ハムラビ法典大賛成 by白き竜さま

−第四部−


貴樹としたキスの温もりがまだ残っている。
(…貴樹)
貴樹は笑顔で【性奴隷】の道へ
僕は緊張しながら【商品】の道へ進む…
僕と同じ【商品】になる人は同じ格好をしているし、見方によれば、人間ドックに並んでいる様にも見えなくもない。
僕らのグループは、【商品】だからこれから【オークション】に出品される。
どうせならそれなりの暮らしをと皆は望んでいるはずだ。
松野グループに復讐をするために自ら志願した人なんかいないだろう。
僕は貴樹の為にもどんな人に買われても生き抜いて、そして復讐をやり遂げると腹を括った。
『目には目を。歯には歯を。』
授業で習った【ハムラビ法典】を僕が松野に対して発動してやる。僕の決意は堅かった。

僕らは1つの部屋に集められ、今後についての説明を受けた。
まず、今回のオークションで買い手がつかなかった場合、船賃を含めた罰金500万円を自腹で払わなくてはいけないと言うことだ。
荷物は既に預けてしまっているから【性奴隷】となり身体を売って借金返済をする事になる。
それが出来ない場合は【提供者】となり、自分の臓器等で借金返済をすることになるのだと…

(おい…そんな話は聞いてねぇ)
(性奴隷になるくらいなら、諦めて日本へ帰る)
など、怒りとも不満ともとれる意見が黒服に向かって次々飛び、中には逃げ出すものもいた…。

しかし…
【ビリビリ…】
どうやら首輪から少量の電流が流れたらしく、叫んでいた人が苦しみ始めた。

「お前らに選択権などない」

この一言で【騙された】と気づくのである。

(…オレ…死にたくねぇ)
(…絶対に誰かに買われるって聞いていたのに)

僕は仮に【性奴隷】の道になったとしても貴樹に会えるし、復讐の方法はいくらでも考えられるから、そんなに不安ではなかった。

「今回のお客様方は、淫乱がお好きの様だから、高値で落札されるために精々乱れた姿を披露することだな」

そう言って渡された袋には、ビンに入った液体やらローターやらチェーンやら針など色々怪しげな物が入っていた。

袋の中を確認した人が次々青ざめていく。
まぁ当然でしょう。本人達は【書生】とか【執事】みたいに主に仕えながら新しい生活をすると考えていたのだから…
でも、それなら【首輪】や【ブリーフ】の時点で気付くべきだろうな…

僕は散々性奴隷的ないじめに耐えてきたから、これくらいでは驚かなかったし、当に覚悟は出来ている。

オークションまではまだ時間があるようで、僕らはそれぞれの部屋に案内された。首輪と部屋番号はリンクしていて、多分監視カメラでも内蔵されているのだと思う。部屋には冷蔵庫やオーブンが置かれており中にある物は自由に飲食しても構わないと言うことだった。
また、シャワーも自由に使っていいし、テレビも見られる。船内の様子もこのテレビで確認することが可能で、富豪達が豪遊している姿や、僕らがこれから行くことになるオークション会場、更には性奴隷のプレイルームに提供者の最期を過ごす場所まで見ることが出来た。

(…。)

逆を言えば、僕も今誰かに見られていると考えた方がいいだろう。それに気づいた人はどの位いるのであろうか?
正直豪遊している姿や提供者の最期なんかには興味はない。僕は迷わず【性奴隷】の画面に切り換えた。
(…貴樹)
そこには、これから性奴隷として奉仕をする方法や鞭やろうそくに耐える訓練が行われており、貴樹も例外ではなかった。
『…お…おいしいです。ありがとう…ございます』
鞭に打たれながら懸命に男のモノをくわえ、お礼を言う貴樹を見て僕は思わず涙が零れてしまう。
そして、自ら脚を拡げ菊門に指をあてがい掻き回しながら
『…ご主人様の肉棒で、この淫らな性奴隷の穴を…掻き乱してください』
僕は貴樹の乱れた姿を見て、体が熱くなった。そして、冷蔵庫に入っているドリンクを口に含んだ時、身体が溶けるのではないかと思うくらいの熱を感じた。
(…身体が…熱い)
時既に遅し、僕のモノはパンパンに膨れ上がり、貴樹を見ながら自分も同じ様に菊門に指をあてがい掻き回す。
「…あっ…た…貴樹ぃ。き…気持ち…いいよぉ」
僕は画面の貴樹に向かって叫び、袋を開け、中に入っているローターを菊門に挿入した。
(…ウィーン)
「はぁ〜ん」
僕はガウンとブリーフを脱ぎ捨て首輪一つに全裸というスタイルで貴樹を見ながらチンポをしごく。「貴樹…貴樹」
貴樹の温もりが蘇る。貴樹に抱かれて貴樹と1つになっている錯覚に陥る。
貴樹は、男共の白濁液と黄金水を沢山浴びて酔っていた。
身体には真っ赤な腫れと共に肩で息をしながら…
『あ…ありがとう…ございます。ご主人様の液を浴びて幸せです』貴樹は完全な【性奴隷】を演じていた。
「貴樹ぃ…出ちゃう…」
僕も貴樹に突かれながら大量の白濁液を全身に浴び顔にまで飛んだ。
うっとりしながらしばらくは精液の流れていく様を身体で感じていたが、オークションの時間もあるため、シャワーを浴びにバスタブへ向かう。
火照った身体には心地好い温度だった。
(…貴樹…ゴメン)
シャワーを浴びて酔いは冷めたので良かったが、貴樹をオカズに射精したことは後悔した。

(…何が入っていたんだあのドリンクには…)

身体を拭きブリーフとガウンを羽織りオークション会場に向かう。
(ローターやらチェーンやらは別に身に付けなくていいや)

僕はそのまま向かうことにした。
一方【騙された感】たっぷりの方々は、明らかに無理をして袋の中を一生懸命装着している人と完全にあきらめている人様々だった。
(はぁ〜ん)
(い゛ってぇ…)
(僕は…もう…ダメだ)

ローターやらチェーンやらを装着した人達からのあえぎや悲鳴が聞こえ、そのままオークションに出るようだ。

オークションと言っても、お客様が札をあげながら値段を叫ぶやり方ではなく、モニターを見ながら希望の【商品】が出てきたら、金額を打ち込むだけと言う単純なやり方なため、買い手の顔は買われてからでないと判らないので、舞台で限られた時間精一杯頑張るしかなかった。

買い手がついても変な性的思考の持ち主なら結局【性奴隷】と変わらない…だから変にアピールすると結局は変な性的思考の方にしか買ってもらえない危険もある。
誰からも買い手がつかなかったら、直ぐ様【性奴隷】の部屋に連れていかれる。
全くうまくできたシステムだ。

各人それぞれ自分の【商品価値】をアピールしているが、やはり無理してバイブやらチェーンやらを着けてきた者は、評価が分かれていた。
初々しさがあり小刻みに震えてモノが反応しちゃっている人なんかは買い手が直ぐについたが、逆に無理感がたっぷりな人なんかは、やっぱりそう言う性的思考の主に買われたり、買い手がつかずそのまま【性奴隷】に連れていかれたりしていた。

例えば、ブリーフ穿いたままおしっこしたとして、緊張や恐怖から失禁してしまった者と、わざとらしく見せ付ける様に小便を漏らす者とでは評価も分かれるし、恥じらいながらオナニー射精するのと、オラオラ言いながら射精するのでは、やはり評価が分かれた。
ブリーフを大便で汚す者、射精したブリーフを舐める者もいて、
【淫乱が好きな客】と言った黒服の【呪文】に皆て憑りつかれてしまったようだ。
冷蔵庫のドリンクを飲み干したであろう人が、乳首やモノに針を刺したり、自分の身体を切り刻んだりと傷付け…中には壊れてしまった人もいた。
ガウンやブリーフを先走りや精液、小便や汗、更に血で染めていく者もいた。
こういう状況を想定していたのだろう。舞台は3つあり、汚れたら次の商品が別の舞台で演じている間に黒服が片付けていくのだ。

壊れてしまった人は【提供者】になるしかなかった。
一部のお客はさぞかし喜んでいたことであろう…

ある意味初めから【性奴隷】や【提供者】としてこの船に乗り込んだ者の方が覚悟している分、精神的に強い。変に夢見ている者の方が壊れやすい。
500万なんかこじつけも良いところだから、勝手に壊れて【提供者】になってくれれば、何倍も利用価値があるのだ。
乳幼児が【商品】には居なかったことだけは、他人事ながらほっとした。
とは言っても500万を身体で稼ぐのは大変だ。指名がなければ結局【提供者】になるしかないし…

【商品】は次々仕分けされていき、いよいよ僕の番になる。
僕は、ガウンを脱ぎ白いブリーフ一枚で中心部に立ち一回りした後一礼をし、元に戻ってガウンを着たらさっさと退場した。
(…別に買い手がつかなくても構わないさ)
自傷行為なんてやったら復讐が出来ないし、貴樹にも会えない。
僕は完全に開き直っていた。

しかし…それが良かったのか…なんと、僕の登場直後から落札希望者が多数おり、予定金額も超えて、一人に決まらないので明日以降改めて金額の提示を決め直すことになった。
異例中の異例で、僕は豪華な服を与えられ、富豪ルームで豪遊することが認められた。
どうやら僕には数千万単位で希望額が提示されたらしく、明日の最低金額は船賃を差し引いてもお釣りが来るくらいの額でスタートするため、富豪扱いで良いそうだ。首輪がブレスレットに代わり、何だか複雑な気持ちになった。

(…貴樹。僕はどうしたらいいと思う?)

そんな独り言を呟いて、豪遊ルームに行ってみる。

(…同じ船なのに)

流石富豪ルーム。飲食物はすごく美味しそうだし、華やかな雰囲気を醸し出している。
黒服の扱いも物凄く丁寧。
【商品】は天国と地獄と言うのは本当のようだ。
【提供者】も居るようだが、最後の時を楽しんでいる。でも【性奴隷】は居ないようだ。

(…貴樹は大丈夫かな?)

僕は豪遊する気にもなれず、新しく与えられた自分の部屋に戻った。黒服の男が中におり、僕に仕えてくれる執事だそうだ。
「性奴隷の貴樹と言う子に会いたいのですが、可能ですか?」
僕は無理を承知で聞いてみる。
執事は上の人に連絡をとって確認してくれた。
そして…
『乾様。あなた様のご要望は許可されました。本日はその者と一夜を共になさいますか?』
「えっ?宜しいのですか?」
『はい。その性奴隷に奉仕させる程度なら構わないと』
「では…お願いします。明日まで一緒に居られるように手配していただけますか?」
『承知しました』

待つこと数分…
『失礼いたします。性奴隷の貴樹と申します。精一杯勤めさせていただきます』

ドアの向こうには膝をつき頭を下げている貴樹がいた。

「…貴樹」
『えっ…あ…』
「…うん。僕だよ」

僕は貴樹の手を取り部屋の中へ招き入れた。

『乾様、私目は別室で待機しておりますので、何かありましたら遠慮なくお呼びください』
「ありがとうございます」

執事は気を効かせて部屋を後にした。

『あ…飛鳥が、富豪?』
「実はね…」

僕は経緯を話した。そして…貴樹をオカズに射精したことも。
貴樹は笑って聞いてくれた。

『よかったな飛鳥。これで買い手がつくのは確実なんだろ』
「でも…どんな方が買ってくれるか判らないし」
『…飛鳥なら…絶対大丈夫だ』
「…貴樹」
『あっ…乾様って呼ばないといけないか…俺は性奴隷だし』
「…貴樹…ばか(笑)」

僕は貴樹と抱き合いながら眠りについた。
貴樹の唇、貴樹の体温、そして優しさに包まれて夜が明けた。

「貴樹…最後に貴樹のフルネーム教えて」
『あぁ…俺は、鳳凰寺【ほうおうじ】貴樹』
「凄い名前だね」
『飛鳥も鳳凰も同じ様なもんだ』
「貴樹…僕頑張るから」
『飛鳥…俺も負けないから』

貴樹は僕にキスをしてくれた。
僕は自信を持って【商品】としてオークション会場に向かった。
「絶対大丈夫」
貴樹の言葉が、僕を守ってくれるそんな…気がした。

<第五部に続く>

   


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