陽良(アキラ)さんやハルちゃんのこと、そして冬樹のこと。今年は結構いろいろあったな、なんて思いながら、ベッドでスマホを触っている間に年が変わっていた。
『明けましておめでとう』
冬樹からLINEでメッセージが来た。少しドキッとする。
『おめでとう』
とりあえずそう返す。すぐにハルちゃんからも画像付きのメッセージが来た。
『おめでとう』
画像は、全裸の3人の男と、その前で両手を広げて立っているハルちゃんが写っていた。男の人のあそこは広げたハルちゃんの腕で隠れている。でも、ハルちゃんのは丸見えだ。撮っているのはたぶん陽良さんだろう。
『今年もエロト全開かよ』
そう返してから、おめでとうと付け足した。
(ま、あいつはあいつで楽しそうだな)
少し体の奥が疼いたけど、我慢出来ない程じゃない。僕は中村家の秘密を知っている。秘密を共有して、将来は中村家の一員となる。そんな自信のような、覚悟のようなものが出来ていた。
『今日、ヒマ?』
冬樹からだ。今日って、1月1日だ。暇というか、別にやることはない。
『初詣以外は暇』
そう返す。返してからドキドキする。
『初詣、今から行かない?』
今からって、今は日付が変わった直後だ。
『寒い』
実際、外は寒そうだ。
『じゃ1時に鳥居の下で待ち合わせ』
勝手にそう決めてくる。まぁいいんだけど。
『分かった』
メッセージを返してから、親に話した。寒くないようにして行け、とだけ言われた。

「お待たせ」
冬樹が来たのは1時20分くらいになってからだった。
「遅い」
僕は文句を言う。
「いやぁ、ちょっとテレビで年越しライブ見てたからさ」
ドキドキしながら待っている間に、すっかり体が冷えてしまった。
「なんか暖かいの、お前のおごりな」
神社には結構たくさんの人がいる。参道には屋台みたいなお店も出ていた。ちょっとしたお祭りみたいな雰囲気だ。神社のお参りするところには大きな篝火が焚かれていたりする。
冬樹が僕を見た。
「寒そうだな」
「お前が遅いからだろ」
(っていうか、暖かいのおごれって言ったろうが)
すると、冬樹が着ていた青いダウンジャケットを脱いで僕に差し出した。
「とりあえず、着とけ」
冬樹はダウンジャケットの下に分厚いセーターを着込んでいた。
「まぁ、寒いのはお前のせいだから借りとく」
着ていたパーカーの上に、冬樹の青いダウンジャケットを羽織る。冬樹は参道に向かって歩いて行く。
(あいつはいつも通り。ドキドキしてるのは僕だけか)
なんだかドキドキしていたのが馬鹿らしくなる。僕は冬樹の背中を追いかけた。

冬樹はいくつか並んでいる屋台を順番に見て歩く。僕は少し離れてついていく。たこ焼き、焼きそば、リンゴ飴。出ている屋台もお祭りと同じ。お面まで売っている。
「ねえ、冬樹。やっぱ、まずはお参りじゃねぇの?」
初詣に来たんだから、まずそれだろう。
「シュウ、暖かいのおごれって言ったじゃん」
まぁ確かに言った。
「でも、ちゃんと初詣終わってから」
僕等は初詣のお参りの列に並んだ。

(陽良さん・・・とハルちゃんと、今年も一緒に楽しめますように)
僕はそう願った。
(あ、あと、冬樹とも今年も仲良く・・・そして今年はいろいろ出来ますように)
そう付け加える。ちらりと隣を見ると、冬樹が僕を見ていた。
「長かったな」
「いろいろとあるんだよ、お前みたいに単純じゃないからな」
「ふうん」
それだけだった。
(聞かないのかよ)
心の中でツッコんだ。でも、それが冬樹らしい。
「さ、なんか暖かいの探そ」
冬樹が屋台の方に走っていく。
「おい、走るなって」
僕はそんな冬樹を追いかけようとした。

「五十嵐」
誰かに呼ばれた。僕は声がした方を振り返る。
「やっぱり、五十嵐か」
その人が近づいて来た。心臓の鼓動が早くなる。
「久しぶりだなぁ、五十嵐」
足が、体が動かない。
「大きくなったな」
里田先生・・・僕の小5の時の担任の先生だった。
「明けましておめでとう」
里田先生が笑顔で言った。僕は動けない。何も言えなかった。
「どうした?、五十嵐」
先生が僕の顔に顔を近づけた。僕の目を見た。僕も、里田先生の目を見ていた。
「久しぶりだなぁ・・・元気だったか?」
その目から目が離せない。
「今は・・・中学生か。中2、かな」
何とかうなずいた。
「そうかぁ・・・」
僕の耳に口を寄せた。
「なかなか可愛く成長したな」
先生が僕の頭に触れた。その瞬間、僕の体が動いた。先生の手を振り切って走ろうとした。目で冬樹を探す。見つからない。きっと屋台の辺りをうろうろしているんだろう。
(逃げなきゃ)
走りだそうとした瞬間、先生に腕を掴まれた。
「そんなに邪険にするなよ」
そのまま、暗がりに引っ張られた。

先生の舌が僕の口に入ってくる。僕は歯を食いしばってそれを拒否する。
「五十嵐、あの頃はあんなに積極的だったのにな」
また口を押し付けられる。
「は、離せよ」
僕は先生の手から逃れようとする。
「いいじゃないか、久しぶりなんだし」
抱き締められる。
「俺は今でも、お前のあの時の動画とかオカズにしてるんだぞ」
僕を抱き締めた手が背中を下りていく。
「さっき一緒にいたの、谷原か?」
手が僕のお尻を撫で回す。
「あいつもおいしそうだったな。あいつ、お前のこと知ってるのか? お前が俺と気持ちよくセックスしてたって」
「知る訳ないだろ」
僕のお尻を掴まれる。
「そうか。じゃ、あいつにも教えてやろうか、お前の本性」
「やめろ」
体をねじって先生の手から逃れようとした。
「じゃ、久しぶりに楽しもうじゃないか」
「嫌だ」
先生の手が僕の股間を握った。
「どうせ、ここはすぐに勃つんだろ?」
「嫌、だ」
先生を突き飛ばす。走り出す。とにかく人の多い方に走る。人混みの中に紛れる。振り返る。先生は追って来てはいない。
(助かった)
冬樹を探す。先生が冬樹を見つける前に見つけないと。屋台の前を早足で歩いて探す。向こうの方にチラリと冬樹っぽい人影が見えた。
「ふゆ」
冬樹に声を掛けようとしたその時、腕をがっしりと掴まれた。
「逃げるなよ」
僕は先生に捕まった。

神社にいる人達の声が微かに聞こえる。そんな神社の裏手の暗がりで、僕は先生に押し倒されていた。
「ほら、やっぱりお前のここはすぐに堅くなるんだな」
僕は下半身裸にされ、ペニスを握られていた。
「あの時と同じだな。お前は相変わらずセックスが好きなんだな」
アナルを舐められる。
「くっ」
「相変わらす淫乱で、先生安心したよ」
「なにがだ、やめろ!」
僕は大きい声を出した。でも先生に口を塞がれる。
「大きい声出したら、きっと谷原が来てくれるさ。そしたら、谷原も一緒に」
「やめろ」
大きな声は出さなかった。
「冬樹は関係ない」
「そうだな。谷原を巻き込むかどうかは、お前次第だ、五十嵐」
また僕にキスをしてきた。
「ほら、あの時みたいに舌を絡めろよ」
それは脅迫だった。言うことを聞かなかったら冬樹も巻き込むぞ、という脅迫だ。
僕は目を閉じて、先生の舌に舌を絡めた。

「ごめん、家から帰ってこいって連絡あって」
ようやく見つけた冬樹にそう言って、すぐに背中を向けた。
「じゃ、またあとでLINEするから」
僕の背中に冬樹が言った。僕は軽く右手を上げる。道の端で先生が僕を見ている。僕が先生の前を通り過ぎると、すっと僕の横に立った。
「あいつとしてるのか?」
「そんな訳ないだろ」
先生が僕の手を握る。ぞっとした。でも、そのまま握られる。
「あれから何人とやったんだ?」
僕は答えなかった。
「お前のことだ、数え切れないくらいの相手に抱かれたんだろ?」
僕はそれについては何も答えなかった。
「あっ」
「どうした?」
僕は振り返った。先生が僕の手を強く握る。
「振り返るな」
低い声で言った。
(冬樹のダウンジャケット・・・)
それを着たままだったことに気が付いた。それを着たまま、僕は先生のアパートに連れ込まれた。

殺風景な部屋だった。奥に段ボール箱がいくつか置かれている。
「最近こっちに戻ってきたばっかりでな。すぐにお前に会えたのはラッキーだったな」
抱き締められる。
「また前みたいに楽しもうな」
首筋に先生の息が掛かる。鳥肌が立つ。
(今日だけだ。先生が好きなのは小学生なんだから)
「あの頃のお前は可愛かったな。先生、お前が大好きだったんだよ」
耳を舐められる。
「最近、中学生くらいでもいいなって思うようになってな」
手が僕の体を這い回る。
「そしたら、お前がどんな風に成長してるのか見たくなってな」
押し倒された。
「きっと神様が引き合わせてくれたんだな、あそこで」
上半身裸にされた。
「そうだ、ちょっと待ってろ」
部屋の隅の段ボール箱から何かを取り出した。
「ほら、手、出せ」
手錠を嵌められる。その状態で手を頭の上に上げさせられる。
「もう子供じゃなくて少年って感じだな。でも脇はつるつるだ」
そこを舐められた。
「ひっ」
「気持ちいいのか?」
僕は答えない。絶対に答えるもんか。
「じゃあ」
ズボンに手が掛かる。ゆっくりと脱がされる。
「お前のボクブリ姿、なかなかかっこいいな」
先生がスマホで撮影する。
「じゃ、久しぶりに拝ませてもらおうか」
ボクブリを脱がされ、全裸にされた。
「あの頃とは全然違うな。毛も生えてるし、ちんこも大きくなってる」
撮影される。
「でも肌はすべすべで気持ちいいな」
先生も服を脱ぐ。先生のペニスが勃起している。僕の穴を無理矢理こじ開けた、あのペニスが。
「気になるか、俺のちんこ」
先生がそれを顔に近づける。
「ほら、しゃぶれ」
言うことを聞きたくはなかったけど、逆らっても苦痛の時間が長引くだけだと思った。口を開いてそれを咥えた。
「そうだ。俺を気持ち良くしてくれよ」
取りあえず口でイかせてしまえば挿入はされずに済むかもしれない。僕は、口でイかせようとする。
「おお、上手くなってるな。どこで覚えたんだ、そんなフェラチオ」
僕の頭を抱えて腰を押し付けてくる。
「先生、お前が成長していてうれしいぞ」
喉を犯される。
「ほら、喉の奥に出してやる」
口の中にあの味が広がる。それは喉に直接入って行った。
「よし、次はケツを使ってやる」
分かっていた。お尻も使われるんだろうってことは。
「ほら、ケツこっちに突き出せ」
穴にローションが塗られた。
「指の二、三本くらい平気なんだろ?」
指を三本揃えて僕に見せる。それを入れられる。
「くっ」
「気持ちいいんだよな?」
いい訳がない。ペニスも萎えたままだ。でも、先生はそんなこと気にはしていないようだ。
「行くぞ」
ペニスが押し込まれた。
「うぐっ」
「おお、あの時みたいに締め付けてくる」
先生が僕を掘る。
「お前はケツ犯されるの好きだったもんな。あの時みたいに喘ぎ声聞かせろよ」
歯を食いしばる。
(絶対、絶対喘いだりするもんか)
先生が奥まで突き入れる。
「くっ」
「ほら、どうした」
また奥を突かれる。
「くぁ」
「気持ちいいんだろ、ここがそう言ってる」
先生が僕のペニスを握った。そこはいつのまにか、勃起していた。

僕のアナルがあの先生に犯されている。あの時、僕をレイプしたペニスが、また僕をレイプしている。僕の初めてを奪ったあのペニスが僕の中で動いている。僕を掘っている。
「ああ」
「ほら、やっぱり気持ちいいんだろ」
声が出てしまった。絶対に声は出さないって思ってたのに。
「お前は掘られるの、大好きだもんな」
がんがん突かれる。
「くそっ」
小さく毒づく。
「お前の体には俺の精液が染み込んでるんだよ」
「違う」
「今のお前を作ったのは俺だ。俺が犯してやったから、今のお前があるんだよ」
「違うっ」
「ほら、素直に認めろよ。先生に犯されて気持ちいいですって」
僕にキスをしてきた。
「んん」
(嫌だ、嫌だ、嫌だ)
でも、僕の体は反応する。舌が勝手に動く。足が勝手に先生の腰に絡みつく。
「そうだ、お前は俺の物だ、昔も、今も、これからもずっとだ」
(嫌だぁ!!)
先生に犯されながら、僕はイってしまった。
「俺も出してやる!」
先生も僕の中で射精した。体の奥でそれを感じていた。

「ほら、五十嵐はエロい顔してるな」
さっきの行為を撮影した動画を見せられた。
「こんな動画、谷原に見せたらどんな顔するんだろうな」
顔の前にペニスを突き付けられる。
「ほら、しゃぶれ」
僕は手錠を嵌められたままの手でそのペニスを掴んで扱く。
「しゃぶれと言ったんだ」
仕方なく、それを口に入れる。
「ほら、こっち見ろ」
先生のペニスをしゃぶっている顔を撮影される。
「やらしい顔してるな、お前は」
頭を股間に押し付けられる。
「うぐっ」
涙が流れる。それを撮影される。
「ほんとに淫乱だな、五十嵐は」
口の中に出された。

それが終わって服を着る。先生のスマホが段ボール箱に立て掛けられて、僕をずっと撮影している。先生は僕のスマホを触っている。
「返せよ」
服を着終えた僕は、先生に手を突き出した。
「まあ待てよ」
先生のスマホを拾い上げて、僕のスマホのLINEの画面の上にかざす。
「ほらよ」
僕に投げて寄こした。
「あとでLINEする。もし無視したり、俺の言うこと聞かなかったら、お前が登録してる奴等全員に今日の動画を送り付けてやるからな」
「そんなことしたら、先生だって捕まるだろ」
先生が笑った。
「ちゃんと編集しておいてやるから安心しろ」
僕はスマホを握りしめて、先生の部屋から出た。
帰り道の途中で、冬樹のダウンジャケットを先生の部屋に置いてきてしまったことに気が付いた。


      


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