噂の二人
「ねぇ」塾の帰り、孝幸が声をかけてきた。 「なに?」僕は立ち止まって孝幸の方を振り返った。孝幸は、同じ塾に通ってるし、家の方向も同じなんだけど、ちょっとのところで校区が違うから学校は違う。でも、小さいころからよく知ってるし、なんだかんだいって、一番仲のいい友達の一人、ってことになるのかなぁ。 「ちょっと、その」なんか、言いにくそうにしてる。孝幸がこういう態度のときは、たいていあんまり良いことじゃない。あるいは・・・ 「その・・・見せて」夜の人通りがほとんどない静かな道でも、孝幸の声はほとんど聞き取れなかった。僕は聞き返した。 「え、なに?」 「見せてほしいんだよ、その・・・」はっきりしない孝幸の態度に少しいらつく。あんまりこういうことってないんだけど、孝幸がこんなにもじもじしながら見せて欲しいと思ってるものって・・・ 「今日のテストの点?」あとから思えばぜんぜんとんちんかんな答え。 「そんなの・・・知ってるし」孝幸とは、テストが終わったらいつも何点だったか教えあっている。だいたい、良い勝負。どっちかというと、僕は全般的にそれなりの点数、孝幸は苦手なのもあるけど、得意科目はほぼ満点にちかいってことで、合計すると、せいぜい5点差。10点差がついたらかなり悔しい思いをする。 「じゃ、なに?」 「ちょっと、こっち来てよ」そして孝幸は、僕のリュックをつかんで引っ張る。神社の裏手の、木が生い茂ってて、明かりがなくて、普段は夜はあんまり近づきたくないところに。 「なんだよ」僕は孝幸に引っ張られるままついて行く。これがほかの奴だったらすんなりついて行ったりしないだろうけど。 僕等は、少し道をはずれて木の下に向き合って立っていた。 「その・・・」また孝幸のもじもじが始まる。 「なんだよ、はっきり言えよ。お前らしくもない」けっこうすぱっとした性格で、頼りになって女の子にももてるほうの孝幸のこんな姿、ほかの奴ら見たことないだろうな、なんて考える。たぶん、こんな孝幸知ってるの、僕だけ。前にこんな孝幸を見たのは・・・ 思い出した。と、同時に、孝幸がもじもじしてる理由が何となく分かった。 「ちんちん触らせて」孝幸がうつむいたまま言った。そう、孝幸は男が好きなんだった。しかも、こともあろうに僕に惚れてるんだ、こいつは。 前に孝幸がもじもじしてたのは2年くらい前かな、まだ小学生のとき。学校が終わると、同じ学校の友達よりも孝幸と遊ぶほうが多かった。今でもそうだけど。で、いつだったか、なんでだったかは忘れたけど、好きな子は?って話になって、僕は同じクラスの子が好きだったんで、それを孝幸に話したんだけど、孝幸は自分が話す番になって、急にもじもじし始めたんだ。ちょうど、今の孝幸みたいに。 そして孝幸は小さな声で言ったっけ。 「お前が好き」って。 冗談とかそう言うのとは違うっていうのはわかってた。僕が本当のことを言ったのは分かってるだろうから、孝幸も本当のことを言ったんだと思う。孝幸は、僕が好き・・・それが分かって、なんだかすごくどきどきした。男が男を・・・なんて気には全然ならなかった。 「その・・・うん」孝幸の告白に、返事にならない返事しかできなかったけど、でも、なんて言えばいいのか分からなかった。 「ごめん」孝幸が謝る。そして、背中を向けて・・・でも、僕は孝幸の手を握って引き留めた。 「嫌いじゃないよ。大好きかも」そのとき、一番正直な言葉だったかもしれない。男だとか、女だとか意識せずに、純粋に考えたら、孝幸は大好きだから。 そう、あのときだっけ。孝幸が僕の前でもじもじしたのは。 そして、今度も・・・そういうことなんだ。 僕には孝幸がその一言を言うのにかなり苦労したんだろうってことはすぐにわかった。僕は、孝幸が僕のことを好きなのを知ってる。そんな孝幸が、ひょっとしたら僕に嫌われるかもしれないと悩みながら、でも、それを言うということは、それなりにせっぱ詰まった理由でもあるのだろうか・・・ 「な、なんでだよ」少しうろたえてしまう。そりゃ、急に触らせて、なんて言われたら、ねぇ・・・ 「その・・・僕・・・」なんだか孝幸がかわいそうになってきた。僕のことが好きってのは知ってる。好きな人の、さわりたいとかって、普通、そう思うよね。僕だって孝幸は嫌いじゃないし、孝幸の、触りたいって思わないでもない。 「いいよ」そう答えた。 「僕も、孝幸好きだもん」そう言ってやると、孝幸がやっと顔を上げた。すごくほっとした表情。なんだか、少し意地悪をしたくなる。 「でも、友達として、だからね」ちょっと孝幸の表情がこわば・・・るまではいかないけど、さっきのほっとした表情とは違う表情になった。またかわいそうになる。僕って・・・ほんとは孝幸のこと、どう思ってるんだろ・・・ 意地悪したこと悪いと思ったから、僕は孝幸の目の前で、自分からズボンをずり下げた。ちょっと恥ずかしかったけど・・・孝幸に見られてる、そう思うとトランクスの前の膨らみがどんどん大きくなる。でも、全部見せてあげたかった。あのころとは違う気持ちで、今の僕を・・・ 別に孝幸と見せ合いとか、触り合いするのはこれが初めてじゃなかった。そもそも、僕にオナニー教えてくれたのは孝幸だったし。お互い、オナニー覚えたばかりのころは、二人でいつも一緒にしてた。でも、それはなんていうか、遊びの延長。Hな気持ちとか、そういう性的な気持ちってのは全然なかった。少なくとも僕は。だから、僕が射精するところとか、孝幸が射精するところなんかも見られたことあるし、見たこともある。でも・・・今回はそれとは違う。数年前のあの遊びの延長じゃなかった。今、僕が、僕等がしようとしてることは、明らかに遊びじゃなかった。 孝幸がごくりと生唾を飲み下した。僕はどきどきしながら、トランクをおろした。孝幸に見られながら・・・すでに僕のちんちんは勃起していた。先っちょの皮が少しめくれて亀頭が出ている。孝幸は固まったように、僕のちんちんを見つめる。僕は少し恥ずかしくなった。 「孝幸も見せてよ」孝幸ははじかれたように、そそくさとズボンとトランクスをおろした。僕より少し大きいおちんちんは勃起していた。僕と同じように少し先っちょがでている。 「触ってもいい?」孝幸が聞いた。僕は無言で孝幸に一歩近づいた。 孝幸の手が僕のに触れた瞬間、なんだか体に電気みたいなのが走って、僕は思わず孝幸を抱きしめた。孝幸は急に僕に抱きしめられたので、こけそうになる。そんな体をしっかり支えて、そして、むき出しになっているお尻をなでてみた。 「あ・・・」孝幸が声を出した。僕も声を出したい気分だった。なんだかすっごく気持ちがいい。こうして孝幸の体を抱きしめて、お尻をなで回して・・・そして、ちんちんをつかんだ。孝幸の体が一瞬こわばった。熱かった。孝幸のちんちんはすごく熱かった。なんだか僕は感動した。 「あぁ・・・」孝幸は、僕のちんちんを握りしめて声を出す。孝幸も同じ気持ちなんだ。そして、初めて気がついた。今、僕は孝幸と同じ気持ちでいる。孝幸は僕が好き。ってことは、やっぱり僕も孝幸が好きなんだって。孝幸が好きだから、僕のことを好きでいてくれる孝幸と同じ気持ちになるんだって。 孝幸のちんちんを握って、それをゆっくりとしごいた。孝幸も同じようにする。抱き合いながら、お互いのちんちんをしごき合った。幸せな気分・・・そして、あっという間に僕はイってしまった。触らせて欲しいって言い出した孝幸よりも先に。でも、孝幸も僕のすぐ後にイっちゃった。イったあとも、僕等は抱きしめ合っていた。抱きしめ合うだけで、こんなに気持ちがいいなんて思いもしなかった。 「な、どうしたの?」孝幸が泣いていた。僕はびっくりして声をかけた。でも、孝幸はなにも言わずに首を横に振るだけだった。なんとなく分かった気がした。僕ですら感動したのに、今までずっと僕のこと好きでいてくれた孝幸にとって、それは涙が出るほどのことだったんだろう。僕はぎゅっと力を入れて孝幸を抱きしめた。孝幸も力を入れて僕を抱きしめた。二人はずっとそうしていた。 それ以来、毎週火曜日と木曜日、つまり、塾のある日はいつもそうしていた。いつも、あの神社の裏手の茂みで、お互いの体を抱きしめ合って、ちんちんをしごきあった。 やがて、それ以外の日も、僕等はそこに向かうようになった。塾が終わった後の時間よりもっと早い時間から、まだ、少し明るい神社の裏手で僕等は一緒にいた。僕等は学校のこととか話しながらキスをして、昨日のテレビの話とかしながらズボンの上から触り合った。薄暗くなってきたら、抱きしめ合って、そして、ズボンを下ろして触り合った。誰も来ない神社の裏手は、僕等のデートスポットだった。 孝幸の誕生日も、僕等は抱きしめ合っていた。いつもより長くキスをして、いつもより強く抱きしめた。 「プレゼント、なんか欲しいものある?」僕が孝幸に聞いても、孝幸はべつにないとしか言わなかった。だから今日は僕なりに今までしていなかったこと、孝幸にしてあげようと思った。 暗くなって、ズボンを下ろして触り合う。孝幸が軽くあえぎ声をあげる。ここまではいつものこと。僕は少しどきどきしながらそのタイミングを見計らって・・・孝幸の体を抱きしめていた腕をゆるめて、孝幸の前にひざまづいた。ちょっとだけためらったけど、すぐに僕は口を開けて、孝幸のちんちんを口に含んだ。 「あっ」孝幸が思わず腰をひいて、ちんちんが僕の口から出てしまう。 「動かないで。誕生日プレゼントだから」そう言って、孝幸の腰に手を回して、再び僕は孝幸を口に含んだ。 「うぅ・・・」初めての刺激に孝幸がうめく。僕は本で読んだ通りに、歯を当てないようにして、唇で孝幸を包み込んだ。孝幸が僕の頭に手を置く。僕は頭を動かす。初めはゆっくりと、少しずつ早く。 「く・・・出るっ」孝幸が僕の口からちんちんを引き抜いて体をひねった。と同時に孝幸が射精する。僕の目の前で、孝幸の精液が勢いよくほとばしった。 僕が立ち上がると、孝幸が僕のちんちんを握る。しごいてくれる。すぐに僕もイきそうになる。 「イきそう・・・」孝幸の体を抱きしめて、耳元でささやく。孝幸は一層強く握って、激しくしごく。 「あ・・・あぁ・・・・」そして、僕も射精した、孝幸がそれを手で受け止めた。手のひらを僕の目の前にかざす。 「な、なに?」僕が尋ねると、孝幸がいたずらっぽく笑う。 「誕生日プレゼントのお返し」そう言って、手のひらに溜まった僕の精液を舐め取った。 「あっ、きたないよ」あわててそう言ったけど、孝幸はやめなかった。 「きたなくなんかないよ。僕の、口でしてくれたんだし、そのお返し」孝幸が笑顔で言った。 「大(ひろし)の飲み込んだから、僕の体の中に大が入ったんだよ」まぁ、そういう理論も成り立つ・・・のかな? 「誕生日、おめでとう」改めて僕は孝幸に言った。少し照れくさい。 「ありがと。今から2ヶ月、僕の方が年上だからね」やなことを言う奴だと思った。 「僕の誕生日には口でしてよ。同じように孝幸の、飲んであげるからさ」そして、僕等はキスをした。 やがて、僕は誕生日を迎え、孝幸に口でしてもらった。でも、僕の時と違うのは、僕がイきそうになっても僕を離してくれなかったこと。僕は孝幸の口の中に出してしまった。孝幸はそれを飲み込んだ。だから、僕も同じようにした。不味い・・・とは思ったけど、孝幸のだから、我慢して飲み込んだ。孝幸もそうしてくれたんだから。 ”鹿島神社の裏の茂みで小学生同士の相互オナニーが見られる”インターネットの掲示板でそんな書き込みを見つけたのはごく最近のことだ。 (鹿島神社って・・・ウチの近くのかよ?)試しにインターネットで検索してみると、鹿島神社というのはけっこうあちこちにあるらしい。 (だよな。まさか、こんな田舎でそんなガキ、いねぇよな)そう思う。が、なんとなくあきらめきれない。しばらくその掲示板を見てみるが、その後、それに関連するような書き込みはなかった。過去のログを検索して調べてみる。しかし、分かったのは”火曜日の夜9時ごろ見た”ということだけだった。 (だめもとで、一度行ってみるか)そして、次の火曜日の夜、俺は鹿島神社まで出かけてみた。ま、夜の散歩程度の気持ちで。 いた、と思った。しかし、小学生ではなさそうだった。ごく普通の中学生くらいの少年二人が、ごく普通に話をしていた。”今日、学校で”どうこうだとか、”昨日のテレビ”がどうこうだとか・・・どう考えても掲示板の書き込みにあったような、そんな雰囲気じゃない。 (はずれ、か)期待しないでおこうと思ってはいたが、やはり残念な気持ちになる。 (やっぱ、別の鹿島神社か)あきらめて帰ろうとした時だった。いつの間にか、彼ら二人の会話が聞こえてこなくなっていることに気が付いた。二人を探す。さっきと同じところにいる。しかし・・・ 二人はしっかりと抱き合っていた。固唾を飲んで見ているうちに、二人はズボンとトランクスを下ろして、勃起したペニスをお互いしごき始めた。 (くそ、本当だったのか)さっきあきらめたことなど一瞬で忘れ去った。カメラを持ってくればよかったと思った。こんな暗闇に近い状況でも撮影できる機材は持ってないが・・・でも彼らの痴態をフラッシュをたいて撮影出来ればそれでいい。1回だけの、最初で最後のチャンスになるかもしれないが・・・ 家に取りにもとろうか、と考えた。が、ここから家まで走ったとして10分、押入の奥にしまい込んであるカメラを引きずり出し、それを持って戻って20分から25分、それまで彼らがここでやっていてくれるかどうか・・携帯で撮影することも考えたが、この距離じゃ携帯だとまともには撮れない。今日を逃せば来週の火曜日までチャンスは来ない。来週の火曜日だって、彼らがまたここに来て、こうやってしてくれるかどうかの保証はない。でも、それだけにカメラを取りに戻ってこの光景を見逃すのは惜しかった。俺はその場にとどまって、彼らを見つめた。 やがて、片方がひざまづいて、もう一人のを口でする。しばらくそうしているうちに射精した様子。ひざまづいていたほうが立ち上がる。むさぼるようにキスをして、今度はさっきされていた方がひざまづく。こんなところで、こんなことを・・・見られていることを知っているのだろうか? 掲示板に書き込まれるくらいだから、他にも見ている奴もいるだろう。それを知って、見せつけているのか、あるいは、そんなこと思いもせずに、二人の世界に没頭しているのか・・・いずれにせよ、めったにないことが目の前で行われている。ビデオの世界ではなく、現実の世界で。 俺は、彼らが行為を終えて、去って行くまでその場に留まった。彼らが帰ったあと、少なくとも3人の男が姿を現し、去っていった。俺を含めて最低でも4人に見られていたわけだ。俺が帰ったあとに去っていった者もいたかも知れない。それを知ってやっているのなら、これからもまた見ることができるだろう。だが、それを知らずにやっていて、もし見られていることに気がついたら、もう彼らは二度とあそこではしないだろう。俺は帰るとすぐに、インターネットで検索した。暗闇で、相手に気付かれずに撮影できる機材を探した。その日の内に発注し、次の火曜日のために準備を開始した。 休みの日の昼間、あの神社に行ってみた。二人がいた場所を確かめ、一番いいアングルで写真を撮れそうな場所を探す。あいつらの声も聞きたい。仕事で使っているボイスレコーダーが使えるか。仕掛けるとしたら、どこがいいか・・・いろいろ下調べをした。次の火曜日に向けて。 そして、待ちに待った火曜日がやってきた。月曜日に雨が降り、明日は大丈夫かどうか気をもんだが、幸いにも朝から晴れ上がり、いい天気となった。俺は会社を休んで、昼間から鹿島神社に行った。まだ誰もいないのを確認して、ボイスレコーダーを仕掛ける。音声に反応してスイッチが入るやつだから、今から仕掛けておいてもメモリーがいっぱいになることはないだろう。撮影ポイントを確認し、そこに工事現場から盗んできた赤い工事中の看板を置いておく。一旦家に戻って、カメラの準備をする。カメラは自分のものと、友人から借りたものの2台をそろえた。1台は確実性重視で高感度フィルムを装填、もう一台は画質優先でいちかばちかの感度の低いフィルム。そして暗視スコープ、その他もろもろ。 それらを大きめのリュックに入れて、少し早めに神社に行く。まだ誰も来ていない。念のため、ボイスレコーダーのメモリーを消去し、再度仕掛ける。そして、スタンバイ。時間がゆっくりと流れていく。これほど時間の流れが遅いと感じたことはなかったろう。 やがて、声がした。彼らの声だ。全く回りを気にしていない、普通通りの声。これから密やかな行為を行うにしては普段通りすぎる声だった。やっぱり、誰かに見られているなんて考えもしていないんだろうな、そう確信した。 彼らがまだ行為を始める前、普通に会話をしている時から、俺は2台のカメラで撮りまくった。フィルムを巻き上げる音が漏れないように、カメラをタオルでくるみ、20本用意したフィルムに次々と彼らの様子を納めていった。そして、彼らが立ち上がる。抱きしめ合って・・・俺は無我夢中でシャッターを押していた。 最後に彼らが立ち去る後ろ姿を納めると、俺は機材をリュックに押し込み、早々に立ち去った。本来現像できる代物ではないが、そこはちゃんと段取りを付けてある。ボイスレコーダーは朝方回収した。彼らの声がきれいに記録されていた。「たかゆき」と「ひろし」、二人の名前も聞き取ることができた。そして写真も、彼らの表情、ペニス、そしてフェラチオしているときの表情までも、完璧にとらえていた。 あまりの出来の良さに、俺の心の中にある計画が浮かんできた。 孝幸と神社でしたあと、まっすぐに家に帰る。孝幸の熱いちんちんの感触を覚えている間に、僕は家でオナニーする。孝幸も帰ってからもう一回するって言ってたから、今ごろしているんだと思う。あれから僕ははっきりと自覚するようになった。僕も孝幸が好き。孝幸と神社でしている時が一番幸せだった。 学校の帰り、今日も孝幸と会うのを楽しみにして歩いている僕は、急に声をかけられた。 「ひろし君だね?」 「はい?」僕は声がしたほうを振り返った。男の人が立っていた。 「やっぱりそうだね。君がひろし君だ」 「はぁ・・・そうですけど」知り合いだっけ? 近所にこんな人いたっけ? 僕はこの人が誰か思いだそうとした。けど、思い当たる人はいない。 「あの・・・誰?」言ってから、失礼な言い方だったかな、と思った。 「いや、初めて会うと思うよ。君にとってはね」男の人が言った。そして、鞄からなにか取り出した。 「でも、僕は君のこんなとこ、知ってるんだよ」写真を僕に見せた。体の芯がしびれたような気がした。写真には、僕と孝幸がお互いちんちんをしごきあっているところが写っていた。 「君だよね。そして、もう一人はたかゆき君だっけ」男が笑った。 「ちょっと一緒に来てくれる?」男は僕の手を引いた。僕は何にも考えられなかった。ただ、引かれるままに男について行った。 僕は男の家でアルバムを見せられた。僕と孝幸がしているところがいろいろと写っていた。男の話では、僕等がそこでしていることは、けっこう噂になっているらしい。何人もが僕等を見ていたらしい。そんな中で、僕と孝幸はしていたんだ・・・そして、こうやって写真に撮られて。 「見せてくれよ、お前がオナニーしてるとこ」男が言った。 「みんなに見られてるんだ。いいだろ、別に」でも、僕は動かなかった。 「この写真、君の家の近所に配ってもいいんだよ」それでも僕はしなかった。いや、動けなかった。 「わかったよ。君がどうしてもいやだというのなら・・・たかゆき君にしてもらうから」 「待って」僕は急いで立ち上がった。 「僕が・・・・・します」男の目の前で、僕はズボンを膝まで下ろした。 「全部脱いでするんだよ。いいね」男はカメラを持っていた。 孝幸にされるとすぐにイっちゃうけど、男に見られながら自分でしていても、なかなかイくことができなかった。男は何回もシャッターを切る。時々僕にへんなポーズを取らせて、それで写真を撮る。早くイって終わりにしたかった。孝幸としていることを思い浮かべて早くイこうとした。 「う・・・」ようやく、イくことができたけど、精液は少ししか出なかった。でも、男はそんな僕の精液の写真まで撮る。 「お前、たかゆき君のザーメン、飲むんだろ?」そして、指で僕の精液をすくい取る。 「ほら、舌を出して舐めろ」そして写真に撮る。 「さて、今度は俺の、してもらおうかな」男がズボンをおろした。黒い太いモノがいきり立っていた。 「舐めろよ」そして、口に押し込まれた。 僕は男の精液を飲まさせられた。孝幸のそれと同じような味がした。だけど、吐きそうになる。顔をしかめて我慢する僕に男が言う。 「たかゆき君のはうまそうに飲むくせに、俺のは不味いって顔だな」僕は我慢して飲み込んだ。 「じゃ、今度はたかゆき君と二人でしてもらおうかな」僕だって、正直これで済むとは思ってなかった。けど、どこかでこれで終わりにして欲しいと思っていた。でも、やっぱり・・・ 「写真、返してください」男に頼んでみた。 「いいよ」そして男はあっさりとアルバムを渡してくれた。でも・・・ 「いくらでも焼き増ししてあるから。なんならたかゆき君の分もアルバム作ってやろうか?」どうしよう・・・逃げられない。僕はどうしたらいいのか・・・・・ 「今度、二人で来いよ。来なかったらどうなるかわかってるよな」男にそう言われて僕は男の家を出た。このことを孝幸にどう言おうか、そればかり考えていた。言いたくない、でも、言わないと、写真が配られたら・・・僕はどうしたらいいんだろう・・・・・ 次の日、僕は昨日神社に行けなかったことを孝幸に謝った。でも、昨日のことはまだ言えなかった。 「どうしたの?」孝幸が尋ねた。 「なにが?」 「なんかあったの?」孝幸は僕がいつもと違うことに気が付いていた。 「べつに・・・」ごまかそうとしたけど、うまく頭が回らない。 「うそだ。なにがあったの?」孝幸が問いつめる。僕が一番好きな孝幸、僕を一番好きな孝幸・・・嘘はつけない。でも言えない。僕は黙り込んでしまった。 「なにがあったのか言うまで、今日は一緒にいるからね」孝幸が言った。心配そうな顔で。 「孝幸・・・」僕は孝幸を抱きしめた。いや、孝幸にすがりついた。 結局、孝幸に問われるままに、僕は昨日のことを話してしまった。 「二人で行けばいいんだろ?」孝幸はそう言った。 「でも・・・」 「大が一人で苦しむことじゃないだろ? 僕と大、二人の問題だから」そうだ、孝幸はこういう性格なんだった。 「もし、どうしようもないのなら、警察に行って、それから二人でどっか遠くに行けばいい。僕は大がいればいいから」無茶なことを言う・・・そう思ったけど、そう言ってくれる孝幸が頼もしいと思った。僕だって、孝幸がいてくれたら、あの写真ばらまかれても、二人でどこか遠くにでも行って、二人だけで過ごせばいい、そんな気になった。理性ではそんなことは出来ないということは分かっていたけど・・・ 「まさか殺されるわけじゃないだろうし」わざと気楽に言っているのかもしれない。でも・・・ 「僕たちがしてるの見たいっていうなら見せてやろうよ」ほんの少し、気が楽になった。でも、大きな不安に押しつぶされそうな感じだった。たぶん、孝幸も本当はそう思っているに違いなかった。 「やぁ、いらっしゃい」男は笑顔で二人を迎えた。 「君はたかゆき君だね、初めまして」普通に友達と話すように、男は孝幸に話しかけた。が、孝幸はなにも言わずにずかずかと家に上がり込んだ。 「ま、いいか。適当に座って」男は孝幸の背中に言う。でも孝幸は座らない。 「僕たちがしてるの、見たいんでしょ?」初めて孝幸が男に向かって言った。 「まぁ、そうあわてるなって」男は苦笑した。 「目の前でしてやったら、写真返してくれるんでしょ?」孝幸は強気だった。でも、それは装った強気だってことは分かっていた。 「さぁな。お前らの態度次第ってとこだな」男が言い終わらないうちに、孝幸は大に向かって言った。 「大、さっさとやろうぜ」そして、服を脱ぎ始めた。大もあわてて服を脱ぐ。何のためらいもなく全裸になった孝幸を見て、大も全裸になった。男の目の前で、孝幸は大の体を抱きしめる。そして耳元でささやいた。 「どうせ見られるんなら、思いっきり見せつけてやろう」そして、大の口を口でふさいだ。いつもより荒々しいキス・・・でも、大もその口にむしゃぶりついた。歯が当たってがちんという音が頭に響く。二人はその瞬間から夢中でお互いの口を吸い合った。そんな様子を男が写真に納める。すでに孝幸は勃起していた。孝幸は大を握りしめ、軽く皮を剥きおろす。大のそれもすぐに反応し始める。その間も互いの口をむさぼりあい、舌を絡め合う。 「はぁ・・・」大があえぐ。 「ふむぅ」孝幸も声を出す。お互いがお互いのペニスをつかんでいた。もう一方の手は相手の腰に回し、時に尻をなで回す。そのまま中腰になり、やがて孝幸の背中が壁に当たる。そのまま壁にもたれる孝幸に覆い被さるように大が抱きつく。孝幸の手が大の尻を愛撫し、そしてその手が股間に移動する。孝幸の背中が壁にそってずり落ちて行く。床に座り込んだ孝幸の顔を両手で挟み込むようにして大がキスをする。大も孝幸の横にしゃがみ込み、膝をつく。孝幸の手が大の股間に伸び、ペニスを探すように動く。そして、それをまさぐる。大が、孝幸の上にまたがり、太股の上に腰を下ろす。自分のペニスと孝幸のペニスを重ね合わせ、2本を一緒にしごく。孝幸の手が大の手に重なる。2本のペニスを4本の手が包み込む。勃起したペニスが指し示すその先で、二人が舌を絡め合う。 そんな二人の写真を撮っていたはずの男が、いつの間にかカメラを顔の横に掲げたまま、彼ら二人を、二人の濃厚なプレイを呆然と見つめていた。カメラを構えることも、シャッターを切ることも忘れていた。片手で自分の股間をさすっていることにすら、気が付いていないようだった。 壁にもたれ、床に座り込んだ孝幸に、大が四つん這いでにじり寄る。キス・・・そして、手でしごき合う。孝幸の足が大の体にからみつく。やがて、孝幸が体の向きを変えて、大の体の下に潜り込んだ。そして、大のペニスを求めて口を開く。四つん這いになった大の体の下で、仰向けになった孝幸が大を求める。その口にペニスを挿入する。大も目の前の孝幸のペニスにキスをする。そして、その先端を舌でちろちろと舐める。孝幸のペニスから先走りが糸を引く。それを舐め取った大は、孝幸のペニスをくわえ込んだ。 「お前ら・・・すげぇよ」男がいつの間にか、彼らのすぐ横に来ていた。孝幸のペニスを口に含んでいる大の顔のすぐそばで、その唇の動きをじっくりと見つめる。孝幸が大のを口でしているのも同じようにして見る。と、そんな男の勃起したペニスを何かがつかんだ。孝幸が手を伸ばして男の股間をまさぐっていた。男は黙ったままズボンとトランクスを脱ぎ捨て、勃起したペニスを孝幸のほうに突き出す。それを孝幸は握りしめる。大の体の下から上半身を男の方に向け、そして男のモノを口に含む。 「おぉ・・・」男が思わずうめき声をあげる。そんな男の口を、大の口がふさいだ。大の舌が男の口のなかで暴れる。男は手探りでペニスを握りしめる。誰のか、なんてことはもうどうでもよかった。 孝幸と大は、代わる代わる男と濃厚なキスを交わした。男のペニスを口に含み、男に口でされていた。そして、男が床に横たわる。その体の左右から、孝幸と大が男のペニスにしゃぶりつく。 孝幸が口に含むと、大は男の陰嚢を舌でなめ回す。大が男のペニスをフェラチオすると、孝幸は男の陰毛に顔を埋め、ペニスの付け根に舌を這わせる。男の亀頭を左右から二人で同時になめ回し、そして男の亀頭を半分口に含みながら、二人はキスをする。男に尻をなでられながら、二人は同時に男のペニスをなめ回していた。 「く・・・」男がうめいた瞬間、亀頭を舐め合っていた二人の顔面に男の精液が飛び散った。大量に放出されたそれは、孝幸の、大の顔面に付着し、したたり落ちようとした。二人はそんなお互いの顔についた男の精液を舐め取ろうとする。精液にまみれた二人の顔がくっつき、離れ、二人の顔中が男の精液とお互いの唾液でべたべたになる。それでも二人はお互いの顔をなめ回す。そして、また男のペニスを口に含む。やがて、二人も男にしごかれて男の体の上に射精する。孝幸と大が男の体の上の自分たちの精液を舐める。男が2回目の絶頂を迎え、それがまた二人の顔を汚す。こうして、3人は精液と唾液にまみれて絡み合った。何度も射精しながら、体を重ね合った。長い時間、彼らはそうして求め合った。孝幸も、大も、そして男も、もう写真のことなんてどうでもよかった。なにもかも忘れて、目の前の体にむしゃぶりついていた。 いつからか、インターネットに新しい噂が流れていた。 ”鹿島神社の裏の茂みで中学生が激しく絡み合ってるの見た” ”行けば誰でもフェラしてくれるらしい” ”顔射してくれっておねだりされたよ” ”お互い精液まみれの体を舐め合ってた” ”飼い主がいるんだって” ”飼い主のペニス、二人で舐めあってたぜ” ”行ってみようかな・・・” 噂の二人は、今日も男の家に行く。そして、3人一緒にあの神社に向かう。 ギャラリーが待ち受ける、鹿島神社の裏手の茂みに・・・ <噂の二人 完> |