UHHVA

11

「ああっ」
遼のアナルを健斗が突き上げる。それに合わせて喘ぎ声を出す。いつもより大きな声。いつもより大げさな声。
「気持ちいいっ」
両手をドアに当て、小さな窓に出来る限り顔を押し付ける。外を見る。何も変わった所はない。ただ、ドアが並んでいるだけ。恐らくは、あのドアの向こう側で、今の彼等と同じようにセックスしている者達もいるだろう。
「ほら、どうだ」
健斗が奥まで突いてくる。
「気持ちいいよぉ」
演技抜きで気持ち良かった。でも、今は演技する。口を少し開き、涎を垂らす。やがて獲物が針に掛かった。
遼は右手を軽く振る。それを見て、健斗が遼のアナルに入れたまま、ドアの横に体をずらす。そこでまた突き上げる。
「ああっ」
遼が顔を横に向ける。その顔にキスをする。その時、ドアが微かに軋んで内側に開いた。

ドアが開いた。監視員が顔を覗かせる。その顔に、遼がむしゃぶりつくようにキスをした。
その一方で、目はドアの隙間から外を見る。同時に、健斗が足下に脱ぎ捨てておいた服を、足でドアと壁の間に押し込む。監視員が部屋に入り、遼とキスをしたまま後ろ手にドアを閉めた。そのまま遼が監視員を床に押し倒す。貪るようにキスをする。体を擦り付け、服の上から監視員のペニスを弄る。
「獣が。少しは理性ってものがないのか」
監視員が言った。が、監視員のペニスはすでに硬くなっている。
「チンポ、ください」
遼が荒い息を吐きながら言う。半分は演技だが、半分は本気だ。
「お前等、ホントに噂通りだな」
(噂?)
監視員のペニスに頬ずりしながら遼は思う。
「そうだよ。俺達、そうだから」
健斗が言った。まるで、その噂を知っているかのような口ぶりだ。
「知ってるなら遠慮は要らないな」
監視員は体を起こす。すかさず、健斗が監視員の股間ににじり寄る。
「少しは待てないのか?」
そう言いながら、ズボンのベルトを緩める。健斗がそのズボンを降ろす。監視員の背中に遼が抱き付く。そのまま下着を下ろす。監視員の勃起したペニスに健斗がしゃぶりついた。

健斗がフェラチオしている間、遼は監視員のお尻にキスをし、頬ずりする。が、その手は監視員の脱いだズボンを触っていた。右のポケットに何か入っている。それを確認して健斗に目で合図を送る。健斗が少し体を動かして、今度は監視員のペニスを左右から二人で舐める。陰茎に舌を這わせ、徐々に亀頭へと移動する。亀頭の先で二人はキスをする。また陰茎に戻り、その根元に顔を埋める。手は男のズボンを弄っている。ポケットの奥に堅くて小さい四角い物が入っている。が、まだここではそれを取り出しはしない。それが右のポケットに入っていることを確認出来れば十分だ。
「ほら、お前は四つん這いになれ」
男が健斗に言った。言われた通りに四つん這いになる。
「お前もだ」
遼と健斗は並んで四つん這いになった。
「どっちから入れられたい?」
しかし、男は答えなど望んでいなかった。すぐさま遼のアナルにペニスを突っ込んだ。
「ああっ」
遼が気持ち良さそうな声を出す。
(あれも演技かな)
健斗はチラリと横の遼の顔を見る。その表情は本当に気持ち良さそうだ。なんだか少し、健斗の心の奥にじんわりと影が差す。
「お前も欲しいんだろ?」
男が健斗に言った。遼のアナルからペニスを引き抜くと、そのまま健斗に入れる。
「うぅ」
健斗も声を上げる。
(健斗、入れられたんだ)
遼は横目でその様子を見る。これまで、健斗は遼に入れるばかりで、入れられている所は見たことがない。そんな健斗が今、監視員に入れられている。
「嬉しいんだろ、UHHVA中毒だもんな」
男が健斗を突く。
「あっ」
健斗がまた声を上げる。
「お前等、なにされても気持ちいいなんて、ホント、幸せだよな」
パンパンと腰を打ち付ける。遼は頭を捻ってそれを見る。
「お前も欲しいよな、この変態野郎が」
遼のアナルに指がねじ込まれる。
「頭のチップのお陰でなにされても気持ちいいもんな」
一気に指四本が根元まで入ってくる。そのまま押し付けられる。
「ああっ」
遼は喘ぐ。
「気持ちいいよな、脳内麻薬ドバドバ出てるんだもんな」
監視員の言っていることがあまりよく分からない。が、この気持ち良さ、あの突然何もかも気持ち良くなったのが、頭に埋め込まれているチップと関係あるんだろうか。
「ほら、どうだ」
監視員が遼のアナルに手を押し付けたまま、親指をねじ込んだ。
「うぅ」
一瞬の痛み、すぐにそこから何かが湧き上がる。
「痛いか? 気持ちいいんだろ?」
「ああ・・・」
遼が頷く。
「お前は掘られて嬉しいよな」
また健斗のアナルを突く。
「僕も、犯されたい」
遼が監視員に顔を向ける。監視員が遼のアナルから指を抜く。遼は監視員にしがみつく。口を口に押し付け、舌を入れる。
「本当に凄いな」
監視員が遼の頭を指で探った。
「これか。例の欠陥チップってやつは」
遼の頭の、あのチップが埋まっている場所にある突起に触れる。
「欠陥チップのお陰で、脳内麻薬出まくって、それでなんでも気持ち良くなるんだからな」
監視員が健斗からペニスを抜いて仰向けになった。
「ほら、入れられたいなら自分で入れろ」
遼が監視員の上に跨がった。
「さすがだな」
遼は監視員の上で腰を落とす。そして、体を揺らした。

監視員の上で遼が体を揺らし、健斗は監視員の体の上に覆い被さるようにして遼のペニスを咥えていた。その健斗のペニスを監視員がしゃぶる。
と、監視員が健斗の体を押しのけた。上半身を起こし、遼を抱き締め、そのまま仰向けになる。
「お前、このままこいつのケツに入れろ」
監視員が遼を抱き締めたまま命じた。
「二本挿しってやつだ」
健斗が監視員と遼の繋がっている部分を指でなぞる。
「入るだろ、お前なら」
監視員の言葉に遼は頷く。
「少しは痛いかもしれんが・・・ま、それが気持ちいいんだからな」
健斗は遼の、監視員のペニスが入ったままのアナルに指を1本入れた。ぬるっとすんなり入った。二本目を入れる。少し引っかかる感じ。でも、遼は喘ぎ声を出す。
「ほら、入れろ」
遼のアナルに健斗がペニスを押し当てる。
(太いけど、いいかな)
少し心配する。
(でも、入れたい)
押し付ける。少し抵抗を感じる。そのまま力を入れる。
「ふあっ」
遼が声を出したのと同時に、健斗のペニスがアナルに刺さった。
「おお、入ったな」
監視員が言う。健斗はそのまま奥まで入れる。
「くふぅ」
遼が聞きようによっては苦痛の声とも思えるような喘ぎ声を出す。
「ほら、お前、掘ってみろ」
言われるまでもなく、健斗は腰を使い始める。監視員のペニスと健斗のペニスが遼のアナルの中でこすれ合う。ゴツゴツとした感触。
(俺、今、こいつと二人で遼を犯してるんだ)
そう思うと理性が飛びそうなくらいに興奮する。
(遼を・・・壊してるんだ)
遼の首を後ろから両手で掴む。その手に力が入る。
「ああっ」
遼が声を上げる。監視員と目が合う。反射的に遼の首から手を離す。遼が後ろを、健斗を振り向こうとする。健斗は、そんな遼に覆い被さり抱き締める。
「重いよ」
一番下になっている監視員が呻いた。健斗は体を起こし、二人から離れた。
「二本も平気とはな」
監視員も体を起こす。遼を仰向けにし、足を持ち上げてアナルの奥まで犯す。
「ああ・・・」
監視員に犯されながら、遼は健斗を見て、彼の方に手を伸ばす。健斗はその手を取り、遼の顔の上にしゃがむ。監視員が健斗の体を抱き締め、口を押し付ける。下から遼がアナルを舐める。
「んん」
三人が一つの固まりのようになり、それぞれがそれぞれを貪っている。
「ああ、イく」
監視員が遼の中で射精する。ペニスを抜く。そのペニスを健斗にしゃぶらせる。
「次はお前だ」
健斗を四つん這いにさせ、そのアナルに射精したばかりのペニスを挿入した。
「ふあっ」
健斗の尻に腰が打ち付けられる。健斗の体が揺れる。
「こいつの前でお前も四つん這いになれ」
四つん這いの健斗の顔の前で、遼も四つん這いになる。ちょうど健斗の顔の前に、監視員に掘られていた遼のアナルがある。そのアナルはヌメヌメと光っている。健斗はそのアナルに口を付ける。舌を差し込む。その奥に注がれていた監視員の精液を啜る。
「ああ・・・おいしい」
健斗がつぶやく。
「そうか。じゃあ、お前の中にも出してやる」
監視員が射精する。健斗はそのペニスの脈動を感じる。
「ああっ」
注がれていることが気持ちいい。
「ほら、今度はお前の尻の中の精液を啜れ」
遼が健斗の尻に回り、そこを開いて口を押し付けた。

その後、監視員はもう1回ずつ二人のアナルを犯した。さらに口を使ったが、もうほとんど精液は出なかった。
「お前らでしろよ。見ててやる」
監視員は床に座り、二人に言った。

監視員の目の前で、遼と健斗は見つめ合い、顔を寄せ、キスをする。体を撫で合い、二人とも喘ぐ。
「あぁ」
体を撫でられるだけで感じる。ペニスから先走りが溢れる。堅く抱き合い、口を貪る。コポコポと二人の口から音がする。それが監視員にも聞こえている筈だ。そのまま遼は押し倒され、挿入される。
「ああ・・・入ってる」
遼が呻く。
「ほんと、好き者だな」
監視員がそれを見ながら言い、横になった。
そんな監視員の視線を感じながら、遼と健斗は抱き合い、何度も体位を変えながらアナルセックスをし続けた。


「ああっ」
二人は抱き合いながらキスを交わしていた。健斗が目を下に向ける。そこでは監視員が横になっている。少し口を離し、お互い目配せする。遼が四つん這いになり、監視員に近づく。彼等の有り余る性欲に付き合わされた監視員は眠り込み、寝息を立てていた。
遼が健斗に頷く。健斗は床に散らばっていた監視員のズボンを手に取り、右のポケットに手を入れた。小さな四角い物を取り出す。それにはボタンが一つだけ付いている。そのボタンの上に赤いランプ。二人が視線を交わし、また頷く。健斗が監視員の服を身に着ける。遼はドアの近くに落ちている自分の服を着る。
「いいか?」
健斗が小さな声で言った。遼が頷く。ドアに向かう。ドアには健斗の服が挟まり、完全には閉まっていない。少しドアを開き、服を抜き取る。その服を抱えて、二人はドアの外、廊下に出た。そっとドアを閉める。全裸の監視員を残したまま。
閉まったドアから、ガチャリと音が聞こえた。

二人は無言で廊下を見渡す。案の定、誰もいない。廊下の奥にドアが一つ。反対側の廊下の奥は壁しかない。顔を見合わせ、頷く。少し屈んで、他のドアの窓から見えないようにして廊下の端のドアに近づく。
あの小さい四角い物を取り出し、ドアに近づけてボタンを押してみる。かちゃりと音がした。
また顔を見合わせる。ドアを少しだけ開き、外を見た。

外は階段室のようだった。薄暗い階段室。人の気配はない。ドアを開いてまず健斗が体を滑り込ませる。続いて遼。ドアを閉めるとまたガチャリと音がする。
階段は上にも、下にも続いていた。下を見ると踊り場に上向きの三角と2という数字、その隣に下向きの三角と1という数字が見えた。つまり、ここは2階だということだ。足音を立てないように階段を降りる。その踊り場に窓があった。部屋のドアにあったような小さな穴ではなく、体が入りそうな大きさの、ガラスが入った窓だ。手を伸ばせば届きそうだ。健斗はその下で四つん這いになり、その上に遼が乗る。遼が窓に手を伸ばし、鍵を触る。簡単に鍵は解除出来た。窓を開いて外を覗く。一旦健斗から降りる。
「外、飛び降りられそう」
そう健斗に告げる。健斗は頷き、また四つん這いになった。遼が窓に手を掛ける。体を持ち上げる。上半身を窓に突っ込む。健斗が体を起こし、遼の足を持ち上げる。遼の体が窓から消える。続いて健斗が少し背伸びをする。窓枠に手が掛かる。その手に力を込めて、窓によじ登る。頭を突っ込む。外で遼が見上げていた。健斗が窓から飛び降りる。二人並んで立ち、窓を見上げた。
「出られたんだ」
遼が小声で言った。
「ああ」
健斗が答える。建物を見上げる。少し高い場所に、さっき出てきた窓が見える。建物の横に回ってみる。細長い建物が奥のほうに続いている。外から見ると、窓のような四角い物が等間隔にいくつも並んでいる。
「たぶん、あの辺りに部屋があったのかな」
健斗がその窓の一つを指差した。
「でも、部屋には窓はなかったよ」
「たぶん、部屋の内側に、窓を覆うように壁が作られてたんだろうな」
その窓の列が5つ見える。つまり、5階建ての建物だ。
周囲を見回す。周りには、少し離れた所にぽつんぽつんと灯りがある程度。その他には灯りはない。建物を振り返っても、灯りが点いている窓は一つも見えない。
「ここって・・・病院かなにかだったんだろうか」
見回しながら健斗が言った。
「ここも駐車場っぽいし」
地面には、消えかかっていたが、白い枠線が見える。かすれた矢印のようなペイントも残っていた。
「なんにもないよ」
遼がその場で体を一周巡らせ、言った。その言葉通り、恐らく古い病院とその駐車場跡と思われるその場所には、建物以外何もない。駐車場跡にも車は停まっていなかった。
「たぶん、昼間とかになったら、誰かが車で来て、監視員と交代したり、食事運んだりするのかな」
遼が遠くを見る。
「夜中・・・くらいかな」
時間が分かりそうな物は何もない。が、夜が明けそうな雰囲気もなかった。
「そんなもんだろう」
健斗と遼は顔を見合わせた。
「出られたな」
二人は顔を寄せる。キスを交わす。体を抱きしめ合う。
「ああ」
だだっ広い駐車場跡で、二人は抱き合う。
「今はダメ」
「そうだね」
二人は衝動を抑える。そして、歩き出す。
「どっちに行く?」
遼の問いに、健斗が地面を指差した。そこには消えかかった矢印が見える。
「取りあえず矢印の方。病院だったとしたら、たぶん、駐車場出たら道がある」
その通りだった。さらに、少し向こうにバス停も見える。
「行ってみよう」
古いバス停だった。今は使われていないのが一目瞭然だ。ベンチもある。
健斗は抱えていた自分の服をそのベンチに置き、服を脱ぎ始めた。
「するの?」
遼が言う。と、健斗は笑った。
「今はダメだって。上の服、交換しよ」
健斗が着ていた服は、あの監視員の制服らしい青い服だ。ズボンも青。一方、遼はあの部屋で着ていた灰色の上下のままだった。
「これじゃあ、あそこから逃げてきましたってすぐに分かるだろ」
脱いだ青い服を遼に差し出す。遼はそれを受け取って、自分の灰色の服を脱ぎ、それを着る。健斗は自分の灰色の服を着た。
「これで少しはごまかせるんじゃないかな」
遼は上は青で下が灰色の服。健斗は上が灰色で下が青のズボンだ。余った服は、取りあえずひとまとめにして腰の辺りに結び付けた。
「もう、使われてなさそうだよね」
遼が残っている時刻表を見た。色あせてはいるが、文字は読み取れる。健斗もそれを見る。
「意外と街に近いかもしれない。けっこうバスの本数が多いし」
その時刻表の下に路線図も残っていた。
「この図でいうと・・・」
駐車場の前の道を見渡す。
「あっちだ」
健斗が指差した。遼が健斗に手を差し出す。健斗はその手を握る。
「キスだけ、したい」
健斗が言った。遼は健斗に顔を寄せる。キスをする。
「キスだけで我慢出来る?」
そう言う遼を、健斗はベンチの上に押し倒した。
「一回だけな」
誰もいない、何もないその場所で、二人は抱き合った。

      


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