UHHVA


UHHVA 前編(第1話〜第6話)のあらすじ

玉城遼は子役俳優だ。大作と言われる映画に、主演の有名俳優の息子役として出演が決まり、その撮影が迫っていた。
そんなある日、彼は突然拉致された。
知らない男達にいたぶられ、犯され、鞭打たれる日々。背中の皮膚は鞭で引き裂かれ、アナルも裂け、玉を蹴り上げられる。ただただ、痛めつけられる毎日だった。

だが、そんな日々が一変した。
部屋に運び込まれた機械。その機械のスイッチが入ると、そんな痛みに満ちた行為が、全て気持ちいいと感じるようになった。玉城遼は男達に痛みを渇望し、セックスを懇願するようになっていった。

そんな日々に突然終止符が打たれた。
体の傷は治療され、そして解放された。
彼の身に何が起きたのかは、誰も何も教えてはくれなかった。





「それでは、ゲストの皆さんに登壇していただきましょう」
人気の若手男性アナウンサーがマイクに向かって言う。会場となったQZホールに詰めかけた観客達が拍手する。その拍手に迎えられて、3人が舞台の袖から現れた。
「今、話題の映画「紅い櫻」の越ヶ谷誠二監督、主演の西野大輔さんと、その息子役の玉城諒さんです」
拍手がいっそう大きくなる。彼等3人は舞台の真ん中に立ち、その拍手に手を上げて答えた。

その映画は公開前から大きな話題となっていた。そのせいもあり、公開初動の興行収入がこれまでの日本映画のトップという記録を打ち立て、その後も好調が続いていた。

アナウンサーがまず監督、次に主演男優にインタビューをしていく。玉城諒はその横で話を聞きながら、時々相づちを打っていた。
「息子役の玉城諒さん、難しい役どころだったと思いますが、ご自身ではどうでしたか?」
アナウンサーに話を向けられる。
「そうですね・・・確かに難しかったです。何度も監督に怒られましたし」
そう言って越ヶ谷監督をチラリと見上げる。監督が少し笑った。
「でも、凄く共感出来るし、色々考えて、お父さんとも話をして」
今度は隣にいる主演男優、西野を見上げる。西野も玉城諒を見下ろし、優しく笑った。
「まあ、ロケ地ではどこにも行くところがなかったし、宿舎の中でずっと話してたからね」
西野が玉城諒に向かって言う。
「だから、役を掘り下げる時間は十分あったし、監督ともお父さんともじっくり話して、とにかく役に入り込むことが出来たと思ってます」
玉城諒が答える。
「つまり、監督や共演者とのコミュニケーションが役作りに役立った、ということですね」
アナウンサーが話の舵を切る。三人とも頷いた。
「さて、そんなコミュニケーション、現代はデジタルネットワークがそのコミュニケーションの鍵を握っている訳ですが」
彼等の後ろのスクリーンに、大きくUHHVAのロゴが浮かび上がった。
「次世代型超高速・高付加価値情報ネットワーク、UHHVAがいよいよスタートします」
このイベントはUHHVA通信のスタートを告げるイベントだった。2090年の開始予定から3年遅れとはなったが、いよいよ次世代超高速・高付加価値情報ネットワークがスタートする、その記念すべきイベントに彼等は登壇していた。映画「紅い櫻」はデジタル通信ネットワークの企業がスポンサーとなっていたため、彼等がこのイベントに参加していたのだった。
「さあ、それでは、このUHHVAの最初の世代の一人、玉城諒さんに、UHHVA通信開始のボタンを押していただきましょう」
QZホールの舞台が暗転する。ステージ中央のボタンに手を掛けた玉城諒にスポットが当たった。
「玉城遼さんは2080年生まれ、つまり、HVSSTNチップが埋め込まれた第一世代という訳です。そんな彼に、このボタンを押していただきます」
スクリーンにカウントダウンが映し出された。会場の人々も皆カウントダウンする。玉城遼もカウントダウンする。カウントがゼロとなり、その時が来た。
「それではUHHVA通信開始です」
その声に合わせて、玉城遼がボタンを押した。会場中から拍手が湧き上がった。

ステージ上では超高速・高付加価値情報ネットワーク、すなわちUHHVAの説明がされていた。玉城遼達は少し脇にずれて、その説明を聞きながらスクリーンを見つめていた。
UHHVA通信が開始されてから、10分ほどが過ぎていた。

その違和感。
何となく体が重く感じた。
疲れているんだと思った。このところ、毎日プロモーションとかで忙しかったから。
その違和感が体の奥で成長していくように大きくなっている。体の中をぞわぞわと何かが動いている。いや、実際にはもちろん何も動いたりはしていない。が、それを確かに感じていた。
体が熱くなる。
心臓の鼓動が早くなるのを感じる。
その鼓動が大きく聞こえる。
じっとしていられない感じ。腕を擦り、目立たぬように軽く足踏みをしてみる。が、その違和感は収まらない。
やがて、その違和感は一点に集まっていく。
(ああっ)
玉城遼の体の奥の方・・・股間の奥の一点にそれは集まり、大きくなっていく。
(ああっ)
体に何かが起きている。それがどんどん拡がっていく。息が荒くなる。少し目を瞑り、頭を振る。別のことを考える。でも、それは抑えられない。どんどん大きくなって、あの時のように体が言うことを聞かなくなっていく。
(だめ・・・今、ここじゃ)
理性でなんとか押さえ込もうとする。
(だめだ)
拳をぎゅっと握る。それだけで手のひらにピリピリと刺激を感じる。その刺激だけでペニスが勃起する。
(だめだ、やめろ)
そっと体の前で両手を合わせる。そのままペニスを押さえる。だが、それは逆効果だった。その熱さが手に伝わってくる。そこを押さえるだけで体が震えそうになる。いや、すでに心臓の鼓動に合わせて体が脈打っている。
(なんだ、これ)
口が開きそうになる。ぐっとこらえる。
(なんなんだ、これ)
しかし、玉城諒は気付いていた。

アナウンサーが玉城遼を見ていた。彼に何か話し掛けている。だが、玉城諒は反応しない。聞こえていないかのようだ。
しかし、彼には聞こえている。聞こえてはいるが、その言葉は耳には入っていなかった。ただ、今の彼の頭の中は“そのこと“だけでいっぱいになりつつあった。
(されたい・・・)
息が早くなる。手が勝手に動く。その手がズボンの上から股間を握る。熱い。堅い。その手を微妙に動かす。
(くっ)
声が出そうになる。越ヶ谷監督が玉城遼を見る。怪訝そうな顔をしている。アナウンサーも少し困ったような顔をしている。
(今は・・・)
「だめ」
小さく言った。手が勝手に動く。
「だめだって」
口を噤もうとした。が、抑えられない。
「ああ・・・だめだ」
アナウンサーが舞台の脇にいるスタッフに助けを求めるような仕草をする。そんなアナウンサーに向かって一歩踏み出す。大きな靴音がする。スタッフも、観客もみんな見ている。
(もう・・・だめだ)
アナウンサーに、もう一歩近づく。アナウンサーは質問に答えるものと思ってマイクを差し出す。玉城諒がさらに近づく。数歩進むとアナウンサーの前に跪いた。
「玉城さん?」
アナウンサーは、そんな玉城遼の口元にマイクを差し向けた。
「チ・・・」
小さく言った。右手を伸ばしてアナウンサーの腰に回し、左手でマイクを掴んだ。
「チチチンポ下さい!!」
叫び声がマイクを通してQZホール中に響き渡った。

玉城諒は、顔をアナウンサーの股間に擦り付けた。マイクを床に投げ捨て、空いた左手で自分のズボンのジッパーを下ろした。そこに手を突っ込み、勃起したペニスを引っ張り出して握る。
「ああ、チンポ、下さい」
股間に顔を擦り付けてわめいている玉城諒を、アナウンサーは思わず突き飛ばした。
「あっ」
玉城諒がステージに倒れ、仰向けになった。
「だ、大丈夫ですか?」
アナウンサー、越ヶ谷監督、西野大輔が彼に近づこうとした。が、彼等は同時にその動きを止めた。玉城諒が、仰向けのまま、突き出したペニスを扱いていた。
「た、玉城君、やめなさい」
越ヶ谷監督が言った。玉城諒がそんな監督の方を見て、体を起こした。
「ほら、しっかりして」
越ヶ谷監督が玉城諒に手を差し伸べた。玉城諒は四つん這いになり、監督に這い寄っていく。その途中でベルトを緩める。
「か、監督・・・」
ステージの上を這いながら、ベルトを緩め、ズボンを降ろす。下半身裸になって、勃起したペニスを握りしめながら越ヶ谷監督の足下に這い寄り、監督を見上げる。
「監督・・・チンポ、ください」
その口の端から涎が垂れている。監督の腰に手を回し、顔を股間に押し付けようとする。
「やめなさい」
監督は突き飛ばしはしなかったが、その頭を押さえて引き離す。玉城諒は半笑いで再び監督を見上げた。
「チンポ・・・」
監督が首を左右に振る。
「マネージャー、遼君を」
西野大輔が言った。玉城遼が彼を振り向く。
「お父さん」
笑顔を向ける。不気味な笑顔だった。
「やめなさい」
西野が一歩後退った。
「お父さんのチンポ・・・」
膝立ちのまま、にじり寄る。
「止めるんだ」
「僕に、チンポ下さい」
ペニスを扱きながら、もう片方の手を尻に当てた。
「チンポ、入れてください」
指先をアナルに入れる。西野を見上げる。
「また僕を犯して下さい」
にじり寄る。西野は後退る。そんな彼等の間にスタッフが割り込んだ。
「やめなさい」
スタッフが玉城遼を羽交い締めにする。
「ああ、チンポ」
下半身を露出したまま、玉城遼が笑う。羽交い締めにされながら、スタッフに体を擦り付ける。
「な、なんだ、こいつ」
スタッフがつぶやく。
「チンポ、入れて」
首を捻り、スタッフの顔を見る。キスしようとする。スタッフは顔を背ける。少し腕の力が緩む。玉城遼はスタッフの手から逃れ、彼の前にしゃがみ込んだ。
「チンポ、入れてください!」
スタッフのズボンを引きずり下ろした。男の盛り上がった股間に顔を押し付け、その膨らみに口を這わせた。
「やめろって」
他のスタッフが彼を押さえ付けた。
「チンポ、チンポぉ」
玉城遼はわめき続けた。押さえ付けられたまま、勃起したペニスを扱き続けていた。

そのQZホールでのイベントは、ネットでライブ配信されていた。
玉城諒の痴態を、多くの人達がリアルタイムで見ていた。





眩しいくらいに白い部屋だった。
壁も、天井も、床も何もかも白かった。彼が着ている服すらも白かった。そんな白い服の中で、彼の腕は胸の前で組まれ、動かすことが出来ないように拘束されていた。白い部屋に白い拘束服。それが、今の玉城諒が置かれている状況だった。

あの日・・・UHHVA通信開始のイベントでの玉城諒の異常な行動は、そのUHHVAの超高速通信網により瞬く間に日本中に、いや、全世界に配信された。そのクリアな映像と音声は、彼が何をしていたのか、何を言っていたのかを詳らかにした。
その結果、「紅い櫻」は公開3週目で上映中止となった。

UHHVAの公式サイトでは、あのイベントのライブ動画が流され、その動画は保存される予定であった。が、玉城遼の奇行により、その動画は即座に削除された。が、多くのネット民により、その動画は切り抜かれ、拡散された。
まだ閉鎖されていなかった「紅い櫻」の公式サイトには、玉城遼の行為を非難する書き込みが殺到した。同時に、ネットのとある界隈では、玉城遼のその時の画像や動画、また「紅い櫻」に出演している玉城遼の画像、過去の出演作からの画像が繰り返しアップされ、ある意味もてはやされた。映画に出演し、話題にもなり、その年の映画賞の最優秀助演男優賞の有力候補とも言われた玉城遼の痴態、ペニス、尻がいろいろな「ネタ」にされていった。

玉城遼のイベントでの行為については、ネット民だけでなく、警察も興味を示していた。玉城遼はとある大病院の精神科に緊急入院させられ、越ヶ谷監督や西野大輔、そして映画の撮影スタッフは事情聴取を受けた。
当初は、越ヶ谷監督や西野大輔による、映画撮影時の玉城遼に対する性的虐待が疑われた。「紅い櫻」のロケ地は海外の田舎町や郊外であり、ほとんどなんの娯楽もない場所であった。そのため、撮影に要した2ヶ月ほどの間、宿泊地に俳優、スタッフはこもりがちであり、そこで玉城遼に対する何らかの集団性的虐待が行われた、と考えられた。

ネットではその噂で持ちきりとなり、界隈では大いに盛り上がりを見せた。あのイベントでの玉城遼の痴態を使ったコラ画像が溢れ、その画像の中で玉城遼は越ヶ谷監督や西野大輔とセックスをしていた。
が、そんな事実はなかったことが、警察の捜査で明らかにされた。


イベントから1ヶ月ほどが過ぎたころから、日本各地で玉城遼と同年代の少年による奇行が報告されるようになった。
それは、例えば学校で授業中に突然オナニーを始めるというものであったり、あるいは同級生に襲いかかるというものもあった。
そんな性的奇行が全国で続々と報告され始めた。皆、玉城遼と同い年か一つ下、12,3才の少年達であった。

そのような奇行は、すぐに全国で1万件を超え、さらにその数は右肩上がりで増えていた。また、そのような性犯罪あるいはその未遂行為ではないが、例えば公園や駅といった場所でオナニーする少年が現れ、集まりだし、特定の公園ではそんな少年達が住みつくようにすらなった。

そんな行動は、ほぼ思春期の男児に限られていたことから、思春期特有の何らかの要因により引き起こされたある種の集団ヒステリー、あるいはそれに類するストレスによる同時多発的な異常行動ということと結論付けられた。

が、玉城遼は性的虐待を受けていた、という噂は根強く流布され続けた。



「ふぅん、あいつ、俳優だったんだ」
男がテレビニュースを見ながらつぶやいた。
「ちょっといい感じだったもんな」
別の男が言う。
「まあ、俺達は国の指示でしただけだし、あれで罪に問われないことは確約されてるからな」
テレビの画面に「紅い櫻」のワンシーン、玉城遼のアップが映し出されていた。
「その代わり、あの欠陥については一切口外出来ないけどな」
「ま、もらうものはもらったんだし、忘れることだね」
男達は皆、頷いた。



(されたい)
白い部屋の中で、玉城遼はずっと動くことが出来なかった。
(イきたい)
芋虫のように床に転がり、股間を床に押し付ける。
「んんっ」
体を小刻みに揺らす。股間に刺激が伝わる。
と、扉が開いた。男が2人、入ってきた。彼等は何も言わずに玉城遼の拘束服を掴み、彼を立ち上がらせる。
(犯して!)
口枷で封じられた口の中で叫ぶ。その声は男達には届かない。男達は玉城遼の顔を見る事もなく、彼の服に付いているフックを壁に固定し、部屋から出て行った。
(イかせて)
体を揺する。が、ペニスへの刺激はもうない。
(イかせてよ・・・)
玉城遼の目には涙が浮かんでいた。


      


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