「まずは、名前だ。お前の名前はなんだ?」
男が言った。
「正一」
少年は虚ろな目で答える。
「そうか。親はいないんだったな、戦争で死んだって」
少年、正一は首を縦に振る。
「身よりは?」
今度は横に振る。
「そうか・・・じゃ、俺の物にしても大丈夫だな」
正一はぼんやりと男を見つめる。
「こいつは圭介。俺は・・・俺のことはお父さんと呼べ」
「ご主人様じゃないんだ」
圭介が言う。男はただ笑った。
「ほら、呼んでみろ」
正一は首を横に振る。
「呼べないか・・・」
男はそう言いながら、正一の乳首を捻り上げる。
「あ・・・止めて」
正一の顔が苦痛に歪む。
「だったらどうすればいいか、分かってるだろ?」
その顔に男が顔を寄せた。
「い、いやだ」
正一の目から涙が一筋流れる。男は乳首に爪を立て、まるで引き千切るかのように引っ張った。
「い、痛い、やめろ」
正一が口を開く。その口を男が口で覆う。そのまま唇を、鼻を、頬を舐め回す。
「や、やめろ」
正一がもがく。しかし、正一がもがけばもがくほど、男はますます正一の顔を強く押さえ付け、舐め回す。耳、耳の穴、そしてうなじ。顔だけじゃない。頭も、つむじにも舌を這わせる。
「やめろ、変態!!」
「ああ、変態だよ」
男が正一から顔を離す。
「俺は戦争で人を殺した。何人もな。そのうち人を殺すことをなんとも思わなくなった。むしろ、どれだけいたぶって殺すか、それが楽しみになり、そして性的興奮を覚えるようになった」
舌を出して、正一の頬を舐めた。
「お前はそんな俺を楽しませるための道具になったんだ」
耳元で言う。
「いやだ」
男が正一から離れた。正一は自由になる。急に自由になって、逆に慌てた。回りを見渡す。ドアは閉まっている。鍵が掛かってるんだろうか。もう一人の男、圭介はいなかった。正一はドアに取りつきドアノブを捻った。と、意外にもそれは何の抵抗もなく回る。ドアを開く。がその瞬間、後ろから男が首に腕を回して締め上げた。
「うぐっ」
足が宙を蹴る。一瞬、目の前が暗くなる。男はタイミングを合わせて腕を緩める。息が出来るようになる。が、すぐにまた締められる。
「うご・・・」
喉の奥から低い音が漏れる。
「苦しいだろ」
男が言った。正一の足は床についていない。その体は首に回された腕だけで支えられている。つまり、首を絞め続けられている。
「楽になりたいか? ああ?」
正一は泡を吹いている。
「このまま死んだら、あの世で親に会えるかもな」
その言葉が耳に届く。少しだけ正一の意識がはっきりする。
「だがな、死んでもお前を弄ぶ。俺は変態だからな」
男が足でドアを閉める。そのまま振り向く。もちろん、正一の首に腕を絡めたままだ。正一の体が振り回される。首がさらに絞まる。
「お前の死体いたぶるの、楽しいだろうなぁ」
正一には全く理解出来ない。
「死んで、あっちで親に会えたとしても、お前はいたぶられ続けるんだ」
男が腕を開いた。正一の体が床に落ち、倒れる。首に手を当て、苦しそうに息を継ぐ。
「首絞められて苦しくても、逝く瞬間は気持ち良くなるらしいな」
男が正一に近づく。正一は床を這いずって逃げる。が、男がその腕を掴む。
「どうせ死ぬなら、気持ちいい方がいいか?」
腕を引っ張られる。正一は精一杯抵抗した。が、男の力にはかなわない。
「いやだ」
また男の腕が首に回る。
「いやっ」
そして、締められる。
「お前、運が良かったな。今日はまだ誰も殺ってない」
正一の意識が遠のく。今度は腕が緩むことはなかった。
「がはっ」
正一は自分が咳き込む声で目覚めた。そして、まだ生きている事を理解した。
「ようやく目が覚めたか」
逆さになった男が目に入る。いや、正一が逆さまになっている。男は笑いながら、何かを振り上げた。
「うぅぅぅ」
頭がぱんぱんになって、膨れているような感じ。でも、殴られたような痛みはない。そんな正一の体めがけて男が鞭を振り下ろす。
「ぐあ!」
正一の体にみるみる赤い筋が1本浮き上がる。
「痛いか?」
また鞭が振り下ろされた。
「うがぁ」
正一の体が揺れる。どうやら足を縛られて吊り下げられているようだ。
「痛いよな。嬉しいよな」
男が笑う。
「お前、気持ち良くなりたくないんだもんな。だから、お前のためにいたぶってやるからな」
(なに言ってるんだ)
正一は男にそんなことを言った覚えはない。男を見る。視線が絡み合う。男の顔がその言葉を待っている。
「そんなこと言ってない」
「言ったじゃないか、さっき。首を絞めてやった時に、気持ち良くなりたいかって聞いたら、いやだって」
いやだと言った覚えはある。が、あれは首を絞められて苦しいのが嫌だって意味だ。何を言ってるんだ、この男は。
でも、確かに男に言われた。気持ち良くなりたいんだろって。
「あ、あれは・・・」
(そういう意味じゃない)
その言葉は口に出せなかった。3度目の鞭が正一に振り下ろされたからだ。
「どうだ、嬉しいか?」
正一は首を横に振る。
「どうしてだ。気持ち良くなりたくないんだろ?」
また首を横に振る。
「助けて・・・ください」
小さなかすれた声で言った。
「お前が望んだんじゃないか」
男がまた鞭を振り上げた。
「助けてください」
今度は大きな声だった。
「僕はそんなこと望んでない!!」
逆さに吊られたまま、正一はもがく。体が振り子のように揺れる。男が正一の体を押さえた。
「だったら、俺の物になれ。俺をお父さんと呼べ」
体が熱かった。頭が脈打ってる。もう、限界だ。
「お、お父・・・さん」
すると、男が吊られたままの正一の体を抱き締めた。
「正一・・・お前は俺の物だ」
男に、お父さんに抱き締められたまま、正一はまた気を失った。
体が揺れている。まだ吊られたままなんだろうか。でも、頭がぱんぱんになってる感じはかなり治まっている。
「んん」
肛門に違和感を感じた。良く知っている違和感。男に入れられているときのあの違和感だ。
目を開くと、男が前にいた。別の誰かが正一の脇に腕を入れ、膝の裏を持って彼の体を抱え上げている。少し首を捻ってその男の方を見る。圭介だ。圭介が正一を抱え上げ、男が抱えられた正一を犯している。
「目が覚めたか?」
圭介が正一に声をかけた。正一はそれに応える代わりに、圭介に顔を向け、口を少し開いた。
「好きだな、お前も」
圭介がその口にキスをする。
「おい、お父さんの前でそれはダメだろ」
男が言った。
(お父さん? ああ・・・)
気を失う前のことを思い出した。この男は、僕の、お父さん・・・
と、男の動きが激しくなった。男と、お父さんと繋がっている一点から体中に熱い何かが広がり、正一の体を侵食していく。
「ああ・・・」
それが正一の小さな体を覆い尽くす。すると、目の前が白くなる。ぐちゅぐちゅという音。頬を撫でられる。体を抱える腕。そういった、触れられている部分から熱を感じる。
「ああ」
気が付くと正一の口から声が漏れている。その声を聞きながら、男は、正一のお父さんは少し歪んだ笑顔を見せる。
「ほら」
お父さんが手を伸ばす。正一は手を差し出す。すると、その腕に注射器が突き刺さる。その針の刺激すら、熱く感じる。
針が抜かれると、お父さんが顔を寄せてきた。その口に吸い付く。その口を舐めまわす。舌を入れ、かき混ぜる。これまで正一が経験したことがないほどの激しいキス。それを正一自らが求め、むさぼり、それをお父さんに与えている。
「ああ・・・ん」
お父さんが正一の中から離れた。圭介も抱えていた手を緩める。正一は床に足を着けた。が、足に力が入らない。そのまま床にへたり込む。
「ほら」
床にへたり込んだ正一の顔に、お父さんのペニスが突き付けられた。正一は床に手を突いて体を支えながら、そのペニスにしゃぶりつく。お父さんがそんな正一を見下ろす。それを正一は上目遣いで見上げる。お父さんが、正一の頭に手を置き、撫でる。
「お父さん」
ペニスを咥えたまま男を見上げる。その顔は笑顔だ。
「お父さん」
もう一度言った。お父さんがそっと正一の口からペニスを引き抜く。そのまましゃがんで正一の頬を左手で撫でる。
「お父さん」
正一がまた笑顔になった。次の瞬間、正一は自分の顔がまるで光ったかのように感じた。男の、お父さんの右手が正一の頬を打った。短い接触ではあったが、頬は熱を感じた。痛みではない。それは満たされる思いだった。
「はあ・・・はあ・・・」
少し体を右側に傾け、右手を床について体を支える。そんな正一の顔面をお父さんは蹴りつける。床に仰向けに倒れ、後頭部を床に打ち付ける。が、それは正一にとって光であり、熱さである。男はさらに倒れた正一の顔面を蹴りつける。何度も何度も、まるで火花のように目の前が光った。頭がぐらぐらする。何かが潰れるような感覚。でも、熱い。
「ああぁ」
正一の口が開き、涎が垂れる。お父さんは蹴るのを止め、しゃがんで正一の顔を見た。
すでに顔の形は変わっていた。血が流れ出している鼻は恐らく折れ、潰れている。唇の端も切れている。頬の皮膚が裂け、そこからも血が出ている。血塗れだ。お父さんはそんな正一の顔を抱え、血を顔中に塗り広げる。裂けた皮膚を引っ張り、さらに傷口を広げる。鼻に乱暴に指を突っ込み、その指で顔を引っ張り上げる、正一は体を起こす。そして立ち上がる。そんな正一の足を後ろから払い、顔面を押さえて床に叩き付ける。
「ぐふっ」
大きな音がし、血が飛び散る。反動で下半身が持ち上がる。その浮き上がった足を掴んだのは圭介だ。そのまま圭介が正一の肛門に挿入する。
「お父・・・さん」
正一が何かを求めて男の方に手を伸ばす。が、男は無視する。そのまま正一の横にあお向けになる。圭介が正一の体に押し潰すようにのしかかり、背中に腕を回す。そのままその小さな体を抱え上げる。圭介がちらりと男を見る。男は圭介に頷きかける。圭介は正一を抱え上げて男の体の上に跨がる。正一の肛門には圭介が入ったままだ。そのままゆっくりと体を下ろす。正一の体の下で、男が体の位置を調整する。
「いいぞ」
男が、お父さんが言った。圭介が正一の体を下ろした。男の、お父さんのペニスが圭介が入ったままの正一の肛門に触れる。その部分に正一自身の体重がかかる。既に一本入っている正一の肛門が限界までこじ開けられる。
「あああ」
正一が口を大きく開き、喉の奥から声を出した。
お父さんのペニスが正一の肛門を押し開いた。何度も男に入れられているその肛門が、二本目のペニスを受け入れた。
体中が熱かった。いつの間にか、正一自身が、二人の男の上で体を揺らし始めていた。
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