「ひっ」
その冷たい感触に、少年の体が反応した。
「動くな」
それが少年の尻の穴を中心に塗り広げられる。何かが尻の穴に押し当てられる。
「ううっ」
その感触に思わず声が漏れた。また声を漏らす権利などない、と言われるだろうと少し体を硬くする。が、男は何も言わなかった。尻に押し当てられた何かが少年の穴を押し開く。
「ううっ」
また声が出る。男が少年の顔を見た。
「ご、ごめんなさい」
思わず少年は謝った。
「なにを謝っている?」
「そ、その、声出したこと」
すると男が笑う。尻の穴に何かが入ってくる。
「うっ」
男が少年の顔を見ている。少年の顔を見ながら、指を少年の尻の穴に押し込んでいる。
「これくらいはもちろん大丈夫だな」
そう少年は問われたのか、あるいは男の独り言なのか、分からない。
「は、はい」
分からなかったが、返事をしておくべきと考えた。
「そうか。これくらいは大丈夫なんだな」
尻の穴に入っていた指が抜かれる。そして、また入ってくる。今度はさっきより、早く押し込まれる。少年は声を出さないよう、口を噤む。
「声を出すことは許す」
男が言った。男は指を抜き、また差し入れる。
「ううっ」
少年は声を出す。違和感と異物感。それが少年の穴に出入りする。
「穴に指を入れられるのは初めてだな」
少年は頷いた。
「ちゃんと答えなさい」
男の横から小林が言った。
「初めてです」
少年は答えた。
「そうか」
男が指を抜く。その指にローションを垂らす。その指を少年の穴に当てる。
「お前は穴に入ってくるのをどう感じるのか、入れられながら説明しなさい」
穴に押し当てられた指に力が込められるのを感じた。
「あ、えっと・・・お尻の穴に指が」
男が指先を少し左右に動かす。
「少しくすぐったいです」
男がしゃがみ込み、少年の尻を開いてその奧を見る。
「み、見られてます」
「何を見られている?」
男がチラリと少年の顔を見た。
「お、お尻の穴・・・」
「お尻の穴か・・・ふん、まるで子供みたいだな」
男がその穴の縁に指を掛け、軽く開いた。
「こ、肛門・・・です」
少年が言い直した。
「お前は肛門を見られてどう感じる?」
「見られて恥ずかしいです」
男が立ち上がった。
「お前は私に譲渡された。ということは、お前の肛門も私の物だ。私が私の物を見るのに、なぜ恥ずかしいと思う必要があるのだ?」
「す、すみません」
再び男がしゃがみ、少年の尻を開く。
「ほら、小林も見なさい」
少し後ろに控えていた小林に告げた。
「おお、まだきれいなピンク色ですね」
小林が少年の尻を覗き込んで言った。少年は真っ赤になり、目を閉じて顔を背けた。
少年の尻の穴に指が入ってきた。
「う、入ってきました」
そう少年が言うと、指が抜かれる。
「出て行きました」
また入ってくる。さっきより少し太い感じがした。
「さっきより太いのが入ってきます」
「そうか」
それが奥まで入れられて、小刻みに出入りする。
「動いてます」
「気持ちいいか?」
「よく分からないです」
男は指を大きく引き、根元まで突き刺した。
「ふあっ」
「説明しなさい」
「お、奥まで、入ってきてます」
男がそのまま指を動かす。
「ああ・・・中で、動いてます」
男が指を抜いた。
「では、次は3本だ」
3本の指を揃えて少年の穴に差し入れた。
「いつっ」
少年の穴に鋭い痛みが走った。思わず体を引き、少しソファの背の方にせり上がり、抱えていた足を離した。
「なにをやっている?」
男が言った。
「お前には、痛みを訴える権利も、逃げる権利もない」
少年を見下ろす。少年は先程の位置に体を戻し、また足を抱えた。男が少年の尻の穴にローションをつぎ足す。手にも垂らす。
「逃げるなよ」
指3本をすぼめるようにして、少年の尻の穴にあてがった。少年は体を硬くする。
「力を抜け」
尻の穴に指を押し当てられたまま、少年は力を抜く。次の瞬間、穴に指が強く押し当てられた。
「うぐっ」
それは一気に少年の奥まで入ってきた。
「い!」
痛い、とは言えなかった。目尻に涙が浮かぶ。が、男は少年に挿入した指を捻り、抜き、また奥まで差し込む。
「くぅぅぅ」
声を上げまいと歯を食いしばっても、呻き声が漏れる。急に男が指を抜く。
「く・・・」
少年の体から少し力が抜ける。そのタイミングで、また男が指を少年の奧に突っ込んだ。
「んぐっ」
また、すぐに抜く。すぐに入れる。抜く。入れる。少年の穴で、ぐちゅっ、ぐちゅっと音がしている。
「ぅぁぁああ」
我慢をしても呻き声が漏れる。指が何度も出入りする。時々奥で指が止まり、そこをかき回される。また動き出す。途中、ローションを追加しながら2、30分ほどそれが続いた。
「よし」
男が指を抜いた。
「後は任せる」
男は小林に言う。
「かしこまりました」
男は部屋から出て行った。
「うぅぅぅ」
少年は呻いた。男が出て行ったことで少し気が緩んだのか、涙が頬を流れ落ちた。
「誰が呻いていいと言った?」
小林が言う。少年の頬を伝う涙を親指で拭う。
「誰が泣いていいと言った?」
少年の目の前で、右手の人差し指、中指、薬指を重ねるようにしてみせる。それを少年の股間に突っ込み、尻の穴に当て、押し込んだ。
「うぐっ」
少年の体が逃げようとした。が、少年は我慢して尻の穴を開き、指を受け入れる。小林はさっきの男と同じように、何度も何度も少年の穴に指を突き入れ、抜いている。
「ううう」
「声を出すな」
呻くことも許されない。少年はただ我慢し、自らの尻から聞こえるぐぽぐぽという音を聞いていた。
何時間たっただろう。
今、少年の尻の穴には、別の男・・・恐らく使用人の一人・・・の指が入っている。あれから何人かの使用人が少年の穴に代わる代わる指を入れ、そこをかき回し続けていた。少年の尻穴は熱を持ち、少ししびれている。が、最初に比べると辛くはなくなってきている。
「どうだ?」
小林が少年の前にしゃがむ。
「少し腫れた程度か」
そして、少年を取り巻くようにして立っている使用人達に向かって言った。
「今日はここまで、続きは明日だ」
使用人達は部屋から出て行く。
「立ちなさい」
少年に命じる。少年はソファから立ち上がろうとして、少し顔を顰めた。
「痛むか?」
「はい」
素直にそう答えた。
「まだまだ序の口だ」
小林が言う。
「来い。お前の部屋に連れて行ってやる」
彼等二人も部屋を出た。
もちろん、少年は全裸のままだった。
少年が連れてこられたのは、物置のような所だった。
「お前の部屋はそこだ」
小林は、物置の一角を指差した。そこには小さな檻があった。
「ここ・・・」
小林は檻の扉を開く。
「入れ」
少年は四つん這いになり、そこに這っていく。
「待て」
四つん這いの少年の尻に、またローションが塗り付けられた。ディルドが押し込まれる。
「っつ」
少年はその痛みから逃げようと、四つん這いのまま一歩前に動く。
「そのまま檻に入れ」
小林が命じる。少年が檻に入ると扉を閉め、鍵を掛けた。
「明日の朝までは自由だ。だが、それを抜くことは許されない」
少年に向かって言った。
「眠っている間に抜けたりしないように、しっかりと咥え込んでおけ」
部屋の入口に戻り、ドアを閉めた。
物置のような部屋の一角で檻に閉じ込められた少年は、尻に入れられたディルドに触れてみた。少しだけ尻から出してみる。太さは直径4、5センチくらいだろうか。半分くらいまで出してみた。尻の穴からディルドの根元まで指を当ててみた。
(だいたい10センチくらいかな)
ということは、全部で20センチくらいのディルドが入っているらしい。もう一度奥まで入れる。少し肛門が切れているのか、痛む。あぐらをかいてディルドが抜けないようにする。お腹の奥が少し痛む。
(なんで、僕はこんなことしてるんだ)
その状態で目を閉じた。
「お父さん・・・」
小さな声でつぶやく。思い出すのは二人でずっと一緒に暮らしてきた日々。そんな父親が女の為に自分を売った。いや、契約書には譲渡としか書かれていない。だが、確かにお金は受け取っていた。そのお金を持って急いで出て行った。それは事実だ。
その後・・・あの男が言ったことを思い出す。
『あなたのお父様は、殺されたとのことです』
実感が湧かない。何もかも夢の中の出来事のように感じる。その中で、尻の奥の異物感と痛み、それだけが本物だ。
「お父さん・・・」
急に涙が溢れた。体が震えた。
「お父さん」
檻の鉄の格子を握りしめた。
「ここから出してよ、お父さんに会いに行かなくちゃ」
檻を揺さぶってみる。が、びくともしない。
「ここから出せよ!」
泣きながら大声で叫んだ。
「お父さんに会わせろ!」
涙が止まらない。
「お父さん!」
喉が痛む。
「お父さん」
全て、嘘だ。
「お父さん・・・」
小さな檻の中で少年は体を丸めた。嗚咽を漏らしながら、それでもディルドは抜けないように股間に手を差し込んで押さえていた。
「なんで・・・こんなこと・・・」
あれだけ叫んだのに、誰一人、少年の様子を見に来たりはしなかった。
「なんなんだよ・・・」
頭を抱える。
「なんでなんだよ」
拳を格子に打ち付ける。
「なんでなんだよぉ!!」
少年は叫んだ。
真っ暗な部屋の中で、少年のすすり泣く声だけが聞こえていた。
そんな部屋に、誰かの足音が近づく。部屋の外から聞こえる足音が、その部屋の前で止まる。少年のすすり泣く声も止まる。ドアが開く。一瞬、部屋に光が射した。その向こうで人影が何かを少年に向けて放った。丸い何か。それが床を転がって少年の檻に当たって止まった。少年はそれに目を落とした。
「うわあぁぁぁぁ」
檻のすぐ外で、少年の父親が目を見開き、口を大きく開けて少年を見ていた。いや、すでに光を失った目には何も見えていない。が、少年はその顔を見た。顔だった物を見た。その顔を見て絶叫した。それから目を逸らすことも出来ず、体を動かすことも出来ず、ただ絶叫し続けた。声が枯れてもその絶叫は止まらなかった。
翌朝、小林が少年を檻から引きずり出した。
少年は憔悴していた。一晩中叫び続け、泣き続けた。今は、呆けたように少し口を開き、涎が垂れていることにも気が付いていなかった。小林は、そんな少年を何も言わずに部屋に連れて行った。
その部屋は食堂のようだった。大きなテーブルの向こう側にあの男が、そしてこちら側に全裸の少年が座っていた。男の傍らに小林が、部屋の壁際に使用人が何人か立っている。
「昨夜は良く眠れましたか?」
男が尋ねた。
「・・・はい」
ほとんど条件反射のように少年が答える。
「そうか、それは良かった」
男は近くに控えていた小林に目配せをした。すぐに、テーブルの上に朝食が並んだ。
「食べなさい」
少年は動かない。
「命令だ。食べなさい」
それでも少年は動かない。
「あなたの希望を一つ叶えてあげたのに、あなたは私の命令を拒むのですか」
少年の目の前に、父親の生首がどんと置かれた。
「ひ、ひぃ」
少年が仰け反った。椅子が大きな音を立て、後ろに傾いた。少年の近くにいた使用人が彼の肩を押さえ、その体を支えた。
「お父様に会いたかったのでしょう?」
男は朝食を食べながら話している。
「ひ、ひ」
少年が引きつった。と同時に小便を漏らした。
「食事中に粗相とは・・・やはり物は物扱いしないといけないようですね」
男との会話を見守っていた小林が何か合図をした。周りにいた使用人達が少年に近づき、腕を掴んだ。そして、テーブルの上の朝食を手で掴み、少年の口にねじ込んだ。
「本来、食事とは楽しく、美味しく頂くべきものですが」
口に食材をねじ込まれた少年は咽せる。だが、それでも口に入れられ続ける。
「あなたのお父様と一緒に、苦しい、辛い食事というのもいいでしょう」
誰かが少年の父親の口にも何かをねじ込む。それを見た少年が吐いた。
「もったいない」
小林が、少年の吐瀉した物と、父親の口にねじ込まれた物をかき寄せ、それをまた少年の口に突っ込んだ。
「うげっ」
無理矢理飲み込ませる。目の前の食べ物が少しずつなくなって行く。
「まったく、下品な」
口ぶりとは裏腹に、楽しそうに男が言った。
「食べ過ぎると、この後支障が出ますからね。ほどほどにして下さいよ」
そう言って、ナプキンで口の端を軽く拭うと、男は席を立った。
「さて。それでは昨日の成果を見せてもらいましょうか」
使用人達が少年の両腕を抱えた。
少年が運び去られた後、テーブルの上に生首と、そして床にディルドが転がっていた。
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