだから、実際にされたら、もっと・・・) だから、カズにして欲しかった。ごまかすためだけじゃなくて、本当に、犯されたかった。 「でも・・・」 カズの心の中には、今までにネットで見た男同士のセックスのことがあふれかえっていた。知識は豊富、でも、実際やるとなるとなにをどうすればいいのか全然分からずに焦っている。正直、僕もよく分からない。でも、それじゃ、なにも始まらない。僕はカズの目の前で、服を脱ぎ始めた。しばらく呆然とそれを見ていたカズだったけど、僕が全裸になると、あわてて服を脱ぎ始める。やがて、僕等はお互いの裸を見つめ合った。僕も、カズも勃起している。カズの興奮が伝わってくる。カズが手を伸ばした。そして、僕はカズに体を任せた。 お尻に入れられるのは初めてだった。正直、ちょっと前までは男とのセックスなんて考えたことがなかった。でも、あの電車で一緒になるあの人の心を見ていると、そういう世界もあるということを知った。それから、少しネットで見てみたりもした。カズが僕を好きでいてくれること、その奥には、僕とセックスしたいっていう気持ちがあることも知っていた。だから、今はそれでいいと思った。カズが僕のお尻にハンドクリームを塗りつける。そして、勃起したカズが、僕の中に入ってくる。僕は体が震えるくらいに期待していた。でも、それは・・・ カズはものすごく興奮して、夢中で僕の中に入ってきた。でも、あの時の、あの感じに比べたら、僕には全然物足りなかった。 カズが僕の中でいった。でも、僕はいけなかった。 それから僕たちは時々セックスをするようになった。その度にカズは興奮し、僕はあのときの興奮と比べて失望した。もちろん、カズはそんなことは知らない。一応、僕も気持ちいいフリはしていたから。でも、やっぱり物足りない。僕を興奮させるあれは、あれから全然現れてくれなかった。 (他の人だったらどうかな) やがて、僕はそう思い始めた。あの時のあの興奮を、また感じたかった。 電車の中で、僕はあの人のすぐ前に立った。いままでは少し避けていたけど、今日は、これからはなるべくすぐ近くに立つようにした。電車が揺れるたびに、少しずつその人に体を寄せた。やがて、体が密着する。僕は勃起している股間をその人の体に押しつけた。その人の心が入ってくる。 (熱い・・・勃起してるのか?) その人は何気なく持っていた鞄を抱え直すフリをして、僕の股間に軽くさわる。 (明らかに立ってるけど・・・まさか、誘われてるのか?) どぎまぎしている心がなだれ込んでくる。 (そう、誘ってるんだよ。僕の、もっと触ってよ) 僕はそう思いながら、その手に股間を押しつける。 (固い・・・熱い・・・) 男が僕の股間を手のひらで包み込んだ。ゆっくりと手のひらでなでるようにする。僕は目を閉じた。 (俺は、この子に誘われてるのか?) でも、その日はそれ以上のことはなかった。 結局、その人とセックスするのに1週間近くかかった。勃起したちんこをなでられ、握られ、僕もその人のを握って、ようやく話しかけてきた。メアド交換して、いろいろメールでやりとりして、そして、ホテルで会うことを約束した。 僕は激しいセックスをその人に求めた。 その人がSMをやろうとしていることは分かっていた。何度か電車で触りあって、話をしていたので、多少距離があってもその人の心が見えるようになっていた。その人の心の中で、僕は全裸で縛られ、鞭打たれ、悶え、興奮し、感じていた。本当に、その人の心の中の僕のように感じることができたら、きっと僕も満足できるんだろう、そんな気持ちでSMプレイを受け入れることにした。 その人は、少しニヤつきながら全裸の僕を縛り上げていく。そうされることに僕は少なからず興奮していた。僕のちんこは触られる前から勃起していた。両手を後ろに回されて、体と一緒に縛られ、足を開かされる。身動きができない僕の体を、その人は好きなようにもてあそぶ。勃起した僕のちんこを平手で叩き、僕の反応を見る。何かを僕に嗅がせる。すこし頭がくらくらする。そして、お尻を開き、僕の穴を舐める。 気持ちよかった。そういうふうにされることが。 でも、あのときのような興奮は・・・ その人がロウソクを取り出した。赤くて太いロウソクだった。僕は少し身構えて、ごくりと唾を飲んだ。 「熱くないから大丈夫だよ」 そう言いながら火を点ける。少したってから、僕の体の上でロウソクを傾ける。溶けたロウが、僕の体にぽとりと落ちた。 その時だった。 僕のお尻に何かが入ってきた。あの時ほど激しく入ってきたわけじゃない。でも、それは僕のお尻の奥の一番気持ちがいいところを突き上げた。 「ふあっ」 少し萎えかけていたちんこがまたぎんぎんに勃起した。僕の中の何かは、ゆっくりと、でも確実に僕を犯した。あの時の興奮を感じた。 「くっ」 思わず声が出る。それがちょうど、ロウが滴り落ちるタイミングとほぼ重なる。 (こいつ、ロウソクで感じてるんだ) その人が意外そうに感じているのが見える。実際には僕の中の何かに感じているなんて、この人は知らない。そして、ロウソク責めも、僕の中の何かの責めも続いていた。 ロウソクはぼくのちんこを中心に垂らされていた。僕の体に赤い点がいくつも出来ていた。そして、僕の中の何かの責めも徐々に激しくなっている。ゆっくりと突き上げられていたのが、今は力強く、激しくなってきている。僕の体が反応して、仰け反ったり震えたりしている。 (SMプレイで感じるんだ、変態だな) その人にそう思われていた。それでもよかった。また、あれに犯されているんだ・・・もっと激しくされたい、そう感じた僕は、無意識にそれを口に出していた。 「もっと・・・もっと・・・」 その人は、でかい張り形を取り出した。たっぷりとローションを塗りつけて、僕のお尻にあてがった。その瞬間、僕の中の何かが激しく動いた。 「あぁ!」 腰ががくがくと震えた。その人が張り形を僕に挿入する。 「いっ」 今まで実際に入れられたのは、カズのだけだった。そんな太いのを一気に入れられたのは初めてだ。裂けるような痛みを感じた。それと同時に、あれがまた一番感じる部分を突き上げる。何度も何度も、それは僕を犯してきた。 痛みと同時に下半身がしびれるような気持ちよさを感じた。 そのまま、僕はいってしまった。 SMプレイと太い張り形での責めが気持ちよかったと勘違いされたまま、僕はその人と別れた。最後にその人にお尻に入れられたときも、同時にあの何かに犯された。そして、一番気持ちがいいところを責められて、2回目の射精をした。 「けつだけでいけるんだ・・・感度いいんだな」 その人の心は僕を蔑んでいた。 (今まで何人とやってきたんだ? この淫乱なガキは) この人の目には、僕がたくさん経験していて、十分開発された変態にでも見えるんだろう。実際、心の中ではかわいい中学生から変態なガキに見方が変わっている。 「ん」 僕は短く相づちを打った。否定も肯定もできない。確かに何かに犯されると、僕はおかしくなるくらいに興奮して、触りもしないのに射精してしまう。それって、やっぱり普通じゃないんだろうし。 それからも、僕はあの気持ちよさを求めて何人かとセックスした。 でも、あの気持ちよさは誰かとのセックスでは得られなかった。あの何かとのセックスじゃないと・・・でも、あの何かは、僕が誰かとセックスするようになってからは、あまり現れなくなってしまった。 カズとのセックスも続いていた。あの人とのセックスも。 でも、僕には満足できなかった。 そんなまるでセックス中毒みたいな毎日だったけど、学校の生活も普通にあるわけで、当然、テストもある。 前なら、テスト勉強とかそういう時に限ってあの何かが現れたけど、最近はほとんど現れなくなったおかげで、一時は落ちかけていた成績も元に戻ってきた。 そして、2年の期末試験の日がやってきた。 テスト開始から、20分くらいが経っていた。得意科目だったし、ヤマも当たってたということもあって、もうほとんど回答し終わって、あとは見直すだけって状態だった。 そんな時にあの何かがやってきた。 いきなり、奥まで突き上げられた。 「くっ」 完全に油断していたから、声が漏れてしまった。先生が僕の方を見る。僕は興奮を押さえて、問題を解いているフリをした。その間も、ずっと何かが僕のお尻を突き上げている。今までで一番激しいんじゃないかって勢いだった。 (んあ・・・) 声を出さないように我慢した。それはお尻を突き上げながら、僕の乳首をつねった。 乳首を引っ張り、先端をなでる。快感が、僕の意識にあふれる。 (あっ) ちんこを握られる。そして、皮を剥かれて亀頭を刺激される。 (ふあぁ) 足ががくがく震える。それを机に押しつけて耐える。 お尻の何かが引き抜かれた。 (うくっ) 次の瞬間、また奥まで一気に突き上げられる。 (ひあ!) 僕は手で机の端をつかんだ。そうしていないと体が持ち上げられそうな感じだった。 何度も何度も引き抜かれ、奥まで突き上げられる。 (き、気持ち・・・いい・・・) 目を閉じて、頭を垂れて僕はその気持ちよさを我慢していた。テストの最中の静まりかえった教室で、身悶えもできず、喘ぐこともできないまま、僕はひたすら我慢した。 その何かが僕のちんこを握った。 何かが起きる、そう予感した。僕の目の前に、僕の勃起したちんこがあった。それは、その何かに握られていた。もう一方の手が視界に入る。その手にはナイフが握られていた。 (ああ・・・やめて・・・) ナイフがゆっくりと僕のちんこに近づく。僕のちんこは皮が剥かれて亀頭が露出している。その亀頭にナイフが当てられる。 (い、いやっ) 僕の声は届かない。ナイフが僕の亀頭に食い込んだ。次の瞬間、僕の亀頭が縦に2つに切り開かれた。 (うがっ) 痛みを覚悟していた。痛いはずだった。痛いはずなのに・・・ ナイフはそのまま僕のちんこを縦に2つに切り裂いた。ちんこが左右に切り開かれた。 (ぐあぁぁ!) 痛いはずなのに・・・・・ 痛みはなかった。興奮と、快感だけが僕の体を満たしていた。 「うっ」 僕の体が小さく震えた。 「どうした?」 先生が僕のそばにたっていた。 「あ・・・な、なんでもないです」 僕は荒い息をしながら答えた。 「全部出来たのなら、もう1回見直しておきなさい」 先生はちらりと腕時計を見ると、教卓の方に戻った。そして、言った。 「残り10分だ。出来た者は提出して、教室を出てもいいぞ」 僕は解答用紙を教卓に置いて、教室を出た。 分かっていた。僕は射精していた。おそらくは大量に・・・ 久しぶりに現れた何か、それにちんこを切り裂かれた僕は、今までにない興奮と気持ちよさを感じた。そして、それは毎日現れて、毎日同じように僕のちんこを切り裂くようになった。 それが行われるとき、僕はそれを予感するようになった。たぶん、その何かがそう感じさせているんだろうけど。だから、僕は気分が悪いと言って医務室に行ったり、トイレに行ったり、休み時間だったら誰もいない屋上に行ったりして、その時に備えるようにした。 そして、それは始まる。 あのテストの最中のように、授業中にされるときもあった。あるいは、たくさんの人の視線を感じながらされることもあった。通学の電車の中でされることもあった。電車の中であの人に触られながら、それをされたこともある。そのときは、あの人の服に精液を飛ばしてしまった。何回やられても、それは強烈だった。お尻を突き上げられるときも気持ちよかったけど、ちんこを切り裂かれるときは更に興奮した。一度、カズとしている最中にそれが行われたときがあった。そのときはカズはそっちのけで自分でちんこをしごきながら、お尻の穴に指を突っ込みながら、その気持ちよさに狂ったように悶え、喘いだ。カズには単なるオナニーにしか見えてない。激しいオナニーをして、吠えるように喘ぐ僕は、徐々にカズから避けられるようになっていった。 誰とセックスしても、あの気持ちよさは得られなかった。 誰とセックスしても、あんなに激しい興奮はしなかった。 だから、リアルであれをされたら、きっと、もっと興奮して、もっと気持ちよくて・・・ いつからか、僕はそんなことを考えるようになっていった。 放課後、教室には誰も残っていなかった。 僕は自分の席に座っていた。遠くの方から、誰かが何か叫ぶ声が聞こえている。車の音、工事現場かなにかから金属がぶつかるような音、そんな音しか聞こえなかった。 机の上には、ナイフが置いてあった。僕はだいぶ前にこのナイフを手に入れた。何度か自分のちんこに当ててみたことはある。でも、それ以上は出来なかった。 でも、今日は・・・・・・・・・ 予感がした。僕は全裸になって、席に座ってその時を待った。 それはすぐにやってきた。 目の前に誰かがいた。僕の体を持ち上げると、お尻の穴を貫いた。僕のちんこが一気に勃起した。僕の一番気持ちがいいところを知っているその誰かは、そこをめがけて何度も何度も僕を貫いた。教室に僕のうめき声が響いた。でも、誰もいないから気にする必要はなかった。 誰かが僕の乳首を摘む。それだけで、体中に電気が流れるようだった。しばらく乳首を責められると、四つん這いにされて、お尻を更に激しく責め立てる。 「あ、い、いきそう」 すると、その誰かは動きを止めて、いかせてくれない。何度も何度もそうやって僕を責める。頭がおかしくなりそうだった。 「もっと・・・もっとして!」 僕は叫んでいた。そして、その誰かは更に太いもので激しく貫く。そして、それを僕の中に入れたまま、動きを止めた。その時がきた、と感じた。 僕は、その誰かに太いもので貫かれたまま、机の上のナイフを手にした。ちんこはぎんぎんに勃起していた。 「やるよ」 どきどきしていた。体中にぴりぴりと電気が走るような感じがしていた。手が震える。その手で、ナイフを僕のちんこの先端に当てた。 「やるよ」 僕はもう一度言った。そして、手に力を込めた。 ナイフがすっと僕のちんこに食い込んだ。 その瞬間、僕は大量に射精した。 と同時に、誰かが消えた。 「うぐぁ」 痛みが体中を襲った。でも、僕はうめき声を我慢した。 (また、すぐに気持ちよくなる) そう信じ続けた。ナイフを握る手に力を込めて、僕はちんこを根本まで切り裂いた。 精液が、ちんこの根本からどろっと吹き出した。 誰もいない放課後の教室で、僕は全裸で血まみれになって何回も射精した。 「なにぼんやりしてるの?」 オフィスの一室で、女性社員が傍らの男に声をかけた。 「ああ、ちょっと寝不足で」 「もう・・・しっかりしないとまた怒られるわよ」 男は立ち上がる。 「ちょっとコーヒーでも買ってくるよ」 そして、部屋を出て、自動販売機でブラックコーヒーを買う。それを持って、人気のない休憩室に入る。彼はソファに腰掛け、コーヒーをすすった。 「おもしろかったな。今回の奴は」 男はそうつぶやいた。 「また次のやつ、探さないとな」 男はコーヒーを飲み干すと、オフィスに戻っていった。 <PSI 完> |