電子双六 byロケッツ花火さま


プロローグ


とある中学校の昼休みのことだ。

その、1年2組の教室。
いろいろいる生徒の中で、いつも固まった男子の4人グループがある。
まずはそこのメンバーを紹介しよう。
4人のリーダー格の健太、彼はしっかり者でルーム長をやっていて勉強も出来て顔もそこそこ、4人の中では一番信頼されている。
次は一番よく喋って、話の切り込み隊長の純。女でも通用するような、十分美少年と言える顔立ち。だが、その顔とは裏腹に口が悪く、ひょうきんなところもある。
次に一回り小柄に見える庸史。小学生にも見える外見と、性格も
おどおどしているところが多い。
最後に見かけでは一番目立つ大柄な勝、彼は身長170を超え、バスケ部でがっしりした体格、だが性格は結構大人しく、特別目立つようなことはない。
全く違うタイプの4人だが、彼らは非常に仲が良かった。
そして、いつもの如く会話が始まる。

その話は、何の前触れもなく純が切り出した。
「3月23日、みんなで健太の家泊まるぞ!!」
「おい!ちょっと待て勝手に決めるなよ」
「別にいいじゃん、お前暇人だし、庸史も勝も暇だろ?」
「ぼくは良いけど・・・」
「23日なら部活休みだし良いぜ」
庸史も勝も承諾した。
「じゃ、決てぇ〜」
純がニヤニヤしながら健太を見る。
「しょうがないなあ・・・親に言っとくよ」
純はいつもこうして物事を強引に決めてしまう。
何も、今回が初めてではない」
「健太、お前なんか家に面白いもんない?」
「う〜ん、そういえば家に"電子双六"ってゆうモンがあるんだけど、どうゆうわけか親に使っちゃいけないって言われてんだ。それ、丁度4人用らしいからやってみようぜ」
「双六かあ・・・去年友達とやった人生ゲーム以来だな」
「でも親が使っちゃいけないって、危なくない?」
庸史が不安げに言う。
「危ないわけねーだろ。どっかの映画みたいに出たマスに書いてあることと同じことが起きるとか?そんなもんあったらやってみてーよ」
純が馬鹿にしたように言う。
「庸史、俺もそんな危ないようなもんだと思わないよ。せいぜい感電する危険があるとか・・・そんな程度だろ。勝はどうだ?」
庸史は健太の一言で大分安心した。
同じ内容の言葉でも、健太が言うと説得力がある。
「面白そうだし、やってみたいな」
「よし。深夜双六大会だ」


そして、瞬く間に春休みは訪れた。
約束通り、その日は4人で健太の家に集まり、夜の12時頃まではゲームをしていた。
「そろそろ、やろうぜ」
「ああ、持ってくるよ」
・・・数分後、健太が双六を抱えて持ってきた。
「結構大きいな」
それはPS2くらいの大きさと厚さだった。横には"電子双六機"と書いてある。健太は、テーブルの上に双六を広げた。
開くと、正方形になっていて左側には双六の画面となるモニターが、真ん中には直径 3センチくらいの穴が、右上には説明用の
モニターが、右下には各種ボタンがある。

「何か説明書みたいなのも付いてるけど、かなりやぶけっちゃってるよ」
健太はかなり古くなった、ボロボロの説明書を取り出した。
「読める部分だけでも、何か書いてある?」
「注意書きならちょっと分かるけど、何々・・・"途中で電源を切らないでください""表示された命令は必ず実行してください。さもなければ・・・"」
「さもなければ、何だよ?」
「この部分から破けちゃってて分かんないや」
「何か気になるなあ・・・」
「まあ、別に大したことじゃないだろ」

純はボロボロの説明書を放り投げた。 しかし、この説明書こそがこれから起きる惨劇を回避する彼らにとっての最後のチャンスだった。

「じゃあ、やるぞ」
健太が双六の電源を入れた。


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