ハムラビ法典大賛成 by白き竜さま

−第五部−


【新しい人生】

貴樹と再び別れた後、僕はオークション会場に向かった。
昨日と違うことは、服装がブリーフにガウンと言う姿から、豪華できらびやかな服になり、首輪からブレスレットになった。
更に…貴樹からは
【絶対に大丈夫】
と言う魔法の言霊をもらって、自信を持って【商品】になるためにここに来た。
今日は僕だけのために開かれたオークション。
(…主役は僕だ)

僕は豪華できらびやかな服を脱ぎ下着も放り投げ、全裸で堂々と円の中心部に行き僕の全てを晒け出した。別に服を着たままでも良かったのだけれど、気分がハイになっていた。

(…もう良いかな)

数分後…脱ぎ捨てた物を拾い会場を後にする。
舞台裏で待機していると、ようやく買い手がついたようで、僕は買い主に引き渡されるまでの間自由に過ごして構わないと言うことだった。

(…商品が富豪みたいな扱いを受けるのはおかしい)

一応【富豪】の部屋で待機していたが、僕は元のブリーフにガウンと言う姿に着替えた。

【富豪】【商品】【性奴隷】【提供者】の仕分けが全て完了し、無人島らしき場所に船は停まった。そこでは、大小様々な船が停められており、僕らはそれぞれの道へ行くことになることを意味していた。

幼い子ども達は、保育士らしい童顔黒服の男に誘導されこの船を後にしていた。

【提供者】の一部は、既にただの臓器になっている様で、クーラーボックスの様な容器がいくつも運ばれている。きっと最初に感電死した男やオークションで壊れた人達は立ち入り禁止の地下室で解剖され、臓器になってしまったのだろう…

【富豪】には黒服の執事が一人付いているから不便はないだろう。何故なら、富豪の人達は向こうから招かれてきているわけだから、何の心配もいらないのだ…

【商品】は買い手のついた者と、つかなかった者とでは天地ほどの差があった。買い手がついた者でも既に【性奴隷化】している者もいるし、つかなかった者は【性奴隷】に送り込まれ調教を受けさせられていた。【提供者】として最期を迎えてしまった哀れな者もいる。

そして…貴樹のいる【性奴隷】は調教が完了し、既に接客の準備に取り掛かっていて、【性奴隷】を乗せる別の船へと消えていった。
一方…僕には…
(…コンコンコン…カチャリ)
返事をする前にドアは開かれる。
『乾飛鳥君だね』
「…はい」

(…あれっ?日本語だ)

部屋に入ってきたのは長身で大柄更にグレーの瞳の外国人の男だった。その眼はちょっと冷たい感じがした。

『まったく、キミには参るよ。性奴隷を見ながらオナニーショーなど開くから、買い手希望が殺到したんだぞ。しかも何だね、翌日のオークションは! いきなり全裸になってストリッパー気取りか? この淫乱め。お陰でこちらは落札予定金額の数倍払ったのだぞ。今もわざわざブリーフ姿で居るとは私を誘っているのか?』

大柄の男は怒りながらこちらを見つめ、すぐに冷たい表情から笑顔に変わった。

「…申し訳ございません」
僕は、深々と頭を下げた。
(…ん? えっ…あぁ〜部屋に監視カメラが内蔵されていたの忘れてた…でも…怒っているけれど笑ってる?)

僕はしばらくうずくまっていると、肩にポンッと手を当てられ、顔を上げる。
『まぁいい。ただし、君を購入するのにかかった費用は、仕事で返してもらうからな。当然昨晩性奴隷と一夜を共にするのにかかった費用は上乗せするぞ』

(…貴樹と抱き合ったことまでテレビ画面で確認されてしまったのか?)

「はいっ!必ずやお役にたってみせます」

僕は、どんなことにも耐える覚悟はできている。

『良い眼をしている。何かを覚悟した眼だな』
「はい…僕はどうしてもやらなければならないことがあるのです」
『では、話は私の部屋で聞くとしよう。ついてきなさい』
僕はもう商品であり人として扱われない可能性もあると考えなくてはいけない。

僕を購入したこの方は【トーマ】様と言って、表舞台では海外でも有名な会社を幾つも切り盛りしているやり手で、裏現場では人身売買やウリのあっせんもやっていて、人脈には定評のある人らしい。
実はこの船はトーマ樣の所有物であることが判明。
つまり…この恐ろしい人身売買企画の主催者はトーマ樣だと言うことだ。

僕はトーマ樣の部屋に案内される。自分が待機していた富豪部屋からさほど離れていない。

僕が松野グループに復讐するために商品になることを選んだ旨を説明すると、トーマ様は大喜びで僕を受け入れてくれた。
それどころか、面白そうだと協力までしてくれることになった。勿論僕は借金を返すまではトーマ樣の商品だ。

『飛鳥…キミには素質がある。商品としての価値もあるが、君は指導者としての能力もありそうだ』
「指導者ですか?」
『あぁ…明日からしばらくの間、私の世話をしながら、【提供者】の末路を学習するのだ』
「…えっ?」
『商品としての価値がない、多額の借金を造る愚者の最期をしっかり見て、何かを感じとるのだ』
「…解りました」
僕はしばらくの間この船で生活をすることになった。

僕は、トーマ樣のお世話をしながら空いた時間に【提供者】の最期を見に行った。
このオークションと称した人身売買は頻繁に行われており、富豪として迎えられる者、性奴隷になる者、商品として新たな生き方を見つけた者、提供者になって死ぬ者に毎回仕分けされていく。

何も知らされずただ眠りにつき提供者として最期を迎えた人から、パニックに陥り断末魔の叫びをあげながら死んで行った者、商品オークションで壊れ既に血塗れで運ばれてきた者様々だった。

初めは運ばれて来た姿を見ただけで気持ちが悪くなり吐いたし、幼子を見て泣いてしまい、トーマ様のお世話が出来なかった。
『飛鳥…ダメじゃないか』
「申し訳ありません」
『キミは、自分の立場がわかっていないようだ、お仕置きが必要だな』
僕は全裸にされ、四つん這いになり菊門に注射器のようなもので大量の液体を注がれた。
「トーマ様…苦しいです」
『漏らしたらどうなるかわかるよね』
「…」
『吐くならケツから吐きなさい』トーマ様は卓球のラケットみたいな板で僕のお尻や背中、反応し始めたモノなどを叩き始める。
【パーン】
と言う澄んだ音が響く。
「トーマ様ぁ〜」
僕は耐えられず…白濁液を放ち、菊門からは透明な液から茶色に濁った液を更にモノからは黄金水を放った。
その毒々しい匂いはあっという間に広がった。
『叩かれて放つ、やはり飛鳥はマゾの素質もあるようだな』
「…ヒクッ」
僕は恐怖からか涙が溢れた。どんなことにも耐える覚悟ではいたけれど、やっぱり自分はまだ15歳の中学生なのだと…

『飛鳥…キミは強くならなくてはいけない。それが出来ないのなら復讐など考えるな』
「…はい」

僕は自分で放った液体を処理する。恥ずかしさと悲しさで心が折れそうになったが
(…松野に復讐する為だ)
僕は辛いことや悲しいことは全て松野への憎しみに切り替えていった。

すると…提供者の末路に関して同情や哀しみから、侮蔑や快感に変わってきた。
泣くことも吐くこともなくなり、今ではお肉も平気で食べられる。
提供者の最期に慣れた僕はトーマ様の性処理もこなせるようになり、空き時間には【商品】としてお客様のお相手をすることも始まった。
貴樹達【性奴隷】と違うところは、僕の場合は予めお相手が決まっていること。
貴樹達は、相手が指名して始めて仕事ができる。つまり相手が指名してくれなければ借金が返せないので、やがては【提供者】になってしまう。
そう考えると僕はかなり恵まれている。

(…貴樹は大丈夫かなぁ)
そんな事を考えながらも僕は、表向きはトーマ様の秘書で、裏は性奴隷と同じ様に自分の身体を使ってビジネスをしている。

ストリップやフェラ、オナニーや尻バイブなど基本的なことから飲尿や飲精・ろうそく・失禁更には排便などSMじみたことまでこなせるようになり、今ではケツでイクことも、舌でイカせることも容易に出来る。
ただ、身体に傷をつけることは避けるように配慮されていた。
僕の評判はあっという間に広がり、リピーターやお客様のお知り合いの方など次々指名が入った。
お相手した金額の二割は僕の物になり、そこから少しずつ借金を返済し、余りは復讐資金として貯めて構わないとのことだった。
松野グループを潰す為に役立ちそうな企業のお偉方には特にサービスをし出来る限り尽した。
そして…情報を得た。

(…ふんっ、毎日愚者がよく来るものだ)

トーマ樣の使用人になりあっという間に1年が過ぎた。
今ではもう提供者の最期を見ても何も感じなくなり、あぁまた憐れな愚者が死にに来たかとしか思わなくなった。
また、僕を指名した客に対しても性癖や嗜好が判り、こちらからリードしたり、情報を提供してもらえるようにおねだりしたりと駆け引きまで覚えた。

(…奴らの復讐にこのオークションや接客は使える)

僕の心はどんどん闇に染まっていった。

『飛鳥…やはりお前は素質がある。明日は面白い商品がオークションに出る。その商品の世話役をお前に任せよう。買われようが性奴隷になろうが、提供者にしようが好きにするがいい』
「はい…お任せくださいトーマ樣」
トーマ様から黒服をもらい着用する。僕は心中ワクワクしていた。
翌日…首輪にブリーフにガウンと言う不様な姿で僕の前に現れたのは…僕が松野に性的辱しめを受けていたことを知りながら知らぬ存ぜぬを貫き、僕に味方した菅が散々性的辱しめを受け精神崩壊をしたのにも関わらず何もせず菅に責任があると言い放った、あの担任だった。
商品にブリーフを穿かせるのはトーマ様やオークション客の趣味らしい(笑)

(…こいつ…が商品?)
僕は胸の高まりを押さえることが出来ない。
(…面白くなりそうだ)
僕はトーマ樣からこの担任が何故商品オークションに出ることになったか理由が書かれた資料を貰っていた。

「貴方は…違法賭博に手を染め五千万の借金を抱えました。そして、日本に居場所がなくなり商品としてオークションに参加。買い主の使用人になり新たな人生を歩みたいと」
『はい…その通りです』
「まぁいいでしょう。ですが、このオークションで、もし買い手がつかなかった場合、貴方は【性奴隷】となり身体で借金を返済するか、【提供者】として臓器や血液を売り借金を返済するかを選ばなくてはなりません」
『はぁっ?』
「勿論、ここに来た以上は引き返せません。誰かに買われるか、奴隷になるか死ぬか…貴方にはそれしか選択肢はありません」
『そ…そんな話は聞いていない』
「今更何を言っても遅いのですよ…先生」
『えっ?…お前は…まさか…乾?乾なのか?』
「えぇ。覚えていてくださったとは光栄です。ですが、僕は今貴方の行く末を案内する係。昔の僕ではありません」
僕はこの商品に袋を渡す。勿論バイブやら針やら入っているいつものやつだ。
『…これは』
「今日のオークション参加者はSMや淫乱がお好きの様ですから…精々淫らな姿を披露してください。何せ貴方は六千万の借金があるのですから」
『六千万?五千万の間違えだろ』
「貴方はバカですか? この船にタダで乗れるはずないでしょう。オークション開催にも資金はいるのです」
『そ…そんな。た…助けてくれ。乾。お前には手をかけてやっただろう?』
「さぁ? 覚えていませんね。オークションまでの時間はこの部屋でおくつろぎください。高値で落札されますようお祈り申し上げます」
『た…頼む。今までのことは悪かった。なっ…なっ?』
「部屋にあるものはご自由にお使いください。テレビも見られますし、シャワーも使えます。冷蔵庫やオーブンに入っている物もご自由に飲食されて構いません。それではごゆるりと」
僕は泣き叫びながら部屋に消える憐れな担任の姿を見てとても快感だった。

(…さようなら先生)

僕はしたり顔で部屋を後にした。無様な先生の最期の余暇をテレビ画面で拝見する。
なんとも気持ちがよい。

(…立場が変わると態度も変わる)
僕の中で何かが生まれたような…そんな気がした。

<第六部に続く>

   


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