「陸!!」
僕は壁に向かって叫んだ。
「やめろ、陸から離れろ!」
しかし、陸は反応しない。男は陸の後ろからその体を抱きしめ、腰のあたりを陸のお尻に打ち付けるようにして動かしている。
「陸! 陸!!」
僕がどれだけ叫んでも、陸は僕の方を見ようともしない。
「おい、陸、僕だって」
壁の前に立って、陸の顔の前で言う。でも、陸の目は僕を見ない。
(見えてないんだ)
たぶん、壁のこっちから陸の方は見えるけど、陸の方から僕は見えないんだろう。陸は僕がここにいることに気が付いてないんだ。
「陸・・・」
僕は壁に押しつけられている陸の手に、壁のこっち側から手を重ねた。陸の口が少し開いている。その様子は・・・
(さっきの僕と一緒だ)
陸は気持ちいいと感じている。そう確信した。そう思ったとたん、僕は勃起した。
(陸・・・)
陸のちんこは勃起していた。勃起したまま壁に押しつけられ、先走りが壁に跡を付けている。
(陸の・・・)
陸の勃起したところを初めて見た。僕はその前にしゃがみ込んだ。僕の目の前で陸のちんこが壁に押しつけられている。先走りがたくさん出ていた。
僕は、壁にへばりついた。そして、陸のちんこが押しつけられているところを舐め始めた。
音は何も聞こえない。でも、さっき僕がされていた時みたいな音がしているはずだ。その音が聞こえる気がする。陸のあえぎ声が聞こえる気がする。僕はそれを感じながら陸のちんこを舐め続けた。いつの間にか、自分のちんこもしごいていた。
壁の向こうの陸のちんこを舐めながら、ときどき陸の顔を見上げる。陸は少し涎を垂らしながら、口を開けている。その口に壁のこっちからキスをする。そのまま下がって、またちんこのあたりを舐める。壁に押しつけられている亀頭の裏側とか、竿のところとか。
ふと、なんとなく明るさが変わった気がした。なんていうか・・・ほとんど透明だった壁が、もっと透明になった感じ。かまわず僕は陸のちんこだけを見て、それを舐め続ける。もちろん、自分のもしごきながら。
「あぁ・・・陸」
また陸にキスしたいと思った。上目使いで陸の顔を見上げる。と、目が合った。そのまま立ち上がって陸の顔に僕の顔を近づけた。陸の目が僕の動きを追っていた。
(見えてる)
さっきとは違っていた。陸の目の動き、表情、しぐさ。そのすべては僕が見えていることを物語っている。ということは・・・
「陸!」
僕は壁を叩いた。陸も壁の向こうで叩いた。
「陸!」
壁の向こうで、陸を後ろから犯している男が、陸の顔をつかんで横に向ける。陸の口を貪る。舌を伸ばし、陸の口を犯す。
「陸!」
陸が口を開く。舌を絡めている。でも、目だけは僕の方を見ている。男が陸の体全体を壁に押しつける。動きが早くなる。陸の顔が真っ赤になっていた。
何か言っている。初めは僕に向かって。そして、僕から目をそらして。
「え、なに?」
僕は陸を見つめる。その口の動き・・・何を言っているのか分かった。
(見ないで)
僕が気が付いた時、陸のちんこから精液が吹き出した。僕はその瞬間を見た。男は射精した陸を犯し続けている。陸の精液が、陸の体で壁に塗り広げられていく。
僕は、壁の前にしゃがみ込んだ。陸の精液が壁の向こうにある。僕はそれに舌を伸ばした。
ちらりと上を見る。陸が僕を見ている。僕は壁を舐めた。壁の向こうの陸の精液を舐めた。
陸の精液を舐めている最中、壁が暗くなり、陸が見えなくなった。
「陸・・・」
(今、この壁の向こうで陸が犯されている。陸の精液がそこにあるんだ)
僕は壁の前に立って、自分のちんこをしごいた。そして、さっき陸のちんこがあったあたりに射精した。そのまましゃがみ込んで、自分の精液を舐めた。陸の精液だと想像しながら。僕のちんこは立ったままだった。
射精してしばらくすると、かすかに光っていた壁が真っ黒になった。
(隣に陸がいた・・・)
暗い部屋の中で考えていた。
(だったら、大地もいるはずだ)
さっき陸がいたのと反対側の壁に近づいてみる。
(この向こうか・・・それとも、陸の部屋の向こうにも部屋があって、そこにいるのか・・・)
とにかく、たぶん、部屋が少なくとも3つ並んでるんだろう。そして、その壁は、今みたいに真っ黒になる時と、さっきみたいに隣が見える時があるんだ。
(初めは陸には僕が見えなかった)
陸が気が付かなかったってことじゃない。僕は陸のすぐ前にいた。でも、陸の表情とかからは僕が見えてなかったって確信がある。
(でも、途中からは見えるようになった)
いつからだろう・・・僕はそのとき、陸の前にしゃがみこんで・・・
急に恥ずかしくなった。僕が壁のこっち側から陸のちんこを舐めているところを見られたはずだ。しかも、自分のちんこをしごきながら。
(変態って思われたよな・・・)
顔が熱かった。たぶん、恥ずかしさで真っ赤になってるんだろう。
(でも、陸だって・・・)
陸は男にお尻を犯されて射精していた。自分ではしごいてないのに。男にしごかれてたわけでもない。誰もちんこを触ってないのに、お尻を犯されただけで射精していた。
(あれだって・・・変態だよな)
その時の陸の表情を思い出す。真っ赤になってた。そして、見ないでって口が動いてた。陸だって恥ずかしかったんだ。
(僕等って・・・変態同士かも)
陸を見ながら、陸に見られながらしていたことを思い出すと勃起する。僕は立ち上がって、勃起したちんこを壁に押しつける。そして、腰を動かす。
(あっちで陸が見てたりして)
体の奥で何かがじんじんしていた。
扉が開く音がした。誰かが入ってくる。僕は体を堅くする。
でも、ちんこは勃起していた。
(犯されてるとこ、陸に見られるのかも)
男が僕を立たせる。僕は抵抗しない。お尻に何か塗られる。男が入ってくる。
「あぁ」
体の奥のじんじんするところが大きくなった気がした。
しかし、結局男に犯されている間、壁はかすかに光ってはいたけど、透明になることはなかった。
(でも・・・)
犯されて射精させられたあと、まだ勃起は収まらなかった。陸みたいに犯されただけで射精できるかと思った。でも、無理だった。お尻を犯されながら、自分の手でしごいてようやく射精した。
(気持ちよかったけど・・・)
最初の頃とは違っていた。もう何回もされていて、慣れてきたのかも知れない。でも、陸が・・・お尻を犯されるだけで射精していたのを見てから、何か変わった気がする。自分も陸のようになりたいと思っていた。そして、そうなった自分を陸に見られたい、とも。
(でも、この壁、どうなってるんだ?)
男が部屋から出て行った後、もう一度壁にへばりつくようにしてよく見てみた。今は真っ黒だ。真っ黒だったり、かすかに光っていたり、透明になったり。透明になっても、陸の方から見えたり見えなかったり。
(ひょっとしたら・・・)
今まで、壁は4通りの状態があった。たしか、僕からは陸が見えて、陸から僕が見えない状態から、僕からも陸からもお互いが見える状態になったとき、透明だった壁がもっと透明になった気がしたんだっけ。つまり、明るい壁がもっと明るく。
ってことは、明るくなると見えるようになるのかも知れない。
一番明るいときは、こっちからも陸からもお互いが見える。
それよりほんの少し暗いときは、僕から陸は見えるけど、陸から僕は見えない。ほんの少し違うと、陸の方から僕が見える、見えないが変わるんだ。
あと、たぶん、真っ黒の時は、お互い見えないんじゃないだろうか。
だとしたら、もう一つの状態、かすかに光ってるとき・・・つまりほんの少し明るい時は、こっちから陸は見えないけど、陸から僕は見えてるんじゃないだろうか。
僕は壁に近寄った。今まで何回か、かすかに光ってた時があった。そのとき、僕は犯されてたり、一人でしごいてたり、お尻を洗ったりしてた。あれが全部陸に見られてたのかも知れない。
少し恥ずかしいと思う。でも、今更・・・お互いもっと恥ずかしいところを見せ合ったんだから。
でも、それだと・・・陸の部屋と反対側にある壁は、今までかすかに光ったことはない。もちろん、透明になったことも。ってことは、たぶん、陸の部屋が真ん中で、僕はこっち側。陸の部屋の向こう側に大地がいる部屋があるんじゃないだろうか・・・そして、そこで大地も犯されてるんじゃないだろうか・・・その壁が透明になって、僕と陸がしたみたいに、大地と陸もしてるんじゃないだろうか。
また体の奥がじんじんしていた。
それから何回か、僕は犯された。壁は真っ黒だったり、かすかに光っていたり・・・透明になったのは、1回だけだった。そのときは僕は犯されてたけど、陸は一人だった。僕はあのとき陸がそうだったように、陸の部屋との間の壁に押しつけられてお尻を犯された。僕はちんこを透明の壁に押しつけ、こすりつけた。陸はそれを見ている。はっきりと見ていることを感じる。僕の目の前で、犯されている僕を見ながらしごいていた。僕は顔を壁にくっつける。陸が顔を近づける。僕は壁に唇を付ける。陸も同じようにした。僕等は壁を挟んでキスをした。壁を舐める。向こうで陸も同じようにする。
(陸とキスしたい)
ここに来るまでそんなこと考えたことなかったのに・・・今は陸に、男にされていることと同じようなことをされたい、したいと思っていた。陸に見られながら、陸とすることを考えながら男に犯されている。僕の体の奥のじんじんが体中に広がっていく感じ、それがまた体の奥、ちんこの根本の方に集まっていく感じ・・・
「ああっ」
そして、触っていないのに精液が透明の壁に飛び散った。ちょうどその向こうに陸の顔があった。お尻を犯されながら、僕は陸の顔めがけて何度も射精した。
いつもなら、このあと男が僕の中に出して終わりだった。けど、その時は男はずっと僕のお尻に入れたままだった。なかなか終わらない。僕のちんこも1回射精したけど、まだ立ちっぱなしだ。陸に見られながら射精して、そのあとも勃起したまま犯され続けている。陸が透明の壁の向こうで、壁のこっち側に飛び散った僕の精液のところを舐めている。陸のちんこもずっと勃起したままだ。陸の部屋の扉が開いて男が入ってきた。そのまま、陸のお尻を犯す。陸と僕が透明の壁を挟んでお互い犯されていた。壁越しに僕と陸の体が合わさる。手と手を合わせる。ちんこをこすりつける。
「陸・・・」
壁の向こうの陸の顔にむさぼるようにキスをする。陸も同じようにしてくれる。
「あぁ」
気持ちいい。こんなに気持ちがいいなんて・・・
と、陸の部屋の向こう側の壁が透明になっていることに気が付いた。さっきまでは黒かったはずだ。そして、その向こうで大地が僕等と同じように犯されていた。陸もそのことに気が付いた。僕と大地は、ここに連れて来られて初めてお互いの姿を見た。お互い、犯されている姿を。大地もちんこを壁にこすりつけていた。大地のちんこは僕や陸より大きかった。陸が壁から離れる。陸の部屋の真ん中くらいで床にうつぶせにされて、その上から男が犯し続けている。大地の姿がよく見えるようになった。大地の顔がなんだかにやけているような感じだった。それは気持ちがいい顔なんだって分かった。たぶん、僕も同じような顔をしているんだと思う。もちろん、陸も。
大地が体をくねらせている。たぶん、気持ちよくてあえいでるんだ。僕も大地に見られながら犯されて気持ちいい。声を聞きたいと思う。僕と、陸と、大地。一緒にあえぎたかった。
それからしばらくは、壁はずっと真っ黒だった。その間、犯してもらえなかった。ただ、時間だけが過ぎていく。このままもう犯してもらえないのか、陸や大地が犯されてるところを見られないのか、陸や大地に見てもらえないのか・・・そう思うと体が熱くなる。寝ているとき以外、ほとんどの時間、ちんこが勃起していた。
何回目かの、ひょっとしたら何十回目かの食事のあと、僕は眠っていた。犯される夢をみた。相手は大地だった。大地のおっきいちんこで犯されていた。横で陸が見ていてくれる。そんな陸とキスをする。舌を絡め合う。陸にも犯される・・・
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