のど飴
「のどいて〜」 少年は男に言った。というよりは、ほとんど独り言のようだった。 「なんだ、風邪でもひいたか?」 「歌いすぎ〜」 つい先ほどまで、男と少年は一緒にカラオケに行っていた。しかし、歌ったのはほとんど少年の方だった。 「お前、一人で歌ってたもんな」 男はソファから立ち上がった。 二人は、今日出会ったばかりだった。少年が軽い気持ちで書き込んだ掲示板を見て、男がメッセージを送った。 「とりあえず、食事でも?」 そして、二人は出会い、食事を共にしたあと、カラオケに行ったのだった。もちろん、男はそれで終わらせるつもりはなかった。男は言葉巧みに少年を自分の住むマンションの一室に連れ込んだ。 「のど飴、舐めるか?」 男の声が少しうわずっていた。しかし、少年はそんなことには気がつかない。 「ちょうだい」 男は部屋の隅に向かう。そこには男の手作りの特製のど飴が置いてあった。 男は平静を装いながら、そののど飴を少年に手渡した。少年は、なんの躊躇もなく、その飴を口に放り込む。と、少し顔がゆがんだ。 「にげぇ」 「のど飴だから、少しは苦いかもな」 しかし、少年は飴を舐め続けた。 「まじ苦い・・・もっとましな飴ないの?」 「我慢しろよ、ったく」 そして、男はソファに戻り、少年の横に座った。 「なんか・・・どきどきしてきた」 少年は、口の中で小さくなっていたのど飴をかみ砕いていた。 「ほんとに風邪だったりして。熱でもあるとか?」 男が少年の額に手を当てる。その瞬間、少年の体がぴくりと反応する。 「どうした?」 「なんか・・・変」 「だろうな」 男が意味ありげに言う。 「なに、やっぱへんな飴舐めさせたの?」 「まぁ・・・な」 男はにやっと笑おうとした。が、引きつった笑い顔を作るのが精一杯だった。 (まさか、この飴にドラッグが混ぜてあるなんて、思いもしないだろうな) 「なんだよ、なにしやがったんだよ」 少年はのど飴を吐き出そうとした。が、それはすでに口の中で溶け、あるいはかみ砕かれて、少年の胃の中に収まっていた。 (少し・・・虐めてやるか) 不安そうな少年の顔を見て、男の加虐癖が首をもたげた。 「あの飴な・・・毒が塗ってあるんだよ。心臓、どきどきしてるだろ?」 「な・・・毒?・・・冗談」 少年の顔が一瞬ひきつった。無理に笑おうとしたその顔には不安が広がっていた。 「心臓の動悸が激しくなって、そのうち苦しくなってくる。そのとき、冗談じゃなかったってわかるさ」 「な・・・なんでそんなこと!」 心臓の鼓動とともに、少年の顔が赤く染まる。それは飴に混ぜられていたドラッグのせいだった。しかし、今、少年はそれを毒だと思い込んでいる。 「や、やだよ、助けてよ!」 「助かりたいのか?」 「決まってんだろ!」 少年が男につかみかかろうとする。しかし、男はそんな少年の腕をつかみ、Tシャツの上から背中を指でなぞった。 「ふあ・・・」 「ほら、体も熱くなってきたろ? 薬が全身に回ってきた証拠だよ」 (ドラッグ、効いてきてるな) 男は心の中で笑った。 「解毒方法、教えててやろうか?」 少年は頭を上下に振った。 「教えてください、だろ?」 「お、教えて・・・ください」 少年は素直にそう言う。 「土下座は?」 「なんでそんなこと・・・」 少年は反発する。男は立ち上がり、少年の前に仁王立ちする。そんな男の意図を感じたのか、少年はのろのろと体を動かし、男の足下にうずくまり、そして土下座した。 「お、教えてください」 男はしゃがみ込み、その頭を押さえつけた。 「でもお前・・・さっきみたいに暴れるからなぁ」 「さっきのことは謝ります。だから・・・」 「ふん・・・」 男は立ち上がり、部屋の引き出しから手錠を取り出す。 「これ、付けろ。暴れないようにな」 手錠を差し出された少年は、それを素直に受け取った。しかし、それをはめることには抵抗がある様子だった。 「早くしないと間に合わなくなるぞ。さっきより心臓、苦しいだろ?」 少年はあわてて自分で自分の腕に手錠をはめようとする。しかし、焦りからか、なかなか上手く出来ないようだった。 「ったく・・・向こうむけ」 男は、少年の腕を背中で交差させ、手錠をはめた。そして、もったい付けるように部屋の中をゆっくりと歩き回った。少年が待ちきれずに口を開こうとしたとき、ようやく男がゆっくりと言った。 「その毒、セリンプロテアーゼで分解される」 「セリ・・・なんだよ、それ」 聞いたこともない名前、少年には理解できるはずもなかった。 「セリンプロテアーゼ。タンパク質分解酵素だよ」 「なんでも良いから、早くそれをくれよ!」 少年にとって、それが何であるかは関係なかった。とにかく、毒をなんとかすることが先決だった。 「ここにはない」 「ど、どこにあるんだよ!」 思わず少年は叫んだ。しかし、その目は少しうつろになっていた。 (だいぶ回ってきたかな) 男はその状況を楽しんでいた。この少年の全身にドラッグが回り、そして、全身が性感帯になる・・・そんなことを想像していた。 「正確には、今はない、というか・・・」 「ど、どうすりゃいいんだよ・・・」 少年の声が震えていた。 「セリンプロテアーゼは、前立腺液に含まれてる」 「なに・・・それ」 「ま、ごく簡単に言えば・・・精液だよ」 「せ、精液って・・・・」 「知らないのか? オナニーすりゃ出るだろ、あれだよ」 「そんなこと、知ってる・・・あれ・・・どうすれば・・・」 「飲むんだよ、精液を。そうすりゃ、解毒される」 「そんなの・・・」 少年の声がだんだん小さくなっていく。 「死ぬか?」 少年が少し黙った。精液を飲む、というこの少年にとっては異常なことと、自分の命が尽きかけているというこの状況を天秤にかけているのだろう。 やがて、少年が言った。 「どうやって飲めばいいのか教えてください」 少年が男に頭を下げた。男に言われる前に、男の足下に土下座した。 フローリングの床の上に、少年が全裸で横たわっていた。少年は体を丸めて、自分のペニスに顔を近づけようとしていた。さっきから口を開き、舌を伸ばして試みているが、もう少しでペニスの先に舌が届くかどうかというのが精一杯だった。 「フェラって知ってるだろ? 自分のをフェラして、精液を口の中に出して、飲めばいいんだよ」 男は少年にそう教えていた。 「俺の精液よりは、自分の精液の方がいいだろ?」 少年は手錠を外してくれるよう男に嘆願し、それを何度も断られると、ようやくその言葉に従い、自分のペニスを自分で舐めようとした。しかし、何回やってみても、先端を伸ばした舌で舐めることも難しそうだった。 「手伝ってやろうか」 男は少年の体を壁際に押しやった。背中を壁に押しつけて倒立するような姿勢にし、足を折り曲げさせた。膝の裏を押さえて、ペニスが口に近づくようにしてやる。少年は苦しそうに、しかし、それでも口を開き、舌を伸ばした。舌の先端が、少年自身のペニスに触れた。一瞬、体に力が入る。男はさらに力を込め、少年の体を折り曲げた。 「うぐ・・・」 舌が少年のペニスにからみつく。もう少しでペニスに口が届きそうだった。男はさらに力を込めた。 「ぐあっ」 少年のペニスの先端が口に届く。苦痛に顔を歪めながらも、少年は必死にそれを口に含んだ。 「ケツの穴、丸見えだな」 男は少年の体を押さえながら笑う。少年はそんなことはお構いなしに、ペニスを舐め続けていた。 「ちょっと待ってろ」 男が少年の体から手を離した。ペニスが口から離れる。 「待って。押さえてよ」 少年が男に懇願した。男はその声を背中に受けながら、部屋の隅に向かう。引き出しからローションと、そして小さな注射器のようなものを取り出した。ローションは少年に見えるように、そして注射器は手の中に隠して少年の方に戻る。 「ほら、しっかりくわえろ」 男は再び少年の体を押さえる。少年はペニスを舐め始めた。 「手伝ってやるよ」 男は片手を離し、ローションの瓶の蓋を開き、中身を少年のアナルに垂らした。 「んっ」 少年が小さな声を上げる。男はかまわずに、そのアナルに指をつっこんだ。 「うっ」 アナルがぎゅっと締まる。 「力抜け」 男が言う。少年はその言葉に従う。 「目を閉じて、ペニスとアナルに意識を集中させろ」 少年は素直に従う。 男は隠し持っていた注射器を少年のアナルに差し込んだ。その中身を少年の体の中に流し込む。そして、ゆっくりと注射器を引き抜き、部屋の隅に放り投げた。 そのまま少年のアナルに指を入れる。ゆっくりと根本まで押し込み、くねくねと中で動かした。 「ううっ」 先ほどと同じような声だった。しかし、微妙に違っていた。男はいったん指を抜くと、今度は2本そろえて押し込んだ。 「うぐっ」 少年のアナルはそれをほとんど抵抗なく受け入れた。体がほんのりと赤く、熱を持ってきている。 「あ・・・」 男は指を小刻みに動かした。 「あああ・・・」 男の動きに合わせて、少年が声を上げる。男は少年のアナルの奥の方をさするように刺激した。 「はあ・・・」 少年はもうペニスをくわえてはいなかった。時折、思い出したようにくわえようとするが、男が指を奥まで入れると、顔をのけぞらせた。 男は指を激しく動かす。少年のあえぎ声の間隔が短くなる。 「あ・・・い、いく」 その瞬間、少年は口を大きく開けた。男は少年のペニスに手を添え、その口に向けた。少年のペニスから、小刻みに精液が吹き出した。それは少年の口の中に吸い込まれていった。 少年が自分の精液を飲んでから、しばらく時間が過ぎていた。少年はフローリングに横たわり、目を閉じたままだった。 「どうだ?」 男が声をかけた。 「どきどきが治まらない・・・なんで?」 少年の声が震えていた。男の方を向いた少年の顔は、今にも泣き出しそうだった。 「お前の量じゃ足らなかったのかもな」 男が言う。少年は起きあがり、男の足下ににじり寄った。 「あ、あなたの精液下さい」 少年は、男の足下に頭をすりつけた。 「俺の精液、飲みたいのか?」 「はい!」 少年は男の足下から男を見上げ、懇願した。 「お願いします、飲ませて下さい」 (いい光景だ) 男は身震いした。 (こんな少年が、精液を飲ませてくれと懇願している・・・) 男はズボンのベルトをゆるめ、履いていたボクサーブリーフを下ろした。待ちきれないといった様子で少年が男のペニスに吸い付いた。手錠で両手を背中に固定されたまま、少年は膝立ちになり、男のペニスをくわえ、必死で頭を動かしていた。 ぬぶっぬぶっという音が少年の口から漏れていた。 (シチュエーションは最高なのにな) 少年から精液を飲ませて欲しいと懇願され、自ら股間にむしゃぶりついてくる、そんな状態ではあっても、この少年の不慣れなフェラチオでは、男はなかなかイけそうもなかった。 しばらく少年のフェラチオに体を任せていた男であったが、ふと気が付くと少年が涙を流していた。男は少年の頭を押さえ、フェラチオをやめさせた。 「どうした? なんで泣いてる?」 少年が涙声で答える。 「おしりが・・・変・・・毒・・・回ってる・・・」 男は笑いそうになった。さっきアナルに仕込んだドラッグが効いてきているようだ。 「そうか・・・毒が全身に回ってきてるんだな」 男はなるべく冷たい声を出そうと努力した。成功はしていなかったが、それでも少年は嗚咽を漏らした。 「死にたくない・・・」 少年がまた顔を上げ、男のペニスに近づけた。が、男はそれを制止した。 「飲むよりももっと直接的に精液を体に取り込む方法がある」 「どうするの?」 少年が顔を上げた。少し、目が輝いていた。 「お前のアナルに精液を流し込むんだよ。そうすれば精液は腸から吸収されるから、飲むよりも早く効く」 「それ、して!」 少年は男に背中を向け、頭を下げてお尻を突きだした。 「早く、お尻に入れて」 男は少年の背中でにやっと笑った。そして、男は少年のアナルと自らのペニスにローションを塗りつけた。 「痛いけど、我慢しろよ」 少年の返事を待たずに、男は少年のアナルにペニスを奥まで差し込んだ。 男は時間をかけて、少年のアナルを楽しんだ。少年のアナルに仕込んだドラッグが効いているため、少年もさほど痛がらなかった。むしろ、あえぎ声を上げ、自ら腰を男に押しつけた。奥まで入れ、引き抜き、そしてまた一気に突っ込む。少年のペニスも勃起し、ぴくぴくと震えていた。男はじっくりと少年の体をむさぼり、楽しんだ。 「お前の中に出すぞ」 男にその時が迫っていた。 「お願いします。出して下さい」 少年が頭をひねり、男の方を見る。男はそんな少年の腰を抱え、お尻に自らの腰を思いきり打ち付ける。男のペニスが少年の奥まで進入する。少年はそんな男を受け入れる。 と、少年のアナルが男のペニスをぎゅっと締め付けた。 「うお!」 男が思わず声を上げた。少年は、アナルの刺激だけで射精していた。そして、男も少年の奥深くにたっぷりと射精した。 (あれから、もう3時間くらいかな) 男は少年のアナルからペニスを引き抜きながら、ちらりと時計を見た。少年は、床に飛び散っている自らの精液を丹念に舐め取っていた。 「ほら、しゃぶれよ」 少年のアナルから引き抜いた直後のペニスを、少年の顔に突きつけた。少年は口を開き、それに吸い付いた。男がやめさせるまで、少年はそれを吸い続けた。 全裸のまま、少年は横たわっていた。手錠はすでにはずしてある。男はそんな少年を携帯で撮影する。少年はそのシャッター音に気が付いていないのか、微動だにしない。 「どうだ?」 男が声をかけた。 「少し治まった・・・効いてるみたい」 (こいつは、まだあれが毒で、精液を飲んだことで解毒されたと信じてるんだな) 男はおおっぴらに笑った。少年が頭を上げ、男を見た。 「死にかけたのに・・・なんで笑うんだよ」 少年が怒りの声を上げる。 「ああ、すまない。お前がすっかり信じ込んでるから、おかしくてな」 少年が首を傾げる。 「お前、本当に素直なやつだな」 そして、男は少年に真実を告げた。 その後、少年はひどく怒った。しかし、もう一度男に抱かれた。今度は、死から逃れるために必死に、ではなく、ドラッグによる快感を全身で受け止めるために。 少年は、その後も何度も男の元を訪れた。その度にあののど飴を欲しがった。 <のど飴 完> |