room
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目が覚めたらここにいた。

ここは・・・どこなのかは分からない。何もない部屋。だいたい・・・6畳くらいか、もう少し広い縦長の、ほとんど真っ暗と言ってもいい部屋。天井と壁のつなぎ目のあたりがほんの少し光ってて、かすかに回りが見える。
長い方の壁は、2面ともガラスみたいなつるつるした感じ。でも、真っ黒で向こう側は見えない。奥の短い方の壁は、コンクリートみたいなざらっとした感じだ。窓も何にもない。そのコンクリートみたいな壁とガラスみたいな壁の角の一方の床の部分が、30センチ四方くらいでくり抜かれて穴になっている。その穴の中には水が流れていた。
残る1面が、入り口になっている。壁は反対側と同じようにコンクリートみたいで、その中央に金属の扉があった。扉には取っ手が付いてるけど、鍵穴みたいなのはない。その扉の下の方に、小さな扉が付いている。それがこの部屋の全てだった。

目が覚めてから、扉を何度も叩いてみたし、叫んだりもした。でも、何の反応もない。この部屋の外には誰もいないんじゃないかと思った。
そして、僕はいったいどうなったのか・・・



塾の帰り道、いつものように僕等3人はコンビニに寄った。僕と陸はパン、大地はおにぎりを買って、いつものように途中の公園でそれを食べながら話をする・・・はずだ。でも、コンビニでパンを買ったのは覚えているけど、公園で食べた記憶がない。陸と大地と一緒に公園の入り口を入ったのは覚えてるけど、そこからぷっつりと記憶が途絶えている。そして、僕はここにいる。どこか分からない場所。
陸と大地はどうなったんだろうか・・・

部屋の隅で壁にもたれかかってぼんやりする。扉を叩いても何の返事もない。何をすればいいのか分からない。どうすればいいのか分からない。
ふと、おしっこがしたくなる。
(そういえば、喉が乾いたらどうしたらいいんだろう・・・)
それどころか、ここで餓死するのかも知れない、そうも考える。でも、とりあえずそれは後回しにして、おしっこをどうするか考えた。部屋の隅の壁に向かってするか、それとも・・・穴があった。あそこでするか。
(あの穴、何の穴なんだろ・・・)
さっき手を入れてみたときは水が流れていた。でも音はしてなかった。天井の方からの光は、穴の中まで照らしてくれないから、穴の中、水の中がどうなっているのか分からない。
(大きい方は・・・どうすればいいの?)
おしっこなら最悪、壁でもいい。でも、大きい方は・・・
ズボンのポケットに、コンビニでパンを買ったときのレシートがくしゃくしゃになって入っていた。それを取り出して広げる。それを穴に入れてみようとして、思い直して端の方を小さく切り取った。切り取った部分を穴に入れてみる。レシートの切れ端は、穴から壁の向こうに流れて消えていった。そのまましばらく待ってみても、切れ端は戻ってこない。
(水は流れてる)
僕は、とりあえずあの穴をトイレだと思うことにして、穴に向かって放尿した。

(でも、このままだったら・・・)
トイレはなんとかなるとして、水も食べ物もない。
(あれ、僕の鞄は?)
目が慣れてきたのか、暗い部屋の中も多少見えるようになっている。しかし、部屋のどこにも何もない。
(このままだったら・・・飢え死に?)
そう思うと急に怖くなる。また扉を叩いて叫ぶ。
「誰かいないの? 誰か!」
どれだけ叫んでもやはり反応はない。ただ、喉が乾くだけだった。
(水は流れてたし・・・大丈夫だ)
自分にそう言い聞かせて、僕はあの穴の水を手ですくって飲んだ。

(どうなってんだよ・・・)
考えても何も分からない。陸と大地は大丈夫なんだろうか・・・あいつらも、僕と同じようにどこかにいるんだろうか・・・
何も分からないまま、何も起きないまま、時間が過ぎていった。


うとうとしかけてたけど、どこかで物音がしたのをはっきり感じた。
「誰かいるの?」
扉の方に近寄る。と、そこに何かが置かれていた。小さいトレイの上にパンが二切れとコップに入った飲み物。小さい方の扉から入れられたようだ。
不思議なことに、その瞬間まで空腹であることを感じていなかった。それどころではなかったのかも知れない。でも、食べ物を見たとたん、僕の体が空腹をアピールし始める。
「誰かいるのなら、ここから出してよ」
扉を叩いて大声で叫ぶ。扉に耳を押し当てて何か音がしないか聞いてみる。しかし、何の反応もない。音もしない。僕は早々にあきらめて床に座り込み、パンを口にした。
小さなパンはあっという間になくなった。

それからしばらく扉のそばで何かが起きるのを待ってみた。
でも、何も起きなかった。



どれくらい時間が経ったんだろう・・・数時間くらいかも知れないし、数日かも知れない。暗いこの部屋の中で、僕は完全に時間の感覚を失っている。さっきもうとうとしていた。けど、うとうとしていただけなのか、眠っていたのかも分からない。食べ物はあれからもう1回、でも、それは僕が気が付かない間に入れられていた。物音がしたのかどうかも分からない。この部屋の中で、僕は何も出来ず、何かをする気力も失っていた。
そして、もう1回食べ物が運ばれてしばらくした時に、それは始まった。


何か、重苦しい音がした。
部屋の奥の隅で横になってうとうとしていた僕は、その姿勢のまま、扉の方に意識を集中させた。声は出なかった。いや、出せなかった。
誰かが部屋に入ってきた。そして、また重い金属音。扉が閉まったんだろう。足音が僕に近づいてくる。一人じゃない。二人?
(ひょっとして、陸と大地?)
いや、違う。もっと重い足音だ。
僕の顔に誰かの手が触れた。
「ひっ」
思わず声が出てしまう。何が起きるのか分からないけど、触られた瞬間、恐怖を感じた。しかし、すぐに腕と足を捕まれる。やっぱり、二人いる。
「は、放せ」
僕は叫んだが、そいつらは、何も言わなかった。何も言わずに僕の手足を押さえつけ、そして僕の服を無理矢理はぎ取った。あっという間に僕は全裸にされた。
誰かが僕のへその下に手を当てる。その手が降りていって、毛のところでそれに絡めるかのように指を動かす。もう一人は僕の頭を抱えてキスしてきた。顔は影になっていて見えない。胸のあたりにも手がはい回る。ちんこを触られる。足を持ち上げられる。お尻をなで回され、お尻の穴まで触られた。
「やめろ!」
僕は自由になった手で誰かの手をつかんだ。その手をどかそうとした、でも、全然動かない。太い腕だった。仰向けで床に押さえつけられたまま、誰かがお腹の上に馬乗りになった。足を持ち上げられる。お尻の穴に何かが突っ込まれた。
「痛い、やめろ!」
何かぬるっとした感触。そしてその何かが入ってくる。お尻の中で動いている。それが抜かれ、また突っ込まれる。それを何度か繰り返される。そして・・・
「痛っ」
太いものが突っ込まれる。さっきのより、太くて長い。それを出し入れされる。
「痛いって・・・やめてっ」
誰かの息づかいが荒くなる。何度も何度も出し入れされている間に、僕の体が熱くなる。誰かが息を吐く。誰かの動きが止まり、何かが僕のお尻から抜かれる。
すぐに僕の上に馬乗りになっていた誰かと入れ替わる。そして、同じような感触。またお尻に何か入れてきた。
「いぐっ・・・い、痛っ」
さっきより乱暴に入れてくる。同じように出し入れされて、同じように僕の体が熱くなる。息を吐く。抜かれる。
その誰かが僕の頭の方に来る。鼻がつままれる。息が苦しくなって口を開けると、何かが口に突っ込まれる。嫌な臭い・・・うんこの臭いだ。さっき、僕のお尻に入れられた何か、それを今度は口に突っ込まれる。無理矢理喉の方まで入れられる。そのままさっきお尻でされたみたいに出し入れされる。しばらくそれが続いたあと、口の中に何かが出された。僕はそれを吐き出したかった。でも、何かを口の中に入れられたままで吐き出すことが出来なかった。口の中に出された何かを僕は飲み込んだ。
やがて、誰かは僕の体から離れた。また扉の音がした。
しばらく身構えていたけど、その後は何も起きなかった。

お尻が痛い。吐きそうだし・・・僕は部屋の隅の水が流れている穴の方に這って行った。そこで飲まされた物を吐き出そうとした。けど、何も出てこない。口を濯ぐ。苦い嫌な味が口の中に残っていた。穴の横でしゃがみ込んで、お尻の穴を触ってみる。ぬるぬるしている。
(血?)
指でぬるぬるを拭ってみる。血がべっとりと指に付いていた。
「なんでだよ・・・」
僕は泣きそうになりながら、お尻を水で洗う。お尻が切れているのか、水がしみる。
(僕は犯されたんだ)
そう理解するには少し時間がかかった。
服を着ようとした。けど、誰かに脱がされたはずの服は、どこにもなかった。

全裸のまましばらく横になっているうちに、いつの間にか眠っていた。目が覚めたとき、部屋の扉のところにまた食べ物が置かれていた。前に食べてからどれくらい時間が経ってるんだろう・・・もう、時間が全然分からなくなっている。お腹だって、減ってるのかどうかも分からない。ただ、部屋に食べ物があるから食べてるだけだった。
そして、ここにいる時間で一番いやな時間・・・トイレ、大きい方。
部屋の隅の穴に行き、しゃがんできばる。
(あれ?)
そういえば、部屋がなんとなく明るい。そんなに変わらないけど、部屋の隅の穴のところから、扉が見える。さっきも隅で寝ていて、目が覚めたときに扉のところに食べ物が置いてあるのが見えたんだっけ。部屋を見回してみる。今、僕がしゃがんでいるところのガラスみたいな壁が、なんとなく光っている。はっきり分かるほどじゃないけど、真っ黒じゃない。ほんのわずか、かすかに・・・光が透けているっていう感じだった。
僕はうんこした後、お尻を水で洗って、その光が透けている壁に顔を近づけて見てみた。やっぱり、光が漏れている。でも、壁の向こうが見える訳じゃない。壁は壁だった。僕はその壁に向かってあぐらをかいた。
しばらくぼんやりと壁を見ていると、いつの間にか、壁は真っ黒に戻っていた。


それからどれくらい時間が経ったのか・・・また、扉が開き、誰かが入ってきた、僕は身構えた。案の定、また誰かが僕を押さえつけようとした。
「やめろ!」
腹に腕がめり込むのが見えた瞬間、息が出来なくなった。あっという間にお尻にぬるぬるしたものが塗られて、そしてまた入れられる。
「いっ痛っ」
前に切れたところがまた切れたみたいだ。僕がうめいてもその人は全然気にしない。僕の背中の方から腕を回して僕の腕をつかみ、お尻に勃起したちんこをねじ込んでくる。何度も何度も出し入れされているうちに、僕は床に押し倒される。そのまま犯られる。腕を後ろに回してそいつの腕を掴もうとする。でも、逆にそいつに腕を押さえられる。そのまま、ずっと犯される。
「やめろ!」
叫んでいるうちに・・・僕のちんこが床にこすりつけられて勃起しているのに気が付いた。僕を立ち上がらせる。立ったまま、お尻を犯される。そのまま壁に押しつけられる。僕の体全体を壁に押しつけるようにして、お尻を犯し続ける。ちんこが壁に押しつけられる。そして、自分でも信じられないけど・・・
(気持ちいい)
そう感じた。僕は男に犯されながら、自分でちんこをしごき始めた。

そいつが男だと分かったのは、腕の太さと、何となく顔が見えたからだ。また壁がかすかに光っていた。僕は男にお尻を犯されながら、その壁にちんこを押しつけ、腰を振っていた。自分がおかしくなっている。誰も見ていないこの薄暗い部屋で、僕は今までとは違う自分になっていた。
終わったあと、やっぱり血が出ていた。また穴のところで水で洗う。水がしみる。けど、前とは違う。自分でお尻の穴に指を入れてみる。まだ少しぬるぬるが残っている。指を出し入れしてみる。なんだかむずむずするような感じがする。しばらくそうしているうちに勃起した。そのままオナニーする。自分のお尻の穴に入れていた指の臭いをかいでみる。うんこの臭いがする。そして、精液の臭いも。僕はその指を舐める。そして射精した。

壁がかすかに光っている間に、僕は水で自分の体を洗った。そして、また部屋の隅にうずくまった。壁は真っ黒に戻っていた。

しばらくは何も起きなかった。
そして、それは突然だった。


突然、部屋が明るくなった。あの壁から明るい光が射している。壁を見ると・・・壁の向こうに陸がいた。
透明になった壁の向こうで、全裸の陸が男に犯されていた。さっきの僕と同じように、壁に押しつけられて。


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