あれから僕の、いや、僕等家族の生活が変わった。
僕の居場所はもう、あの大きな部屋じゃなくなった。僕の家族もそうだ。あの家を出て、今は世界統制中央機関の建物の一部が僕等家族の家として与えられ、そこでお父さん、僕、クルムの3人で暮らしていた。でも、そこでも僕はあの機械に縛り付けられていた。
その部屋は常に誰かがいて、僕はアナルに入れられていた。あの広い部屋にいたときは、1日12時間入れられていた。でも、ここでは一日中ずっと誰かに入れられている。薬も違うのか、1日少なくとも30回は射精出来るようになった。眠っている間も入れられ続けてるし、寝ながら射精もしている。起きているときよりは回数が減るようだけど、大体1日40回前後ってところだ。
クルムは施設から帰ってくると、僕の部屋に来て、機械の横の机に向かって宿題をする。宿題が終わっても、僕が入れられているのをずっと見ている。
「飽きない?」
いつか聞いたことがある。クルムは首を横に振った。そして小さな声でつぶやいた。
「僕には出来ないし」
クルムは種なしだ。つまり、クルムの精液には精子は全く含まれない。クローンはみんなそうだ。だから、クローンが人類強制進化促進計画に参加することは出来ない。もちろんクルムも出来ない。どうやらそれが少し悔しいみたいだ。
ふと、僕は思い立った。クルムは本当に人類強制進化促進計画に参加出来ないんだろうか……そんなことはない。クルムにも出来ることはある。僕のアナルに入れていた人が交代するタイミングで、僕はクルムに声をかけた。
「クルム、入れてみる?」
「えっ」
クルムは驚いたような顔をした。クルムは僕の弟だ。お父さんの方針で、僕等家族の中ではクローンを区別することはない。でも、クルムにはやはりクローンとして出来ないこと、しちゃいけないことがはっきりとあるようだ。
「でも、僕は……」
クルムが俯いた。その時、次に僕のアナルに入れる人が入ってきた。HNAKC8S21さんだった。ちょうどいい。
「あの、1時間待ってもらえませんか?」
僕はHNAKC8S21さんに言った。HNAKC8S21さんは少し戸惑ったみたいだけど、察してくれたようだった。
「ホントはダメなんだけど、今日だけな」
そう言って、部屋を出て行く。ドアを閉める時に僕を見て、そしてクルムを見てウインクをしたように見えた。
「ほら、待ってくれてるから」
僕は機械の横に座ったまま動かないクルムに言った。
「でも……」
クルムは俯いたまま、小さな声で言う。
「僕……クロ」
「僕の弟だろ」
クルムが言いかけたのを遮った。
「僕の前でそんなこと言うな。お前は僕の弟だ。大好きな弟なんだから」
僕は機械に固定されたまま、手をなんとかクルムの方に伸ばした。
「クルムにしてほしい。僕のために」
クルムが顔を上げた。僕の手を握る。
「兄ちゃん……」
クルムの表情が嬉しそうな顔に変わっていた。僕もクルムに笑いかける。
「どうすればいいか、分かる?」
クルムに尋ねた。
「いつも見てるから」
そして、立ち上がると服を脱いで全裸になった。ペニスが既に勃起していた。そのまま僕の視界から消える。首をひねってみても、もう僕にはクルムが見えない。
僕のお尻にクルムの手が触れる感触があった。そこを広げられる。
「ここに入れればいいんだよね」
僕が答える前に、クルムが入ってきた。
「暖かいんだ、兄ちゃんの中って」
奥まで来る。
「動けばいいんだよね」
「うん。初めはゆっくりね」
クルムがゆっくり動き出す。そして、徐々に早くなる。
正直に言えば、クローンであるクルムを少し可哀相に思ったからだった。
でも……
「これでいい?」
クルムが僕に腰を打ち付ける。クルムはこれまで僕がされているのを見続けてきた。だから、僕がどうされるとたくさん射精するのか、つまり気持ち良くなるのかをなんとなく分かっていた。今、クルムは激しく腰を打ち付けてきていた。そして、クルムの問いに僕は答えられなかった。
「あ、ああ……ん……」
気持ち良かった。今までで一番、とは言わない。あの時、あの初めて僕の精液から特別なDNAが検出された時ほど気持ちがいいという訳じゃない。でも、あの時みたいに体が勝手に動いている。クルムの動きに合わせて僕も体を動かしていた。僕の腰を掴むクルムの手に、僕の手を添えたいと思った。その時ほど機械の拘束から解放されたいと思ったことはこれまでなかった。クルムをもっと感じたい。クルムをもっと引き寄せたい。クルムを抱き締めたい。そして、クルムに……
「あ、兄ちゃん、出るよ、出る!!」
クルムが叫んだ。と同時だった。
「はあっ」
見なくても分かった。僕は大量に射精した。それは何度も何度も続いた。クルムも僕に打ち付け続ける。
「兄ちゃん、すごいよ……兄ちゃん!」
クルムが機械に拘束された僕の背中に抱き付いてきた。体が熱い。クルムはまだ僕の中だ。そのまま、また動き始める。じわじわと体がしびれるような感じがする。そこから気持ち良さが広がって、僕の理性を押し流す。クルムが何か叫んでいる。僕も何か叫んでいた。そうやって、僕は弟と一緒に何度も何度も射精した。
僕等がようやく落ち着いた頃、HNAKC8S21さんが再び部屋に入ってきた。クルムは何も言わずにHNAKC8S21さんと交代した。HNAKC8S21さんも何も言わずに僕に挿入する。クルムとは違う、太い物が僕に入ってくる。HNAKC8S21さんが腰を動かしている様子をしばらく見てから、クルムは部屋を出て行った。
「さっきはごめんなさい」
アナルに入れられながら僕は言った。
「気にしてないよ」
HNAKC8S21さんが僕のお尻をぴしゃりと叩いた。
「気にしてるじゃないですか」
すると、HNAKC8S21さんは笑った。
「なかなか気持ち良さそうな声が外まで聞こえてたぞ」
そして、少し声を潜めた。
「クローンだろ、あの子」
クルムが僕より年下なのは見れば分かる。そして、僕が最後の世代の一人であるってことは、みんな知っている。だから、クルムがクローンだってこともすぐに分かることだ。
「でも、僕の弟なんです」
「弟?」
HNAKC8S21さんは動きを止めて、僕の背中に覆い被さった。
「お父さんに飼育されてるんじゃなくて?」
「そんな言い方……」
少し嫌な気分になった。でも、HNAKC8S21さんはすぐに取り消してくれた。
「ごめん、君の弟なんだったね」
そして、お詫びのつもりなのか、僕が一番感じる所を突いてきた。
「そう……うっ……だよ」
話しながら射精した。
「本の中だけのものかと思ってた、弟なんて」
この世界に兄弟がいる人なんていない。クローンを育てている家はあるけど、それはHNAKC8S21さんが言った通り『飼育』と呼ばれている。
「お父さんが、区別するなって」
「だから、弟なのか」
HNAKC8S21さんはずっと腰を動かしながら、僕はずっとHNAKC8S21さんの太い物を入れられながら話を続けた。
「知ってる? 弟って」
HNAKC8S21さんは僕よりかなり年上だ。ひょっとしたら、本当の『弟』という物を知っているかもしれない。
「いや、本で読んだり話に聞いたことがあるだけだよ」
「やっぱりそうですか……」
「昔はどこの家族でも血の繋がりっていうのがあったみたいだよ」
HNAKC8S21さんはゆっくりと腰を動かしながら話してくれた。
「昔は人類の半分くらい雌がいて、その雌と父親が性交して、雌から子供が生まれたってことだけど」
僕もHNAKC8S21さんも雌から生まれている。だからそれは知っている。
「同じ家族に何人か子供が生まれることもあって、そういう場合は兄弟になるってことらしい」
HNAKC8S21さんはもうほとんど動いていない。僕の体に押し付けるようにして奥まで入れたまま、話を続ける。
「その兄弟の中で、早く生まれた方が兄で、後で生まれた方が弟なんだって」
(だから僕が兄でクルムが弟なんだ)
「でも、血の繋がりなんて……気持ち悪いですよね」
「昔はそれが普通だったらしい。親の血を子が継ぐって感じでね」
僕には想像が付かなかった。僕はお父さんとクルムの3人で暮らしていた。僕等3人は家族だ。でも、血の繋がりはない。子供は世界統制中央機関が管理している。そして、中央が子供の家族を決め、そこで育てられることになる。子供を育てる家は基本的に上級市民だ。僕のお父さんも上級一等市民だ。
「あの……HNAKC8S21さんは、自分を産んだ雌のこと、覚えてますか?」
HNAKC8S21さんは少し笑い声を上げた。
「母親って言うんだよ。もしくはお母さんだな」
そう言って、僕のお尻を軽く叩いた。
「俺が生まれたときは、もう女死病が流行っていたから、俺の母親は俺を産んで1年くらいで死んだらしい」
「じゃ、覚えてないんですか?」
「覚えてないなぁ」
なぜか少しほっとした。
「君はどうなんだ?」
僕は何も言わずに頭を左右に振った。
「そうか」
そして、HNAKC8S21さんはまた体を動かし始めた。
翌日、その日射精した精液から、またあのDNAが検出されたということを聞かされた。でも、クルムのことは僕とクルム、そしてHNAKC8S21さんの3人だけの秘密だった。
HNAKC8S21さんとはそんなふうにして、少しずつ仲良くなっていった。他の人は、相変わらず僕のアナルに入れて僕を射精させるだけだった。ただ、MJYK7H64さん、あの鋭い目をした人は違っていた。
「最近はちやほやされて、いいご身分だよなぁ」
この部屋でされるようになると、時々この人も来るようになった。そして、前みたいにずんずんと入れてくる。
「ったく、いいよな。気持ちいい思いしてこんなところで特別待遇とはな」
(別に僕が望んだことじゃない)
そう反論したかったけど、どうせこの人にそう言ったところで嫌みが返ってくるだけなのは分かっている。僕は無視してただ射精することだけを考える。
「無視かよ。俺みたいな下人の相手は出来ませんってか?」
MJYK7H64さんは一旦腰を引き、そして奥まで乱暴に突っ込んでくる。
「いっつ」
機械の横の机で宿題をしていたクルムが顔を上げた。心配そうな顔をしている。
「それが気持ちいいんだろ、神の子様は」
同じように何回も乱暴に入れてくる。僕はクルムに心配をかけないように、なるべく声を出さないようにした。クルムは宿題のノートに目を向けている。でも、宿題は進んでいないということは僕には分かった。
「ほら、いいんだろ、ここが」
ずんずんと奧の方を突いてくる。しばらくそうされると、少しずつ、気持ち良くなってくる。
「う……あぁ」
「女みたいによがりやがって。実はふたなりなんじゃないか、お前は」
またクルムが顔を上げた。ちょうどその時、MJYK7H64さんが僕の一番感じる所を突いてきた。
「あ、い、いくっ」
乱暴に突かれながら僕は射精する。
「いったか。まるで女だな」
腰の動きを止めずに言う。
「痛かろうがなんだろうが、ケツに突っ込まれてりゃ何回でもいけるんだもんな」
僕の髪の毛を掴んで腰を打ち付けてくる。
「い、い……」
クルムがいる。痛いとは言えない。そんな僕の気持ちを察したのか、それともそうやってなじられながらされている僕を見るのに耐えられなくなったのか、クルムはすっと席を立って部屋から出て行った。
「ふん、クローンが」
ますます乱暴に僕に入れてくる。アナルが、そしてその奥の方が痛い。でも、同時に気持ち良さを感じている自分に腹が立つ。そうやって僕はMJYK7H64さんになじられながら入れられ続け、射精し続けた。
MJYK7H64さんが部屋から出て行くと、ドアが細く開いた。クルムが覗き込んでいた。部屋に僕以外誰もいないのを確認すると、クルムは入ってきて、機械に固定された僕のそばに立った。
「兄ちゃん……大丈夫?」
「ああ、全然大丈夫だよ」
クルムが少し声をひそめた。
「僕、あの人、嫌い」
正直、僕もそうだ。でも、これは任務だし、MJYK7H64さんも任務でやっていることだ。
「そんなこと言うな」
クルムが僕の足の方に回った。お尻の辺りを覗き込んでいるのが気配で分かった。
「兄ちゃん、血、出てるよ」
乱暴に入れられてアナルが切れたんだろう。
「大丈夫だよ」
僕がそう言い終わる前に、僕のお尻が開かれ、そしてアナルに暖かいものが触れた。
「いっ」
その暖かいものが切れたアナルを刺激する。
「あ、痛かった? ごめん、兄ちゃん」
またアナルにさっきの感触。でもさっきよりそっと、優しい感触だ。
「いいよ、クルム。大丈夫だから」
でも、クルムは僕のアナルを舐めるのを止めなかった。
それ以降、MJYK7H64さんが来ると、クルムは部屋から出て行くようになった。僕の顔をちらっと見て、そして部屋を出て行くクルムの気持ちがはっきりと僕には分かった。
(ごめん、兄ちゃん)
僕はなるべく笑顔を見せるようにした。
何日か経ったあと、強進センターの所長さんが僕を訪ねてきてくれた。お父さんも一緒だった。
「なかなか活躍してくれているようですね」
笑顔で僕に話しかける。僕はいつもの通り機械に固定され、アナルに入れられながら顔を少し持ち上げて所長さんを見た。なんだか嬉しそうな顔をしている。
「今日はいい知らせを持って来ましたよ」
機械の端に手を突いて、少し体を屈めて言った。
「なんと、世界総帥が視察に来られるとのことです」
強進センターでの事を思い出した。
「滅多にある事じゃありません。あなたを見に来るんです。そして、直接励ましたいと仰せです」
お父さんの顔がほんの少しだけ笑っている。そんなお父さんの顔は滅多に見られない。ということは、お父さんも喜んでいるんだ。そりゃあそうだ。世界総帥に直接会えるなんて機会は普通はない。中央機関に所属している特別市民だって、そうそうあることじゃないらしい。ましてや上級市民の僕等には、普通なら一生会えない人だ。そんな凄い人にもう一度会えるなんて……
でも、正直に言えば、僕には世界総帥に会える事よりも、僕の任務が認められているということ、そして、そのことでお父さんを喜ばせる事が出来る事の方が遙かに嬉しく感じていた。
「あなたは今や有名人ですからね。マスコミもいっぱい来ますよ」
所長さんが言う。
「あなたのお陰で私も鼻が高いですよ」
みんなに喜んでもらえるのならこんなに嬉しいことはない。
「誇りに思う」
お父さんが一言だけ言った。でも、その一言がとても嬉しかった。涙が出てきた。
「おや、今からそんなでは、当日はどうなることやら」
所長さんが少しおどけて言った。僕が世界総帥にお会い出来るのが嬉しくて泣いているのだと思っている。それでもいい。いずれにせよ、僕はお父さんに誇りに思ってもらえるくらい、上手く任務をこなせているということだ。
「世界総帥の前で、また成果を見せて下さいね」
所長さんが言うのを聞いて、僕は思いついた。
「あの……一つお願いがあるんですけど」
「なんですか? 言ってみてください。私に出来ることなら」
僕は少しためらって、そしてアナルに入れてくれている人の方を振り返ろうとした。もちろん、機械に固定されているので振り返ることは出来ないが、僕の仕草で所長さんは理解してくれた。
「ああ、今回はもういいです。ご苦労様でした」
僕のアナルに入れていた人は、僕から離れて部屋から出て行った。所長さんが機械を操作して、拘束を解いてくれる。
「さあ、これで大丈夫ですよ」
僕は体を起こして機械の端に座る。そして、所長さんを見上げて言った。
「あの……MJYK7H64さんには……されたくないです」
所長さんは少し意外そうな顔をした。
「それは、なぜですか?」
僕はこれまでMJYK7H64さんがどんな風にしたかを話した。乱暴にされて、アナルから血が出たことがあったということも。
「そうなんですか……」
所長さんがポケットから端末を取り出して何か操作をした。
「でも、あなたの射精回数、MJYK7H64さんとしている時が一番多いんですよ。相性がいいのだと思っていました」
全然そんなことはない、と僕は思いきり頭を左右に振る。
「まあ、分かりました。神の子が肉体的に傷付くようなことをしているのならば、我々も考えないといけませんしね」
「お願いします」
僕は所長さんに頭を下げた。
「他になにかご希望はありますか?」
少し考えてから僕はもう一つお願いした。
「世界総帥が来られたときは、HNAKC8S21さんにされてたいです」
すると、所長さんはにっこりと微笑んだ。
「そのつもりですよ。あなたと彼はいいパートナーのようですからね」
もう一度所長さんに頭を下げた。
「ぜひ、頑張ってくださいね」
そう言うと、所長さんは部屋を出ようとした。お父さんは無言で僕に頷きかけて、そして所長さんの横に並んで、何か話をしながら部屋から出て行った。
その日が来た。前の日の夜から警備の人が来て、部屋のあちこちをチェックして、そのままこの部屋に泊まりこんでいた。世界総帥の周りを6、7人の別の警備の人が取り巻いている。そして、もっとたくさんのマスコミの人。マイクを持っていたり、カメラを担いでたりする。そんな日でも、僕は任務を遂行している。むしろ、マスコミはそういう所を撮影したいみたいだ。
HNAKC8S21さんがアナルに入っているところから、僕の射精の瞬間、そして僕の精液が通っていく管を辿って精液が溜まっている容器を写す。レポーターの人が『これが人類の宝です』とか言っている。そして、世界総帥の登場だ。
総帥は僕の頭を軽く叩いた。そして、僕の頭の先にしゃがみ込んだ。
「あれ以来、ますます頑張ってくれているようだな」
「は、はい」
声が裏返った。
「君は人類の宝だ。救世主だ」
立ち上がって大げさに手を広げて言う。少し恥ずかしくなる。そして世界総帥が僕の視界から消える。すぐにお尻を広げられる。
「君に授けよう、神の印を」
カチャカチャという音。そして、アナルに押し付けられる。
「うっ」
太いのはHNAKC8S21さんので慣れているつもりだった。でも、それ以上だ。体が、アナルがめりめりと音を立ててるんじゃないかって思うくらいに広げられる。そして、その太い、いや極太のペニスが僕を押し開く。叫びたかった。でも、世界総帥を拒否する訳にはいかない。歯を食いしばってその痛みに耐えた。
そして、それは奥まで入ってきた。ゆっくりと、その太いペニスが動く。痛みが少し和らぐ。
「外せ」
世界総帥の声がする。すると、僕の体が自由になった。世界総帥は僕のアナルに入れたまま、その極太のペニスを軸にして、僕の体を俯せから仰向けにひっくり返す。僕の左足を持ち上げ、自分の肩の上に載せると、僕の太ももを抱えるようにして体を引き寄せ、更に奧に入ってきた。痛みがしびれに変わった。そのしびれはやがて、何かひりひりしたような感じに変わる。ひりひりがピリピリになり、体がビクビクと動き出す。全身が熱くなり、僕はいつの間にか大きな声を出していた。
「これぞ人類の宝だ。そして、私がその宝に印を与えてやる」
世界総帥の動きが早まった。僕は叫び続けている。
「いい、いい、き、気持ち、いいよお」
これまでの、HNAKC8S21さんやクルムの時とは比較にならないくらいに気持ち良かった。そして、お腹の中に世界総帥の印を感じた。
「う……」
僕も射精していたことに全く気が付かなかった。機械の上に大量の精液が飛び散っていた。それをカメラが大写しにする。勃起したままビクビクと揺れている僕のペニスを写す。そして、僕のペニスが写っている間に、世界総帥はまた腰を動かす。今度は最初からフルスピードだ。また僕は叫び出す。声が枯れる。それでも叫び続けた。
世界総帥は僕の中で3回射精した。僕は、5回。
そして、世界総帥は少し息を切らした僕の傍らに立つと、僕の肩に腕を回した。ここぞとばかりに僕等二人にカメラが向けられる。世界総帥は僕をぎゅっと抱き締める。
「皆に伝える事がある」
世界総帥がそう切り出した。一瞬でしんと静まりかえる。
「彼、AHXWW8H67P2は最後の世代の一人ということは皆も良く知ってる事と思う。そして、人類の進化の可能性を切り開く、選ばれし者、神の子だということも」
そこで世界総帥は一旦口を閉ざし、僕等に向けられているカメラを見つめる。そして、また口を開いた。
「このAHXWW8H67P2は、私のDNAを受け継いだ、私の息子、正真正銘の神の子だ」
どよめきが起こる。一斉にシャッターの音がする。
「彼は私が人類最後の雌と交わった結果生まれた、人類最後のヒトであり、希望の星だ」
世界総帥ががばと僕を抱き締めた。そして、カメラに目線を向けて言った。
「我が息子よ」
またシャッターの音が鳴り響いた。
その後、世界総帥と一緒に来ていた人が、マスコミに何やら配り、いろいろ説明をした。僕は機械に座ってそれをぼんやりと聞いていた。あまり頭が回らない。何て言うか……困惑していた。僕のお父さんはお父さんだ。それは世界統制中央機関が決めたことだ。それが僕にとって普通であり、当たり前だった。でも突然、あの世界総帥が僕の父親だなどと言われても、すぐには受け入れられない。そもそも何のためにそんなことを世界総帥はマスコミの前で言ったのか。HNAKC8S21さんと前に話した、血の繋がりのことを思い出した。僕と世界総帥には血の繋がりがあるってことだ。でもそれがどうなんだ。僕にとってはお父さんやクルムは家族だ。でも世界総帥を家族と思ったことは一度もないし、今も思えない。そして、世界総帥はあのマスコミの前での話が終わると、さっさと帰って行った。
(本当に、父親なんだろうか)
たくさんのマスコミの真ん中で、僕は一人、どうすればいいのか分からずに突っ立っていた。
それから、また僕の、いや、僕等の生活が変わった。この世界統制中央機関の建物の中で、HNAKC8S21さんも一緒に住むようになった。そして僕はもう、あの機械に固定されることはなくなった。それでも毎日、機械の上で何人もの人にアナルに入れられ続けることは変わりなかった。
<第U部に続く> |