3.亮太の場合

<2>
「もういい」
勇さんに命令されてボクブリを脱いだ僕は、そこについていたシミを舐めてきれいにさせられていた。どれくらいの時間舐めさせられていたのか・・・ようやく、勇さんはそう僕に言った。そう言って、ボクブリを床に投げ捨てた。
(捨てるんなら、きれいじゃなくてもいいだろうに)
そう思ったけど、そんなことを言ったらどうなるか分からない。僕は何も言わない。
勇さんは僕の左手と左足をまたフックで固定した。大の字に逆戻りだ。しかも、今度は素っ裸で。背中とお尻がコンクリートの床でひんやりしている。
「お前、オナニーするのは右手か?」
いつも無意識にしてるので、とっさに答えが出て来ない。少し考える。だいたいオナニーするときは、裕弥とLINEでメッセージ送りながらか通話しながらだ。だから、右手はいつもスマホを握っている。ちんこを握っているのは左手だ。
「左手です」
すると、勇さんが僕の左側に回った。
「オナニーしたいか?」
「えっ」
「オナニーしたいかって聞いてるんだ」
「はい」か「いいえ」か・・・今度はどっちが正解なんだろう。「はい」って答えれば、たぶん左手を自由にされて、オナニーさせられるんだろう。でも、この状況じゃ勃たない。たぶん、射精までいかないだろう。そうしたら、射精出来なかったからってまた何かさせられるんだろう。「いいえ」って答えたらどうなるか・・・手はこのまま。それからどうなる? 想像出来ない。ひょっとしたら手を使わずに射精しろとか言われるかもしれない。それは無理だ。でも、それって「はい」って答えたのとあまり変わらないと思う。他には・・・
「どっちなんだ?」
「い、いいえ」
「そうか」
正解だったかな、と思った。左手が、右手と同じように手首からおかしな方向にねじ曲がるまでは。
「オナニーしないなら、左手使えなくてもいいよな」
勇さんは僕の手首を蹴った。2回、3回と蹴り続ける。
「や、やめてください」
思わずそう叫んでしまった。でも、勇さんは蹴り続ける。左の手首から先が、蹴られる度にブラブラと方向を変える。もう、左腕とは別の何かになっていた。
「やめて・・・ください」
涙が出ていた。痛いからじゃない。何の涙なのか、自分でも分からない。勇さんが僕から離れた。
「分かった。やめてやる」
「もう・・・もう、遅いよ」
泣きながら僕は言った。右手も左手も、手首から先がもうぶらぶらだ。こんなの・・・
「もう、嫌だよ・・・なんでこんなことするんだよ・・・」
頭の片隅で『言っちゃだめだ』ってもう一人の僕が叫んでいる。でも、もう止まらなかった。
「なんでこんなことされなきゃなんないんだよ! 誰か、誰か助けて!!」
勇さんは僕が叫びだしても平気だった。いや、笑っている。
「なんで笑ってんだよ、頭おかしいよ」
勇さんは無言で笑ったままだ。そして、またあの青いシートの所に行く。
「今度はなにすんだよ! 誰か助けて!!」
勇さんが戻ってきた。手を背中に回している。
「誰か助けて!」
もう一度叫んだ。すると、勇さんがまた笑った。
「ここ、どういう所か知ってるか?」
「知るわけないだろ」
「ここはな、数年前に潰れた産廃業者の倉庫だったんだ」
何の話をしているのか、分からない。
「その会社はな、不法投棄しまくってたんだよ」
急に勇さんが大きいシャッターの方に歩き出した。そして、シャッターを開いた。その向こうは木々が生い茂った、まるで森のようなところだった。
シャッターを開いたまま、勇さんが戻ってくる。
「この通り、ここの周りはなにもない。それこそ不法投棄し放題の場所だ。しかも今は立ち入り禁止になってる。一番近い民家でも、ざっと5キロは離れている。お前が泣こうがわめこうが、絶対に誰も気が付かない」
僕は叫ぶのをやめた。勇さんが言っているのは嘘じゃない。僕の心はそれが本当だって感じとった。
「さあ、お前は俺のなんだっけ? そして、さっきはなんて言ってたんだ?」
背中に回していた手を僕に見せる。その手には庖丁が握られていた。
「あ・・・あの・・・」
言葉が出て来なかった。せめてごめんなさいとでも言えれば良かったのかもしれない。でも、口は開いても、声が出ない。声が出ても、意味のある言葉が出て来ない。頭が今の状態について来ていなかった。
「ふんぐっ」
お腹に衝撃があった。がんっという音も聞こえた。勇さんが両手を僕のお腹に振り下ろしていた。さっき、その手には庖丁が握られていた。恐る恐る、僕は首を上げてお腹を見た。
「あああぁぁぁぁぁ」
僕のお腹の下の方・・・たぶん、お臍の少し下くらいに、さっきの庖丁の柄が見えた。勇さんは僕の横に立っている。つまり、僕のお腹に庖丁が突き刺さってるってことだ。
「うあぁぁぁぁ」
僕はもがいた。無茶苦茶もがいた。僕が身体を動かすと、庖丁の柄も動いた。どんなにもがいても、その柄は身体と一緒に動く。その現実が受け入れられない。それを受け入れさせるかのように、身体中に痛みが広がっていく。激しい痛みで動けなくなる。
すると、勇さんが庖丁の柄を両手で握った。
「ぬ、抜いて、抜いてよ!!」
チラリと僕の顔を見た。そして、庖丁をそのまま股間の方に動かした。
「いいいあぁぁぁ」
切り裂かれる感じなんて、知るわけがない。でも、僕は今、自分のお腹が庖丁で切り裂かれているのをはっきりと感じ取った。まるで魂が抜けて、自分の身体を上から見下ろしているかのように、自分のお腹がどれ位切り開かれているのかも分かった。そこから血が溢れていくのも分かった。そして、僕が気を失うことも・・・

「ほら」
何か、生暖かいものが顔に触れている。それで顔を軽く叩かれている。初めは手かと思った。でもその感触は何か濡れたようなものだった。目を開く。目の前に勇さんがいた。
「ほら、ちゃんと目を覚ませ」
そう言って、ピンク色の何かで僕の顔を軽く叩く。ぼんやりとそのピンク色の何かを見つめる。勇さんが握っているのはその先の部分だった。それはもっと長くて、奧に続いてて、そして、僕のお腹に繋がっている。
「うわぁぁ」
僕の腸が身体からはみ出していた。勇さんはそれで僕の顔を叩いていたんだ。
まるで夢を、悪夢を見ているような気分だ。なぜなら、痛みがない。この状況で痛みがないなんて、夢としか思えない。しかも、手足が自由になっている。両手の手首から先はぶらぶらのままだったけど、それも痛みはない。僕は身体を起こしてそこから逃げ出した。
倉庫の壁に走り、今は閉じられているシャッターを目指す。チラリと勇さんを見る。勇さんはさっきの場所にしゃがんだままだ。
(これなら逃げられる)
簡単にシャッターの所にたどり着く。でも、鍵が掛かってるんじゃ・・・動かない右手を無理矢理動かして、シャッターを力一杯引き上げた。シャッターは意外と軽く開いた。外の光が入ってくる。
(逃げられた!)
そう思った時だった。急にぐんっと身体を引っ張られた。振り返ると、勇さんが、さっきの場所でピンク色の物を握ったまま立っている。ピンク色の物は、そこからほとんど弛みなく、僕のお腹に繋がっている。つまり、僕の腸を握られているってことだ。そして、これ以上逃げられない。これ以上逃げるということは、腸を自分で引きちぎるってことだ。
「無駄なことを」
勇さんが笑っていた。
「ほら、いいんだぜ、もっと逃げても」
楽しんでいた。僕は自分の腸を掴んで引っ張った。まるで綱引きのようだ。僕の腸が綱になっているけど・・・
「離して下さい」
声が震えていた。勇さんは何も言わず、少し腸をたぐり寄せる。腸が引っ張られる。僕は一歩、勇さんに近づいた。
「やめて・・・もう、離してください」
嗚咽交じりになった。それでも勇さんは腸をたぐり寄せる。僕は結局逃げることは出来ないんだ。
「知ってるか? 人の腸は5〜6メートルくらいだそうだ」
僕の腸を引っ張り、たぐり寄せながら言う。僕と勇さんの間の距離はざっと3メートル。僕のお腹から出て、勇さんに握られてるところで折り返してって考えると、ちょうど6メートルくらい。勇さんには分かっていたんだ、僕が逃げられる範囲が。
「僕の腸、返して下さい」
勇さんに少しずつ近づく。その分の腸をお腹に押し込む。でも、すぐに勇さんに引っ張られてしまう。
「お前は俺の奴隷だ。お前の腸も俺のもんだろ」
結局、僕は勇さんの前で膝を床についた。逃げられないことを身に染みて感じた。実際、あの身体の中を引っ張られるような感触、出来れば二度と味わいたくなかった。
「ほら、仰向けになれ」
僕には分かっていた。仰向けに横になり、手足を大の字に広げる。勇さんは何も言わずに枷をフックに固定する。
「さあ、お仕置きが必要だな。いろいろ悪さしたからな」
床に転がっていた庖丁を取り上げた。もう、悲鳴を上げる気力が残っていない。
勇さんは、庖丁で僕の右手首を切断した。どうせもう、ぶらぶらだったし・・・そして、その手首を開いたままのシャッターの外に放り投げた。
「この近くにはネズミだの狸だのいろいろといるらしい。お前の手首、いい餌になるだろうよ」
こうして、僕は右の手首を失った。
「そういや、痛みはなくなってるよな」
僕は頷く。
「神経をブロックしておいた。痛みで死んじまうのは面白くないからな」
意味はよく分からなかったけど、痛いよりは痛くない方がまだマシだろう。痛みで死ぬのかどうかは分からないけど・・・
「さてと。今日はここまでかな」
勇さんは床に落ちている庖丁やドライバー、カッターナイフを拾い集めて、青いシートの方に持って行った。
「また明日、楽しもうな」
そして、さっさとドアから出て行った。

車のエンジン音がした。そして、それは徐々に小さくなり、やがて聞こえなくなった。



僕は首を起こして回りを見た。シャッターは開いたままだ。ということは、本当にここは近くに人が全くいなくて、誰かが僕に気が付くということがない、ということだ。反対側には、僕のお腹から青いシートの方に、まるで赤い大きな蛇のように腸が横たわっている。涙が出てきた。このまま僕は死ぬんだろうか。まさか、こんなことになるなんて・・・

何か物音がした。シャッターの方からだ。そっちに目を向けると、入口の所に何か小さい影が二つ見えた。それが僕に近寄ってくる。大きなネズミだ。
「うわ!!」
僕は逃げようとした。けど、もちろん逃げられない。2匹のうちの1匹は、床に横たわっている僕の腸に近づいた。そして、それに食い付いた。
「やめろ!! あっち行け!!」
僕は叫んだ、でも、ネズミは腸の所から動かない。すると、お腹の辺りに何かが触れた。もう一匹のネズミが、僕のお腹に這い上がってきていた。
「いやだ、やめろ、来るな!!」
しかしネズミはそのまま僕のお腹によじ登り、そして、あろうことか切り開かれたお腹から中に潜り込んだ。
「うわぁ、いやだぁ!!!」
痛みは感じないが、何かが中で動いている感じは伝わってくる。お腹の中で、もぞもぞと動いている感じ。首を上げて見た。お腹の一部が盛り上がっている。そして、その盛り上がりはお腹のもぞもぞと一緒に右に左にと動いていた。
「あぁ・・・」
そして、僕は気を失った。



「おら」
顔面を踏み付けられた。
「よく眠れたか?」
まず目に入ってきたのは、開いたままのシャッターだった。シャッターの外は薄暗い。まだ自分の時間の感覚が正しいなら、ようやく夜が明けてきた頃だと思う。見上げると、勇さんが笑っている。その途端、昨夜の事が脳裏に蘇った。
「ひぁぁ、来るな! 嫌だぁ」
身体を仰け反らせ、足を振り回した。ぐちょっという音と同時に、ピンク色の腸がお腹からはみ出した。
「ひ、ひぃぃ」
「なに寝ぼけてる」
脇腹を蹴られる。身体の奥に重い痛みが蘇る。
「ね、ネズミが・・・」
すると、勇さんが何かを差し出した。
「こいつらか?」
ネズミだった。
「お前の腹の中が暖かかったんだろうな。よく眠っていた」
そして、僕の身体の上に置いた。
「それにいい餌を食べてたのか、よく太ってるし」
身体を揺すってネズミを払いのける。
「そんなに邪険にするな。お前の血肉を分けた、いわば兄弟だろ?」
吐き気がした。身体の重い痛みが少しずつ大きくなっている。
「うぅ」
痛みで顔をしかめた。
「そうそう、神経ブロック、そろそろ切れる頃だと思うよ」
勇さんはごく普通に言う。
「死にそうなほどの激痛に頑張って耐えろよ」
その間にも、重い痛みが身体の奥から徐々に大きく広がっていった。
「うぅぅあああ」
息が出来なくなるほどの痛みが襲ってきた。初めは叫び、のたうち回ったが、あまりの痛さにそれも出来なくなる。
「痛そうだなぁ、おい」
そう言って、お腹の裂け目に手を突っ込んできた。
「ぎぃぃぃ」
腹の中をかき回される。血が溢れ、飛び散る。
「痛いよ、助けて、助けてぇ!!」
気が付くと叫んでいた。
「そんなに痛いか。可哀相になぁ」
相変わらずこいつは笑っている。笑いながら、僕のお腹の中をかき回す。
「た、助けて・・・下さい」
息を継ぎながら僕はそいつに頼んでいた。
「助けてって言われてもなぁ・・・」
手を引き抜く。血で真っ赤に染まっている。
「あれ、アレして下さい。ブ、ブロック」
「アレなぁ・・・面倒くさいんだよな、神経ブロック」
笑いながら答える。
「お願いします。お願いです」
「ちっ、しょうがねぇな。お前の身体が俺を満足させられたら、やってやるよ」
でも、これが本当の地獄の始まりだった。

勇さんは手に付いていた僕の血を、今はボロ布になって床にうち捨てられていた僕の服で拭う。そして、青いシートの所に行った。
「さぁて、今日はなにして遊ぶかなぁ」
独り言だ。でも、僕に聞こえるように大きな声で言っている。
「これが楽しそうだ」
赤い箱だった。その蓋を取って中身を僕に見せる。
「知ってるか?」
赤や黄色や緑色の、3,4センチくらいの小さい筒みたいなのが一杯並んでいた。それがなんなのか、分からなかった。僕は首を左右に振った。
「これは爆竹だ。中国のお祭りとかで、バンバンやってるの、ニュースとかで見たことないか?」
もう一度首を横に振った。
「だったら、身体で感じてみるんだな」
勇さんは、僕の横でその爆竹というやつを指で摘まんだ。
「さて。どうなるかな」
ライターを取り出した。嫌な予感がした。そして、確かに中国のお祝いの時にバンバン鳴らしているのをテレビで見たのを思い出した。
「い、いやっ」
身体に力が入る。痛みが増す。でも、その痛みにも少し慣れてきたのか、それとも僕の頭がおかしくなってきているのか、身体の痛みよりも、次に何をされるのかが心配だった。
(心配?)
何か違う気がする。そんなことをぼんやり考えている間に、勇さんは爆竹の導火線に火を点けた。しゅーっという音と共に、煙が出る。そして、そのまま僕のお腹の中に腕を突っ込んだ。腕はすぐに引き抜かれたけど、その手に爆竹はない。最初の1つが僕の中ではじけた。
「んぐっ」
そして、すぐにいくつもの破裂音がした。お腹の中で何かが飛び回っている様な感じだ。その何かは熱くて、お腹の中から飛び出そうとしているようだった。
「ぐあぁ!」
お腹からうっすら煙が上がっている。連続して何度も破裂音がする。その度にお腹の奧が痛み、ちくちくと突き刺さるような熱さを感じた。
やがて、破裂音はしなくなった。お腹の傷の辺りが痛熱い。
「うぅぅぅぅ」
呻き声を我慢出来なかった。
「腹の中で爆竹鳴らすのは、どんな気分だ?」
笑っていた。呻く僕を見て笑っている。そして、足枷を外されて、足を持ち上げられる。
「ここにも爆竹入れてやろうか」
そう言いながら、僕の穴に指を突っ込む。いや、指だけじゃなかった。またしゅーっていう音。そして、破裂音。まるで、アナルがぶっ飛んだかのような痛みを感じた。僕はお腹の裂け目とお尻の穴から煙を出しながら、身体を震わせていた。
「これでケツの穴、いい具合に広がったんじゃないか?」
勇さんはローションを持っている。つまり、これから・・・
勇さんが足を持ち上げて、僕の胸に押し付ける。
「んぐっ」
ローションを付けた指をアナルに突っ込まれる。中が痛い。たぶん、火傷とあの破裂でどうにかなってるんだろう。そのまま指をぐいぐいと入れてくる。
「っつぅ」
僕は顔をしかめる。
「なんだその顔は。お前はケツ感じるんだろ? 気持ちよさそうにしろよ」
気持ち良いわけがない。でも、これまでそうやって何度も失敗した。僕は勇さんの言う通りにした。
「あぁ・・・」
気持ち良くもないのに喘ぎ声を出す。すると、アナルの指が増えて、奧まで入ってくる。
「ん」
半分は苦痛の呻きだけど、半分は演技の気持ち良い声。そのまま勇さんは僕のアナルをぐちゃぐちゃとかきまわした。
その指を引き抜いて、僕の顔に近づけた。何をしたいのかは分かっている。僕は口を開ける。指が口に入ってくる。あの匂いと血の臭い。そして、鉄の味。
勇さんがちんこを突っ込んでくる。かなり強引に、乱暴に僕の壊れかけたお尻を犯す。血とローションでぐちゅぐちゅと音がする。痛い。辛い。お腹の傷も痛い。全身、痛くないところはないくらいだ。でも、お尻の奧にむずむずと何かが湧き上がる感じがする。徐々にちんこが硬くなっていくのが分かる。勇さんもそれに気が付く。少し驚いた顔で僕を見る。僕は顔を背けた。
「予想以上の変態だな、お前は」
そうだ。こんなに身体はぼろぼろにされているのに、アナルとちんこは気持ち良くなっている。自分でも信じられないけど、事実、ちんこはビンビンになっていた。
「じゃ、こうしたらどうなるんだ?」
腕をお腹の裂け目に突っ込んできた。激痛・・・の筈。でも、なぜかあまり感じない。お腹の中で腕がもぞもぞと動いているのを感じる。その手はお尻の方に近づいているようだ。そして、勇さんは僕の腸の上から、自分のちんこを握った。
「まるでオナニーだな」
そのまま犯される。痛い筈なのに勃起したままだ。血が溢れているのに気持ちが良い。そして、僕は・・・・・
「ふあぁ!!」
身体が自然と仰け反った。勇さんのモノを奥までくわえ込みながら、僕は射精した。ちんこは勢いよくビクビクと揺れながら、精液をまき散らす。それは頭の上を遙かに越えて飛び散った。
「おぉ、さすが変態、すげぇな」
勇さんも僕の中に射精する。腕を腹から抜いて、手を拭う。僕の顔に股間を近づける。僕は黙って口を開き、勇さんのちんこをきれいにした。
「はぁ・・・はぁ・・・」
まだ息が収まらない。
「こんな状態で、しかも手は使えないのによくあれだけ飛ばしたな」
勇さんに言われると少し恥ずかしい。
「でも、興奮が収まったら、あとが大変だぞ」
気が付いていた。身体の奥から痛みが押し寄せてきている。どうやら僕の心と体はこういう痛みよりも、ああいう快感を優先させるらしい。
「うぅぅ」
全身に広がる痛みに耐えながら、僕は呻き声を漏らす。
「あ、あれ、して下さい」
勇さんは何も言わずにただ僕を見ている。
「お、お願い、します」
身体が震えだした。
「あ、あ・・・助け、て・・・」
もう痛いのかどうかも分からない。意識が薄れていく。
「た、たす、け・・・」
勇さんが僕の頬を叩く。
「なに勝手に気を失おうとしてるんだ?」
無理矢理意識を引き戻される。僕の身体はまるで痛みで出来ているかのようだ。
「じゃ、一つゲームをやろう」
聞こえている。けど、意味が分からない。
「お前が勝ったら神経ブロックしてやる。どうだ?」
頭が軋みながらそれを理解する。
「ぼ、僕が・・・僕が負けたら・・・どうなるんですか?」
「しないだけさ。別に不利なルールじゃないだろ?」
そして、青いシートの所に行き、斧を持って戻ってくる。僕の右足首の近くの床に斧の刃を付ける。
「ここ。ここにお前の右足を置け」
何も考えずに・・・何も考えられないまま、言われた通り、足を開いて右足をその位置に置いた。
「いいか、簡単なゲームだ。今から俺がこの斧をここに振り下ろす。お前がちゃんと足をそこに置いて、足がきれいに切断出来たらお前の勝ち。ブロックしてやる」
そして、続けた。
「お前がびびって足をずらしたりして、うまく切断出来なかったらお前の負け。ブロックはなし。簡単だろ?」
簡単だ。ルールだけ言えば。
「チャンスは一回きり。やり直しはなしだ。いいな」
勇さんが斧を振り上げた。僕の意思は関係ないってことだ。
ほんの一瞬の間、僕はいろいろと考えた。今、既に右手首から先はない、左手だって手首は付いてるけど使い物にならない。そして、今度は右足だ。このままだと、右足がなくなる。でも痛みは消える。もし痛みが消えなかったら、痛みで死ぬことあるんだろうか。両手も足もだめなら生きてても仕方がないかもしれない。でも死ぬなら、どうせ死ぬんだろうから、痛みはない方がまだましだ。
僕は右足を差し出した。そのつもりだった。けど、最後の最後で少しだけ躊躇した。勇さんが振り下ろした斧は、僕の足首の半分だけに食い込んだ。斧の刃の先の方だけが足に刺さってる。足は完全には切断されなかった。
「ぐあぁぁ」
新たな痛みが身体に広がる。
「あ〜あ、せっかくお前に有利なルールにしてやったのに」
勇さんは笑っている。笑いながら、僕の足から斧を引き抜いた。
「も、もう一回、もう一回お願いします」
その痛みの中で僕は懇願する。
「一回きりって言ったろ?」
「お願いします、助けて下さい」
震える声でお願いする。勇さんはそんな僕を見下ろす。
「じゃ、もう一回やってやる代わりに、お前はなにかを差し出せ」
理解出来ない。そんな僕に勇さんが説明する。
「もう一回やって欲しいなら、お前の身体のどこか・・・そうだな、脳とか、目とか、心臓とか・・・・・ここでもいいか」
靴で僕のちんこを突く。
「どっかを差し出せ。どうする?」
考えた。必死に考えた。脳はだめだ。心臓もだめだ。死んじゃう。目は見えなくなるけど死にはしない。でも、見えなくなるのは嫌だ。ちんこは・・・オナニー出来なくなる。でも、どうせ、もう手は使えないんだから、オナニーも無理だ。それに、ちんこだったら死ぬことはないだろう。
「・・・ちんこで」
「よし、決まりだ。じゃ、もう一回」
そして、今度は僕は斧の刃の下に足を出す事に成功した。右足首から先が、僕の身体から離れた。
(助かった・・・)
そう思いながら、僕は意識を失った。

<続く> 
      


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