P2ゲット大作戦
mission01:作戦行動準備


「パンツちょうだい」
文字で書いたらたったこれだけ。ほんの8文字の短い言葉。
でも、こんな短い言葉を口にする事が出来ない。当たり前だけど。
でも、僕は欲しくて欲しくてしょうがない。かわいい生徒のパンツが欲しくてたまらないんだ。

それなりに名前の知れた高校に入学して、その高校でそれなりにいい成績を続けている僕。そんな僕に家庭教師やってみないかって話があった。べつに大したことじゃない。近所でよく知ってる奴に勉強教えてやってくれってこと。
その子たちは中学1年と小学6年の男の子の兄弟。ずっと小さいときからよく知ってるし、誰よりも仲がいい。そんな2人だけど、これがまたなかなか悪党・・・特に弟の方。よく親が学校から呼び出されたりしてる。そんな弟に手を焼いたのか、面倒を見るのを僕に押しつけようって魂胆かなぁ、なんて思ったりもした。
まぁ、この兄弟とは古いつきあいだから、それこそこの弟の方がおねしょしてた時も知ってる。だから、僕の言うことはよく・・・でもないけど、まあまあ聞くって訳で。
まあ、多少のお小遣い稼ぎになるのかな、そんな気持ちで引き受けた。それが事の始まりかな。

この兄弟、これがまたなんだかかわいいんだよな。弟のほうは、もう、やんちゃのひと言かな。夏になったら真っ黒に日焼けして、それが冬になっても残ってるって感じの色黒で、年中どっかに怪我をしてる。どう考えても今時の都会の子・・・僕等が住んでる街って、それなりに都会の方なんだけど・・・よりは、ゲームかなんかに出てくる、昔のシャツ1枚で虫取り網持って走り回ってる方が似合うような感じだったりする。
一方、兄貴の方はそんなやんちゃな弟に手を焼かされてるって感じ。何かあったら弟を引っ張って謝りに行かせるのは兄貴の仕事だったりする。もちろん親も行くんだけど、親だけじゃ、あの弟を押さえつけとくことができないようだし。
そんな2人の面倒を見ている僕は、そんなに力が強い訳でも何でもない。むしろスポーツは苦手だし、バレーボールなんかすると、トスに成功する回数より顔面でトスする回数の方が絶対多かったりする。気が小さいし、背も小さい。勉強は・・・最初に言ったようにそれなりに出来る方。たぶん、一般的に見たら、どう考えても弟の方の面倒なんか僕に見られるはずはないって思われるだろうなって感じかな。
でも、なぜかそれが大丈夫なんだよな・・・2人にはお兄ちゃんって呼ばれてるし。
いや、家庭教師の時にはちゃんと「先生」って呼ばせてるよ。でも、なんとなくあの2人に呼ばれてるのを文字にしたら、「センセー」ってなりそうな気がするけどね。
そんなわけで、僕はちょっとしたお小遣い稼ぎに、そしてあの2人の親にしてみれば厄介者を僕に押しつけられて、そしてあの2人にすれば、有名進学校に進学した僕と会える機会が減っていたのが、週2回は会えることになるってことで、それぞれがそれなりにおいしい思いをするなんて考えて、家庭教師ってことになったんだ。

まぁ、お金もらってするんだから、それなりに勉強教えます。もちろん。
でも、ねぇ・・・兄の方はともかく、弟が・・・
初めは同じ時間で兄と弟の勉強をいっぺんに見ていたんだけど、もう、弟がすぐに飽きて遊びだしたり、兄に教えてる僕にちょっかいだしに来たりするから、家庭教師にならない。だから、兄を教える時間と弟を教える時間に分けてもらったんだ。

まずは、兄の方。こっちはそんなに問題ない。
まぁ、素直に言うこと聞くし、もともと頭はいい方だから、ちょっと教えてあげたらすぐに理解する。学校で分からなかったこともちょっとヒント出してあげたら、
「ああ、そっか」
とか言って理解してくれる。ま、こっちは大丈夫。

問題は・・・弟。
まず、机に向かわない。
「ね、いいからゲームしようよ」
とか言いながら、僕の腕を引っ張る。
「だ〜め」
とか言って、無理矢理机に座らせる。あきらめたのか、鞄をあける。取り出したのは・・・マンガだったりする。
「没収」
そう言って取り上げると、
「何だよ、返せよ」
とか言ってじゃれついてくる。別にマンガを読みたい訳でもホントに返して欲しい訳でもない、ただ、じゃれつきたいって感じ。
学校でもこんな感じなのかなぁ、とか思いながら、時には頭をはたいたりしながら何とか教科書に向かわせる。ま、頭をはたくのは、ホントの家庭教師とかだったらまずいんだろうけど、そこはそれ、僕とこの兄弟の仲だから。
しかし、頭は悪くないはずなんだけどなぁ・・・全然進まなかったりする。なんていうか、知恵はある子だから、その気になったら勉強も出来るようになるんじゃないのかな、とか思うんだけど、なかなかやる気にならない。なだめてすかしておどして・・・ようやく少しだけ進むって感じかな。

ほんと、疲れる。これであのお給料じゃぁねぇ・・・

でも、僕が家庭教師を続けている理由は、お給料の額じゃないから。

僕が欲しいのはお金じゃない。

この兄弟のパンツ、それが僕の最大のターゲットだ!


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