その日、僕等は廃墟にたどり着いた。大きく壊れた建物と、あまり壊れていない建物が混在している。あまり壊れていない建物で僕等は夜を過ごすことにした。
その建物は、たぶんマンションで、そんなに大きくはなかった。どうやらこの辺りはたくさんマンションが立ち並んでいて、そんなマンション群の外の方や、高いマンションの壊れ方が酷いようだ。
「爆風とかそういうのだろうな」
HNAKC8S21さんとクルムが話している。二人はHNAKC8S21さんが持っていた食料を小さなコンロで調理している。僕は二人から少し離れたところでそれを見ていた。僕のペニスが勃起していた。
(アナルに入れて欲しい)
クルムにしたことで落ち込んで、二人の後ろをとぼとぼ歩いて、突然泣き出して……でも、僕のペニスは勃起する。頭の中がそれで一杯になる。二人には見つからないように、ズボンの上からそれとなく勃起しているペニスをさすってみる。
「うくっ」
たったそれだけなのに、体がじんじんしている。声が出てしまった。クルムが僕を見る。
「兄ちゃん、どうかした?」
僕は顔を伏せる。こんな自分が恥ずかしくなる。顔が熱くなる。
「顔、赤いぞ。熱でもあるんじゃないか?」
HNAKC8S21さんが僕のそばに来た。そして、額に手を当てる。僕の体がびくっと震えた。
「どうした?」
僕の息が荒くなる。体中がじんじんしている。HNAKC8S21さんに飛びつきたい衝動を抑えるのに必死だった。
「大丈夫か?」
HNAKC8S21さんが僕の肩をさする。
(もう……無理だ)
僕はHNAKC8S21さんに抱き付いた。
「い、入れて、入れて下さい!」
クルムに聞かれても良いと思った。そんなことは、今の僕の衝動に比べたら全然大したことじゃない。HNAKC8S21さんに抱かれたかった。キスして欲しかった。太いペニスをアナルに入れて欲しかった。僕はHNAKC8S21さんの体に股間を押し付け、腰をくねらせる。
「どうしたんだ、一体」
胸がドキドキしていた。HNAKC8S21さんは僕の体を引き剥がそうとする。それでも、その手が触れた瞬間、僕の体がびくっとなる。
「はあぁ」
声が出る。入れられたい。入れて欲しい。体が震える。震える手でズボンを下ろして勃起したペニスを直接HNAKC8S21さんに押し付ける。
「おい、トモロ」
HNAKC8S21さんが僕の肩を掴んで揺さぶった。
「あああああああ」
HNAKC8S21さんにしがみついた。体が熱い。目の前がぼやける。
「そうか……お前、あの薬の」
「ああああああああ」
僕は叫び続けた。ペニスが張り裂けそうなくらいに勃起している。頭がおかしくなりそうだ。
「入れてっ入れてっ!」
クルムが怯えた目で僕を見ている。それが分かっても、僕は叫ぶのを止められない。HNAKC8S21さんに抱き付き、腰を押し付け、くねらせ続ける。
「そうか、分かった」
HNAKC8S21さんが僕の服をたくし上げ、体を直接なで回す。
「はあぁ」
体が反り返る。そのまま押し倒される。
「入れるぞ」
HNAKC8S21さんが服を脱ぎながら言った。足を持ち上げられ、そして、HNAKC8S21さんが入ってきた。
「あああ!」
それだけで射精した。それでも僕の体はじんじんしたままだ。HNAKC8S21さんがアナルの中で動く。
「もっと、もっとぉ!」
HNAKC8S21さんの太いペニスが僕を貫く。2回目の射精。すぐに3回目。でも、まだ僕の体はHNAKC8S21さんを求める。
「壊れても知らないぞ」
そして、HNAKC8S21さんが激しく動く。奥まで強く突かれる。4回目の射精。HNAKC8S21さんがクルムを見る。クルムに頷きかける。クルムが僕に近づく。そして、僕にキスをした。
「んぐぅぅ」
クルムの口を貪る。5回目の射精。精液がクルムの顔にまで飛ぶ。僕はそれを舐め取る。そして、またクルムにキスをする。口だけじゃない。顔中を舐め回す。クルムが自分のペニスを服の上からしごいていた。僕はそこに手を伸ばす。クルムのズボンを脱がせる。クルムのペニスを口に入れた。クルムが腰を動かす。僕はクルムのお尻に手を回し、力を込めて引き寄せる。口がクルムで一杯になる。アナルはHNAKC8S21さんで一杯だ。6回目の射精。さらに射精する。
「兄ちゃん、気持ちいい……」
クルムがつぶやく。
「俺も気持ちいいよ」
HNAKC8S21さんも言う。僕はクルムのペニスから口を離す。
「気持ちいいよぉ」
叫ぶように言う。また射精。もう何回目か分からない。再びクルムを口に含む。
「あっ」
クルムが僕の口の中で射精した。その精液を飲み込む。クルムの精液を飲んだんだって思った瞬間、また射精。そして、HNAKC8S21さんも僕の中で射精した。
「大丈夫か?」
HNAKC8S21さんがぐったりしている僕に話しかけた。僕は微かに首を縦に振る。何回か、何十回か射精したあと、僕は目の前が真っ暗になった。気絶したのかもしれない。でも、満足感に包まれていた。HNAKC8S21さんの膝を枕にして、僕は横になっていた。
「僕……おかしくなったのかも」
さっきまでの僕が、僕じゃないみたいに感じる。横でクルムが僕を見ている。僕は手を伸ばした。クルムが僕の手を握る。
「そうじゃない。副作用だよ、あの薬の」
HNAKC8S21さんが言った。
「あの、毎日してた頃の、射精回数を増やすためにずっと体に入れられてた薬。あれが切れたらさっきみたいになる人がいるって聞いたことがある」
僕の頭を撫でながら言う。
「ああいう副作用のせいで、任務期間が終わっても、あの任務の継続を希望する人が結構いるらしい」
そういや、誰かに聞いた気がする。誰に聞いたんだっけ……ぼんやりと考える。もう遠い昔の話のように思えた。
「そう……なんだ」
それじゃ仕方がない、という言い訳と、それじゃこれからどうなるのっていう不安が同時に頭に浮かんだ。
「今は落ち着いたけど、何時間かしたら、またさっきみたいになる。その覚悟はしておけ」
HNAKC8S21さんは僕を見て、そしてクルムを見て言った。つまり、僕だけじゃなくて、あんな僕をまた見ることになるクルムにも覚悟をしておけっていうことだ。
「もう治らないの?」
HNAKC8S21さんは少し困ったような顔をする。
「この副作用について、俺もあまり詳しくは知らない。だけど……」
「だけど?」
「副作用が治ったって話は聞いたことがない」
本当ならショックを受ける筈だ。でも、不思議と僕はそれをすんなりと受け入れた。
「もちろん、薬を止めたんだから、いつかは治まる可能性は充分ある筈だ」
僕が黙っていたので、HNAKC8S21さんが慌てて付け加えた。
「それまでは、俺もクルムも」
「入れてくれるの?」
「あ、ああ」
なんとなく曖昧な答えだった。クルムのために逃げ出して、結局僕が二人の重荷になってる。
「ごめんなさい……」
「兄ちゃんが悪いんじゃないよ」
それはそうかもしれない。でも、僕が一緒にいなければ、こんなことにはならなかったのも確かだ。
「出来るだけ、我慢する」
今はそう言うだけで精一杯だった。すでに体の奥の方で小さな黒い固まりが少しずつ大きくなるのを感じていた。
その日の夜、僕は突然目が覚めた。
「どうした?」
見張り番だったHNAKC8S21さんが言う。
「な、なんでもないよ」
僕はHNAKC8S21さんに背を向けた。眠ろうと努力した。でも、そんな努力は無駄だって分かっていた。勃起していた。体中がじんじんしている。体を壁に押し付けて、なんとかそれをこらえようとした。
「副作用か?」
僕は返事をしなかった。足をぎゅっと閉じて、拳を握りしめていた。
「無理するな」
でも、僕は無理をした。そのまま、なんとか我慢しようとした。でも、どこかで何かがはじけた。
「ぁぁぁぁあああああ」
最初はそれが自分の声だとは思わなかった。そして、体が勝手に動こうとする。それをこらえるために、僕は自分の頭を床に叩き付けた。それでも声は消えない。もう一度叩き付ける。さらにもう一度。目の前が一瞬赤くなる。でも、また頭を叩き付ける。
「やめろっ」
HNAKC8S21さんが僕を押さえ付ける。でも、体に触れられるだけで声が出そうになる。それを抑えるために、また頭を床に叩き付ける。クルムが目を覚まして僕を見ている。明らかに怯えていた。
「やめろ!」
HNAKC8S21さんが僕を背中から羽交い締めにした。そして、クルムに言った。
「クルム、いかせてやれ」
クルムが恐る恐る僕に近づく。下半身裸にされる。僕のペニスをクルムが触る。
「はぁっ」
それだけで射精してしまう。体がガクガクと震える。
「ああ、クルム!」
HNAKC8S21さんを振りほどいてクルムに抱き付く。その口を貪り、ペニスを押し付ける。そのまま射精する。
クルムの目の前で、足を抱えて持ち上げる。
「クルム、入れて」
アナルを晒す。クルムに、弟にこんなことをしている自分が信じられない。でも、そんな僕の気持ちと行動が全く一致しない。
「兄ちゃん……」
クルムは1歩後退った。
「あああ、クルム、クルム」
僕はクルムに這い寄る。クルムは下がる。HNAKC8S21さんが僕を背中から抱き留める。アナルに熱いペニスが触れる。そのままHNAKC8S21さんが入ってくる。
「はぁぁ」
何度目かの射精。
「クルム、手でしてやれ」
HNAKC8S21さんに言われて、クルムが僕のペニスを握る。
「ふあぁ」
僕の声に一瞬たじろぐ。でも、そのまま僕のペニスをしごく。気持ち良くて体がガクガク震える。そのまま、僕は気を失うまで射精し続けた。
そんな副作用……僕等は発作と呼んでいたけど……は数日経っても全然良くならなかった。むしろ、発作の間隔は短くなってきているように思う。そして、発作が起きた時の僕はますます酷くなっていく。発作が治まると、僕は疲れ切って動けなくなる。少しでも早くあの街から離れて、僕等が安心して住める所を見つけなきゃならないのに、僕のせいでそれが全然出来ていない。結局、僕は二人のお荷物でしかないんだ、そんな思いが僕の心を重くしていた。
そんな時、それは起きた。
「あああああ」
僕はHNAKC8S21さんにアナルに入れてもらいながら涎を垂らして呻き、喘いでいた。目の前のクルムのペニスにしゃぶりつく。クルムが僕の体を撫で回す。膝がガクガクする。射精する度に体の力が抜け、その度にHNAKC8S21さんとクルムが支えてくれた。何度も何度も射精し、僕の意識が薄らいでいく。それでも体は快感を求めている。クルムの腰に手を回してペニスを喉の奥までくわえ込む。がっちりと、クルムの体を抱き締めた。
その時だった。HNAKC8S21さんが叫んだ。
「逃げろ!!」
クルムが僕から体を離そうとする。僕はクルムの体を離さない。クルムのペニスをずっと咥えていたかった。
「トモロ、犬だ、逃げろ」
目の隅で何かが動いた。それはあっという間に僕とクルムのすぐ近くまで来た。それが犬だってことはHNAKC8S21さんが言っていたから分かる。野生化した犬が僕等を襲おうとしているというのも理解出来た。もちろん、逃げなきゃってことも。でも、体が言うことを聞かなかった。アナルに入っていたHNAKC8S21さんはもう僕の中にはいない。クルムまでいなくなるのは耐えられない。僕はクルムの腰をがっちりと抱き締めたまま、動かなかった。
「クルム、逃げろ」
HNAKC8S21さんが僕等の方に走ってくる。クルムは僕の手を振りほどこうとする。でも、僕の体はクルムを離さない。犬が飛び上がって僕等に襲いかかろうとした。その瞬間、HNAKC8S21さんが僕等と犬の間に割って入った。犬がHNAKC8S21さんの左腕に噛みついた。そのままHNAKC8S21さんは腕を振り、犬の体を振り回す。犬を地面に叩き付ける。そして、右手に持っていた銃で犬の頭を撃ち抜いた。
一瞬の出来事だった。でも、その間も僕はクルムを抱き締め続けていた。
HNAKC8S21さんが僕等に近づいて来た。
「腕、大丈夫?」
「ああ。大した事はない」
クルムが心配し、HNAKC8S21さんが答える。そして、僕は小さな声で言う。
「続き……しようよ」
HNAKC8S21さんが怒りの表情になった。僕の髪の毛を掴んでクルムから引き離した。そして、僕の頬を平手で殴った。
「いい加減にしろ。お前、状況分かってるのか?」
クルムがHNAKC8S21さんの腕にしがみついた。
「やめて! 兄ちゃんは悪くないよ」
HNAKC8S21さんが僕の髪の毛を離す。僕は地面に崩れ落ちた。
「お前の発作で……クルムかお前が死んでたかもしれないんだぞっ」
HNAKC8S21さんの怒りは収まらない。それは僕だって理解出来る。犬が襲ってきたのに、僕はクルムを抱き締め、逃げられなくしていたんだから。でも、体は全然理解してくれない。今でも勃起したペニスがビクビクと揺れている。
「とにかく……こいつの血の臭いで他の獣が集まって来るかもしれない。ここから離れるぞ」
「その手、手当しないと」
「ああ。でも、ここから離れるのが先だ」
クルムとHNAKC8S21さんが荷物を持って僕に近づく。そのまま僕の腕を掴んで、引きずるようにして歩き始めた。下半身裸のまま引きずられていたということに気が付いたのは、かなり時間が経ってからだった。
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