最高のプレゼント Act3
- St.Valentine's Day -
「弘・・・はい、これ」 「なにこれ?」 「なにって・・・わからんか?」 「わからん。なんや、これ」 「ほんま、弘はこういうの、ニブいなぁ・・・」 「悪かったな、ニブぅて。せやからなんやねん」 「せやからぁ・・・今日は何日?」 「今日? 今日は2月の・・・何日やったっけ?」 「2月の9日」 「そやったか」 「そやから・・・この時期っていうとなんかあるやろ?」 「この時期って・・・お前の誕生日やったか?」 「なんで自分の誕生日に人にプレゼントせなあかんねん」 「俺の誕生日、まだ先やで?」 「誰が誕生日や言うたんや?」 「おまえ、さっき誕生日やって言うたやん」 「あほ、誕生日ちゃう言うたんや」 「ほな、なんや?」 「せやからなぁ・・・わかっててボケてんのか?」 「なんのこっちゃねん、怒るで」 「こっちが怒るわ。そやから、あと何日かしたら・・・」 「なにかあんのか?」 「ほんま、無理とボケてへん?」 「せやからなんやねん」 「ほんまにもう・・・2月14日っちゅうたらなんの日や?」 「バレンタインやん」 「わかってるやんか」 「せやけど、バレンタインは女が男にチョコあげる日やん」 「せや」 「お前、女やったんか?」 「あほ、なに言うてんねん」 「やろ?」 「せやから・・・好きな人にチョコあげる日や」 「男が男に渡してもええんか?」 「細かいこと気にすな!」 「こんなもん、いちいちもらわんでもわかってるやん、俺ら愛し合ってんねんし」 「悪かったな、こんなもんで。せやけど、一応イベントやし」 「ほんなら、まぁ、貰っといたるわ」 「いらんのやったら返して」 「誰もいらん言うてないやん」 「ほな、素直にもらわんかい!」 「開けてええか?」 「一応、14日までそのまま・・・って、なに言うてる端からあけてんねん」 「カプ・・・・ふはいは、ほへ」 「なにいきなり食うてんねん」 「ほやへほ、へっはふやひ」 「せっかくや言うんやったら、素直にもらえよな」 「なぁ、ちょっと・・・」 「なんや?」 「せやから、ちょっと」 「なんやウグ・・・な、なにすんねん」 「ほはえひ」 「お、お返しって、ぐ、うぐ・・・ぐ、ぐぐうぐ・・・うが・・・ぷは」 「どや、うまいやろ」 「なにすんねん!」 「お返しや」 「お返しって・・・口移しでチョコ押し込まれたら気色わるいわ」 「せやけど、しっかり食ってるやん」 「飲み込んでしもた」 「俺からのバレンタインのチョコや」 「僕があげたやつやろが」 「口移しでっちゅうとこに愛がこもってんのや」 「口ん中で柔らこぉなったチョコ、口移しで食わさせられる身にもなってみぃ」 「なら、返せ」 「もう食った」 「なら、文句言うな」 「ほんま、チョコの口移しなんて、生まれて初めてやわ」 「初体験やぁ」 「なに言うてんねん」 「いや、俺と大ちゃん初体験したねんなって」 「意味がちゃうわ」 「意味って・・・なに想像してるんや?」 「弘の好きなことや」 「へぇ・・・おまえ、けっこうHやったんやな」 「あほ、なに考えてんねん」 「大ちゃんとおんなじこと」 「あほぉ」 「せやから、初体験」 「ほんまにもう・・・チョコあげたん、失敗やったかな」 「ほんなら・・・今度は俺があげる」 「また口移しするつもりやろ・・・」 「と〜ぜん」 「ええ加減にせぇ」 「ほな、いらんか?」 「・・・・・・・・・・・ちょうだい」 「楽しみにしとり」 「うん」 「おおきに、おいしかった」 「うん」 「帰ろか」 「うん」 「大ちゃん・・・好きやで」 「うん、わかっとる」 「おおきに」 「うん・・・僕も、弘のこと・・・」 「わかっとるって。ほな、帰ろ」 「うん・・・」 <完> |