壊れた玩具
−第4話−


「性処理道具」、僕は次の日からクラスでそう呼ばれるようになった。あの橘が、自分がされたことを理解できない橘が、昨日のことをみんなに自慢げに話して回ったんだ。自分も変態と呼ばれるようになるなんて思いもせずに、ただ、他の友達、オナニーを知っていて射精の経験もある友達に、自分はこんなことを僕にさせて射精したんだと、自分ももう射精したんだ、みんなと同じなんだとでも言いたげに言いふらしたんだ。
それからは、僕の公開オナニーの会場は、ハンバーガーショップでも、野球部の部室でもなく、教室になった。教卓の前で、クラス全員に見られながら全裸になって、橘のを口でしながら自分のをしごいた。僕と橘はホモだちってことになっていた。みんなの前でキスを強要された。橘はこんなことになった理由が理解できていなかった。クラスでのけ者にされ、僕とホモだち呼ばわりされて、逆に橘は僕にべったりくっついてくるようになった。それがますますクラスの噂をかき立てる。そして、ますます二人は孤立した。

授業が終わって放課後の掃除の時間になると、みんなが教卓の回りの机を隅の方にどける。そこが僕の、僕と橘のステージになる。
「ほら」僕と橘はクラスメート・・・いや、クラスメートだった奴らに腕をつかまれて、ステージの中央に引っぱり出される。みんなが僕等を取り巻いて見つめている。誰もなにも命令しない。口々になにか言ってるけど、僕等になにかしろとは誰も言わない。僕等は自分で初めなきゃならない。みんなに見られながら、僕等自身で・・・
僕は橘の体を抱きしめる。橘が少し顔を上げて、軽く口を開く。僕はその口に自分の口を押しつける。
「うわ・・・」誰かの小さな声が聞こえる。”また他のクラスから見に来てるんだ”そう思う。だって、クラスの奴らはこんなことじゃ驚かないし。橘が僕のカッターシャツのボタンをはずす。僕も、橘のを同じようにする。ズボンの上から橘のちんちんをさわる。みんなに見えるように。そして、橘のズボンのベルトをはずす。すとん、と橘のズボンが床に落ちる。自分のズボンのベルトもはずす。そして、僕は自分でブリーフをずり下げる。勃起した僕のおちんちんが飛び出す。橘の手がそれを握る。そして、その手が動き出す。
やがて、僕は橘の前に跪く。橘は下半身だけ裸、僕は全裸。橘の股間の小さなちんちんを口に含む。そして、自分のちんちんも自分でしごき始める。橘は僕の頭を軽く押さえる。誰に命じられたわけでもないのに、この瞬間、僕は橘の玩具になる。橘は僕の頭を動かす。まるで自分の手の代わりに僕を使ってオナニーするように。僕は橘のを口で吸う。ときどき、ちゅぱちゅぱと音が漏れる。橘が僕の頭を動かすのと併せて、自分の手も動かす。橘のをくわえながら、自分でオナニーする。
「ん・・・・」橘が小さく声を出す。そろそろ・・・僕は橘の股間に頭を押しつけて、橘のちんちんを根本までくわえる。
「あぁ!」橘が大きな声を出す。それが橘がイった合図だということはみんな知っている。橘は僕の口の中に精液を放出する。あの初めての時に比べると、かなり苦い味がする。僕はその味を感じながら射精する。それは時々橘の足を汚す。でも、ほとんどの場合は教室の床に飛び散るだけ。みんなに見られながら、僕は四つん這いになってそれを舐めとる。自分の手に付いているのも舐めて、そしてもう一度橘のを舐めてきれいにする。そして、ショーは終わる。別に前に部室でさせられたのとそんなに変わるもんじゃない。ただ、クラスのみんなに見られているだけ。みんなの前でさせられているだけ。いや、みんなの前でしているだけ。

そんな自分がいやだった。いつから、なんでこんなことになったのかよくわからなかった。最近は先輩とデートしていない。部活にも行っていない。放課後は必ず誰かに呼び出されて、ショーをさせられる。それはクラスの誰かだったり、矢島先輩だったり、全然知らない奴だったり・・・

橘がどう思っているのか、正直よく分からない。初めは僕と同じで、無理矢理こんな恥ずかしいことをみんなの前でさせられるのがいやに決まっていると思ってた。でも、ショーの時も、あいつは案外積極的だったりする。みんなの前で二人で立って、僕がなかなか始められなくても、あいつが僕に抱きついてきたりする。キスとか、僕の口を使うときなんかも、なんか・・・見られていることを意識しているような気がする。見ている中の誰かが声をあげると、それに反応して、僕の頭を激しく動かしたり、あるいは僕のちんちんをみんなによく見えるようにしたり、そして自分のちんちんもよく見えるようにしごいたり・・・ひょっとしたら、こいつは見られることを楽しんでいるのかも知れない、そう感じるようになってきた。

でも、そんなに単純なことじゃなかった。
思えば橘は、最近あんまり僕にくっついてこなくなっていた。

いつものショーが始まろうとしていた。最近は僕等のショーも飽きられてきたのか、観客の中の僕等のクラスメートの数は減り、代わりに他のクラスや他の学年の見たことない奴が増えてきた。そんな時のことだった。いつものように、僕は全裸になって、下半身だけ裸の橘のちんちんにむしゃぶりついていた。橘が僕の頭を自分のちんちんから引き離して、しゃがみ込んでキスしてきた。そして、小さな声でささやいた。
「向こう向いて四つん這いになってよ」
「なんで?」僕が聞くと、橘は言った。
「いいから早くしろよ」いつもの橘とは感じが違う。僕は橘の言うとおり、橘に背を向けて四つん這いになった。橘が後ろから僕のお尻をさわる。そして、僕のお尻を広げて・・・
「いっ痛!」お尻に橘が入ってくる。ローションもなしで強引に。
「うわぁ・・・」観客達が反応していた。橘は僕の痛みに関係なく、僕の中に入ってくる。
「痛い、なにしてるんだよ」僕は思わず橘に文句を言った。
「うるさいな・・・入れてやってるんだから、だまって掘られればいいんだよ」橘が観客に聞こえるような声で言う。
そして、僕の頭の中で声がした。
ボクハ イマ ミンナノマエデ タチバナニ オカサレテルンダ
その瞬間・・・頭の中が真っ白になった。あのときの感覚・・・初めてアナルを貫かれたときに感じたような感覚がわき上がった。僕の体の中心で、何かが爆発した。
「あぁ!」すぐに、橘が大きな声を出した。橘も僕のお尻の中でイッたんだ。観客もそれを理解していた。
「ひっ」橘が僕のおしりの穴からちんちんを引き抜いたとき、思わず声がでてしまった。観客の何人かは、その声を聞いて笑っていた。
「ほら」橘が僕の口の前にちんちんを突き出す。なにも言わずに僕はそれを舌でなめてきれいにした。そして、床に飛び散った僕の大量の精液も。

それ以降、橘の僕に対する態度が変わった。チビで奥手で、Hなこととか全然知らないやつだったのが、僕とショーをさせられるようになって、少しずつ何かが変わって・・・そして、あの日の橘の態度・・・僕にはどうすることもできなかった。ただ、自分自身が先輩や野球部のみんなやクラスのみんなからだけでなく、橘にすら道具として使われるようになったのを感じていた。

「ほら」放課後、僕は全裸でみんなの前にいた。横には橘が立っていた。いつもと違って、橘は脱いでいなかった。僕だけが全裸。僕だけが素っ裸でみんなの前で、橘の前で跪かされていた。
「はやくちんちんしろよ」僕に向かって橘が言う。犬のように首輪を付けさせられた僕は、橘に命じられるとおりに手を胸のところに上げ、ちんちんの恰好をした。観客がみんな笑う。橘に命令されるのは正直ムカつく。でも、橘に命令されると、僕は勃起する。僕の頭は橘に命令されるのを拒否していたけど、僕の体はそうじゃなかった。僕の体は橘に命令されるのを喜んでいた。本当は頭でも分かっていた。橘はみんなの前で僕に恥ずかしいことをさせたがっていることを。橘自身みんなに見られながらそういうことをしている自分を見られたいんだってことを。そして、僕自身がそうやって橘に命じられて、恥ずかしいことをみんなの前でさせられることが、決して嫌じゃないってことを。橘の命令だけじゃない。誰かに命じられて、恥ずかしいことをさせられると僕は興奮することを・・・
僕は橘のものになった。いつからか、放課後の僕と橘のオナニーショーは、橘が僕を調教するショーに変わっていた。橘は、もうみんなにさげすまれる変態ではなかった。クラスで一番チビの、一番奥手の橘は、クラスで一番残酷な、一番いやらしい、他のやつらもある意味一目置く存在になっていた。

そんな橘が、ちんちんしている僕にペットボトルを差し出した。
「くわえろ」そのペットボトルには底がなかった。底は切り落とされてた。そのペットボトルの飲み口の方をくわえさせられる。
「座れ」そう命じられて、僕は教室の床におしりをつけて座り込んだ。
「顔あげろ」顎に手をかけて、顔を上げさせられる。観客は、なにが始まるのか固唾をのんで見守っている。
「飲めよ」橘はそう言うと、ズボンのチャックを下ろして、ちんちんを引っぱり出した。そして、僕がくわえている底のないペットボトルに向かっておしっこをし始めた。
「うぐ・・・」一瞬吐きそうになる。でも・・・別に橘の命令に従わなければならないことはない。いやならペットボトルを口から離して、場合によっては橘を殴り倒してもかまわない。チビの橘を殴ることくらい簡単にできる。でも・・・
僕の体は、それをしなかった。僕の体は橘の言うとおり、ペットボトルに注がれ、泡立つなま暖かい液体を、その注ぎ口を通して飲み込んでいた。口に広がるおしっこの味。初めて味わう味だけど、これがおしっこの味だとすぐに分かる味。ペットボトルからこぼれないように、片手でそれを支えて、その中に溜まっていく橘のおしっこをごくごくと飲む僕・・・そして、それを半分笑ったような、奇妙な表情で見守るクラスメート、そして、ゆがんだ笑顔で僕を見つめる橘・・・・・違和感はなかった。僕は、自分がこういう立場であることを受け入れていた。橘のおしっこをみんなの前で飲まさせられることで、僕は、クラスのみんなは、そして橘は僕の立場を理解したんだ。

その日を境にして、放課後のショーはなくなった。そのかわり、いつでもどこでもショータイムになった。相手は橘だけじゃなくなった。みんなが僕に恥ずかしいことをさせた。みんなの前でそんなことをさせる勇気のないやつは、放課後、トイレで僕にさせた。みんなのを口でさせられたし、おしっこも何人に飲まされたことか・・・「性処理道具」だったのが、「公衆便所」って呼ばれるようにもなった。みんなのおしっこをそうやって処理させられる一方、自分のおしっこは・・・
僕はトイレに行くのを禁止されていた。橘が言ったんだ。せっかくみんなに飲ませてもらっったのを、出してしまうことは許されないって。だから・・・

「あの・・・おしっこショーさせて下さい」お昼休み、おしっこががまんできなくなると、僕は橘にお願いする。
「さっきしたばっかりじゃなかったっけ?」さっきといっても、朝1回させてもらっただけだった。それからは、休み時間の度に誰かのを飲まさせられて、今は膀胱がぱんぱんになっている。
「お願いします。溜まってるんです」橘の前に僕は跪き、土下座する。そうしないと、絶対許してもらえないんだ。僕がそうしていると、みんなが机を動かし出す。誰かが掃除用具入れからバケツを取り出し、教卓の前に置く。
「しかたないなぁ・・・」橘が許してくれる。
「ありがとうございます」僕は頭を床にこすりつけるように下げる。そして、急いで立ち上がって、みんなの前でブリーフ1枚になる。
「楢崎翔吾、お漏らしさせていただきます」そう大きな声で言って、バケツの中に足を入れる。つま先立ちみたいな感じで。
みんなが僕に注目する。僕は力を抜く。おしっこが少し出たところでまたこらえる。おしっこがブリーフの前に小さなシミを作る。そして、少しだけ間をおいて、またおしっこをする。今度は途中で止めない。というよりも、もう止まらない。ブリーフのシミが大きく広がる。少しの間、おしっこはブリーフの中に溜まり、そしてその表面にしみ出してくる。しみ出してきたおしっこは垂れていき、やがて太股を伝って流れ落ちる。流れ落ちたおしっこが、バケツの中に溜まる。
「あぁ・・・」声が出てしまう。べつにおしっこするだけなら声なんて出ないのに、こうして橘に命令されて、みんなの前でさせられると、なぜか・・・
そう、気持ちいいんだ。
やがて、おしっこを終えると、僕はバケツから出て、みんなの前でブリーフを脱ぐ、バケツの上でブリーフを絞る。ブリーフにしみこんでいたおしっこがバケツの中にしたたり落ちる。そして、そのブリーフを広げて、またそれをはく。白いブリーフが黄色く染まっている。そんな恰好をみんなの前にさらす。恥ずかしい・・・けど、勃起しそうになる。でも、本当に恥ずかしいのはまだこれからだった。僕はバケツを持ち上げる。そして、その縁に口をつけ、バケツを傾けた。
バケツの中にたまっていた僕のおしっこが口のなかに流れ込んでくる。そう、こうして僕はみんなのおしっこを飲んで、それを自分のおしっことして出して、さらにそれをまた飲むんだ。そうすることで、みんなに飲ませてもらったおしっこをまた自分のなかに取り入れるんだ。
バケツの中の自分のおしっこを飲みながら、僕は勃起していた。

いつから自分がこんなふうに変わってしまったんだろう・・・ときどきそう思う。初めはただ先輩が好きだったのに、いつからかみんなの性処理道具になって、いつからか橘にも命令されるようになって、いつからかみんなの公衆便所になって・・・先輩のことは忘れたわけじゃないのに、先輩を好きっていう気持ちがいつの間にか薄れている。
矢島先輩には、たまに呼び出されて性処理している。最近は舐めるだけじゃなくて、入れられてる。先輩に言われてアルバイトも時々している。
でも・・・・・・・

認めたくはなかったけど、でも・・・・・
『橘に命令されて、恥ずかしいことさせられてるときが一番気持ちいい』
そうはっきりと感じていた。先輩よりも、誰よりも橘が・・・・・

でも、そんな僕の変化を、先輩はよくは思っていなかった。もともと僕に恥ずかしいことをさせたかったのは先輩だし、そんな先輩を満足させるためにバイトさせられて、部室でオナニーショーさせられて、クラスで一番奥手の橘のを口でさせられたんだから。

そんな先輩を僕はもう・・・・・
僕には橘がいるから。僕は橘に使ってもらえたら、それで満足できるから。
僕は橘の玩具になれて幸せだから・・・・・

     


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