壊れた玩具
−第2話−


男の人は、別れ際に2万円渡してくれた。
「また会いたいよ」そういって、手を握ってくれた。
「また連絡もらえたら」僕はそう言って、手を握り返した。
「それじゃ、また連絡するから」そして、僕等は別れた。男の人は、途中で振り返って軽く手をあげた。僕はぺこっと小さくお辞儀して、手を振った。
「なんか、仲良さげだな」先輩が横に立っていた。
「ほら、出せよ」先輩が僕に手を突き出す。なにも言わずに渡されたお金の半分、1万円を先輩に渡した。「なにされたんだ?」それから、僕は男の人にされたことを少しずつ話した。先輩は根ほり葉ほり聞いてきた。僕がどう感じたのかとか、気持ちよかったかどうかとか・・・そして、最後にひとこと言われた。
「お前、変態だな」
今までいろいろと先輩にさせられたし、言われたし、されたりもした。でも、先輩にムカついたのは初めてだった。そして、そのとき気が付いた。”先輩は僕が恥ずかしいことさせられたりするのが好きなんだ”って。僕はなにも言わずに歩き出した。

男の人からもらったお金のうち、僕の手元に残った1万円は、その日のうちになくなった。先輩は僕がお金を持っていることを知っていたから、CDとかDVDとか買わされて・・・
「いいじゃん、またバイトさせてやるからさ」何かというと僕に物をねだって、お金がなくなるって言うと必ずそう言って・・・でも、断れない自分の弱さを感じた。なんでこんな人、好きになっちゃったんだろう・・・後悔はしてる。でも、嫌いにはなれないし、先輩と2人でいると楽しいと思うことが多い。でも、もうちょっと僕のこと、考えてもらえたらうれしいんだけど・・・

そして、また先輩が僕にアルバイトを紹介してくれた。
紹介?
強制かもしれない。

アルバイトを終えて、僕はホテルから一人で出てきた。公園まで歩く。公園のベンチに座る。なんだか・・・すごく疲れた。腕を見てみる。跡がついていた。それを手でこすって・・・
「ほら」先輩が僕の前に立っていた。前に立って、僕に手を突き出していた。僕は、ズボンのポケットから折り畳んだ1万円札を取り出した。先輩がそれを奪い取る。枚数を数えて・・・1枚だけ僕に返してくれた。
「あの・・・」僕は口を開いた。なんだか声を出すのも辛いと思った。
「なに?」先輩が僕の横に座る。僕の腕を取って、腕についている跡を見る。
「先輩・・・先輩がメールに書いたんですか?」
「そうだよ。どうだった?」(やっぱり・・・)わかりきっていたことだけど・・・
「どんなことされたんだよ、言えよ」先輩に言われて、僕は今日、さっきされたことを話し始めた。先輩の目が輝いていた。

先輩に言われた通り、ホテルの部屋に入るとすでに男の人が待っていた。
「そこに立て」男の人は僕に命令した。男の人は、僕を舐めるように見る。
「全部脱げ」僕はその通りにした。男の目の前で、ずっと見つめられながら、僕は全裸になった。
「後ろを向け」男に背中を向けた。男が僕の手を背中で重ねるようにした。そして、僕の腕はロープで縛られる。
「口、開けろ」僕のすぐ後ろから言う。言われた通りに口を開く。口にゴルフボールみたいなのをつっこまれて、それについているひもを頭の後ろで縛る。僕は口を開いたまま、しゃべることもできなくなった。
ぱしっ!
音とともに、背中に熱い痛みを感じた。一瞬、息が詰まった。
ぱしっ!
また、痛みが襲ってくる。
ぱしっ! ぱしっ! ぱしっ!
男が何度も僕をむち打った。後ろ手に縛られたままの僕の体がふらつき、ベッドに倒れ込む。
「立てよ、このクソガキが」男が僕の髪の毛をつかむ。そのまま僕を立たせる。
またむちが飛んでくる。今度は背中だけじゃなくて、お腹や胸、太股にも。むち打たれた跡が、みるみる赤くなっていく。男が手を止める。
「しゃがめ」男が命じた。僕はそれに従った。男が僕の前に立って、ズボンからペニスを取り出す。そして、僕の口からゴルフボールみたいなのをはずした。
「口開けろ」男は僕が開いた口の中に勃起したちんちんを入れる。そして、僕の顔を左右からつかんで、動かし始めた。
「おえぇぇ」男のちんちんが僕の喉の奥のほうにつっこまれる。男は、この前の男の人とは違って、僕に口でさせるというよりは、僕の口の中に無理矢理ちんちんをつっこんできた。喉の奥まで、ちんちんの根本までつっこもうとする。僕は吐きそうになって、涙が出る。でも、男はますます強く僕の頭を自分の股間に押しつけて、さらにちんちんをつっこんできた。
「ごがぁ・・・」ちんちんが僕の喉を突き抜けた感じがした。息が出来なくなる。頭を男から離そうとするけど、強い力で押しつけられて、離れるどころかますます喉に突っ込まれる。
「ん、ん〜」僕は必死でうめいた。死ぬかも知れない、そう思った。男はかまわずに僕の頭を押しつけ、そして小刻みに動かす。そして、もうだめだ、と思った瞬間、ずぼっとそれを引き抜いた。
「うげっ・・・ごぇ・・・・」僕は咳き込み、吐きそうになった。
「立て」床にうつぶせになりそうだった僕に男が言った。僕はのろのろと立ち上がった。涙が流れていた。
「そして、どうなった?」先輩は興味津々って感じで僕に尋ねた。
「それから・・・」僕は、腕の縄の跡をさすりながら話を続けた。

立ち上がった僕は、男に縄で縛られていた。腕も、改めて縛り直された。僕の体に縄が食い込んで、ちくちくして痛かったけど、僕の口にはまたゴルフボールみたいなのが詰め込まれてなにも言うことが出来なかった。そのまま僕は壁際に立たされた。

「ちょっと見せろよ」先輩がベンチを立った。僕の手を引いて、公園のトイレの方に行く。トイレの個室で僕は服を脱がされた。僕の体には、縄の跡がはっきりと残っていた。胸からおなかのあたりに菱形の跡、そして、むち打たれた跡がみみず腫れになっている。
「下も見せろ」僕は先輩の前でズボンとパンツを下ろした。

男は僕の玉を握りしめて、少しずつ力をくわえた。僕が痛くてうめき声をあげると、少し力を弱める。それの繰り返し。でも、少しずつ力が強くなっていく。
「う・・・・うぅ・・・」初めは手のひら全体で握るようにしていたけど、今は親指と人差し指でひねるようにしている。
「ほら、痛いか?」僕の耳元で男が聞く。僕がうなずくとさらに指に力を込める。
「お前、こうやっていじめられるの大好きなんだろ?」僕は首を横に振る。
「メールに書いたろ? めちゃくちゃにされたいって」
「ふが」否定しようと思っても、それを伝えることができない。
「思いっきりいじめられたいんだろ? そうメールに書いたのは誰だ?」男がもう一方の手で僕の顎をつかむ。玉をつかんでいる指にさらに力が入る。
「ふぐぁ」玉の痛みに体をよじる。また涙が出そうになる。きっと先輩が書いたんだ・・・そう思っても、いまはどうしようもなかった。
「そうそう、その表情。涙を浮かべて耐える表情がなんとも言えないな」男がうれしそうに言う。
「もっともっとそんな表情させてやるよ」そして、玉から指を離した。

僕は体の縄をほどかれて、バスルームに連れて行かれた。手は背中で縛られたままだった。
「四つん這いになれ」空のお風呂の底を指さして、男が言った。男は大きいな注射器を取り出した。なにをしようとしているのか分かった。浣腸だ。チューブみたいなのをお尻に入れられて、その先に注射器をつなぐ。おなかの中にひんやりしたのが入ってくる。なんだかお腹が苦しい。
「けつの穴ぎゅっと閉めろ。もらすなよ」言われるまま、僕は力を入れる。チューブが抜かれる。
「ほら、ここに座れ」今度はお風呂の縁に座らさせられる。
「こんなのいらないな」男が僕の少し生えてきていたちん毛をさわる。
「剃ってやる」そして、僕の股間からちょっと前までみたいに毛がなくなった。

「毛、剃られたんだ」先輩がさっきまで毛があったところをなでる。
「つるつるじゃん」笑いながら言う。なんだかすごく恥ずかしい。
「縛られて、毛剃られて・・・浣腸もされたんだよな?」
「うん」恥ずかしくてうつむいたまま、僕は答えた。
「じゃ、そいつの目の前でくそしたんだ?」先輩は少しかがんで、僕の顔を見ながら聞いた。僕は恥ずかしくて答えられなかった。

「お前には毛がないのがお似合いだな」毛を剃られたあと、バスルームのシャワーカーテンのところに手を縛られて動けなくされた僕は、そのまま男に体をなで回された。乳首をつままれると、なんだか体に電気が走るみたいな感じがする。でも、やがてお腹がきつくなってくる。
「あ、あの・・・」
「なんだ?」
「その・・・トイレ」
「だめだ」男はすぐに答えた。
「で、でも・・・」僕は体をよじった。
「もれそうなんです」恥ずかしかったけど、本当のことだった。
「だめだ」同じことを男が繰り返した。
「お願いします。もう、ホントにもれます」ほんの少し前はやばそうな感じだけだったけど、すぐにもう限界って感じになって、今は本当に我慢出来なくなっていた。
「じゃ、ちょっと待ってろ」男がそう言って、僕はほっとした。手をほどいてくれるのかと思ったけど・・・男はバスルームから出ていってしまった。
「あ、あの・・・早くほどいてください」僕は大きな声を出した。すぐに男は戻ってきた。
「大きな声を出すな」男は手にビデオカメラを持っていた。
「横を向け」男がお風呂の外でビデオカメラを構える。僕はお風呂の中で男に対して横向きになった。
「出していいぞ」
「え・・・こ、こんなところで」立ったまま、お風呂の中でうんちをしろだなんて・・・
「いやならそのまま我慢しつづけるんだな。1時間でも2時間でも」男がビデオを構えたまま言う。
「そんな・・・お願いですから普通にさせて下さい」僕は懇願した。
「普通か・・・今日、お前は俺の家畜として金で買われてるんだ。家畜だったら、つながれたまま垂れ流すのが普通だろ?」
「そ、そんな・・・」体をよじる。もう・・・限界だった。
「お前が望んだことだ。ほら、出せよ」
「い、いやだ!」そう叫ぶと同時に、僕のおしりから「ぷぴ!」と間抜けな音がした。でも、それはすべてが崩れ去る音でもあった。
「ああ・・・」もう我慢できなかった。僕の体から力が抜けた。
ぶしゅぅぅぅ・・・
僕のおしりから斜め下に向かって茶色い液体がほとばしった。強烈なにおいもそれと同時に広がる。ほとんど液体みたいな、でもときどき半分固形物みたいなうんちがお風呂の中に飛び散る。男は僕のおしりから飛び散る様子をビデオに撮っていた。
「うぅ・・・」恥ずかしくて、悔しくて涙が出てきた。こんなところをビデオで撮影されるなんて、情けなかった。でも、男はビデオを撮り続ける。僕の股間にカメラを向ける。そして、僕は初めて気が付いた。
「こんな恥ずかしいとこ撮られてるのに、淫乱な奴だな」僕は勃起していた。

「うわ〜恥ずかし〜」先輩がにたにた笑いながら言った。僕等は公園のベンチに戻っていた。
「人前でくそ漏らすなんて、俺は絶対できないな」僕をさげすむような、いやらしい口調だった。
「しかも勃起させるなんて・・・さすがは変態だ」僕はなにも言わずにずっとうつむいていた。顔を上げることができなかった。
「それからどうなったんだよ?」僕は、もう・・・言いたくなかったけど・・・・・

「ほら、もっと動けよ」僕等はベッドの上にいた。ベッドに横になった男の上に僕はまたがっていた。また僕の手と上半身は縛られていた。僕のお尻の穴には、男の勃起したちんちんが入っていた。僕は男の上にまたがって、自分でそれをおしりの穴に入れた。そして、自分で体を動かして、それをお尻の穴の中で動かしていた。
「ほら、気持ちいいんだろ?」男が僕を下から見上げる。僕は勃起していた。僕のちんちんの先から、透明の液が男の体に垂れていた。
「気持ちいいならもっと声出してよがれよ」男が下から腰を突き上げた。男のちんちんが僕を突き上げる。
「あぁ・・・・」声を出せって言われたから・・・・・じゃなかった。自然に、体の奥から何かがわき上がる。この前の爆発するみたいな感じじゃなくて、体の奥のところから、じわじわとなにか熱いものが広がってくるみたいな・・・そして、男のちんちんが体の奥を突き上げる度に、それが波打つみたいに体に伝わっていく。男に突き上げられながら、僕は目をつぶって体を動かし続けた。そして、体の中に広がった熱いものがちんちんから一気に吹き出した。
「はぁ・・・ん」僕は射精していた。そのことにすら気付かずに、僕は夢中で体を動かしていた。

男が僕の頬を軽く手で叩いていた。
「大丈夫かよ?」僕は・・・・・ベッドで寝ていた。体がじんじんしていた。
「自分がどうなったか、わかるか?」男が僕に言った。

「こいつ、ほんとにイッちまったんだ」先輩は大笑いする。僕は男にまたがったまま射精し、そしてそのまま男の腹の上に倒れ込んで気を失ったらしかった。
「そんなに気持ちよかったんだ」否定はできなかった。あの気持ちよさ・・・いま思い出しても体の奥がむずむずするような感じだった。

「あ、あの・・・」自分が気を失ってたんだと気付くまでちょっと時間がかかった。なにを言えばいいのかわからなかったので、とりあえず謝っておこうと思った。
「ごめんなさい」
すると、男が笑った。初めて見る、この男の人の普通の笑顔だった。
「縛られて、騎乗位でところてんして気を失うような淫乱なやつは始めて見た」それを聞いて、僕は顔が熱くなるのを感じた。
「しかもそれが、こんな中学生なんだからな」男が僕の頬に手を当ててキスをした。さっきまでの感じとは全然違う、優しいキス。
「す、すみません」
「べつに責めてるわけじゃない。ただ、今日は楽しかった」ベッドに寝転がったまま、男が手を差し出した。
「僕も・・・気持ちよかったです」僕も手を出して握手をした。
「あの・・・おじ・・・さん、まだイってないんですよね」なぜかわからないけど、この人になにかしたいと思った。
「ああ。でも、今日はもういいよ」
でも、僕は体をおこして、男の股間に顔を近づけた。口のなかで、それは大きくなっていった。

「うえぇぇ、自分からするか、普通」先輩が露骨に嫌な顔をする。
「なんか・・・迷惑かけたみたいだし、それに・・・」僕はちょっと言い澱んだ。
「ちょっとお礼したい・・・みたいな」
「そんなにけつの穴に入れられて気持ちよかったんだ」先輩がまた僕をさげすんだように笑う。
「この・・・変態」
先輩からこう言われたのはこれで何回目だろう・・・でも、僕はそのとき初めてそれを認めたんだ。
結局、僕は先輩のおもちゃにすぎないんだ。しかも、普通のおもちゃじゃなくて・・・
みんな、お気に入りのおもちゃに飽きちゃったとき、ただそのおもちゃを捨てるんじゃなくて、少しずつ壊していって、最後はばらばらにしてから捨てた、なんて経験あると思う。わかるよね?
そう、僕は先輩にとって、そういうおもちゃなんだ。そのことも、そのとき初めて理解したんだ。

でも・・・先輩の次の一言を、僕は予想していなかった。
「俺のも入れて欲しいんだろ?」
僕はなんて答えればいいのか分からなかった。なにも答えられなかった。

     


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