「来たよ」
インターホンのモニターのところで対応していた佐伯さんが言った。
「やぁみなさん、遅くなって申し訳ない」
そう言いながらちょっと年齢高そうな、少し太った人が大きなカバンを持って入ってきた。その後ろから痩せ型の、きつい感じの顔の人。
「いやぁ、ちょっとトラブルがあってね」
太った人が言った。
「ウチの管轄内でもめ事は起こさないで下さいね」
そう言ったのは椎名さんだ。
「大丈夫だって、表沙汰にはならないから」
「海に沈めてきたの?」
「変なドラマの見過ぎだよ」
「ダイナマイトで粉々に吹っ飛ばしてきた」
痩せた方の人が真顔で言った。みんなは笑っている。けど、僕は笑えなかった。管轄内とか、表沙汰とか、海に沈めるだとか。そしてドラマ。僕はドラム缶の中に体を押し込んで、コンクリートで固めて海に捨てる、みたいなシーンを想像した。そのドラム缶にダイナマイトが仕掛けられていて、木っ端みじんになる光景も。
「ほら、変なこと言うから、諒君が怯えてるよ」
すると、太った人が言った。
「その子が例の子だね?」
「そう。太陽の思い人」
「ふうん。初めまして」
その人が僕を見て言った。
「この人は、怖い人だよ」
佐伯さんが言う。
「だから、違うって。怖いのはこっちの人」
太った人が、痩せたきつめの顔の人を指差した。
「私は八重樫、なに、単なる貿易会社の社長だよ」
「銃とか爆弾とかの密輸入な」
今宮さんが言う。
「俺の前で言うなよ、冗談でもな」
椎名さんが両方の耳を手で押さえると、みんなが笑う。
「俺は城戸、城戸勇仁」
一瞬、みんな口を噤んだ。
「まぁ、ちょっとやんちゃしてたことがある」
城戸さんが言った。
「やんちゃで済ませたよ、この人」
椎名さんが言う。
「まぁ、ちゃんと言っておくけど、この人元ヤクザさんなんで」
「今はすっかり堅気だって」
そんなことを言いながら笑っている人達。さっきの想像の中の光景が思い出される。そんな人達に犯されている太陽。そして、太陽の様子を見ている限り、太陽はこの人達も知っているようだ。
「あ、あの・・・安達諒です」
一応僕も名乗った。名乗って大丈夫かな、とは思ったけど。
「ま、いろいろ言ったけど、今は普通の人だからね」
佐伯さんがそう言ってくれたので、ほんの少しだけど安心した。
「で、今はなにをしてるんだ?」
「あんた達を待ってたんだけど・・・」
椎名さんが太陽を指差した。
「ケツに入れてほしいディルドを並べ始めたところだ」
「ほぉ」
八重樫さんは床に座って僕等を見ていた太陽の前にしゃがんだ。
「ケツに入れられたいのか?」
「はい」
太陽がうなずいた。
「その子の腕と同じ太さのディルドを探してたんだ」
今宮さんが言う
「ほぉ」
僕の腕を見た。
「これくらいなら、簡単に入るだろ」
「え?」
思わず僕は声を出した。
「なんだ、まだ腕入れてないのか」
「軽く遊んでただけだよ」
(あれが軽く、だって?)
「じゃあ、準備はまだか?」
「いや、もういいんじゃない? な?」
椎名さんが太陽に聞く。太陽はうなずく。
「あ、今日はこの子は見てるだけだから、手を出しちゃだめだからね」
佐伯さんが八重樫さんと城戸さんに言った。
「分かった」
八重樫さんは持って来ていたカバンを開いた。
カバンには縄が入っていた。お正月のしめ縄みたいな感じの縄だ。
「ほら」
八重樫さんが声を掛けると、太陽は立ち上がった。
「これから、本当のあいつの姿が見れるよ」
今宮さんが僕の横に立って、小さな声で言った。
太陽の体が縄で縛られていた。これぞSMって感じで、ネットか何かでみたことがあるような縛り方だった。体に縄が食い込んでいる。太陽の目は少しとろんとしていて、呼吸が早くなっている。もちろんちんこはがちがちに勃起してガマン汁をだらだらと垂らしている。
そんな太陽を、城戸さんがビデオカメラで撮影している。
「どうだ、縄が食い込んで気持ちいいか?」
八重樫さんが太陽に聞く。
「はい・・・痛くて気持ちいいです」
「だよなぁ、ここはこんなだもんなぁ」
太陽の勃起したちんこを平手で叩く。太陽の腰が一瞬動く。
「縛られて勃起してるとこ、友達に見てもらえて嬉しいんだもんな」
「はい」
八重樫さんと太陽以外、誰も何も言わずにただ見つめている。僕も見つめることしか出来ない。太陽の表情が今までとは違っていた。なんていうのか・・・太陽じゃないみたいだ。目に光がないような、でも、何か貪欲なぎらぎらしたものも感じる。そんな目でちらちらと僕を見ている。僕を気にしている。
「なんなんだよ」
僕は太陽に尋ねた。
「・・・嬉しい」
さっきまではその意味は全然分からないと思っていた。今、僕にはその意味が分かるようになってきた。縛られて、動けなくなって、それでもちんこを勃起させてガマン汁を垂らして。そんな恥ずかしい姿を僕に見られるのが嬉しい、そういう意味なんだって。
「うっ」
誰かの手が僕の股間に触れた。いつのまにか、僕の横に城戸さんが立っていた。
「君も勃ってるんだな」
その手が僕のちんこをズボンの上から握った。
「あ、今日はこの子に触るのは駄目だよ」
佐伯さんがあわてて言った。
「ああ、そうか。すまんな」
(分かってて触ったんだな)
僕はそう思った。
「でも、君もこの子のこんな姿みて興奮してるんだ」
「前からずっと勃ちっぱなしだよ」
そんな話をしている。
「一緒にやればいいのに」
「今日は見てるだけなんだって」
ちらちらと僕を見る。その間も、太陽のちんこからガマン汁がだらだら溢れ続けている。
「じゃあ」
八重樫さんが、カバンから紙を束ねるのに使うようなクリップを取り出した。
「お前で遊んで我慢するか」
そのクリップで太陽の乳首を挟んだ。
「うがぁ」
太陽が大きな声を出した。
「なんだ、まだ着けただけだろ」
もう片方の乳首にも着ける。そのクリップを指で弾く。
「うぅ」
太陽の体が動く。
「どうだ、気持ちいいか?」
「はい」
その顔は気持ち良さそうには見えない。痛そうな顔をしている。八重樫さんがそのクリップを引っ張る。
「うぅぅぅ」
ますます痛そうな顔になる。クリップとクリップの間に細い鎖を取り付ける。その鎖の真ん中辺りに紐を通した。
「これ、持って」
その紐を渡される。
「これくらいならいいだろ?」
八重樫さんが佐伯さんに尋ねた。佐伯さんは何も言わずにうなずいた。
「それ、引っ張ってみて」
言われるがまま、僕はそれを引っ張った。
「うぐっ」
太陽が声を出した。思わず紐を緩める。
「ほら、もっと強く引っ張って。その方がこいつは嬉しいんだから、なぁ」
最後は太陽への問い掛けだ。太陽は涙目でうなずく。そして言う。
「諒君、引っ張って」
「引っ張ってください、だろうが」
八重樫さんが言い直させる。
「ひ、引っ張ってください」
僕は紐をぐっと強く引いてみた。
「ぎゃあっ」
片方のクリップが乳首から外れた。太陽が体を丸めて悶えている。
「そんなに気持ち良かったのか」
八重樫さんがクリップが外れた方の乳首をひねり上げた。
「ぐあぁ」
太陽の悲鳴のような声。でもその瞬間、太陽のちんこがびくんと跳ね上がった。
「気持ちいいんだろ?」
指に力を入れてグリグリとすり潰すように動かした。
「あ・・・」
またちんこが跳ね上がる。
「気持ちいいんだ」
僕はつぶやく。太陽が僕を見る。
「もっと、虐めてください」
そして、八重樫さんに言った。
八重樫さんは周囲を見回した。
「ここじゃ吊りとかムチとかロウソクはダメだな」
「ウチでそんなことやめて下さいね」
「よし。じゃあ」
八重樫さんは太陽の下半身の縄を一旦解き、足を持ち上げて縛り直した。
「ケツマンコ、この子に見てもらいたいよな」
その体の向きを変えた。太陽のお尻の穴が丸見えになる。さっきは太陽が自分でお尻を開いて穴を見せていたけど、今はもっとよく見える。
「丸見え」
僕は言った。太陽の体が少し震えた。
「見られて恥ずかしいの? 嬉しいの?」
僕は太陽に尋ねた。もちろん、嬉しいに決まってるだろう。でも、太陽にそれを言わせたい、と思った。
「嬉しい」
太陽が言った。太陽のちんこからだらっとガマン汁が垂れた。
「変態のくせに」
それを見て言う。
「この子、結構Sだな」
八重樫さんが言う。
「そうなんですよ。いい組み合わせみたいです」
佐伯さんが言う。
「太陽が変態だから」
言い訳のように僕はつぶやいた。
「君だって、結構変態なんじゃないか?」
八重樫さんが僕を手招きした。
「ほら、良く見てやれ」
太陽のお尻を開く。
「ほら、ケツマンコ開け」
太陽のお尻の穴が開く。その奧の、なんていうかヌメヌメした感じの穴の中が見える。
「太陽の中、丸見え」
太陽が少し恥ずかしそうに顔を背けた。
「触ってみるか?」
八重樫さんが僕を見た。
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