「彰(しょう)〜」
帰ろうとしている僕の背中を呼び止める声がした。僕は靴を履きかえながら、顔だけ振り返る。
「待ってよ、一緒に帰ろう」
智だった。
(またかよ・・・)
少しうんざりしながら、僕は智に尋ねる。
「なに、今日は部活なんじゃないの?」
「別に」
って、別にって答えはないだろうに・・・僕は智の顔を見つめる。
「いや、その・・・サボり」
智が少し顔を背けながら言った。
「サボっていいの?」
「まぁ・・・いいじゃん」
そう言って、智は靴を履き替えて、僕の背中を押して校庭の方に歩き出した。
「今日、暇?」
智は後ろからそう問いかける。
「別に予定とかないけど・・・」
「んじゃさ、俺に付き合え!」
智はうれしそうに言った。
「別にいいけど?」
「やったぁ」
智が笑顔で僕の肩に腕を回してきた。
「デートだデート」
はしゃぐ智をうっとうしいと思わないでもないけど、でも、悪い気はしなかった。
そして、僕等2人は一緒に歩いた。智は本当にうれしそうだ。そう、智は本気で僕のことが好きだ。僕はそれを知っている。僕も智のことは嫌いじゃない。
でも・・・
「ね、マック行こ、マック」
智が僕の手を引いて早足で歩く。
「新しいメニューあるの知ってる?」
僕の手を引きながら、後ろ向きになって歩く。
「期間限定なんだってさ。もう、絶対食べてみないとね」
なんで智はこんなにはしゃぎまくってるんだろう・・・新メニューについてあれこれしゃべり続けている智の顔を見ながら僕は思った。別に、デートだからって、こんなにはしゃぐことないんだけどなぁ・・・でも、智にとって、デートってこんなに楽しいものなのかな?
普通は、デートって楽しい事なのかな? 僕等くらいの歳だったら・・・
駅前のマックで注文の列に並びながら、智はあいかわらずはしゃいでしゃべり続けていた。そんな智の話を聞き流しながら、僕は店内を見回す。この店は、よく待ち合わせに使う場所だ。今日は待ち合わせはしていないから、いるはずはないんだけど、でも、いつもの癖で少し顔を伏せ気味にして店内を目で探してしまう。
「ほら、彰、頼むだろ?、新メニュー」
いつの間にか僕等が注文する番になっていた。
「あ、うん」
智がセットを二つ注文する。
「あ、僕はサラダセットで」
智の背中越しに僕はそう付け加える。トレイを持って、席を探す。店の奥の方も、また目で探す。もちろん、智には気付かれないように・・・
「うっわ〜すげっ」
新メニューのボリュームに智が感嘆の声を上げた。でも、僕は前に食べたことがあった。ここで、あの人といっしょに・・・
「ね、この後どうする?」
智が口いっぱいに頬ばりながら聞いてきた。
「う〜ん・・・家でゲームとか?」
「了解、ウチ今日誰もいないし」
智がまたうれしそうな顔をする。それには理由があった。僕が智の家に行くということは・・・
前に智の家に行ったとき、僕たちはキスをした。いや、正確には"された"、というべきか・・・
「ねぇ、彰・・・キスさせて」
そう僕に言った智の心臓がバクバクしているのは、別に胸に手を当ててみなくてもよく分かった。
「ごめん」
僕は断った。別に智とキスするのが嫌なわけじゃない。むしろ、キスしたいと言ってくれたことがうれしかった。でも、僕は・・・
「なんで?」
智が真顔で聞いてくる。そのまま顔を近づけてきて・・・
結局僕は智がキスしてくるのを拒まなかった。これ以上断ったら、智がかわいそうだから。キスが終わったあと、智は僕を強く抱きしめた。
「彰のこと、めちゃめちゃ好き」
そう、ささやくように言う智。でも、僕は・・・
せめて、智が満足するまで、抱きしめられていてあげようと思った。
僕を好きでいてくれる智への感謝の気持ちとして・・・
こんな僕なのに、好きになってくれる智に。
「キスはだめだよ」
僕もハンバーガーをかじりながら、前もってそう宣言した。
「え〜」
智のでっかい声に、回りの客までちょっとこっちを見る。
「なんでだよう」
智がすねたように言う。学校じゃ見ることはできない表情だった。
「俺、嫌い?」
智の表情が変わる。少し上目遣いのその表情、この表情には負けそうになる。
「嫌いじゃないけど・・・でも、だめ」
「ちぇっ・・・・・」
でも、智があきらめていないことくらい、わかっていた。
それでも智の家に行くのには理由があった。
別に大した理由でもないけど・・・ここには智と居たくない、というだけの理由。
「いらっしゃいませ」
今日は比較的すいている。いつものように少し顔を伏せながら、目で店内を探す。あの人はまだ来ていないようだった。
「店内でお召し上がりですか?」
僕は頷いて、ハンバーガーとコーラを注文した。トレイを持って、店の奥の席に座る。学校帰り、ハンバーガーをゆっくりとかじりながら、あの人が来るのを待った。
智の家でお菓子を食べながら話をしていた。話が核心に近づくと、話をはぐらかすように僕はゲームを始める。智も一緒にプレイする。ゲームをしていたら、そっちに集中するからキスの話になることはないと思ってた。
でも、ゲームの最中、急に智が僕に覆い被さってきた。
「な、なにっ」
油断していた僕はコントローラーごと智の体の下敷きになって、そしてキスされた。
「やめろって」
手で智の体を押しのけようとしながら言う。
「なんでだよ?」
智が上半身をおこして、両手で僕の肩を押さえ込む。
「彰だって、俺のこと好きなんだろ?」
智は僕の気持ちを知っている。僕だって智が嫌いじゃない。むしろ、智のことは好きだ。小学校4年で同じクラスになって、それから4年、ずっと一緒のクラスで、ずっと親友で、ずっと好きだった。
「好きだからって、無理矢理していいってもんじゃないだろ?」
そして、僕は智の手を振り払った。智は怒ったような、でも悲しげな顔をしていた。
「わかんない」
智がそう言った。
ゆっくりと食べていたハンバーガーが半分くらいになったときに、あの人が現れた。すぐに僕を見つけると、片手を軽くあげた。僕は小さく頭を下げる。
やがて、あの人はコーヒーだけ載せたトレイを持って、僕の前に座る。そして、時計を見る。
「もうあんまり時間ないな」
僕は残りのハンバーガーを二口で食べ尽くし、残っていたコーラも一気に飲み干した。あの人もコーヒーをあわただしくすすり込む。
「じゃ、行くか」
僕等は席を立ち、店を出た。
「だから・・・そういうの、嫌なんだよ」
僕は智と目をあわさない。結局、いつも通りになる。智の気持ちもよく分かるし、僕だって・・・でも・・・
「じゃ、なんで来るんだよ・・・」
悲しげな声の智がかわいそうだと思う。
「俺、彰が好きだって知ってるくせに、なんで俺ん家に来るんだよ!」
智が怒っても仕方がないと思う。僕はなにも言わずに立ち上がった。
「待てよ。ねぇ、待ってよ」
智が引き留めるのを無視して、僕は智の家を出た。
これが僕等の関係だった。決してお互いのことが嫌いなんかじゃない。喧嘩するわけでもない。でも・・・こんな僕には、智に好きでいてもらう資格なんかないんだ。
それでも僕等はこうして一緒に居たいと思うし、一緒に居るといつもこうなってしまう。そして、翌日にはいつものように普通に親友に戻るんだけど・・・
ほんと、智には悪いと思ってる。こんな僕で・・・ほんとに。
僕は、あの人に促されるままホテルの部屋に入った。
「お待たせしました」
あの人がそう言う。そこには4人の男が待っていた。ぼんやりとテレビを見ていたり、本を読んだりして所在なさげにしていたその4人が、一斉に学生服姿の僕を見る。
「それじゃ、さっそく始めましょうか」
僕は、あの人と4人の男に見つめられながら、ベッドの上に上がった。
家に帰る途中、携帯にメールが来た。智からだ、というのは見なくてもわかっていた。
「ごめん」
それだけだったけど、それで僕等はいつもの関係に戻る。ある意味、"お約束"のようなものなのかも知れない。僕だって、智が好きだから。
「ごめん、智」
僕はつぶやいた。これもいつものことだった。
僕は背中を壁にもたれかけ、足はベッドの上に投げ出すようにしていた。ベッドの回りに男達がしゃがみこんでいる。
僕はズボンの上からペニスを触る。4人の男がそこを見つめる。すぐに僕のペニスは勃起する。ズボンの上からそれを握り、手を上下させる。目を閉じ、口を少し開く。
「はぁ・・・」
ため息のようなあえぎ声を出す。目を閉じていても、視線は十分感じていた。
翌日、僕等はいつものように、何事もなかったかのように一緒に登校した。いつも通り話をし、笑った。
だからこそ、辛いのかもしれない。
智も・・・僕も。
(そろそろかな)
僕はズボンのチャックを下ろす。視線が集中するのを感じる。チャックの中に手を入れて、堅くなっているペニスをしごく。男達の欲望が伝わってくる。それと同時に、僕の中にもある感情がわき起こる。
僕はチャックの中に入れていた手を出し、ベルトをはずす。ズボンの前フックをはずして前を開く。あの人の言いつけで、下着は白いブリーフをはいている。勃起したペニスの形がブリーフ越しにわかる。それに手を乗せ、手のひらでさするようにする。
男達の息づかいが聞こえる。僕は腰を浮かしてズボンを下ろす。足を開き、膝を軽く曲げる。ペニスと睾丸、そしてアナルの方まで手で撫でていく。ブリーフの上から人差し指でアナルを触る。僕は背中を壁から少しずつずらして、ベッドの上に横になった。
しばらくは、智は部活で忙しく、僕等は一緒に遊ばなかった。でも、夜になるとメールが来たりする。大した内容じゃない。部活であったこととか、学校のテストのこととか・・・
そんな日常の付き合いが、僕にとってはとても大切だった。あんなことをしている僕にとって・・・
上半身をおこして学ランを脱ぐ。その下は体操服だ。それも脱ぎ去る。僕はブリーフと靴下だけになって、今度は四つん這いになる。お尻を男達の方に向けて、ブリーフの上からアナルを指でつつく。男達の視線がそこに突き刺さる。
僕は四つん這いのまま、少しブリーフをずらしてお尻が半分くらい見えるようにする。手のひらの半分をブリーフの下に差し込んでお尻をなで回す。そして、そのままブリーフを膝まで下ろした。誰かが喉をならしたのが聞こえた。
右手の人差し指をくわえる。そのままアナルに持っていき、指先をアナルに入れる。
「あ・・・」
声を出す。指をアナルに入れる。指を抜く。ブリーフを脱ぎ捨てる。手でお尻を広げて、男達の目の前に僕のアナルを晒す。熱いくらいの視線を感じて、僕のペニスから先走りがしたたり落ちる。そう、僕はこうやって見られることで興奮する。四つん這いから仰向けになり、ペニスからあふれ出している先走りを指ですくう。それを舐める。そして、ペニスをしごき始めた。
「ん・・・」
自然に声が出る。でも、途中で手を止める。僕はベッドの端に移動して、足を抱えて男達にすべてをさらした。こうして僕は、さらし者になる・・・
あの人がベッドに上がってきた。全裸になっている。僕は靴下だけ。あの人が膝立ちになると、僕は四つん這いで近づき、勃起しているペニスを舌で舐めた。あの人は動かない。僕は体をひねって亀頭の裏からペニスの付け根まで舐めていく。そして、それを口に含む。四つん這いのまま頭を前後させる。やがて。あの人が僕の頭をつかむ。僕が頭を動かすのをやめると、あの人が動き始める。あの人は僕の頭を押さえて、口の中に奥まで入れてくる。そのまま激しく腰を使われる。吐きそうになる。涙が出てくる。そんな僕の表情を男達は薄笑いを浮かべながら見つめている。やがてあの人がペニスを僕の口から引き抜く。僕は口を開けてそのまま待つ。あの人はペニスを自分でしごく。
「イく!」
あの人はそう言って、精液を放出する。僕はそれを口で受け止める。口を開いたまま、男達の方に向き直る。男達は僕の口の中をのぞき込み、あの人の精液が口の中に溜まっていることを確認する。そして、僕はそれを飲み込んだ。
「食べないの? それ」
放課後、部活が休みの日、また僕と智は一緒にマックに行った。僕がぼんやりとしていると、智が食べかけのハンバーガーを指さして言った。
「彰?」
ぼんやりとしている僕を智が呼ぶ。
「え? あ、うん」
よくわからないままになんとなく返事をした。
「じゃ、もらい!!」
智はそう言うと、あっと言う間に僕の手から食べかけのハンバーガーを奪って、口に入れた。
「あ、だ、だめだって!」
僕が手を伸ばした時はもう遅かった。僕が食べかけていたハンバーガーは、智の口の中に吸い込まれた後だった。
「あ・・・」
僕の食べかけのハンバーガーが・・・僕の、この汚い口で食べてたハンバーガーを、智が・・・
「なんだよ、いいじゃん、ケチ」
なにも知らない智は、むしろうれしそうに言った。
「彰の食べかけだからおいしい〜」
僕はなにも言えなかった。言えるわけがなかった。
僕は横を向いた状態でベッドの上に寝ていた。あの人は男達にじゃんけんをさせていた。一番勝ち抜いた男が服を脱いでベッドに上がってきた。膝立ちで僕の顔にペニスを近づけてくる。僕はその大きいペニスを口に含み、頭を動かした。
その間に、あの人が僕のアナルにローションを塗りつける。やがて、男は僕の口から離れて僕を四つん這いにさせると、後ろから僕のアナルにペニスを押し当てた。
「うぐっ」
男はいきなり根本まで僕の中に押し込んだ。そして激しく腰を使い始めた。内蔵が引きずり出されるような感覚に、思わず僕は声をあげた。
「うぅ・・・」
男は僕の腰をつかんで激しく動き続けた。やがて、男は僕の中に精液をたっぷりと放出した。
2番目に勝ち抜いた男は騎乗位を要求した。僕は男の上になって体を揺さぶった。最初の男に激しく掘られた後で腰が痛かったけど、一生懸命僕は体を動かした。
3番目の男は、今まで座っていたから気付かなかったけど、裸になった姿はまるでプロレスラーみたいにすごい体をしていた。その男は僕をベッドの端に座らせると、背中から足を抱えて体を軽々と持ち上げた。そのまま、いきり立ったペニスで僕のアナルを貫いた。逆らうこともできずに、大きな体にふさわしい大きなペニスで突き刺された。他の男達は、僕を抱えている男の足下にしゃがみ込んで、僕のアナルが貫かれている様子を見つめていた。
(犯されてる・・・見られてる・・・)
僕はイキそうになった。でも、必死でそれをこらえた。智とのことを思い出していた。
智が本気で僕のことを好きでいてくれていることは知っている。僕も智が嫌いじゃない。いや、本当は僕も智が大好きだ。
でも・・・今の僕が本当の僕だ。だから・・・だから、智の真剣な気持ちに対して、僕は真剣に答えることができない。智が好きなのに、でも、こうして見せ物にされることにすごく興奮する。智とHすることがあったとしても、これほどは興奮しないだろう。
だから・・・
4人目は、僕をベッドに横向きに寝かせて、片足を上げた状態でアナルに挿入してきた。今度も入っているところが丸見えだった。男達は不思議な表情でそこだけを見つめていた。見られていると体が熱くなった。またイキそうになる。そう、僕は犯されているところを見られると興奮する変態なんだ。こうして、見られながらオナニーして、アナルに指を入れてるとことか、広がったアナルとか、掘られてるところとか、それを見られているだけでイキそうになる変態なんだ。だから・・・
そして、僕の体に4人分の精液がそそぎ込まれた。
だから、智とHしたとしても、僕の体はこの興奮を忘れられない。こうして見せ物になって、さらされることで感じる興奮を、また感じたいと思うに違いない。だから、またこうして見せ物になるに違いない。そんな僕が、真剣に好きでいてくれる智と付き合うなんて・・・
僕と男達は、全員ベッドに上がっていた。上がっているはずだった。僕は目隠しをされている。男達は代わる代わる僕のアナルを犯し、口を犯した。誰に犯されているのか、誰のを口にしているのか、僕にはまったく分からなかった。そして、彼らの気が済むまで僕はマワされた。僕の気がすむまで彼らにマワしてもらった。
こんな汚れた口で智とキスすることは考えられなかった。こんな汚れた体で智とHするなんて考えられなかった。でも、なにも知らない智は・・・
本当の僕はこんな奴なんだって智に知られるのが怖かった。だから、待ち合わせに使っていたマックに二人でいるのも好きじゃなかった。智にキスされたくなかった。智に抱きしめられたくなかった。こんな僕だから・・・
こんなことが大好きな僕だから・・・
マワされた後も、男達のペニスがまだ勃起している。僕は順番にそのペニスにむしゃぶりついた。僕のお尻の中に入っていたそれを舌できれいにした。もちろん、見られながら。もちろん、勃起させながら・・・
最後に、僕は4人に見られながらオナニーし、イくところをさらした。自分の精液も、自分できれいに舐め取った。
男達が帰ったあと、僕はあの人から1万円もらう。あの人は男達から金を取っていた。いくらで僕が使われているのかは知らない。でも、見せ物にされることに僕は満足しているから、そんなことは気にしなかった。それよりも・・・
「次はいつ?」
僕はあの人に尋ねた。
「また人が集まったらメールするよ」
あの人は笑いながら言った。
「変態中学生だな、ほんと」
あの人は僕のペニスをつかんだ。僕のペニスはまた勃起していく。
「早く決めてよね」
あの人が僕の勃起したペニスを軽くしごいた。僕は目を閉じて、あの人に体を預けた。
「彰〜」
帰ろうとしている僕を智が呼び止めた。
「一緒に帰ろう」
そして、僕等はまたマックに行く。あの場所に。
そして、いつものように・・・無理矢理キスされる。この汚れた口に、この汚れた僕に。
口では僕は拒否をする。でも・・・
この体は、智とのHを望んでいることはよくわかっていた。
そして、それだけでは満足できないこともわかっていた。
だから、僕は拒んだ。智が好きだから・・・・・
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