ひみつの隠れ家
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少年は何度も店の中をうろうろしていた。その小さな書店には、店主らしき初老の男しかいなかった。その男は、店の向こう側のレジのところで新聞を広げている。いつもの通り、こちらなど気にもしていない。それでも毅彦の心臓の鼓動は男にも聞こえるんじゃないかと思えるほど大きく脈打っている。あらかじめ品定めしておいた本は目の前にある。レジからは完全に死角になるところにその本は置いてある。何度か手に取るふりをして、そこまで動かしておいた。いつものパターン、いつも通り・・・

店から出てきた少年は、前に停めてあった自転車にまたがって通りを北に向かった。少年の行き先は町外れの小さな、それでも普通の家よりは幾分大きな洋館だった。すでに打ち捨てられ、人が寄りつかなくなって荒れ放題の洋館だが、そこは少年の、毅彦の隠れ家だった。
洋館の中は、その近寄りがたい外観とくらべるとかなりましな状態だった。当初はいずれ戻ってくるつもりだったろうここの住人が家具にかぶせておいた布のおかげで、家具の痛みは少なかった。が、毅彦がここに入り込むようになった頃には、その布も一部分しか残っていなかった。しかし、置きっぱなしのソファやテーブルはそれほど痛んではおらず、ちょっと拭ってやればそこで隠れて遊ぶには苦にならない程度の汚れ方だった。毅彦はソファに座り、服の下に隠してあった本を引っぱり出した。

毅彦は中学でクラス委員をやっていた。スポーツは苦手だが、勉強の方は学年で1、2を争そう成績の毅彦は、いつも必ずクラス委員に祭り上げられた。好きでなった訳じゃない。でも、嫌ってわけでもない。自分は頭が良くて、学校でもトップクラスで、将来はいい学校に進学していい会社に入って、それなりの地位につく。それが毅彦の将来像だった。そのために、"中学時代はいつもクラス委員だった"ってエピソードくらいないと、と思っていた。が、そんな将来像は彼自身の重荷でもあったことに、彼は気付いていなかった。
そんな心の負担からくるストレスは、普段の彼からは想像もつかない行為となって現れた。万引きもその一つ。テストが近づくと彼は万引きを繰り返す。それは、それこそお小遣いで苦もなく買えるような安いものだったり、あるいは別に欲しくもないものだったり・・・でも、今日、彼が万引きしたものは、そういうものとは少し違った。彼が普通にそれを買おうとするとかなりやっかいな本・・・未成年者には販売できないたぐいの本だった。テストが終わるとそれまで彼にかかっていたプレッシャー、いい成績を取ってあたりまえ、というプレッシャーから心を解放するかのように、毅彦はそのようなたぐいの本を万引きする。そして、この洋館で一人でこっそりと楽しむ。それが仲の良い友達すら知らない、彼の一面だった。

薄汚れたソファに横になって、足をソファの横に伸ばす。そこにはスツール代わりのつもりだろう、切り株を模したような重い木の椅子が置いてある。その上に足を乗せ、どきどきしながらページを開く。そこには男女が交わる姿の写真が載っている。毅彦はそれを見ながらズボンをおろす。トランクスの上から堅くなったペニスに手をあてる。本を見て毅彦は想像を巡らせる。
(慎輔の妹とやれたらなぁ・・・)
友達の妹とのセックスを想像する。
彼女とは、慎輔の家で数回会っただけで、名前も知らない。まともに会話すらしたことなかった。が、ボーイッシュな顔つき、短めの髪の毛、活発そうな日焼けした肌と引き締まった体は毅彦のお気に入りだった。
(きっと、脱がせたらこんなふうに服の下は真っ白で、太股とか腕とかは小麦色に焼けていて・・・)
グラビアの女性の体を見ながら想像する。トランクスをずり下げる。洋館の居間で、毅彦はソファに下半身裸で横たわっていた。
(慎輔が妹とやってたりして・・・)
想像はエスカレートしていく。慎輔とは一緒にお風呂に入ったことがある。そのときに見た慎輔の性器・・・
(あれを勃起させて、妹に挿入してたり・・・)
毅彦の手がペニスをこする。
(慎輔と一緒に犯れたらなぁ・・・3人で気持ちいいことしあって・・・・・)
手がどんどん早くなる。ふと、手を止める。ソファの下に置いてあるカバンの中から、ペンケースを取り出す。その中からえんぴつを3本取り出した。
(このえんぴつ・・・)
それは、今日、学校で慎輔のペンケースからこっそり持ち出してきたえんぴつだった。それを鼻にあて、臭いをかぐ。そして、口に含む。ソファの上で体をおこして四つん這いになる。
毅彦は、慎輔のえんぴつを自分のアナルに挿入する。
(入れられるのってこんな感じなのかなぁ・・・)
そんなことを思いながら、1本目のえんぴつをアナルに半分くらい入れ、またそれを引き抜く。そして、今度は2本一緒に・・・
(ん・・・)
小さなため息が漏れる。えんぴつはほとんど抵抗なく、毅彦のアナルに入っていく。そのまま、もう1本を追加する。3本のえんぴつをアナルに入れたまま、毅彦はペニスをしごき続ける。
(あぁ・・・・)
やがて毅彦は射精した。ペニスからほとばしった精液は、彼が盗んできた本の上に飛び散った。毅彦はその本をソファの向こう側に投げやった。そこには同じような本が何冊も落ちていた。
アナルからえんぴつを抜き取ると、そのままペンケースにしまった。服を着て、ペンケースをカバンにしまい、洋館を後にした。

翌日、学校で毅彦は慎輔に話しかけた。
「ねぇ、昨日、お前のえんぴつ間違えて僕んとこに入れたろ?」
そして、あのえんぴつ3本を差し出す。
「あ、お前んとこに入れちゃってたのか・・・なくなったと思ってた」
慎輔は疑いもせずにそのえんぴつを受け取った。毅彦は慎輔の手に握られたえんぴつを見ていた。昨日、自分のアナルに入っていたえんぴつを。
「さんきゅ」
慎輔がそう言う。毅彦はにこっと笑ったが、なにも言わなかった。勃起していた。

テストの答案が返ってきた。
思ったより成績はよくなかった。いつも1、2番。悪くても5番以内から下がったことがなかったのに、今回はかろうじて10番くらい・・・家では案の定、順位が下がったことについてあれこれと言われる。しかられるわけじゃないけど、遊びすぎだとか集中力が足らないだとか、それから成績が下がったことにかこつけて、日頃の生活態度が悪いだとか、部屋の掃除をちゃんとしてないのがそういうところにも現れるだとか、関係のないことまでねちねちと・・・
そして、いつものストレス発散コース。いつもの書店で、またあの心臓が飛び出しそうなどきどき感を感じることになる。悪いことだなんて百も承知。でも、やめられなかった。

今日は、他にも客がいた。しばらく待っていたけど、どうも帰りそうにない。雨が降っているので、雨宿り代わりに時間をつぶしているのか・・・店の中をずっとうろうろとしていた。この様子じゃ、欲しい本をいつものように隅の死角まで運ぶのも無理っぽい。
(いいや、適当なので)
毅彦はレジから一番見えにくいところにあった本を服の下に滑り込ませた。表紙すらよく見ないまま・・・
そして、店を出て洋館に向かった。片手で傘を持ち、もう片方の手はスウェットのポケット越しに服の下の雑誌を押さえていた。

「うへぇ・・・」
洋館のソファでその雑誌を取り出した毅彦は思わずうなった。表紙もよく見ないまま服の下に滑り込ませた本を開くと、そこには男の裸の写真があふれていた。
「ホモ雑誌かよ・・・」
雑誌をソファの下に放り投げる。仕方なく、目を閉じていつもの想像を始める。親友の慎輔が妹とセックスしている想像を・・・
(慎輔があのえんぴつ、妹のあそこに入れたりして)
自分のアナルに入っていたえんぴつを、慎輔が握って妹に入れるところを想像する。勃起する。ズボンとトランクスを脱ぎ去る。
(入りやすくするために、慎輔が舐めたりして)
自分のアナルに入っていた鉛筆を、想像の中の慎輔が舐める。少し変な味がして、慎輔の表情が一瞬変わる。でも、そのまま妹に挿入する。
(僕が間接的にあいつの妹の中に入るんだ・・・そして、慎輔とも間接的に・・・)
そして、想像の中の慎輔は、服を脱ぎ、勃起した性器を妹の口に含ませる。慎輔の妹は、あそこにえんぴつを入れたまま、慎輔の性器を舐める。毅彦は人差し指を口に含む。
(慎輔のを・・・)
人差し指を根本までくわえる。ゆっくりと、口から引き出し、また根本まで。
(そして、妹のあそこに)
自分の唾液のついた人差し指を、アナルにあてる。
(入れるんだ・・・)
想像の中の慎輔の性器が妹の中に入る。それにあわせて毅彦は人差し指をアナルに押し込む。右手は自分のペニスをしごきながら。
ソファの下の雑誌を手に取った。もう一度表紙を開く。男の裸・・・そのうすいぼかし越しに見える勃起したペニス。アナルに入れた指を抜いて、ページをめくる。男同士のセックス・・・毅彦はそれを見ながらしごき続ける。
(僕・・・)
男同士がするなんて変態だと思っていた。普通の人間のする事じゃない、と。しかし、今、想像の中の毅彦は慎輔の前に立っている。慎輔の勃起した性器が目の前にある。
(僕、ひょっとして・・・)
雑誌の中の男同士のセックスと同じことを想像の中の慎輔にされていた。慎輔のペニスが毅彦のアナルに入ってくる。人差し指をアナルに入れながら、雑誌を夢中で見ていた。
(慎輔としたいのかも・・・慎輔にされたいのかも・・・)
雑誌を放り投げて目を閉じる。アナルの中の指を、想像の中の慎輔のペニスを動かす。それを抜いて口にくわえる。慎輔のペニスをくわえて、またそれをアナルに入れる。
(慎輔・・・)毅彦は射精した。想像の中から慎輔の妹は消えていた。毅彦はそのホモ雑誌をカバンに入れて持ち帰った。

また毅彦は書店にいた。また心臓がどきどきしていた。でも、その日のどきどきはいつもとは違っていた。いつもより激しい鼓動。目の前にあるホモ雑誌。それを手に取る。少し手が震えていた。一旦戻す。少しだけ場所をずらして。そうやって移動させていく。そしていつものところで、いつものように・・・
毅彦は洋館に向かった。

それ以来、毅彦はホモ雑誌ばかりを万引きするようになった。想像の中で、毅彦は慎輔とセックスしていた。慎輔のペニスをアナルに入れられて、慎輔のペニスを口にくわえて・・・そして、毅彦は射精した。初めはそれを認めることに抵抗があった。でも、もう否定できない。
(僕は慎輔が好き)
今ははっきりとそう認めていた。本当の自分に気がついていた。そして、それを認めていた。

(慎輔・・・)
洋館のソファで、毅彦は全裸だった。全裸で四つん這いになり、そして指をくわえ、その指をアナルに入れていた。
(慎輔・・・)
その指を動かしながら、ペニスをしごく。想像の中で、慎輔に犯される。慎輔のペニスが毅彦のアナルに入ってくる。
(あぁ・・・)
射精する。慎輔が毅彦のアナルからペニスを引き抜く。そして、それを毅彦の目の前に突きつける。
毅彦は自分の指を口にくわえる。さっきまで自分の中に入っていた慎輔のペニスをしゃぶる。指を丹念に舐める。少しにおいのするその指を、慎輔のペニスを口でする。
(ん・・・)
そして、2度目の射精。ソファの上で目をつぶって毅彦は果てた。

ごと・・・物音がした。毅彦はびくっと全裸の体をおこした。物音がした方を見る。が、いつもとなにも変わりはなかった。と思った瞬間、毅彦は凍り付いた。誰かがそこにいた。そこで、誰かが毅彦を見ていた。毅彦は動けなかった。なにも言えなかった。男もなにも言わなかった。なにも言わずに男が近づいてきた。男はにやっと笑った。
男の手が毅彦の体に触れた瞬間、ようやく固まっていた体が動いた。
「な、何ですか」
毅彦は叫んだ。が、すぐに男に口を押さえられる。
「なにって・・・それはこっちが聞きたいもんだな」
男が毅彦の頭をソファに押さえつける。
「お前こそ、ここでなにしてたんだ、え?」
男が顔を近づける。
「何してたのか言ってみろよ。え?」
男の手が毅彦のペニスをつかんだ。毅彦はなにも言えなかった。
「俺は知ってるんだぜ、お前の名前も、学校も、あの本屋でなにをしてるのかも」
そして、毅彦が万引きしてきたホモ雑誌を拾い上げた。
「これ見ながら、ここでなにをしてたのかも、な」
その雑誌で軽く毅彦の頬を叩く。
「そんなにけつの穴に入れられたいんだったら、俺がやってやるよ、毅彦くん」
男が毅彦の名前を呼んだ。
「なにするの、やめろ!」
毅彦は叫んだ。男は意外にもすんなりと毅彦から離れる。
「いいんだぜ、お前の学校や家にお前が何してるのか言っても。ついでに警察にも、な」
男が服のポケットから何か取り出し、それを毅彦に見せた。写真だった。あの書店で服の下に本を滑り込ませるところの写真と、ここで全裸でオナニーしている写真・・・毅彦はその写真を奪い取った。
「そんなもの、いくらでも印刷できる。お前が言うことを聞かなかったら、もっとたくさん印刷して、学校とかにばらまくのも簡単にできる」
男は毅彦を見下ろして言った。
「俺の言うことを聞くか、それともこの写真ばらまかれたいか、どっちがいい?」
毅彦はなにも言えなかった。そして男はズボンを脱いだ。
「舐めろ」
従うしかなかった。男のペニスに口を近づける。ぷんと男のにおいがした。口を開くが、それを口に入れる勇気が出なかった。
「うぐ・・・」
男が毅彦の頭を股間に押しつけた。男のペニスが口の中に入ってくる。
「うげっ」
吐き気がこみ上げる。しかし、男は毅彦の頭を押さえつけたまま離さない。そのまま、毅彦の頭を前後に動かす。男のペニスが、毅彦の口がいやらしい音をたてる。
「ほら、しゃぶりたかったんだろ? え?」
男が話しかける。
「自分の指よりおいしいだろ?、俺のはよ」
そして、男がペニスを毅彦の口から引き抜く。それは毅彦の唾液でてらてらと光っている。男は毅彦の手を引いて立ち上がらせ、代わりに自分がソファに座った。
「そら、そのまま俺の上にまたがるんだ」
言われるまま、毅彦はソファに座った男の膝の上にまたがる。男の顔が目の前にある。
「口開けろ」
そして、男がキスをしてくる。口の中に舌を入れてくる。口の中をかき回される。
「ほら、自分でけつにくわえ込めよ」
男が勃起したペニスに手を添えて、毅彦のアナルに押し当てる。
「は・・・い」
毅彦は逆らえない。自分で指を入れるときのように力を抜いて、男のペニスの上に腰を落とした。
「ほら、そのままずぼっと入れてみろよ。入れられたいんだろ?」
男が毅彦の肩を下に押さえつける。毅彦は言われるまま、腰を落としてアナルに男のペニスを受け入れようとした。
「あ、痛!」
ペニスが少し入ったところで、アナルに裂けるような痛みを感じた。毅彦は思わず腰を浮かそうとした。
「抜くな。抜いたら写真を学校に送りつけてやる。痛くても無理矢理入れるんだ」
男は肩を強く押さえた。
「いぃぃ・・・」
毅彦は痛みに歯を食いしばりながら、それでも腰を落とした。指のようにすんなりとは入らない。男のペニスがアナルを押し広げるのが分かる。それと共に痛みも。でも、毅彦はこらえる。こらえて、そのまま腰を落とす。ずずっと男のペニスがアナルをこすって入ってくる。少しずつ・・・そして、亀頭が毅彦の中に入り込んだ瞬間、あまりの痛みに毅彦は男の手をふりほどいて腰を浮かした。
「いっ痛ぅ・・・」
そのままソファから降りてお尻を押さえてしゃがみ込んだ。そんな毅彦を男が押さえつける。
「このガキ、命令も満足に聞けねぇとは情けない」
そして、その腰をつかんで、一気に毅彦の中に押し込んだ。
「ぎゃあぁ!」
毅彦が悲鳴をあげる。アナルから、男の体を伝って鮮血が流れ落ちる。男は容赦なく、毅彦の奥にまで突き入れる。
「い、痛、痛い」
男は激しく腰を使い始める。ぐちょぐちょという音が、その結合部から発せられる。
「や、やめて、助けて・・・」
しかし男はやめない、容赦なく毅彦の奥まで突き、そして抜ける直前まで腰を引き、またその腰を毅彦のお尻に打ち付けた。
「助けて・・・」
毅彦の声が弱々しくなる。
「は・・・」
男が腰を打ち付けたとき、毅彦の口から悲鳴ではない声が漏れた。裂けた毅彦のアナルから流れる血がオイル代わりとなって、その動きをなめらかにしていた。
「ほら、どうだ? 犯される気分は」
男は腰を毅彦のお尻に打ち付ける。二人の体がぶつかり合い、音を立てる。
「気持ちいいだろ、え?」
毅彦は涙を流していた。泣きながら、痛みをこらえながら、嫌がりながら・・・勃起させていた。
「この・・・変態が」
男が毅彦の後ろで言う。そして、毅彦の中に深く入ってくる。
「うぅ・・・」
腰を押さえつける男の腕に、毅彦は手を沿わせる。
「ほら・・・乱暴にされると気持ちいいんだろ?」
男は毅彦の体が前のめりになるくらい強く突き続ける。
「痛・・・痛い・・・よ・・・」
顔が涙と涎で汚れていた。汚れた顔を拭おうともせず、毅彦はその手で男の腕を強く握っていた。まるで、このまま腰を押さえつけて、さらに激しく掘ってほしい、とでもいうように。
「痛い?」
男が毅彦に問いただす。
「それを気持ちいいって言うんだよ、お前みたいな変態はな」
そして、いっそう強く腰を毅彦に打ち付けた。
「あぁ・・・ん」
毅彦の体がけいれんするかのように身震いした。その次の瞬間、勃起した毅彦のペニスから大量の精液が吹き出した。
「あぁあ」
毅彦が大きな声を出した。その時、男も毅彦の奥にたっぷりと精液を流し込んだ。

毅彦は床に崩れ落ちて、荒く息をしていた。その傍らで男がたばこに火をつける。男がなにも言わずに毅彦の髪の毛をつかんで、その頭を自らの股間に押しつける。そのまま男は自らのペニスをしごきだした。
「涙と涎でぐちゃぐちゃになって・・・ついでに俺の精液もかけてやる」
髪の毛をつかんだまま男はしごき続ける。やがて、男が毅彦に命じた。
「口を開けろ」
毅彦の開いた口めがけて、男が射精した。それは、毅彦の口、鼻、頬に飛び散った。
「舌で舐めろ」
毅彦は男に言われるまま、口の回りについた男の精液を舐め取った。

男が去った後も、毅彦は全裸で一人ソファに座っていた。男が言ったことを思い出す。
「明日もこの時間だ。もちろん来るよな?」
毅彦には断る、という選択肢はなかった。


翌日、学校が終わるとまっすぐに洋館にやってきた。来たくはなかった。しかし、逃げることも出来なかった。洋館に足を踏み入れる。まだ男は来ていなかった。少しほっとする。
ソファに座ってうつむいた。顔を覆って、これからどうなるのか考えた。
「早いな。そんなに犯られたいのか」
男が姿を現した。毅彦は体を固くした。
「そう固くなるなよ。どうせ犯られるんだから、お前も楽しんだ方が得だぜ?」
男がそう言って部屋に入ってくる。そして、その後ろからもう一人・・・
男よりも体が一回り大きい男が後から入ってきた。にやにやと笑いながら、その男は毅彦の体をなめ回すように見つめる。
「あ、あの・・・」
「お客さんだよ。うれしいよな、すぐに客がついて」
毅彦が言いかけた言葉を遮るように男が言った。
「さぁ、しっかり楽しませてくれよ」
そして、男は背負っていたリュックを床に降ろした。"客"と呼ばれた男も肩に下げていた鞄を降ろす。男のリュックからはビデオカメラが、"客"の鞄からは縄が出てきた。
「い・・・いや・・・」
毅彦は小さな声で言った。
「そう言うな。お前、M顔だから、いい絵が撮れるだろうぜ」
そして、男達は楽しげに準備を始めた。

毅彦の抵抗など、男達にとっては何の妨げにもならなかった。むしろ、男達の加虐性に油を注ぐようなものだった。"客"は抵抗する毅彦を殴りつけ、着ていた学生服をむしり取る。学ランのボタンがはじけ飛ぶ。かるがると両手を背中でねじりあげ、ズボンを下ろす。Tシャツを破り捨て、トランクスも引き裂かれる。あっと言う間に毅彦は全裸にされた。そして、そのまま縄で縛られる。その様子を男がずっとビデオに撮影する。
「いいねぇ、その表情。いじめられるのがよく似合う顔してるぜ、お前」
男がビデオの向こうで笑う。
「マジでMだもんな、お前は」
そして、ビデオが毅彦の股間に移動する。無理矢理全裸にされ、無理矢理縛られている毅彦のペニスは勃起していた。
そして、毅彦は"客"に犯された。容赦なくアナルに挿入され、喉奥までつっこまれ、顔中に精液をぶちまけられ、小便をかけられ・・・・・
その様子はすべてビデオに記録された。"客"の太いモノで犯され、泣きながら、しかし、誰にも触られずに射精する彼の姿も。


それ以来、毅彦は客の相手をさせられるようになった。
来る日も来る日も客に犯された。何人もの客に犯され、時には同時に数人に犯され、そしてそれを撮影される。客が帰ると男の番だった。すでに赤く腫れ上がった毅彦のアナルに男は挿入する。毅彦の泣き顔を見て男は満足する。そんな毅彦をけなし、辱めて男達は去っていく。しかし、翌日にはまた、別の"客"が毅彦を辱めた。

そんな日々は、しかし毅彦を少しずつ変えていった。ビデオカメラの前で陵辱され、"客"に辱められることが、少しずつ嫌ではなくなっていった。むしろ・・・

毅彦は教室に一人きりだった。クラスメイトが校庭にいるのを窓から見下ろしていた。体育の時間、体調が悪いと言って、一人教室に残っていた。
教室は静かだった。どこかから生徒達の笑い声が聞こえる。かすかに校庭から声が耳に届く。慎輔の声だった。毅彦は窓際の席から、ゆっくりと立ち上がり、慎輔の机の前に立った。慎輔の机・・・体操服に着替えた後の慎輔のズボンが椅子にかけてある。あたりをそっと見回してみる。授業中のこの時間に毅彦のことを見ている者など一人もいない。机の中を探る・・・ペンケースからえんぴつを取り出す。それを口に含み、舌を絡ませる。慎輔の机の前でズボンとトランクスを下ろす。すでに勃起している。えんぴつをアナルに入れる。慎輔のズボンを手に取る。ちょうと股間の裏のあたりを鼻にあてて、大きく息を吸い込む。慎輔のにおいがする。そして、そこを舌で舐めてみる。もう片方の手でアナルの鉛筆を動かしながら・・・勃起したペニスを慎輔の机に押しつける。下半身裸のまま、慎輔のズボンをはいてみる。ズボンの上からペニスを握り、しごいてみる。チャックをおろしてペニスを引っぱり出す。そして、机に押しつける。
静かな教室に毅彦のあえぎ声がもれた。毅彦は慎輔の机の上に放出した。
机の上に飛び散った精液を舐めてきれいにした。慎輔のズボンに少しついたのも同じように。
そして、ズボンを元に戻す。えんぴつもアナルから抜いて、軽く舐めて、ケースに戻した。

午後の授業はずっと慎輔を見ていた。慎輔の手に握られたえんぴつ・・・慎輔がはいているズボン・・・そして、今、慎輔が頬杖をついているあの机を・・・・・

学校が終わる時間、毅彦の携帯にメールが届いた。毅彦は教室で携帯を開く。男からのメールだった。
「今日は3人」
それだけだった。でも、それで十分だった。
メールを削除する。待受画面に戻る。それは毅彦が全裸で縛られ、勃起させている画像だった。自らの恥ずかしい画像を少しの間見つめる。
「毅彦、早く掃除手伝えよ」慎輔が毅彦に声をかけた。
「うん」毅彦は携帯をたたんでポケットに押し込んだ。携帯が勃起したペニスに触れる。ポケットに手を入れて、ペニスの位置をなおしてから、毅彦は立ち上がった。
(早く掃除を終わらせて、早く行かなくちゃ・・・)教室では他の生徒達が、すでに掃除を始めていた。慎輔はなにも気付いていなかった。


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