元日の朝を迎えた。
惣一は隣で全裸のまま眠っている裕太を見つめた。
(俺がなんとかしてやらないとな)
起きだして、冷蔵庫からおせち料理をテーブルに運んだ。
「裕太」
裕太を起こした。裕太はもぞもぞと起きてきて、洗面所に向かう。その間に惣一はお箸や取り皿を準備した。
「裕太、明けましておめでとう」
「おめでとう」
顔を洗い終えた裕太は、テーブルに座って素っ気なく言った。
(まあ、めでたいなんて言ってられないか)
惣一は少し配慮が足らなかったと反省する。
「ごめん。そんな気分じゃないよな」
母親が出ていってしまった裕太。もちろん惣一は忘れていた訳ではない。
「ううん、大丈夫」
裕太は言った。
「せっかくのお正月なのに、僕のせいでごめん」
惣一の顔を見て、笑顔になった。
「明けましておめでとう」
が、惣一にはその笑顔が寂しく見えた。
惣一は、コンビニのおせち料理だからとあまり期待していなかったが、なかなか本格的なんだな、と感心した。そんなおせち料理を裕太も楽しそうに食べている。
(やっぱり、食べ物は人を幸せにするのかな)
そう思いながら、惣一は裕太の顔を見つめていた。そして、昨日の夜、ずっと考えていたことを裕太に告げた。
「裕太、ここで俺と一緒に暮らさないか?」
裕太は少し驚いた顔で惣一を見た。
「どっか他所に行くことも考えたけど、お前の学校とかあるし、俺もお金ないから、ここでこのまま一緒に暮らすのがいいと思うんだけど」
裕太は惣一の顔を見たままだ。無表情で、目は一点を見つめている。
「お前のお母さんもいつか帰ってくるかも知れないし、ここで待つのがいいと思う」
「もう帰ってこないと思うけど・・・」
やっと裕太の顔に表情が戻った。
「でも、惣ちゃんがそうしろって言うなら」
「嫌か?」
「そんな訳・・・」
裕太が立ち上がった。
「よろしくお願いします」
そう言って惣一に頭を下げた。惣一も立ち上がる。
「別に俺が裕太を養うとかそういうんじゃない。俺も裕太と一緒に暮らせるのが嬉しい。だから」
頭を下げる。
「俺も、よろしくお願いします」
二人が頭を下げている。先に頭を上げたのは裕太だった。まだ頭を下げている惣一を見て、また頭を下げる。惣一が笑い出した。
「二人とも、一日中頭下げてそうだな。元旦なのに」
裕太も笑う。
「惣ちゃん、僕も嬉しいよ」
二人とも椅子に座る。
「まあ、先のことはこれからゆっくり考えるとして、今日はおせち料理食べよう」
裕太は黒豆に箸を伸ばした。
それから、二人で近所の神社に初詣に出掛けた。
多くの人が参拝に来ている。惣一は、その中に裕太の母親がいないか少し気になった。
「お母さん、来てたりしないかな」
すると、裕太は素っ気なく言った。
「来てないよ」
(お母さん、嫌いになったのか?)
惣一は、裕太のあまりの素っ気なさにそう思った。裕太を見る。真っ直ぐ前を見ている。
(でも、気にならない訳はないよな)
あえてそう振る舞っているだけだろう。
「さっさとお参りして帰ろうか」
「うん」
賽銭箱の前の行列に並ぶ。少しずつ列は進んでいく。と、急に裕太が惣一の手を握った。惣一は裕太を見る。裕太は前を向いたままだった。惣一が握られた手に少し力を込める。と、裕太も握り返してくる。そのまま二人は無言で並んでいた。
「なにをお願いしたの?」
裕太にそう尋ねられた惣一は、何と答えようか考えた。
「いい一年になりますようにって」
無難に答えた。実際には、もっといろいろなことを祈った。裕太と一緒にいられますようにとか、裕太に好きになってもらえますようにとか、裕太の母親が帰ってきますように、とか・・・
「ふうん」
裕太はあまり興味なさそうに相づちを打った。
(お前が聞いてきたんだろ)
そうは思ったが、惣一は何も言わなかった。そして、裕太が何を願ったのかも聞かなかった。
神社からの帰り道、相変わらず裕太は惣一の手を握ったままだった。惣一は何も言わない。ただ、裕太の体温を感じていた。
「ね」
人通りの少ない道まで来て、裕太が惣一を見上げた。
「帰ったら、抱いて欲しい」
「分かった」
惣一は前を向いたまま、短く答えた。
「惣ちゃん」
全裸の裕太が惣一に抱き付いてくる。惣一も全裸だ。外から帰ったばかりの冷えた体に互いの体温が伝わる。
「キスして」
裕太が惣一を見上げる。その顔に惣一が顔を寄せる。裕太の舌が入ってくる。その舌に惣一は舌を絡める。そのまま裕太がしゃがみ込み、惣一のペニスを咥えた。
「やっぱり、太い」
頭を動かす。惣一はその髪を撫で、頬に手を当てる。柔らかい髪、柔らかい頬。その頭を抱き寄せて喉の奥にペニスを入れる。
「裕太」
「ね、うつ伏せになって」
惣一は裕太に言われた通り、布団の上にうつ伏せになる。裕太は惣一の足を開かせて、その間に座る。惣一の尻を両手で開く。
「惣ちゃんの穴」
そうつぶやき、顔を尻に押し付けた。
「ああっ」
惣一が声を上げた。惣一のアナルに裕太の舌が這う。穴の周りを舐め、穴を舐める。穴に舌を押し当てる。
「惣ちゃんって、入れられたことはある?」
「何回かあるよ」
正直に答えた。
(まさか、俺に入れたいとか?)
でも、裕太に入れられるならいいか、と思う。
「ふうん・・・入れられると感じる?」
「まぁ、少しはね」
そして尋ねた。
「俺に入れたい?」
すると、惣一のアナルに何か入ってきた。
「指は簡単に入るね」
(あの裕太に入れられてる)
惣一は少し興奮する。
「裕太に入れられるなんて思いもしなかった」
「僕だって、惣ちゃんの穴舐めるなんて思わなかった」
「じゃあ、どうして舐めたんだ?」
裕太が体を起こした。惣一も仰向けになり、足を上げる。
「ん・・・分かんないけど」
そのまま惣一の尻ににじり寄った。
「惣ちゃんにしてもらってばっかりだから、今年は僕もしてみようかな、なんて」
惣一のアナルにペニスを押し付けた。
(裕太に入れられる)
考えてもみなかったことが起ころうとしている。あの小さくて小学生みたいな裕太に掘られる。
「まあ、一度くらいなら」
表面上はいつも通りを取り繕ってはいたが、惣一は興奮していた。アナルに熱い物が当たる。裕太は真剣な表情だ。
「裕太は入れたことは?」
「ないよ。初めて」
惣一に押し付ける。
「いいよね?」
「ああ、来い」
惣一は裕太を迎え入れる。
「入った」
裕太は更に押し付ける。
「奥まで来い」
惣一は足を抱える。
「うん」
裕太が溜め息を吐く。一旦顔を下ろして入っているその部分を見る。
「惣ちゃんの中って、あったかい」
ゆっくりと体を近づける。
「中ってこんなに暖かいんだ」
それは独り言だった。
「裕太の中もあったかくて気持ちいいよ」
裕太が少し笑う。すぐにまた真剣な顔になる。裕太の腰が惣一の尻に当たる。
「奥まで入った」
惣一は、何となくその声に驚きのような、感動のようなものを感じた。
「裕太が入れてくれて嬉しいよ」
素直な気持ちだ。
「僕も、惣ちゃんに入れられて、嬉しい・・・感動してるかも」
惣一にはさっきの声で分かっていた。お互いの気持ちが一つになる。
「動いてもいい?」
「ああ」
裕太がゆっくりと腰を動かし始めた。
(裕太の童貞、俺がもらったんだ)
惣一は裕太の存在を感じながら思った。
(処女は父親に奪われたんだったよな)
真剣な顔で掘り続ける裕太を見る。少しづつ動きが速く、激しくなる。
(かわいい顔してるけど、やっぱり雄だな)
「んっ、んっ」
裕太が声を出し始める。それが速くなっていく。
「ああ、気持ちいいよ」
惣一の目を見て言う。顔を近づける。惣一も頭を起こしてキスをする。
「ああっ 気持ちいいっ」
裕太が叫ぶ。
「中に出してくれ」
「うんっ」
更に速く腰を動かし、打ち付ける。
「ああっイくっ」
少し高い声で叫んだ。
「ああっ」
そして、体を惣一に押し付ける。その体がびくっびくっと震える。
「ああ・・・惣ちゃん・・・」
息を吐きながら、喘ぐように言った。
「イったか」
裕太は息を整えてから答えた。
「うん・・・気持ち良かった」
裕太が腰を引くと、ヌルッと惣一のアナルからペニスが抜けた。熱いものが溢れそうになる。惣一はアナルをぎゅっと締める。
「中で出ちゃった」
そう言う裕太を抱き締める。
「裕太に掘られるなんて思わなかったな。気持ち良かった」
「うん、嬉しい」
キスをする。
「ね、今度は僕を掘って」
「分かってる。でも、少し休憩しよう」
全裸のままでお茶を沸かし、二人テーブルに座ってそれを飲む。
「今年初めてのセックスで、入れちゃったね」
「そうだな。今年最初のセックスだったな」
(まあ、そういうのもいいな)
テーブルの下で、裕太が足を絡めてきた。惣一が裕太を見る。
「ね、入れて」
少し恥ずかしそうに言った。
「よし。じゃ、今年の初堀りだ」
二人は抱き合いながら布団に横になった。
「惣ちゃん」
「ん?」
布団に横になり、惣一に抱き締められた裕太が口を開いた。
「今日、神社で、ずっと惣ちゃんと一緒にいられますようにってお願いしたんだ」
「へえ」
惣一は少し嬉しかった。
「それからね・・・」
裕太はその先は言わなかった。
(お母さんのことだろうな)
惣一は思った。
(神様、僕から惣ちゃんを奪わないで。もう、惣ちゃん以外とは絶対にしないから)
惣一の腕の中で、裕太は神社で願い、誓ったことをもう一度心の中で繰り返した。そして、惣一のペニスをしゃぶる。玉も舐める。惣一の足を持ち上げ、さっき自分が入れていた穴を舐める。
「さっきより柔らかい」
「裕太が掘ってくれた後だからな」
裕太が惣一を見る。顔を見ながらそこに指を入れる。
「中、あったかい」
その指を抜いて、匂いを嗅いだ。
「惣ちゃんの匂い」
その指を咥える。
「そんなの、あの匂いしかしないだろ」
「そんなことないよ。惣ちゃんの匂い、するよ」
(臭いだけだろ)
惣一は思ったが、裕太の言っていることも分かる。惣一だって、裕太のアナルの匂いはいい匂いだと思うし、その穴を舐めたいと思う。裕太もそう思ってくれているなら嬉しい。
「裕太」
体を起こして裕太を押し倒す。
「惣ちゃん」
裕太が惣一の背中に手を回す。その手で強く惣一を抱き締める。
「ああ、惣ちゃん」
惣一は裕太の足を持ち上げる。そして、きれいなピンク色のアナルにペニスを挿入した。
「ごめんな、こんな日もバイトあって」
そう惣一が告げると、裕太は明らかに不安そうな顔をした。だが、笑顔を作る。
「大丈夫だよ。それよりアルバイトがんばってね」
夕方、惣一はコンビニのアルバイトに出掛けようとしていた。
「夕食はこれでなにか買って済ませてくれるか?」
千円札を差し出した。
「うん、適当になんか食べる」
惣一を見上げる。
「帰ってくるの、何時くらい?」
「裕太はもう寝てる時間だよ、たぶん」
すると、裕太が惣一に抱き付いた。
「帰って来たら、一緒に寝ようね」
「ああ」
惣一は家を出ようとした。
「惣ちゃん」
その背中に、裕太がしがみついてきた。
「僕を・・・捨てないで」
「裕太」
惣一は裕太に向き合い抱きしめる。
「そんなこと絶対にしない。する訳がない。俺は、裕太が」
そして、真っ直ぐ裕太の顔を見た。
「お前が好きだから」
裕太の表情は変わらなかった。惣一はもう一度裕太を抱きしめる。
「僕は・・・惣ちゃんのこと・・・好き、じゃないよ」
惣一が裕太を見る。
「それって、どういう意味?」
「僕は惣ちゃんを愛してる。絶対、惣ちゃんから離れないから」
また裕太がぎゅっとしがみついた。その腕の力に裕太の気持ちを感じる。
「裕太、俺も愛してる」
惣一も強く抱きしめようとするが、裕太が離れた。
「遅刻するよ?」
笑顔だった。そして惣一を送り出した。
(失敗したな。どうせ正月なんて暇でしかないって思ってたからなぁ)
元日にバイトを入れたのを後悔しながら、惣一は後ろ髪を引かれる思いでバイト先に向かった。
(どうしようかな)
裕太はテーブルに座って考えていた。テーブルの上には惣一からもらった千円札が置かれている。
(たぶん、コンビニのアルバイトってそんなにたくさんお金もらえないんだろうな)
母親が父親と離婚し、生活が苦しくなったとき、確か母親が一時しのぎでコンビニでアルバイトでも、というようなことを言っていた気がした。
(あんまりお金使いたくないな)
しかし、その時裕太のお腹がぐぅっと鳴った。
(パンか、カップラーメンか、とにかく安そうなの買って来よう)
千円札を丁寧に畳んでズボンのポケットに入れ、家を出た。
コンビニまでの道すがら、裕太はふとカレーが食べたい、と思った。
(毎年、2日の夜はカレーだったっけ)
去年のお正月を思い出す。母親がいた時はいつも2日の夜はカレーだった。
(明日、惣ちゃんに言って作ってもらおうか)
だけど、あまり惣一にわがままは言いたくない。今日、コンビニでカレーを買って帰ろう、そう決めた。
元日の夜、あまり人通りはない。そんな夜道の先に、コンビニの灯りが見えた。
その時、ワンボックスカーが走ってきた。裕太は道の脇に避ける。が、車は裕太に向かってくる。
そして、裕太の横で急停車した。
スライドドアが開く。誰かの手が伸びてくる。裕太の記憶はそこで途切れた。
<クリームパイ Final-07 に続く> |