「どうでしたか?」
あの人が、鳴瀬君の穴に入れたまま僕に尋ねた。
「気持ちよかったです」
僕は、荒木君の穴に入れたまま答えた。そして、荒木君の穴からちんこを抜く。すると、荒木君が体の向きを変えて、僕のちんこを口に咥えた。さっきまで、荒木君と鳴瀬君の穴に入っていたちんこを。
「そう。Mはちゃんとご主人様のペニスを口できれいにしなければ」
そして、鳴瀬君の穴からちんこを抜く。
「ほら、君もですよ」
鳴瀬君のお尻を叩く。鳴瀬君はゆっくりと体の向きを変え、そしてその人のちんこをしゃぶりだした。
「啓人のアナルに入れるのは、初めてですか?」
しゃぶられながら尋ねる。
「はい。初めてです」
僕もしゃぶられながら答える。
「気持ちよくなって頂いて、私もうれしいです」
そして、僕のちんこをしゃぶっている荒木君に尋ねる。
「啓人はどうだった? 友達にMとして使われて」
「友達じゃ無い。セクフレだよ」
いつもの荒木君に戻っていた。
「でも、気持ち良かった」
そして、また僕のちんこを咥える。
「荒木君、ひょっとして・・・」
さっきのことを思い出す。僕がいったとき、荒木君も声を出していた。
「ひょっとして、トコロテンした?」
僕のを咥えながら、荒木君がこくっと頷いた。
「そうか・・・それはよかった」
あの人も、あの言葉遣いじゃなくなっている。そして、鳴瀬君に尋ねる。
「あなたはどうでしたか?」
鳴瀬君に対しては、まだあの丁寧な言葉遣いだ。
「痛かったけど・・・気持ち良かったです」
あの人を見上げながら答えた。
「あなたは射精しましたか?」
「いえ・・・まだです」
すると、あの人は、鳴瀬君を立ち上がらせ、代わりにベッドに上がり、仰向けになった。
「では、私の上に跨がって自分で入れなさい」
見れば、あの人のちんこはまだ勃起している。鳴瀬君がその体に跨がる。あの人のちんこを左手で持って、そこにゆっくりと腰を下ろす。学級委員が、自分であの人のちんこを穴に入れていた。
「あぁ」
「そのまま騎乗位でやりながら、二人に見てもらいながらオナニーしなさい」
「はい」
鳴瀬君がちんこを右手で掴み、そしてその手と体を上下に動かし始めた。
「あ・・・ん」
その動きは徐々に速くなっていく。
「いく時は、ちゃんと事前に断らなければなりませんよ」
「はい」
手の動きが速くなる。
「ううっ」
時々声が漏れる。ちらりと僕を見て、荒木君を見る。俯いてしごくのに集中する。
「ああ、いきそうです」
「いかせてください、ですよ」
「い、いかせて、くださ・・・」
言い終わる前に、鳴瀬君のちんこから精液が迸った。それはあの人の体を越えてシーツを濡らした。
僕とあの人はソファに座っていた。二匹のMは、僕のちんこを荒木君が、あの人のちんこを鳴瀬君がしゃぶり続けていた。
「博史君、取り引きしませんか?」
「取り引き?」
急にあの人が言い出した。
「啓人をあなたに差し上げます。その代わりにこの子を私がもらう。いかがでしょう?」
あの人は鳴瀬君の頭を撫でながら言った。
「啓人、いいよね?」
荒木君は僕のちんこをしゃぶりながら頷く。
「君は、私のペットになる。たっぷりかわいがってやる。それでどうだ?」
鳴瀬君も頷いた。
「二匹は異論はないようだ。あとは、博史君次第だ」
もちろん、僕にとっても異論は無い。でも、僕は少し躊躇する。
「あの・・・」
「なに?」
あの人は、優しそうな顔に戻っている。
「僕は、その・・・Mな荒木君もいいんですけど・・・」
そこで一旦区切った。荒木君の顔を見る。荒木君が僕のちんこを咥えたまま、僕を見上げている。目が合った。
「僕は、荒木君とは何て言うか・・・同じ立場っていうか、そういう関係がいいです」
「対等で、ということかな」
「そう、そうです」
もちろん、今日、Mな荒木君を犯したのも興奮した。でも、あのぶっきらぼうな荒木君にされるのももちろん気持ち良い。だから、僕は荒木君とは対等でいたい。僕にはどうやらSっ気があるってことを今日気付かされた。そして、荒木君は本当はMなんだってことも知った。でも、僕にとっての荒木君はいつもの荒木君だ。そんな荒木君と対等のセックスフレンドでありたい、というのが僕の望みだ。
「啓人、どうする?」
「別にいいけど」
久しぶりに聞いた荒木君の口癖だ。それがなんだか凄く嬉しい。僕は荒木君を立ち上がらせて、その体を抱き締めキスをした。荒木君も僕を抱き締める。お互い口を貪る。それを鳴瀬君が見上げている。
「でも、時々使ってあげる、Mとしてね」
「別にいいけど」
荒木君が口癖で返す。
「そこは、『分かりました、ご主人様』でしょ?」
荒木君が溜め息を吐く。そして、口を開いた。
「分かりました、ご主人様」
そんな僕達を、あの人は笑顔で見ている。僕は荒木君の頭を僕の股間に導いた。荒木君が口でしてくれる。もう、荒木君は僕のものだ。僕のセックスフレンドだ。
「あ、いく!」
僕は荒木君の口の中で今日2回目の射精をした。
「鳴瀬君、どうなるんだろうね」
帰り道、僕等は歩きながら話し合っていた。
あの後、僕と荒木君は先に帰るように言われた。鳴瀬君にはまだもう少し話があるようだった。
「さあ・・・」
「今頃、また何かされてるのかな」
僕等がいたら出来ないようなことでもされているんだろうか・・・
「Mとしての主従契約書でも書かされてるんじゃないかな」
「しゅ、しゅじゅ・・・う?」
僕には意味が分からない。
「ご主人様の命令に従いますって契約書だよ」
「荒木君も書いたの?」
「俺は書いて無い」
「へぇ」
(なんで書いてないのに知ってるんだろう)
でも、書いてないってことは、あの人の命令に従うって約束はしてないってことだ。少しほっとする。
「じゃ、僕とその契約してくれる?」
荒木君は答えない。答えてくれない。
「僕じゃ・・・だめ?」
正直、少し申し訳ない気がしていた。結局、僕があの人と荒木君の関係を壊してしまったようなものだから。
「ごめんね、僕のせいで、あの人と・・・別れるみたいになっちゃったの」
「そんなこと・・・別にお前のこと嫌いじゃ無いし」
荒木君の口からそんなことを聞いたのは、初めてのような気がする。
「嫌いじゃ無い?」
「うん。嫌いじゃ無い」
僕は溜め息を吐く。
「荒木君、あの時、僕の手だけ握ってくれたよね」
さっき、僕とあの人が、荒木君と鳴瀬君を掘っていた時のことだ。荒木君は腰を掴んでいた僕の手を握ってくれた。あの人が荒木君を掘っているときは、そんなことはしていなかった。
「たまたまだよ」
「ふぅん」
二人とも、しばらく何も言わなかった。
「あの人、言葉遣い、いつもと違ったろ」
荒木君が話を変えようとした。
「Sモードになると、ああなるんだよ」
「僕の事は好きじゃない?」
「えっ」
僕は話を元に戻す。
「だから、嫌いじゃ無いけど、好きでもないってこと?」
荒木君は答えない。
「前にも言ったと思うけど、僕は荒木君が好き」
僕は立ち止まった。
「だから、もし、荒木君も僕が好きなら、ここでキスして。そうじゃないって言うのな・・・」
そこまで言ったところで、荒木君が僕の口を口で塞いだ。
「好きじゃなかったら、こんな関係になったりしないだろ、普通」
そうかもしれない。でも、鳴瀬君の場合はそうじゃない。そして、僕等の関係のスタートは、言ってみれば、鳴瀬君の場合と大して変わらない。
「だったら、ちゃんと言ってください」
あの人の口まねをしてみた。つまり、Sモードってことだ。
「お前が・・・三島君が・・・」
そこで荒木君は俯いた。
「ご主人様が、好きです」
小さな声だった。でも、はっきりと僕には聞こえた。
(あ、こいつ、可愛い)
僕は、荒木君をぎゅっと抱き締めた。
「やっぱ、荒木君ってMなんだね」
「うるさい」
荒木君が真っ赤になっている。
「僕の前じゃ、どっちかって言うとSっぽかったのにね」
「うるさい」
「でも、Mなんだね」
「うるさい」
僕は荒木君の頭を撫でてやった。
「もっと僕にホントの荒木君を見せて・・・くださいね」
「はい・・・ご主人様」
なんだか少し照れくさかった。
「あのさ・・・僕、ご主人様って言われても、何すりゃいいのか分かんないんだよね」
「ご主人様はご主人様だろ」
「そりゃそうなんだけど・・・」
今日初めて自分がSだと気付いた訳で、だから、完全な初心者ご主人様ってことだ。
「だからさ・・・しばらくは今まで通りの関係で良くない?」
でも、それだとMな荒木君は満足できないのかもしれない。
「もちろん、こんなことして欲しいっていうのがあったら、僕に出来ることはするからさ」
「何それ」
今の気持ち、どう伝えればいいのか分からない。僕は少し考えた。
「つまりさ、お互いどうしたいとかどうなりたいってのを、ちゃんと伝え合って、そうなって行ければ、みたいな」
伝わっただろうか。荒木君の望む自分になりたい。そうなるために、荒木君の助けも必要ってことなんだけど。
「別にいいけど」
「出た!」
でも、これで僕等はいつも通りに戻った。SとかMとかご主人様とか関係ない、ただ、セックスするための友達、セックスフレンドに。前と違うのは、荒木君も僕のことが好きだってことがはっきり分かったことと、その先、いつか僕がちゃんとご主人様になって、荒木君を満足させてやりたいって気持ちがあるってことだ。
「じゃ、さっきの・・・しゅじゅう契約書?」
「主従契約書」
「それ。作ってくるからさ、荒木君名前書いてね」
そこに書かなきゃならないことはたくさんあった。荒木君に求めることだけじゃ無い。僕も立派なご主人様になるように努力することも入れておかないと。
「別にいいけど」
予想通りの答えだった。
次の月曜日、僕等のクラスの学級委員、鳴瀬君・・・あの人のペット・・・は学校を休んだ。あのこととなにか関係あるのかもしれない。でも、荒木君の話では、普通の生活に支障のあるようなことは絶対にする人じゃないってことだから、きっと違うんだろう。ただ、裸でプレイして風邪ひいた、とかはあるのかもしれないけど。
というのも、僕も少し風邪をひいてしまったからだ。あの後、家に帰って荒木君との契約書を書こうと思ってたけど、全然書けなかった。何を書けば良いのかも分からないけど、それよりも、熱が出ちゃったからだ。
結局、今日になっても全然書けていない。だから・・・
昼休み、僕は屋上に行った。荒木君がいる。荒木君には今朝、LINEで昼休みに屋上集合って伝えてあった。
「今日、ウチに来てね」
「今日、月曜日だけどいいの?」
「お前、何しに来るつもりだよ」
いつか、荒木君にこんな感じで言われたと思う。その仕返しだ。
「今日は、荒木君の契約書を作るんだよ」
「俺の・・・」
「そっ。僕のものになるって契約書ね」
ホントはちょっと違う。確かに荒木君が僕のものになるっていうようなことは入れる予定だ。でも、僕も荒木君のものになる、荒木君の望むご主人様になるってのも書かなきゃならない。
「ネットで奴隷契約書っての見つけたから、それ参考にして、さ」
「別にいいけど」
「よし、決まりね」
そして、僕はズボンの上から荒木君のちんこを握る。
「少し立ってる」
荒木君も僕の股間に手を這わせる。
「お前も」
授業が始まるチャイムが鳴る。みんな、屋上から降りていく。僕等二人は最後まで残った。そして、誰もいなくなった校舎の屋上で、固く抱き合い、股間を押し付け合い、口を貪り合った。
「じゃ、放課後、校門でね」
二人で階段を降りていく。それぞれの教室に別れる。
「あいつ、隣のクラスだろ? お前、あいつと友達だったっけ?」
クラスの奴に言われた。
「それ以上だよ」
僕は笑顔で答えた。
<セクフレ以上 友達未満 一応・・・完> |