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第九の嗜好



最近、裏SNSで友達の数が凄く伸びてる奴がいる。名前は「定食」。ふざけた名前だ。そして、そいつの投稿の最後には、必ず「A定食」か「B定食」って書いてある。つまり、「定食」ってアカウントは、「A定食」って奴と「B定食」って奴の二人でやってるアカウントだってことだ。いまのところ、C定食ってのは出てきてない。だから、二人だ。それって規約違反なんじゃないかって思う。けど、それはどうでもいい。そいつは、いや、そいつらは入れてる、入れられてる画像とか、夜、外で裸の画像を何枚も投稿していた。もちろん、どれをみても、誰なのかとか、どこなのかは分からないように加工してある。でも、この裏SNSにいるってことは、僕等の学校の生徒であることは間違いない。
(こいつら、身体を切り売りしてやがる)
僕はそう思った。はっきり言えば軽蔑している。健全な中学生がすることとは思えない。

なんて僕が言うセリフじゃない。もちろん、本当は僕だってそういう画像を投稿して、もっとみんなに見られたいと思ってる。だから、本当は軽蔑じゃなくて嫉妬だ。僕より友達の数は多いし、画像の投稿も多い。投稿を見ていると、この「A定食」と「B定食」は付き合ってるみたいだ。いつもこの二人のどちらかがもう一人を、あるいは、二人の画像を投稿している。
つまり、彼氏ってことだ。

僕はマッドオナニストだ。今まで、マッドオナニストとしての誇りを持って生きてきた。いや、そんな大げさなものじゃないけど、オナニーは最高だと思っている。
でも・・・「定食」の投稿を見ていると、なんだかくやしくなる。同じ嗜好の二人。入れたり入れられたり、二人で外で見られそうなところで全裸になってたり。オナニーこそ最高って思いは変わらないけど、同じような趣味の奴と一緒に出来て、そして、そいつと彼氏みたいな関係になったら、なんて想像してしまう。ひょっとしたら、そういう人とのセックスは最高のオナニーなんじゃないかとすら思えてくる。
僕だって、マッドオナニストとしての活動のためのスポンサーは何人かいる。その人達とセックスもしている。だけど、彼氏じゃない。あの投稿みたいに同じような性癖の彼氏がいて、そんな彼氏と気持ちのいいオナニーが出来たら、それは、ひょっとしたら僕が知ってるどんなオナニーよりも気持ちがいいのかもしれない。それって、つまりセックスなのかもしれない。でも、僕にはそれが確かめられない。何せ、僕は誰かを好きになったことはないのだから。
それって、僕は、マッドオナニストとしてまだ不完全だってことじゃないんだろうか。


自分の部屋の窓を開けて、ベランダに出る。ここはマンションの10階、結構広い範囲が見渡せる。そんな、ベランダから見える範囲にそこそこ広い公園がある。結構たくさん木があって、でも街灯もいくつかあって、夜になってもそれなりに明るい。僕の塾の帰り道だ。
(あんなところで撮ってるのかな)
「定食」が投稿した動画を思い出す。少し離れたところから、その「定食」のどっちかが全裸になっているのを写した動画だ。顔の所は上手く木の枝に隠れて見えない。でも、勃起したちんこはばっちり映っている。それを扱いている。やがて、そこで射精して動画は終わる。
(学校の周辺で大きい公園って、ここともう一ヶ所くらいだよな)
でも、この公園でそんなのを見掛けたことは一度もない。ベランダから公園を見下ろしながら思う。
(まぁ、いつも早足だし)
実は、僕はお化けが怖い。だから、夜の公園なんて本当は怖い。怖いからいつもまっすぐ前だけ見て早足で歩いてる。もっと人通りの多い、車も通る道もあるけど、それを通ると5分くらい余計に掛かる。だから、怖いけど、まあまあ灯りもあるこの公園の中を突っ切って帰っている。
そんな公園を見下ろしながら、僕の手は股間をズボンの上から撫でていた。そのままズボンを下ろす。ボクブリも下ろす。僕は昼間のベランダで下半身裸になる。でも、手すりの所々にある目隠しの板のせいで、そうそう外から見えるもんじゃない。その板に隠れるようにして僕はオナニーする。少しだけ、ちんこだけ外から見えるように出してみる。まあ、でもどこかから見られてたとしても、それなりに距離はあるわけだから、僕が何をしているのか、目隠しの板の端から何が見えているのかなんて、誰も分からないだろう。
そのまま射精する。精液はもちろん手で受け止める。それを顔の高さまで持ち上げて口の中に入れる。これは周りから丸見えだ。でも、僕が何を飲んでいるのかまでは誰にも分からないはずだ。
(「定食」みたいに、僕も見られながらしてみたいな)
そんな願望が、少しずつ僕の中で大きくなっていた。



塾の帰り道、少しどきどきしていた。
あれから何度も夜の公園を通っている。少し勇気を出してゆっくり歩いたりとか、いつもとは違う道を歩いてみた。足音が聞こえたり、人の声が聞こえたりしたこともあった。でも、それは本当に人がいたり、カップルがベンチに座って話をしていたからだった。お化けなんてどこにもいない。特に、公園の縁を回る道は、時々走ってる人がいて、意外と夜でも人がいるんだってことが分かった。そして、そういう人がいる所と、ほとんどいない所も分かった。
そして、今日、僕はそういうほとんど人がいないところでちんこを出して歩いて、オナニーしてみようと決めていた。

その場所には誰もいなかった。ちょっと広くなっている場所で、街灯が2つ。街灯の近くに一つずつベンチがある。取りあえずベンチに座った。周りに聞こえるんじゃないかと思うくらい、どきどきしている。そのどきどきが静まるのを待つ。そして、ズボンのチャックを下ろした。静かな公園に響き渡るかと思うくらい、その音が大きく聞こえる。僕は立ち上がる。街灯の光が届いているところから少し外に出る。
(出すぞ)
そう思ったその時、道に人影がいるのに気が付いた。僕は公園を散歩しているかのように振る舞う。人影は二人。一人は僕とそんなに変わらない背格好。もう一人は少し大きい。たぶん、二人とも男。
(二人・・・「定食」かも)
年齢も分からないから、それは単なる僕の願望だ。もっと近くで、出来れば顔を見たいと思う。でも、二人に近づくのもなんだか少し不自然だ。僕は二人が入ってきた小道を逆に歩いてその広くなっている場所から離れようとした。別の誰かとすれ違った。その人は間違いなく大人の男の人だった。その人は二人がいる所に近づいていく。僕は小道に立ち止まって、それとなく彼等を見つめた。二人は街灯の近くにいる。でも、顔は影になっていて見えない。帽子を被っていることに気が付いた。
(こんな夜なのに帽子って・・・ひょっとして、やっぱり・・・)
僕はその広くなっている場所の周囲を歩いてみた。彼等の顔が見えそうな場所。でも、そこだと近すぎる。少し離れたところの木の陰に身を潜めるようにして二人を見続けた。
二人のそばにあの男の人が近づいた。二人はそれに気が付いているようだ。二人が近づく。そして、身体が重なった。街灯の光が逆光になって何をしているのかがよく分からない。二人が少し離れて、またくっつく。
(キスしてる)
逆光の中で一瞬だったけど、間違いない、この二人はキスしてるんだ。二人の手が、二人の身体の間、股間の近くにある。そこで何をしているのかは分からない。そんな二人のすぐ近くにあの男の人が立った。
(やっぱ、タメくらい?)
小さい方はたぶん、僕と同じくらいの年齢のような気がする。大きい方も、さっきの大人に比べると小さい。こっちもひょっとしたらタメか少し上って可能性もありそうだ。
二人の影が少し離れた。大きい方がもう一人の小さい方の前にしゃがみ込んだ。何かをしている。そして、小さい方のズボンが下ろされた。
(うわっ マジか)
大きい方の頭が動く。小さい方の身体と大きい方の頭の間に、影が見える。
(ちんこだ)
二人に男の人が近づく。小さい方の頭を抱えるようにすると、頭と頭が近づく。キスをしている。大きい方はその前でフェラし続けている。小さい方の服がたくし上げられる。男が身体を曲げて、その身体に頭をくっつける。身体にキスをしているんだろう。ひょっとしたら、乳首を舐めたりしているのかもしれない。大きい方が立ち上がる。そして、上を脱いだ。一瞬、街灯にその身体が照らされる。そして、下も脱いだ。地面に脱いだ服らしい、黒い固まりが出来た。それを足で押しのける。股間の辺りに身体から影が突き出している。きっとちんこだ。勃起してるんだろう。小さい方がそれを握る。その前にしゃがみ込んで、そこに頭が近づく。今度は小さい方が大きい方のちんこをしゃぶってるんだろう。
僕は息をひそめてそれを見続けている。ちんこが痛いくらいに勃起している。それをズボンから取り出す。ゆっくりと扱き始める。
男が大きい方の後ろに回った。大きい方が少し腰を曲げる。お尻が後ろに突き出される。その腰の辺りに手を回し、男が腰を押し付けた。
「うぅ」
小さな声が聞こえた。何か話し声も。何を言っているのかは聞き取れない。でも、大人の声じゃなさそうだ。
その時、3人の向こうの茂みから別の人が現れた。その人はまっすぐに小さい方に近づいた。そして、小さい方を立ち上がらせると、さっきの男と同じようにその小さい方のお尻に腰を押し付ける。
「ああっ」
今度ははっきりと聞こえた。間違いない。僕と同じくらいの奴の声だ。二人の頭がくっついている。その二人の後ろに一人ずつ。4人とも動いている。キスしながら入れられてるんだ。こんな公園でやってるんだ。僕に見られてるって気付いてるんだろうか。他にも見てる人がいたりするんだろうか・・・

ふっと人の気配を感じた。誰かが僕のすぐ横にいた。
「ひっ」
一瞬お化けかと思った。でも、そんな訳はない。男の人だ。男の人が僕の横に立って、僕を見ている。動けない。その人が僕に手を伸ばす。その手が僕のちんこを握った。
「あ、あのっ」
僕は小さな声で囁き、僕のちんこを握る手を握りしめた。でも、その人は手を離さない。それどころか、僕のお尻をズボンの上からなで回す。誰か別の人が後ろから僕の腰に手を回す。あっという間にズボンを下ろされる。ボクブリもずり下げられる。いつの間にか、僕は男の人に取り囲まれていた。僕は、こんな家のすぐ近くの公園で、男の人に服を脱がされてちんこを扱かれて、それを見られている。
「あっ」
声が出た。誰かの手が僕のお尻をなで回す。何かがアナルに塗られる。ぬめっとしたもの
・・・ローションだ。誰かが僕のアナルにローションを塗ってるんだ。指がアナルに入ってくる。誰かが僕の身体を押さえている。あの二人のように、お尻を突き出す格好にされていた。
「あんっ」
喘ぎ声がする。その声の方を見る。いつのまにか、あの二人が広くなった所の真ん中の方の少し明るい所に移動していた。周りに何人もの影が見える。二人は明るいところで男の人達に身体を弄られ、そして、たぶん入れられているんだ。
(顔・・・顔、見たい)
でも、僕の身体も押さえられている。顔を上げると誰かが僕の前に立つ。そして、口にちんこを押し付けてくる。僕はそれを咥える。僕も木の陰から広くなっているところの端の方のベンチの裏まで動いていた。ベンチの背もたれに手を突いた。誰かがお尻に入っている。その奧を突かれている。
「んあっ」
僕も喘ぐ。二人の頭が一瞬、僕の方に向く。顔が見えた気がする。でも、どんな顔かまでは分からなかった。たぶん、あの二人も僕の顔を見ただろう。でも、やっぱり分からなかったんじゃないかと思う。そのまま、僕の身体が抱え上げられる。ベンチに座らされる。そこで全部服を剥ぎ取られる。足を持ち上げられてお尻に入れられる。別の人がベンチに上がって僕にちんこを突き付ける。僕はベンチの上で口とお尻を犯される。他にも見ている人がいる。あの二人も犯されながら僕を見ている。お互いがお互いを意識しながら相手を見て、見ながら犯されている。また誰かが僕の身体を抱える。二人に少しずつ近づいていく。もう、顔が分かる距離だ。でも、顔を見ている余裕がない。顔を上げればちんこが突き付けられる。お尻に入れられる。声が出る。喘ぐ。もう、他の人のことなんか気にならなくなる。あの二人がどんな奴なのかも、もうどうでもいい。僕は、公園で、いろんな人に見られながら、どんな人かも分からない人達に犯されているんだ。その事実だけで十分だ。今までのどんなオナニーよりも気持ちいい。誰かが僕の腕を引っ張る。全裸のまま、引っ張られるがままに、広くなっている所の真ん中に立つ。誰かに後ろから抱き付かれる。そのままアナルに入ってくる。何人目だろう・・・何本目だろう。すぐ目の前にあの二人がいた。彼等も同じように後ろから抱き付かれ、後ろから入れられている。別の男達に身体を弄られ、扱かれている。顔を伏せ、あるいは身体を仰け反らせている。僕も同じだ。3人とも同じように、見知らぬ男達に犯され、よがっている。誰かが僕の口を貪る。二人の内の一人、小さい方だ。すぐにもう一人もキスをしてくる。いや、3人で口を犯し合う。その二人、いつの間にか帽子は無くなっている。街灯の光が時には影を作り、時にはその顔を照らす。僕は彼等を知っていた。間違いなく知っていた。その二人も僕を知っている。でも、驚かなかった。当たり前のように僕等は一緒にマワされた。そして、お互いのちんこを扱き合った。

やがて、徐々に人が減っていった。もちろん、僕等3人は最後まで、入れてくれる人がいなくなるまでそこに居続けた。
最後は3人とも全裸でベンチに座っていた。何も話さなかった。何も話さないまま、それぞれの服を抱えて姿を消した。



「おはよ、委員長」
翌日の朝、学校で山中君が僕に挨拶する。
「おはよう」
もちろん僕も挨拶を返す。一緒に登校してきた高橋君にも同じように挨拶する。
彼等は普通に席に座り、僕もいつも通り、朝の挨拶のかけ声を掛けた。


その朝、家を出る前に、僕は裏SNSを確認していた。「定食」が新しい動画をアップしている。どこかの公園で、「A定食」と「B定食」に何人もの男が群がっている動画だ。暗くて顔は分からない。でも、していることはだいたい分かる。そして、二人の奧に、もう一つ人だかりがあった。顔は見えないが間違いなかった。僕がその中にいた。

お昼休み、僕は教室に残っていた。案の定、あの二人が近づいて来た。二人が何か言う前に、僕が先に二人に質問した。
「どっちがAでどっちがBなの?」
二人は一瞬顔を見合わせて、でも、笑顔になった。
「僕がA、啓人君がB」
高橋君が言った。つまり、小さい方がA定食で高橋君、大きい方がB定食で山中君ということだ。
「委員長は?」
僕は周りを見回した。近くには誰もいないし、僕等に注意を向けている奴も誰もいない。
「僕は・・・マッドオナニスト」
「ほら、雄ちゃん、俺の言った通りだろ!」
山中君が言った。
「やっぱ、委員長なんだね」
僕は二人に尋ねた。
「なんで・・・分かったの?」
「だって、ほら、ほくろ」
山中君が、僕の顔、鼻の少し下辺りを指差した。
「おんなじだし」
あの画像だ。あれで気が付いたのか・・・
「ね、友達申請してもいい?」
高橋君の問い掛けに僕は頷いた。
「委員長が僕等と同じ趣味だったって、ちょっと嬉しいな」
そう言って、高橋君は僕の股間に手を伸ばした。


その夜、「定食」から友達申請が届いていた。もちろん承認する。するとすぐにメッセージが来た。
「これからも楽しもう! よろしく。定食A&B」
二人が全裸で勃起させながら、顔をくっつけてピースしている画像が添付されていた。
「また、一緒に見られながらしようね MO」
僕はそう返信する。僕も全裸でイった直後の精液まみれの画像を添付した。

その後、裏SNSの中のコミュニティへの招待状が届いた。コミュニティの管理人が承認しないと入れないという、「裏倶楽部」というコミュニティだ。きっと、定食が招待してくれたんだろう。僕は入会ボタンをクリックした。

新たなオナニーの歴史が始まるような気がした。
窓を開けてベランダに出た。公園を見下ろす。街灯が点いているところ以外はただの黒い影の固まりにしか見えない。
(今日もあの中でしてるのかな)
次の塾の日は明後日だ。
僕は生まれて初めて、それまでオナニーを我慢することにした。マッドオナニストの、この僕が。

<第九の嗜好 晒 完>


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