気持ち悪さで裕太は目が覚めた。
なんだか頭がゆっくりと回っているみたいだ。少し吐き気もする。
「目が覚めたか」
誰かの声がした。その声の方を見ようとする。が、体が動かない。
「久しぶり・・・って程でもないか。一昨日やったもんな」
誰かが裕太の顔を覗き込んでいる。
「なんだ、俺を覚えてないのか」
男が言った。が、裕太は別のことに気を取られていた。
裕太は全裸で両手を上げて立っている。いや、立たされていた。両手が上に引っ張られている感じ。手首が痛む。手首でぶら下がっているようだ。足を床に突こうとした。でも、届かない。つま先を下に向けてみる。かろうじて床に届く。
「聞いてるのか? あ?」
男が裕太の髪の毛を掴んで引っ張った。ようやく裕太は男を見た。何となく見覚えのある顔だ、とは思ったが、思い出せない。
「一昨日やったろ? 田所さん達と一緒にマワしてやったろ?」
思い出した。あの、イヤなチンピラ男、春木だ。
「昼間、神社で見掛けてな。きっとあの辺りに住んでるんだろうって思って回ってみたら、ドンピシャだ」
春木が裕太の髪の毛から手を離す。
「あの時は途中で終わったからな。今日は兄貴も田所のおっさんもいないから、やりたい放題だ。楽しみだよなぁ」
それを聞きながらも、裕太の意識の半分は体の痛みに向いていた。ようやく頭がはっきりしてきて、自分が置かれている状況が分かってきた。
裕太は天井から吊り下げられていた。金属の手枷のような物で吊り下げられている。その手枷が手首に食い込んでいて、そこから強い痛みを感じていた。つま先はなんとか床に届く。さっきからつま先を伸ばして体を支えているが、ほんの短い時間ですでに裕太のふくらはぎからは痙りそうな嫌な感じがしている。
「お、下ろして」
裕太は小さな声でつぶやいた。
「はあ? なんだって?」
春木は裕太の耳元で大きな声を出す。
「手、痛いから下ろしてください」
少し言い方を変えてみた。
「そりゃそうだろ。痛くなるように吊してるんだからな」
春木はそう言うと、裕太の足を払った。
「ぐあっ」
一瞬、両手首に裕太の体重が掛かる。痛みが跳ね上がる。慌ててつま先で体を支えようとしたが、その足が宙を蹴る。
「なんだその足の動きは」
嘲るような声がした。そして、もう一つ笑い声。
「お前はそのエロい体で誰とでもしてるんだろ。だからこうなるのは自業自得、お前が悪いんだからな。」
春木が裕太の耳元で言った。
それが合図だったかのように、誰かの手が裕太の尻を撫で回した。
裕太の全身に鳥肌が立った。
「お前、童貞だろ?」
裕太を取り囲む男達の中に、一人年若い者がいた。
(高校生くらい?)
吊り下げられたまま、裕太はその青年を見る。
「そんなことないに決まってるじゃないすか」
青年が言い返した。
「じゃあ、こいつ掘ってみろよ」
「まじっすか?」
青年は少したじろいだ。
「だって、男じゃないすか、こいつ」
「なんだ、男とやる俺達は変態だって言うのか?」
春木が言った。
「あ、いえ、そんなことないすけど」
春木が裕太の尻を撫でる。
「こいつは母親の男に掘られて喜んでるようなゲスなガキだ」
(ゲスはお前だろ)
裕太のアナルに指が入ってくる。
「うっ」
しかし、指は簡単に入る。裕太が目を覚ます前に、すでにそこにローションが塗り込まれていたようだ。裕太のアナルでクチュクチュと音がする。
「だが、ケツの使い心地はなかなかだ」
春木が背中から裕太を抱き締めた。同時にアナルにペニスが押し付けられた。
「や、やめろっ」
裕太は叫んだ。春木はゆっくりと裕太のアナルを押し開いた。
「やだ、入れるなっ」
体を揺らしても意味はなかった。春木の腕ががっしりと腰を掴み、ペニスが裕太に入ってくる。
(ああ、神様・・・)
ほんの数時間前に裕太が神様に誓ったことが、あっさりと違えられてしまう。
「ほら、奥まで入った」
その部分を青年が覗き込む。
「うわっ ホントに入ってる」
そのままアナルを掘り始める。ヌチャヌチャと音がする。
「やらしい」
青年がその部分を見続けている。
「いやだっ やめろ!」
下半身をくねらせる裕太の足を、春木が抱え上げる。
「やめろぉ」
もう裕太には逃れる術はなかった。春木が裕太の尻に腰を打ち付ける。それを青年が見ている。
「勃ってきた」
青年がつぶやいた。その言葉通り、裕太のペニスが勃起し始めていた。
「嫌がってるのに、勃つんだ」
「あれは口だけだ。こいつは掘られるのが大好きだからな」
もう一人の男が裕太の手枷を外す。が、もちろん裕太の両手が自由になる訳ではない。その男に手首を掴まれ、春木に入れられたままベッドに連れて行かれる。男がベッドの上に仰向けになる。春木がその男のペニスの上に、裕太の体を下ろした。
「うぐっ」
裕太は仰向けになった男のペニスを騎乗位で受け入れる。仰向けの男は上半身を起こし裕太を抱き締め、そのまま、また背中をベッドに預ける。
「じゃ、入れるぞ」
春木が、ベッドの上で男のペニスが入ったままの裕太の尻に近づいた。
「や、やめてっ」
もちろん男達がやめる訳はない。裕太のアナルに2本目のペニスが押し付けられる。
「入るんすか?」
青年がまた顔を近づける。その目の前で、裕太のアナルが更に拡げられた。
「うぐぅ」
裕太は呻いた。が、アナルは2本目のペニスを受け入れた。
「すげぇ、入った」
春木が裕太を掘る。下から男も奥を突く。
「うぐっ」
裕太が呻く。青年が見ている。青年のペニスも勃起し、先走りを垂らしている。
「お前も入れるか?」
春木が青年に尋ねた。
「入れてみたいっす」
青年が言う。春木は裕太からペニスを引き抜き、その場所を青年に譲った。
「入れるっす」
そう言って、青年がペニスを突き入れた。
「うがぁ」
裕太が悲鳴を上げる。
「すまんな、こいつは初めてだから、下手くそなんだ」
春木が裕太に言った。
「は、初めてじゃ、ないっすよ」
青年が腰を使いながら言う。
「見栄を張るな」
そう言いながら、春木がローションを持ってくる。それを青年のペニスに垂らす。
「これで少しは気持ち良くなるだろ」
そして、ローションを自分の手にも垂らした。
「童貞喪失のついでに、こっちも使ってやる」
それを青年の尻に塗り付ける。
「ちょ、ちょっと、なにするんすか」
「せっかく童貞卒業したんだから、処女も奪ってやるってことだよ」
「ぐあぁ」
青年が悲鳴を上げ、裕太にしがみついてきた。
「い、痛いっす、やめてください」
すでに春木のペニスが青年のアナルに差し込まれている。
「すぐに良くなるさ」
そのまま春木は青年のアナルを掘り始めた。
4人が一塊になって動いていた。青年は苦痛の呻き声を漏らしている。
「ううぅ」
裕太も呻いている。が、その声は青年のそれとは少し違っている。
「気持ち良くなってきたか?」
裕太の下の男が裕太の顔を見ながら尋ねた。
「そんな、わけ」
春木が青年の尻に強く打ち付ける。青年の体が押され、腰が裕太の尻に当たる。それが繰り返される。
「あぁ」
裕太の声が漏れる。
「気持ちいいんだろ?」
更に春木が打ち付ける。
「くっ」
青年も喘ぎ始める。
「そろそろ本気で犯してやる」
二人の男は一旦裕太と青年から離れた。
裕太と青年は並んで足を持ち上げられ、アナルを掘られていた。もちろん、裕太を掘っているのは春木だ。
「ああっ、ああっ」
裕太は紅潮し、半分目を閉じて喘いでいる。その横で青年は少し辛そうに、だが気持ち良さそうに掘られている。
「お前のケツもなかなかだな」
青年を掘っている男が言った。
「気持ち良くなってきた」
腰を強く打ち付ける。青年の尻で音がする。
「ああっ」
青年が喘ぐ。
「お前も俺達の玩具になるか?」
激しく掘りながら、男が青年に言った。
「お、俺は」
青年が口を噤む。その体が仰け反った。
「んああっ」
青年が射精した。
「ほお、トコロテンしやがった」
二人の男が声を上げて笑った。
青年が裕太の上で体を揺らしている。そんな裕太のアナルには春木のペニスが入っている。
裕太の顔の上に男が座り、アナルを舐めさせている。そして、男と青年は舌を絡め合っている。
「どうだ、気持ちいいか?」
「気持ちいっす」
青年のアナルに裕太のペニスが入っている。もちろん、裕太の意思ではない。
「お前はどうだ?」
春木が尋ねたが、裕太は答えない。
「今更取り繕っても無駄だ.お前は気持ちいいって思ってる。なにせセックス大好きなんだからな」
「いいっす」
裕太に代わって青年が答える。
「中のちんぽガチガチで気持ちいいっす」
それは裕太のペニスがガチガチに勃起しているということであり、つまり裕太も気持ちいいということだ。
「イきそうっす」
青年が言った。
「いいぞ、そいつにぶっかけてやれ」
春木が言い終わる前に、青年は裕太の腹の上に精液をぶちまけた。
それから、裕太は男に種付けされ、青年に種付けされ、さらに春木にも種付けされた。
ベッドの上でぐったりしている裕太のペニスを青年が握る。
「まだ勃つよな」
青年が裕太のペニスを扱くとまた硬くなる。青年が裕太の上に跨がる。
「まだやり足らないのか」
男が少し呆れた声を出す。
「若いっすから」
青年はそう言って、裕太のペニスを自分のアナルに導いた。
「お前はどうなんだ?」
が、すでに裕太は軽く喘ぎ声を上げている。
「若いっていうより、獣だな」
春木が言った。
「ほら、途中まで送ってやる」
そう言われたのは、もう2日になってからだった。夜通し3人に何度も何度も掘られ、種付けされ、青年に騎乗位で搾り取られた裕太には、もう気力が残っていなかった。
「はい」
暗い声でそう答え、床に散らばっていた服をかき集め、身に着けた。そのまま車に乗せられて、どこかの公園に連れて来られた。
「じゃあな。またそのうち使ってやるからな」
男達の車は走り去った。
ふらつく足で公園の入り口に立った。入り口にはプレートがあり、公園名と住所が書かれていた。
(どこ、ここ)
そのどちらにも心当たりはなかった。取りあえず公園のトイレに向かう。トイレの水道で手と顔を洗い、口を濯いだ。
(神様・・・)
惣一と一緒に行った初詣、そこで神様に誓った。もう惣一以外とは絶対にしないと。
(お前が悪いんだからな)
あの男が言ったことを思い出した。
(やっぱり僕が悪いんだ)
壁にもたれて目を閉じた。
(お父さんも、お母さんも、田所さんも、僕が好きな人は、みんな僕の前から消えていった)
そして、残ったのは惣一一人だけだった。
(神様に誓ったのに・・・・・)
ズボンの上からアナルを触る。その奧に感じる、今はない筈の存在感。体の内側にある小さな疼き。
(やっぱり、全部僕が悪いんだ)
ズボンの上から股間を撫でる。
(こんな時でも勃っちゃうんだから)
ズボンとボクブリを膝まで下ろす。勃起したペニスを握る。
(どうして・・・)
ペニスを扱く。
(僕は・・・)
上半身も脱ぎ、ズボンとボクブリも脱ぎ捨てて全裸になる。アナルに指を当てる。ローションはまだ乾いていなかった。
あの時のことを思い出した。あの男達に、同時に2本入れられたことを。
あの時、裕太は必死に思い込もうとしていた。自分は辛い目にあっている、と。
でも、本当は違った。気持ち良かった。これまで感じたことがない気持ち良さだった。田所にされている時の気持ち良さとは違う、惣一に抱かれている時の気持ち良さとも違う、無理矢理体を使われている、という気持ち良さだった。
あの青年に上に乗られた時もそうだ。昨日初めて人に入れた。相手は惣一だった。そしてあの青年が二人目。入れながら入れられていた。その気持ち良さも初めて感じるものだった。
(気持ち良かったんだろ・・・)
手で顔を覆い、その場にしゃがみ込んだ。
裕太は顔を上げた。「清掃用具入れ」というプレートが貼られたドアを開いてみる。そこにはブラシや箒、ビニールホースと低い脚立が置かれていた。脚立をトイレの個室に持ち込む。次にビニールホースを持ち出す。その先を、個室のドアの外側のドアノブに結び付けた。ホースをドアの上に放り上げて、中に投げ込む。個室の中に入る。
(僕が全部悪いんだ)
ホースの先を結んで輪を作った。
(僕の体が悪いんだ)
アナルに指を当てる。そこに指先を入れる。
(あっ)
息が荒くなる。目を閉じて指を増やす。指三本を奥まで入れる。
「ああっ」
声が出る。あの時掘られたのを思い出す。もっと太いのが二本入っていたことを。
(誓ったのに・・・)
男達に順番に掘られたことを思い出す。
(もう惣ちゃん以外とはしないって誓ったのに)
気持ち良かったことを思い出す。右手の指をアナルに入れながら、左手でペニスを扱く。
(田所さん・・・)
入れられて気持ち良かった。お母さんが見ていた。お父さんにも掘られてた。みんなに掘られて気持ち良かった。
でも、お父さんも、お母さんも、田所さんもみんないなくなった。神様に誓ったのに、それも破ってしまった。
(きっと、惣ちゃんも、いつか・・・)
手を止め、脚立に上がる。少し背伸びをしてホースの輪に首を入れた。そのままアナルに指を入れ、ペニスを扱く。
(惣ちゃん・・・)
惣一に抱かれていたことを思い出す。惣一の太いペニスを思い出す。アナルで指を動かす。
(誰か、お前が悪いなんて言ったのか?)
頭の中で惣一の声がした。
(自業自得なんだって。やっぱり全部、僕が悪かったんだよ)
アナルからぐちゅぐちゅと音がしている。ローションと、男達の精液が混ざり合ってるんだろう。
(惣ちゃん、気持ち、いいよ)
ペニスを扱く手が早まる。
(ああ・・・気持ちいい)
「惣ちゃん」
喘ぐように惣一の名前を呼んだ。
「惣ちゃんと一緒に暮らしたかった」
扱く。息が荒くなる。
「ああ、惣ちゃん、イきそう」
「イくっ」
その瞬間、裕太は脚立を蹴飛ばした。
「ああっ」
裕太が射精すると同時に、その体が宙づりになった。
(なんで・・・)
その時浮かんだのは、春木の顔だった。あの男の顔を思い出しながら、裕太は何度も射精した。
精液の匂いの中で、裕太は動かなくなった。
惣一がバイトから帰ると、部屋の電気が点いたままになっていた。
「裕太」
しかし、裕太の姿は見えない。
(どっか行ったのか?)
部屋の電気が点いたまま、ということは、それほど遠くに行った訳ではないだろう。
(コンビニにでも行ったかな)
惣一は風呂の準備をしようとした。きっと帰って来たら体が冷えてるだろう。狭いお風呂だけど、一緒に入れないかな、などと考える。が、湯船は惣一一人でも少し窮屈なくらいだ。
(近くに銭湯ってあるのかな)
一人でいる時はそんなこと考えたこともなかった。スマホで検索してみる。歩いて10分も掛からなさそうなところに銭湯を見付けた。ホームページもあって、この時間でも入浴出来るようだ。
(帰って来たら、二人で一緒に行ってみよう)
そう決めて、二人分のタオルを準備する。
(裕太と二人で銭湯か・・・時々、そういうのもいいな)
何となく夫婦ってこんな感じなのかな、などと思う。
「早く帰ってこないかな」
惣一は一人、裕太の帰りを待ちわびた。
<クリームパイ Final 完> |