fetishiSM

第十の嗜好


<後編>

「さて、今日、みんなはここに何を期待してきた?」
先生がみんなを見回した。
「もちろん、他のゲイの奴等と知り合って、交流を深めるってことだと思うけど、それ以外に何を期待している?」
みんな、何も言わない。たぶん、同じようなことを考えているのかもしれない。でも、少なくとも僕が思っていることは言えなかった。
「みんなで乱交とか考えてる?」
管理人が言った。
「そ、そんなこと・・・」
店長が答える。でも、何となく少し歯切れが悪い。
「誰が来るのか分からなかったけど、このメンバーなら」
委員長が口を開いた。
「やめとけ」
啓人が遮った。が、委員長はやめなかった。
「それもありだと思います」
「さすが、マッドオナニストだな」
先生が笑った。
「まあ、でもそれは無しだ」
僕はほっとする。そして、同時に少し残念にも思う。そっとみんなを見る。表情から何を考えているのかは分からない。でも、なんとなく、みんなも残念に思っているような気がする。
「お前、ちょっと興奮しすぎだな」
先生は委員長を軽くたしなめる。
「でも、みんな、そのつもりで来たんでしょ?」
委員長がみんなを見回す。そして、僕を見て言う。
「ねえ、定食もそうでしょ?」
(こんなヤバい奴だったっけ、委員長って)
何となく違和感を感じる。でも、委員長はあのマッドオナニストだ。これが本性なのかもしれない。
「じゃあ、お前、ここでみんなに見られながらオナニーするか?」
先生が言った。僕等はみんな、黙り込んだ。僕等は何かを期待していた。それが何なのかは分からないけど。



「先生・・・命令して下さい」
僕はあの、オナニーの時の妄想を思い出していた。
「先生の命令だったら・・・僕、します」
僕は立ち上がる。みんな、僕を見ている。今、僕はみんなの注目を浴びている。
「本気か?」
「はい」
僕は立ち上がる。もう勃起している。
「お前はMなんだな」
僕は先生を、先生だけを見つめる。
「先生・・・」
「分かった。じゃ、ここで、みんなに見られながらオナニーしろ」
僕は唾を飲み込んだ。
「はい、先生」
そして、ズボンとパンツを一緒にずり下げて、みんなの前で下半身を晒した。もちろん、勃起したペニスも。それに手を添える。
「上も脱げ。全裸だ」
「はい、先生」
僕は上半身も裸になる。そして、ソックスも脱ぎ捨てた。みんなの前で一糸まとわぬ全裸を晒している。それをみんなが、貫田君や高橋君、山中君、そして3年のあの人も見ている。管理人も見ている。見られながら、先生に命じられて僕は全裸でオナニーするんだ。身体の奥がじんじんしている。ペニスを握って扱き始める。僕だけ全裸だ。僕だけ勃起している。僕だけペニスを晒している。
「あぁ」
声が漏れてしまう。それが更に恥ずかしくなって気持ちいい。ペニスから先走りが出て、僕の手の動きに合わせてくちゅくちゅと音を立てる。みんなに、先生にこの音が聞こえている。
「さすがはマッドオナニストだな」
先生が言った。
「お前等はいいのか、オナニーしなくても」
A定食とB定食が顔を見合わせる。店長とLSもだ。
「しよ」
B定食の小さな声が聞こえた。
「でも」
A定食の小さな声。僕は先生を見る。先生が頷く。僕はB定食の前に立つ。B定食が立ち上がる。ズボンのベルトに手を掛けて、ズボンとボクブリを下ろす。勃起したペニスが目の前に現れた。僕はB定食の前に跪いて、それを口に含んだ。
A定食も立ち上がった。僕は片手をA定食の股間に這わせる。そこも勃起していた。頭の上で音がする。チラリと見上げると、A定食とB定食がキスを交わしていた。ディープキスだ。僕は立ち上がって一緒にキスしようとした。でも、A定食が僕の頭を押さえて跪かせる。そして、ズボンを下ろす。目の前にA定食とB定食のペニスが差し出される。僕はそれを交互に咥えた。
顔を上げると、店長がLSの股間に手を当てていた。LSが店長を見上げる。店長がLSにキスをする。そのまま抱きしめ合い、股間を擦りつけている。
「結局、こうなるんだな」
先生が言った。
「君等、みんな服を脱げば?」
管理人がそう言って、テーブルの上にカゴをいくつか置いた。僕は床に脱いだままになっていた自分の服を拾ってそのカゴに入れる。A定食とB定食は裸になって服をそのカゴに入れる。店長とLSは少し躊躇していたけど、店長が脱ぎ始めた。そして、裸になった店長がLSの服を脱がせている。やがて、僕等はみんな全裸になった。僕等の服が入ったカゴを管理人が抱えて別の部屋に持って行く。そして、何かを抱えて戻ってきた。
「さて、お楽しみの最中だけど、ちょっと中断してこれからゲームをする」
先生がみんなに言った。
「マッドオナニスト、ちょっとこっちに来い」
「はい」
僕は先生の前に行く。先生が、管理人が持って来た何かを手にした。それは穴が三つ空いた大きな板だった。先生と管理人は、その板の真ん中の穴に僕の首を通した。
「手を頭の横に上げるんだ」
その通りにすると、僕の首と両方の手が、板の穴に収まった。そして、その板の上に、首輪と手錠が一つになったようなものを付けられる。先生と管理人が僕の傍から離れる。木の板の重みが身体にかかる。それほど重いわけじゃない。そして、僕は手を動かせなくなっていた。
「次、LS」
LSが同じようにされる。それを不安げに店長が見つめている。
「次だ」
そうやって、僕等は全員、首の所に板を取り付けられて、手が動かせなくなった。
「さて。じゃ、自分の身体を見てみろ」
視線を下に落とす。でも、板が邪魔で身体が見えない。
「見えません」
店長が言った。
「そう、自分の身体は見えない。でも、自分以外なら見える。つまり、人が何されてるのかは分かるけど、自分が何をされているのかは分からないって訳だ」
そう言って、先生はB定食の乳首を軽く摘まんだ。
「見えないだろ?」
B定食は頷く。B定食の後ろに管理人が立った。そして、胸に手を回し、その乳首に洗濯ばさみを取り付けた。
「あっ痛」
B定食が少し前屈みになった。
「何されたか分かるか?」
「分からない、痛いです」
B定食が訴えた。管理人が洗濯ばさみを指で何度か弾いた。その度にB定食が顔を顰める。
「ほら」
先生が指差した。B定食のペニスが勃起しつつある。
「こうなってるってことは、こいつ以外はみんな分かるけど、本人には分からない」
先生が僕のお尻を軽く撫でる。
「お前、今、ペニスがどうなってるか分かるか?」
「勃起してます」
見えないけど間違いなく勃起しているだろう。先生の手が僕のペニスに触れた。その手が目の前に突き付けられる。
「勃起してるだけじゃなくて、先走り出まくってるぞ」
それを僕の唇に塗り付ける。
「さて。この中で処女はいるか?」
誰も何も答えない。手は頭の横で固定されているから手を上げることは出来ない。つまり、声に出して言うしか無い訳だ。もちろん、僕は処女じゃない。定食の二人もそうじゃないのは知っている。あとは、店長とLSだ。
「お、俺、処女です」
店長が言った。顔が真っ赤だ。そして、勃起している。声に出して言うことがどれだけ恥ずかしいかは僕にも分かる。
「他はみんな、入れられてるってことでいいんだな」
みんな、頷いた。
(貫田君も入れられたことあるんだ)
たぶん、店長に入れられたんだろうな、なんて考えていた。すると突然、管理人が店長の頭に黒い袋のようなものを被せた。店長が少し暴れる。先生が僕の横に来る。先生は僕の背中に手を回して店長の後ろに連れて行く。店長の後ろにいた管理人が指にローションを取り、その手を店長のお尻の方に回した。
「あっ」
たぶん、アナルにローションの付いた指を入れられてるんだろう。ペニスは萎えている。僕の身体が押される。僕の板が、店長の板に当たる。先生が僕のペニスを掴んで扱く。そして、ローションが塗り付けられた。
管理人が僕の横にLSを連れてきた。先生が僕のベニスを少し押し下げ、そして身体を店長に押し付けた。
「うぅ」
僕のペニスが店長の処女アナルに当たる。そのまま身体を押し付けられる。
「っつ」
僕のペニスが店長の中に入った。店長が声を上げる。
「ほら、処女喪失だ」
僕は身体を店長に押し付ける。それを僕の横でLSが見ている。自分の彼氏の処女が、他の男に奪われた瞬間を目の当たりにしていた。
誰かが僕の身体を引っ張った、先生だった。先生も全裸になっていた。そして、僕の代わりにそのペニスを店長に挿入した。
「痛っ」
店長は逃げようとする。が、先生は店長の身体に腕を回して離さない。そのまま腰を振る。
「うわ」
誰かが小さな声を出した。店長のペニスが勃起している。LSはそれを複雑な表情で見ている。やがて、先生は店長から離れた。みんなが店長を取り囲むようにして並ばされる。そして、店長の顔を覆っていた袋が外された。
「さて、問題だ。お前の処女を奪ったのは誰だ?」
店長は周りを見回した。
「正解すればそれでよし。外したら、こいつをみんなでマワす」
先生がLSの頭に手を乗せた。
「な、なんで、光樹が」
店長が思わずLSの名前を言った。
「なに、この中の、どのペニスに処女を奪われたのか当てればいいだけの話だ」
「先輩・・・」
LSが不安そうな声を出す。
「ほら、3つ数える間に答えないと不正解だ」
そして、カウントダウンが始まった。
「え、えっと・・・」
みんなを見回す。
「えっと、管理人」
店長は、この中でただ一人服を着ている管理人の名前を挙げた。
「残念だな」
先生がLSの後ろに回る。
「先輩・・・」
LSが泣きそうな声を出す。
「じゃ、俺からだ」
そして、先生はLSのアナルにペニスを突き入れた。しばらく腰を打ち付けた後、先生は僕に入れるように命じた。僕はLSのアナルに入れる。さっき店長に入れた時よりも簡単に入る。きっと、いつも店長に入れられて広がってるんだ。そのまま何度か腰を動かすと、今度は管理人に代わるように言われた。管理人も全裸になっていた。今度は管理人が入れる。そうやって、僕等は順番にLSのアナルに入れていった。店長に見られながら。
LSは泣き声のような呻き声を上げている。でも、そのペニスは勃起していた。本人以外はみんなそれに気が付いていた。店長ももちろん気が付いていた。そして、LSがマワされるのを見ている店長のペニスも勃起していたことには気が付いていなかったかもしれない。
「じゃ、最後にお前、やってやれ」
最後にLSに入れるよう命じられたのが店長だった。そして、LSに入れている店長のアナルに先生が挿入する。ぐちょぐちょという音が聞こえる。LSが喘ぎ、店長が呻いていた。



「雄ちゃん・・・」
啓人が僕の首の板に自分の板を軽く当てた。
「俺、勃起、してる?」
僕は啓人の股間を見た。勃起して、先走りが溢れている。
「うん。僕は?」
啓人が頷く。
「入れて」
啓人が背中を向けた。
「ローション、あそこ」
テーブルの上にローションが3つ置いてあった。そのうちの一つを手に取ろうとする。が、板のせいで掴むことができない。そんな僕に管理人が気が付いて、ローションを手に取った。
「どの穴だ?」
僕に尋ねる。僕は啓人の方を見る。
「よし」
管理人が啓人の穴にローションを塗り付けた。そして、僕のちんこを握ってその穴に導いてくれる。僕は啓人に挿入した。
「あぁ」
啓人が声を出す。腰を動かす。気持ち良くなる。こんなところで、こんな明るいところで、みんなのいるところで僕等はセックスをしている。お互い顔もはっきり分かる。声もはっきり聞こえる。そんなところでセックスしていることに興奮した。声が出る。腰を打ち付ける音が響く。先生が僕等に気が付いた。僕等の近くに来る。管理人と二人で、僕と啓人を引き剥がす。そして啓人には先生が、僕には管理人が入ってきた。
「はあっ」
僕等二人はお互い他の人に掘られるのに慣れているし、興奮する。僕と啓人は向かい合わせになって掘られている。啓人のちんこが勃起し、先走りが垂れているのが見える。僕のは見えないけど、きっと同じようになってるだろう。すると、委員長が啓人の前にしゃがみ込んでちんこを舐め始めた。僕は委員長を立たせて、その穴に差し込んだ。委員長が大きな声を出す。そのまま上半身を倒して再び啓人のちんこを舐める。視界の隅で、店長とLSがソファに座って抱き合っている。二人でキスをしようとしている。でも、板が邪魔になってキス出来そうにない。僕は委員長の身体を反転させた。啓人が委員長に入れたのを見届けて、僕に入れていた管理人から離れた。ソファに近づいて、二人の前にしゃがみ込む。店長のちんこを舐める。左手がLSの太ももに触れた。店長のちんこが勃起する。僕は立ち上がり、店長の勃起したちんこの上に座り込んだ。店長が僕の中に入ってくる。そんな僕の上にLSが座る。LSの穴に僕のちんこが入る。僕は店長に入れられながら、LSに入れている。付き合ってる二人の間で僕は挟まれ、気持ち良くなっている。
LSが首をひねって僕を見る。僕は首をできるだけ伸ばしてLSにキスをしようとした。が、やっぱり板が邪魔で届かない。舌を伸ばしてみる。LSも伸ばす。でも、届かない。
「キス、できない」
LSが小さな声で呟くのが聞こえた。それがなんだかそそる。店長が後ろから僕の首の板を指でつまんで、LSの板の下に潜り込ませた。さっきよりは少し顔の距離が近づく。でも、まだ遠い。まだキスは出来ない。と、僕等の顔の間にちんこが突き出された。横目で見ると管理人のちんこだった。
「二人で舐めてくれよ」
そのちんこは誰かを掘ったばかりらしく、ヌメヌメと光り、そして匂いがしている。
「ほら、早くしろ」
LSが舌を伸ばした。僕も同じようにする。二人の舌先で、管理人のちんこを舐めていく。
「くすぐったいなぁ」
管理人がLSの前に立つ。そして、その口にちんこを押し込んだ。LSは顔を少し上に向けてそのちんこを咥えている。そのまま、管理人はちんこを奥まで差し込む。人の喉にこんなにちんこが入るんだ、なんて思うくらいに奥まで入っている。
「お前、喉まで突っ込まれるの、慣れてるんだな」
管理人が笑った。
少し顔を横に向けると、啓人が委員長と二人並んで先生に掘られていた。先生は、啓人を掘って、委員長を掘って、というのを繰り返している。掘られている啓人は気持ち良さそうな顔をしている。もう、本名と、学校での仇名と、そしてSNSでの名前をごちゃごちゃに呼び合っていた。でも、そんなことはどうでも良かった。僕等はもう誰が誰と付き合ってて、なんてことは一切忘れて誰彼構わずお尻に入れ、入れられ、咥え合った。自分のちんこは見えなかったけど、勃起し続けているのは感じる。先走りが垂れ続けているのも感じる。射精した後、精液が垂れているのも感じる。みんなそうだ。床がぬるついているのはローションだけじゃない。先走りと精液、そして涎も混じっている。そういうものに塗れながら、僕等は誰彼構わず交わり合った。
そういうことの最中に、僕等は順番に先生に毛を剃られていた。最初に剃られたのはたぶん僕だ。でも、その時は見えないし気付きもしなかった。先生が店長のを剃っているのを見て、初めて自分も剃られていたんだと気が付いた。それからは先生の動きに注意していたから、みんなが陰毛を剃られたのが分かった。もっとも、LSはまだあんまり生えていなかったから、見た目は大して変わらなかったけど。



「さて、そろそろ」
先生が手を叩きながら大きな声で言った。みんな、乱交の最中だったけど、動きを止めて顔を上げた。
「最後のゲームをしよう」
先生がそう言うと、管理人が僕等を横一列に並ばせた。そのまま、跪いて上半身を前に伏せる。板の、顔の前の部分を床に付ける。お尻を上げて、四つん這いのような姿勢になる。
「みんな、もっとケツ上げろ」
先生に言われて、僕は背中が痛くなるくらいお尻を上げた。すると、お尻に手を添えられ、少し下ろされる。
「よし、そのまま動くなよ」
みんな同じ姿勢でいる。穴に何かが塗られた。後ろは見えないけど、その冷たいヌルっとした感触、ローションだ。僕はその次に入ってくるものを予想して少し身体を硬くする。それが穴に入ってきた。誰かのちんこだ。
「うっ」
誰かが声を上げる。そのちんこが奧に入ってくる。
「今入ってるのはディルドだ。みんな、同じディルドをケツに入れられてる」
想像した。5人全員が素っ裸で、四つん這いのような姿勢。お尻が5つ並んでいる。そのお尻に同じディルドが入っている。
(ちょっと見てみたいな)
そう思う余裕がまだあった。
「次、もっと太いの」
お尻からディルドが抜かれた。ほっとしたのもつかの間、またディルドが入ってくる。さっきより穴が広げられる感触。
「いっつ」
誰かの声。たぶん、店長だ。他にも少し呻き声のようなものが聞こえる。左を見てみる。啓人が僕を見ていた。僕は少し頷いて見せる。そして右を見る。僕の右隣が委員長。その向こうが店長だ。案の定、店長が辛そうな顔をしている。一番向こうのLSの顔は、隠れていて見えなかった。
「これ以上は無理だと思ったらギブアップしろ」
先生の声がする。でも、きっとギブアップしたら、罰ゲームとかいうことになるんだろう。耐えられるところまで耐える方がいい。僕は顔を伏せて目を閉じた。
「よおし、次だ」
またディルドが抜かれる。自分の穴が広がっているのが分かる。
「お前ら全員、ぽっかり開いてるぞ」
管理人の声。そんな光景を想像する。すぐに次のディルドが入ってきた。
「うぐっ」
今度のは更に太い。さっきのと比べても少し太い処じゃない。みんな、何かしら声を出している。
「いぃぃ」
誰かが呻く。店長だろう。
「無理するなよ」
先生の声。
「次」
また抜かれて、次のディルドが入ってくる。
「も、もう、無理です」
店長がギブアップした。続いて、LSも。委員長と僕等は残っている。
「じゃ、次だ」
それが押し付けられた。穴が押し広げられ、こじ開けられていく。
「うがぁ」
三人そろって声を上げた。そのディルドが引き抜かれ、またすぐに入ってくる。ぐぼっという音。ずりずりと入ってくる感触。それが更に奧に入ってくる。
「さ、裂ける!」
思わず叫んだ。それはどんどん奧に入ってくる。
「ギブアップしろ」
啓人の声だ。僕は目を開いた。啓人が僕を見ていた。
「あがぁ」
鋭い痛みが走った。たぶん、裂けたんだろう。
「ギ、ギブアップ!!」
そう叫ぶと、そのディルドがずるっと抜かれる。
「出血しちゃったな」
管理人の声だ。僕は荒い息をしながら、啓人に言う。
「ご、ごめん」
啓人は僕を見て頷く。
「じゃ、最後」
啓人の顔がこわばった。そして、僕の右隣で委員長が大きな声で叫んだ。
「ぎぁぁ、無理っ」
そして悲鳴。啓人も呻く。しかし、啓人はギブアップはしなかった。
「お前の勝ちだな」
そして、勝者の啓人以外は身体を起こすことを許された。

啓人のお尻には、管理人の腕が入っていた。

そのまま、僕等みんなの目の前で、啓人は先生と管理人の腕で犯された。ぐぼっぐぼっという音に合わせて、啓人の穴が広がり、腕を飲み込んでいく。啓人は眉間に皺を寄せてそれに耐えている。その様子は僕等が想像していたセックスとは全く違うものだった。
「やめて」
僕は呟いていた。
「やめて」
でも、先生も管理人もやめなかった。
「啓人、壊れちゃう・・・・・やめてよ!!!」
僕は大声で叫んでいた。啓人が僕の方を見た。その目を見て、僕は息を飲んだ。
「壊れる? もう壊れてるよ」
先生が腕を引き抜き、啓人の身体を抱き起こした。啓人は首を曲げて先生にキスをねだった。先生はそれに応じる。身体を押し倒し、また腕を突っ込む。
「あぁ・・・」
啓人の声がした。啓人の目は気持ち良さそうだった。啓人のちんこはずっと勃起していた。



帰りは駅まで先生と管理人が車で送ってくれた。店長とLSと啓人が管理人の車に、そして僕と委員長が先生の車に乗った。僕等はほとんど話をしなかった。あの啓人の、先生の腕を入れられている時の目が頭から離れなかった。家に着くまで、僕は黙ったままだった。啓人を待たずに一人で帰って来ていたことにすら、僕は気が付いていなかった。

それからは、僕等の関係は一変した。
委員長とは挨拶はする。でも、それだけだ。
店長、武井さんと貫田は、一緒にいる所を見掛けなくなった。
そして、啓人とは会わなくなった。いや、あれから一度だけ会ってセックスしようとしたことはある。でも、啓人は僕が入れても感じなくなっていた。先生の腕に犯されたことで、全てが変わってしまったらしい。
(あのオフ会に行ったから、全てが変わってしまったんだ)
僕は心の中で呟いた。啓人のお尻に入れていても、それはオナニーと何も変わらなかった。
それ以来、僕等は話をしなくなった。顔も合わさなくなった。僕等の関係は終わってしまった。



あの裏SNSは退会した。だから、その後のことは詳しくは知らない。
ただ、確かなのは、あれからしばらくして、本条先生が学校に来なくなったってことだ。休職したらしい。そしてその後、委員長も学校を休みがちになった。今ではもう、全く学校に来ていない。
僕は相変わらず、一人で夜の公園で男にマワされていた。そして、警察に補導された。

あとは噂だ。本当かどうかは知らない。あの裏SNSは無くなったらしい。
そして、本条先生が警察に捕まった・・・という噂も聞いた。
誰も僕には本当のことは教えてくれなかった。

<第十の嗜好 媾 完>


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