朝になった。僕は僕のままだった。
今日は土曜日だ。もっとゆっくりと寝ていられる。そもそも御山君のお尻になるかもしれないなんて思って眠れないなんて馬鹿みたいだ。でも、実際にあの日はそうなった。でも、あの日だけだ。
「ああ、もう」
僕はそう言いながら体を起こした。時計を見る。七時過ぎだ。窓のカーテン越しに明るい光が入ってきている。ベッドから降りてカーテンを開く。青い空と眩しい光。今日はいい天気だ。
(なにかいいことがあるといいな)
そう思った途端、スマホが鳴り出した。
御山君からだった。
御山君に言われた場所に行くと、車の中で御山君と御山君のお父さんが待っていた。
「なんですか?」
一応聞く。でも、分かっている。土曜日の朝から御山君に呼び出された。どっかに一緒に遊びに行くのではないはずだ。
「乗って」
御山君が後ろのシートを指さした。ドアを開けて乗り込む。そして車は走り出した。
どこかのホテルの部屋に僕ら三人は入った。部屋に入った瞬間、御山君とお父さんは抱き合ってキスしている。御山君のお父さんがキスをしながら僕を手招きする。
「僕はいいです」
そう言って、小さなソファに一人で座った。二人は立ったままキスし、抱き合い、体を撫で合っている。
(親子なのに)
初めてホテルで見たあの時。あの時は僕は御山君のお尻だった。今は僕は僕。僕の見たいところが見れる。僕の見たくないところも目に入る。口を押し付け合う二人。御山君の手が、お父さんの股間を撫でている。そして、御山君は自分の股間をお父さんに押し付ける。
「あぁ」
御山君のため息。お父さんの手が御山君のシャツを捲り上げ、その中で背中を撫で回している。御山君が大きなベッドに押し倒される。お父さんがベッドの端に僕の方に体を向けて座る。右手は御山君の股間をさすっている。
そのまま、左手で僕に手招きする。僕は首を左右に振った。
「来なさい」
僕は渋々二人に近づく。御山君のお父さんの前まで行くと、しゃがむように言われる。しゃがんだ僕の顔を御山君のお父さんが自分の股間に押し付ける。そこに熱くて硬いものを感じる。御山君のお父さんの足が僕の股間に押し付けられる。
「お父さん」
御山君が声をかけた。御山君の方を見ると目が合った。その目が少し怒っているように見える。御山君が体をずらし、僕を足で御山君のお父さんから遠ざけようとする。
「そいつなんか放っといて」
御山君がベッドの上に座ってお父さんの背中に抱きついた。御山君のお父さんは、御山君の腕をつかんでベッドに押し倒す。その体の上に覆い被さってキスをする。僕はそれをベッドの傍にしゃがんで見ている。二人がキスをする音。御山君のため息。服の上から体を、硬くなった股間を撫でる音。全てがはっきり見え、聞こえる。
御山君のズボンのベルトが外され、ジッパーが降ろされる。スボンがずらされ、黒いボクブリと太ももが露わになる。ボクブリの中身が突っ張っている。その突っ張った部分にお父さんの手のひらが這わされる。
「見るなよ」
御山君が僕を見て言った。
「ご、ごめん」
小さな声で僕は言う。そんな僕を御山君のお父さんが見た。
「よく見なさい」
御山君とは逆のことをいう。
「ほら、シミができてる」
そう言いながらボクブリの中の御山君のペニスを握る。御山君の上半身が裸にされる。乳首を摘み、舐めている。
「あっ」
御山君のお父さんが乳首を撫でると御山君の体がビクッと動く。
「乳首、気持ちいいんだろ?」
「うん」
そしてまた体が動く。
「お前の体は敏感だからな」
そう言いながら乳首を責める。御山君が軽く喘ぐ。
「君も触ってみるかい?」
御山君のお父さんが僕に言った。
「嫌だよ、あっち行けよ」
御山君が拒否する。僕を睨む。そんな御山君を見て、お父さんがふっと笑う。
「こっちに来なさい」
お父さんは僕を呼び、ベッドの空いているところに僕を仰向けにする。
「君は初めて?」
僕はうなずく。
「でも、春樹としているところは見ていたんでしょ?」
「見ていたっていうか・・・」
小さな声で言った。すると、御山君のお父さんの手が僕の服の下に入ってきた。
「同じようにしてみたい?」
その手が僕の乳首を摘まむ。くりくりと指が動く。お父さんの向こう側で御山君が体を起こして僕を見ていた。
「分からないです」
また小さな声で答える。御山君のお父さんの顔が僕に近づいた。
「んっ」
そのまま唇を押し付けられる。そのまま舌が入ってくる。御山君のお父さんが、僕の首の下に腕を入れ、僕の頭を持ち上げる。口を強く押し付けられる。僕の口の中で舌が動き回っている。御山君のお父さんの激しいキス、それが僕の初めてのキス。向こうで御山君が僕を見て、いや、睨んでいる。
御山君のお父さんが顔を少し離した。僕を見る。僕も御山君のお父さんを見る。またキスされる。それを何度か繰り返す。そして何度目かのその時、僕は少し口を開いて、顎を軽く御山君のお父さんの方に突き出していた。
「キスして欲しいのか?」
御山君のお父さんに尋ねられた。僕は少し頭を持ち上げた。それが答えだった。御山君のお父さんの口に口を押し付ける。舌が入ってくる。同時に、御山君のお父さんの手が僕の股間に重ねられた。体が反射的にピクッと動く。持ち上げていた頭をベッドに預けて目を閉じる。御山君のお父さんの手が僕のズボンのベルトを緩める。チャックを降ろされる。僕は無意識に腰を軽く上げていた。
続いて上半身も脱がされる。御山君と同じようにボクブリだけの裸にされる。それを御山君に見られている。少し恥ずかしい。御山君のお父さんの手がボクブリ越しに僕のペニスに触れる。
「脱がせるよ」
御山君のお父さんが言った。
「恥ずかしい」
僕は小さく答える。
「そうか」
御山君のお父さんが少し笑う。
「お前も脱ぎなさい」
御山君に言った。御山君が僕をチラリと見る。
「見るなよ」
そして、御山君のお父さんの体の向こうで御山君が足を持ち上げて、そこからボクブリを抜き取りベッドの横に投げた。御山君のその部分はお父さんの体の向こう側になって見えなかった。
「これでいいだろ」
僕の返事を聞く前に、僕のボクブリがずり降ろされた。僕は腰を上げて脱ぎやすくする。
「萎えてるじゃん」
御山君が体を起こして僕を見ていた。僕も体を起こそうとした。でも、御山君のお父さんが胸に手を当てて押さえる。チラリと御山君のペニスの先が見えた気がした。
御山君のお父さんの手が僕のペニスを触る。指で摘まむようにして、それに顔を近づける。
「剥ける?」
そして僕のペニスの皮を引っ張った。亀頭の先が少し顔を出す。でも、それ以上はまだ剥けない。それを御山君が見ている。
「見るなよ」
御山君に言った。でも、御山君は見ている。
「オナニーはしてるんだろ?」
僕はうなずく。
「当たり前でしょ」
御山君が言った。
「じゃ、自分で扱いて勃たせて」
ペニスを握る。目を閉じる。すると、御山君のお父さんが僕の足の間に座った。御山君から僕のペニスのあたりが丸見えだ。足が持ち上げられる。
「綺麗なピンク色だな」
お父さんが言った。御山君のお父さんが僕のお尻の穴を見ていた。御山君がお父さんの向こう側から同じように僕の穴を覗き込んだ。
「見るなよ」
扱いていた手でそこを覆おうとした。でも、御山君のお父さんがその手を握る。
「まだ全然拡がってないな」
指で僕のお尻を広げる。そして、お尻に手を添えてお尻を持ち上げる。御山君のお父さんが僕のお尻に顔を近づける。
「あっ」
お尻の穴が舐められてる。それを御山君が見ている。変な気分だ。お尻を持ち上げながら、穴を舐めながら、指で穴の左右を引っ張る。
「力を抜いて」
その通りにすると、穴が開く感じがする。その中に入ってくる。御山君のお父さんの舌だろう。それで僕の穴をほぐすように舐め回される。
「変な感じ」
思った通りのことを口にした。すると、御山君のお父さんが後ろから覗き込んでいた御山君に言った。
「春樹、ローション取って」
「入らないと思うよ」
御山君が言いながら、彼のお父さんが持っていたバッグから小さな瓶のようなものを取り出した。それを受けとったお父さんは、そのキャップを開けて中身を指に少し取った。
「少し冷たいかもな」
それが僕のお尻の穴に塗り付けられた。
「力抜け」
そして、何かが僕に入ってきた。
「変な感じ」
僕のアナルに何か入っている。それが僕の中に出入りしている。御山君が見ている。
「まだ一本だよ」
それが僕の穴の中で丸く動いているのを感じる。少し体に入っていた力を抜いて、ベッドに頭と両手を投げ出した。お尻の違和感は変わりない。その違和感が奥に入ってくる。
「二本、根元まで入った」
さっきは一本って言っていた。それが今は二本、少し拡げられている気がする。でも、その感じは大きくは変わっていない。少し気張るような感じでお尻に力を入れるとその拡げられている感じが楽になる。
「そう。ちょっとお尻を開く感じで力入れてみて」
ぎゅっとお尻に力を入れてみる。
「力抜いて」
今度は力を抜く。
「それを繰り返して」
言われるまま、僕は力を入れたり抜いたりする。
「そうすると拡がりやすくなるから」
僕のお尻を覗き込みながら言う。そして、さらに拡げられる感じがした。
「い、痛っつ」
僕のお尻に電気が走ったみたいに痛みを感じた。思わず、体を動かしてその指から逃れた。
「ほら、逃げない」
またお尻に押し付けられる。
「い、いたっ、痛い」
お尻が裂けるような痛みを感じた。
「痛そう」
そんな僕を御山君が見ている。笑っている。
「痛いです」
僕に入ろうとしている手を掴んで、それを体から離す。指三本が揃えられていた。
「入れちゃえば?」
御山君が言う。
「そうだな。四つん這いになって」
「入れるって・・・無理です」
「いいから」
僕は四つん這いになる。
「力抜いて」
お尻にローションが塗られる。指がまた入ってくる。
「ほら、もう簡単に入ってる」
指が抜かれる。
「楽にして」
お尻に押し付けられる。
「入れるよ」
そして、それが僕に入ってきた。
「い、いっ」
体が裂けるかと思った。裂ける音がしたような気がした。僕は四つん這いのまま、前に逃げる。
「逃げるな」
御山君が僕の前に回って僕の肩を押さえた。御山君のお父さんはまた僕にあれを押し付ける。
「いぃぃぃ」
今度は僕の腰を掴んで押し付けてくる。前では御山君が肩を押さえている。逃げられない。お尻が裂けるような痛み。
「無理、無理だって、痛いって」
体を斜めにして御山君のお父さんのペニスから逃げる。そんな僕の背中の上に御山君が馬乗りになった。
「我慢しろ」
そして、また、それが僕に押し付けられる。僕の体を押し拡げながら、それが入ってきた。
「ぎゃあぁぁ」
すごい痛み。僕は御山君と御山君のお父さんを押しのけてベッドから飛び降り、しゃがみ込んだ。
「いっつぅ・・・」
お尻に当てた手がぬるぬるする。その手を見てみる。ローションに塗れた手に、少し血が付いていた。
「来いよ」
御山君が僕をベッドに引っ張り上げた。
「もう、無理だって、痛いって」
僕は泣きそうになっていた。
「ほら、四つん這い」
御山君が僕に命じた。
「無理だって」
御山君のお父さんが僕の穴を開いて見ている。
「切れたな、血が出てる」
そして、ティッシュでそこを拭いた。
「今日は無理だな」
そして、僕のお尻を軽く叩いた。
「春樹」
御山君のお父さんが御山君を呼んだ。御山君がベッドの上で飛び跳ねるようにして四つん這いの姿勢になった。
「よく見ておきなさい」
御山君のお父さんが、御山君のアナルにローションを塗った。たぶん、僕と同じようなピンク色のアナル。その中心が少し開いているように見える。その中に指が入る。最初は一本。すぐに二本になり、三本になった。僕はさっき三本入れられた時の裂けるような痛みを思い出した。でも、御山君のお尻の穴にはその三本の指が根元まで入っている。
「痛くないの?」
御山君は何も答えない。その代わり、お父さんに言った。
「早く入れて」
「焦るな」
お父さんが御山君の股間に手を差し込む。勃起したペニスを後ろに引っ張り出す。
「ほら」
御山君のお父さんが僕を見た。
「見てみなさい」
「見んな」
僕が躊躇していると、御山君のお父さんに手招きされた。ベッドに上がってそこを見た。
「こんなに先走りが出てる」
(うわ)
まるでローションを塗りたくったみたいに先走りで濡れていた。
「春樹は変態だからな」
「変態じゃない」
「変態だろ?」
またアナルに指を三本入れた。
「ん」
そして僕を見る。
「人差し指出して」
言われた通りにする。
「ここに入れて」
御山君のお父さんが、左手で御山君のアナル、お父さんの指が入ったままの穴を差した。
「えっ」
「ほら、早く」
「入れんな」
ほとんど同時に言う。僕は手を伸ばす。お父さんがアナルに入れている手をひねって、三本の指を捻るように動かす。
「ほら」
僕は恐る恐るそこに指を当てる。少し力を入れると、ぬるっと指が入っていった。
「ああっ」
御山君が声を出す。僕は指を抜こうとした。でも、御山君のお父さんが僕の掌を掴む。そこに入っていた三本を抜いた。
「ほら、こうして」
右手の指四本を揃えてすぼめるようにして見せる。それを真似する。僕のその手を握られる。ローションが僕の手にも付けられる。
「そのまま入れて」
今度は御山君は何も言わなかった。ただ、四つん這いのまま頭をベッドに押し付けている。
「いいの?」
御山君の頭がうなずくように動いた。僕は指を穴に押し付けた。ぬるっと入っていく。なんだか信じられない気持ちだ。
「あ・・・」
「気持ちいいんだって」
御山君のお父さんが言った。
「ほら」
さっきみたいに御山君のペニスを足の方に引っ張り出す。勃起したまま先走りを垂らしている。
「春樹は変態でしょ」
御山君のお父さんが僕の手を掴んで穴から指を抜く。代りにそこににじり寄る。
「入れるよ」
僕に向かって言った。さっきの僕の体を裂くような痛みを思い出す。でも、それはすぐに半分くらい御山君の中に入っていった。
「ああ・・・」
御山君を見た。顔はベッドに押し付けたままだ。痛いのかと思った。その時、御山君が顔を横に向けた。目は瞑っていた。でも、その顔は笑っているように見えた。
「ああ・・・入ってる」
そして、言った。
「気持ち・・・いい」
御山君が目を開く。その顔を覗き込んでいた僕と目が合う。すぐに御山君は顔を逸らす。
「見んなよ」
御山君のお父さんが体を御山君のお尻に打ち付けている。その度にクチョクチョという音がして、御山君の体が前後に揺れる。時々御山君の口から小さな喘ぎ声が漏れる。
「体撫でてあげて」
お父さんが言った。僕は手を御山君の体に伸ばす。
「触んな」
僕は伸ばしかけた手を止めた。御山君のお父さんが僕にうなずく。僕は御山君の背中に手を当て、そのまま撫でてみた。
「あっ」
手を脇腹からお腹に回す。そのまま手を下の方にずらせる。ジョリっとした感触。
(御山君の毛だ)
さらに手を下に動かす。硬くなった御山君の根元に指が当たる。そのまま、そこを握ってみる。
「ん」
親指を先に当てる。先走りでびしょびしょだ。
「すごい濡れてる」
「うる・・・さい」
その間もずっとお父さんが御山君のアナルに入れ続けている。
「ほら、仰向けになれ」
一旦御山君の穴から抜く。僕も手を離す。御山君が仰向けになる。ペニスが勃起している。お父さんが足を持ち上げて、またアナルに挿入した。
「ああっ」
御山君が声を上げる。お父さんが御山君の中を突く。御山君のペニスが揺れている。
「ほら、扱いてあげて」
僕に言う。
「さ、触るな」
でも僕はそれを握った。そのまま扱く。手を降ろしたところで止める。御山君のペニスは亀頭が完全に出ている。そこに顔を寄せてじっくりと見てみる。
「見んな」
何もしなくても先走りが溢れてくる。僕は御山君の顔を見る。
「気持ちいいの?」
御山君は答えない。
「ほら、どうなんだ?」
御山君のお父さんが言った。
「気持ち、いい」
さっき僕がされた時は痛かった。本当に痛かった。あの裂けるような痛みは今も少し残っている。でも、御山君は平気で、それどころか気持ちいいって・・・
「あ、あぁ・・・」
御山君の体に力が入る。
「いきそう」
僕は御山君を握って上下に扱いている手に力を入れる。お父さんが腰を御山君に打ち付ける。
「ああっいくっ」
その瞬間、僕の手の中で御山君が脈打った。御山君の精液が僕の目の前で飛び散る。それは二回、三回と続く。
「ああっ」
そして御山君が腰を突き出すように動く。御山君のお父さんが体を御山君に押し付ける。
「んんっ」
御山君のお父さんが息を吐いた。
御山君のお父さんが、御山君の体に飛び散った精液を指で掬い取って、僕の顔に近づけた。僕は顔を背ける。その指を今度は御山君の口に近づける。御山君はその指を舐める。舌を指に絡めてそれを舐めとった。
「ほら、見なさい」
御山君のお父さんが僕に言う。そして、御山君のお尻から離れた。御山君の穴が丸見えになる。そこはヌメヌメといやらしく光り、ぽっかりと口を開いている。そのまま見ていると、そこから御山君のお父さんが出した精液が溢れてきた。
「うわ・・・」
僕は思わず声を上げた。今度は御山君は何も言わなかった。
「あの時、君はここだったんだよ」
そう言われた途端、あの時のことを思い出した。
僕は真っ赤になった。
その後、僕らは食事をした。ちょっといいお店で、ちょっと良さげなものをご馳走になった。
でも、僕はほとんど御山君を見ることができなかった。御山君を見ると、あの終わった時のアナルを思い出す。あのぬめっとしたアナル。あの御山君が、あんなことを・・・
そして、何より僕があれになっていたんだ。
もちろん、食欲なんてない。と思ったけど、実際に料理が運ばれてくると普通に、いや、普通以上に食べられた。おいしかった。
でもやっぱり御山君を見ることはできなかった。
その夜、僕はあれで疲れたのか、ぐっすりと眠ることができた。
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