壊れた玩具
−第5話−


あの馬鹿に、男が好きなのかって聞かれたときは、正直びっくりした。俺はおかまじゃない。女の子が好き・・・普通に・・・とは言えないか。
誰も俺のことなんか分かってくれないと思っていた。だから、俺は自分に仮面を付けた。運動神経はいい方だったから、野球部でもそれなりに認められてたし、優しくて決断力があるいい先輩って顔をしてればみんなが慕ってくれていた。そんな俺を好きだって言ってくる女子もいた。
でも・・・

あの楢崎に彼女いないのかとか、男が好きなのかって聞かれたときには、こいつ、なんか知ってるのかな、とか思った。だから、ちゃんとは答えなかった。はぐらかして、しばらくこいつの様子をうかがうことにした。

母さんが病気で3ヶ月くらい入院したとき、俺の家の中が壊れ始めた。初めは優しかった父さんが、母さんが入院して1ヶ月くらいたった時、家のリビングで俺を犯した。いつも母さんと座っていたソファの上で、前の父さん、俺の本当の父さんと別れてから、苦しい生活を送っていた母さんと俺を救ってやった恩を返せ、とか言って。でも、それは言い訳なんだと分かっていた。父さんは、母さんとできなくて辛かったんだと思う。だから、母さんの血を引いている俺とすることで、少しでも性欲を満たしたかったんだと思う。とにかく俺は父さんに犯された。逃げることも出来ないまま、無理矢理に・・・
「他にこういうことする女の人、いないの?」終わったあと、俺は裸のままで父さんに聞いた。
「母さんの代わりはいない」父さんはぶっきらぼうに答えた。。
「なんで俺なの?」俺はソファに座った
「智佳子はまだ小さいし・・・さすがに女の子はな」父さんは俺の隣に座って、俺の肩に手を回した。
「俺ならこんなことしてもかまわないの?、父さんの子じゃないから」俺は父さんの手を振り払って、少し父さんと距離をとった。
「そ、そうじゃ・・・そうじゃない。お前は・・・お前が母さんに似ていたから」少ししどろもどろになった父さん。本心じゃない、と思った。俺は、父さんの子じゃないから・・・智佳子は父さんの本当の子だから・・・
父さんが俺の腕をつかんで引き寄せ、抱きしめ、キスしてきた。いやだった。俺は父さんから離れようとしたけど、とても力ではかなわなかった。
「もし今、俺がお前と母さんを見捨てたら、どうなると思う?」俺の顔を見た。俺は目を伏せた。父さんは母さんを見捨てたりはしない・・・そう分かっていた。けど・・・自信はなかった。
「わかったら、俺の言うとおりにしろ」そして、父さんは俺の顎をつかんで、キスしてきた。
まだ、俺が中1の時だった。

それは、母さんが退院するまでの間、ほとんど毎日続いた。いつも無理矢理、俺は犯された。父さんは、ただ性欲を満たしたいだけじゃないことがなんとなく分かってきた。母さんに似た顔立ちの俺のことを、なんとなく憎く思っている。それは父さん自身も気付いてないことかもしれないけど、母さんを自分だけのものにしたかったんだ。だから、前の父さんとの間に出来た、母さん似の俺が目障りで、そんな俺を犯すことで、母さんと、母さんに似ている俺の両方を自分のものにしたかったんだ。
そんな父さんが嫌いだった。でも、母さんに対しては優しいし、なにより母さんは父さんを愛している。それに悔しいけど父さんがいなかったら、母さんと俺はこんな生活が出来ないのも確かだった。憎かったけど、父さんの言うとおりにするしかなかった。
そして、母さんが退院してきた。でも、それは終わらなかった。

母さんが退院して普通の生活に戻ったあとも、俺は父さんに犯され続けた。それは、明らかに母さんが入院してたときとは違っていた。俺を汚すこと、俺をさげすむことで、前の父さんを汚し、さげすみ、母さんを独り占めする。そんな感じだった。だから、その最中は俺に対する愛情はなかった。その最中は、俺は父さんに憎まれ、さげすまれ、性処理道具として扱われた。最低の人間として、辱められた。

そんな父さんに対して、父さんの知らないところで俺は俺なりに復讐していた。
父さんと母さんは共働きだった。母さんが退院してしばらくは仕事をしていなかったけど、やがてまた前のように母さんも仕事に出るようになった。家には俺と智佳子だけでいることが多かった。前のように・・・
ただ、前と違うこと・・・俺は、父さんの本当の子、智佳子を犯した。父さんにされた時のように、口をふさいで無理矢理。父さんの部屋で、2才年下の智佳子を無理矢理俺のモノにした。
智佳子は激しく抗い、俺の手から逃れようとした。でも、俺は智佳子の上に乗って、その手足を押さえつけた。
「父さんが悪いんだからな」俺は智佳子に言った。
「父さんが、俺を犯したから・・・俺は智佳子を犯す」智佳子の体から力が抜けていった。あとから知ったんだけど、智佳子は俺が父さんに犯されていることを知っていた。だから、俺が智佳子を犯す理由を知った時、逆らうことが出来なくなったんだ。
俺は中2、智佳子はまだ小学6年だった。

父さんと俺の関係が続いていたように、俺と智佳子の関係も続いた。俺は俺が父さんに犯されているのを智佳子にのぞかせた。智佳子は自分の父親が血のつながっていない息子に対して行う行為を見てショックを受けていた。そして、今度は俺が父さんと同じように智佳子を犯した。智佳子をさげすみ、辱めた。俺は父さんの性処理道具、そんな俺の性処理道具がまだ小学生の智佳子だった。でも、俺は父さんとは違って、智佳子に憎しみを持ち続けることはできなかった。智佳子と性行為を続けるうちに、俺は智佳子を少しずつ好きになっていった。智佳子もそうだった。智佳子は、俺と二人っきりで家にいるときは、むしろ自分からセックスを求めてきた。俺と智佳子は離れられない関係になっていた。

俺と父さんは、母さんがいない時や帰りが遅くなるときに、俺の部屋でしていた。母さんはだいたいいつも時間通り帰ってきたし、早くなるときや遅くなるときは必ず電話してくれたから、見つかる心配はなかった。でも、やがて、俺と父さんの関係に母さんが気が付いた。それまでもうすうすは何かあると思っていたようだったけど、俺と父さんがしている最中に急に部屋に入ってきて、父さんをなじり、叩いて、俺の手を引っ張って部屋から連れ出した。母さんはそのまま俺に服を着せて、俺と智佳子を連れて家を出た。近くのホテルに泊まって・・・数日後には、離婚する事が決まった。
母さんは俺にはなにも言わなかった。智佳子との関係もばれたのかとも思ったけど、そっちはばれてないようだった。
ようやく、俺と父さんの関係は終わった。でも、俺と智佳子との関係はますます深く・・・いや、おかしくなっていった。
中2の終わりごろだった。

智佳子はこの頃、俺以外の人ともセックスしていた。というより、自分を売っていた。俺の部屋にはプログラマーだった父さんのお古のパソコンがある。俺と智佳子はセックスしたあと、そのパソコンに向かっていろいろしていた。全裸のまま椅子に座った俺の膝の上に智佳子が座る。俺がマウスとキーボードを操作して、あやしいサイトを漁る。智佳子はその間、自分の股間の下にある俺のペニスをまさぐり、自分の股間にこすりつけたりしてる。そんな中で見つけた援助交際の掲示板・・・書き込もうと言い出したのは智佳子の方だった。ホテル代稼いで、たまには違うとこでセックスしたいから、とか言って。
俺はべつに智佳子が他の男に抱かれるのはなんとも思わない。むしろ、智佳子が他の男に貫かれているのを想像すると、さっきやったばかりのペニスがむくむくとまた堅くなる。
「大丈夫だよ。セックス好きだし」智佳子はあっけらかんと言い放った。

そんな智佳子に影響されてか、俺もそういう世界に足を踏み入れたいと思うようになった。でも、男にされるのは・・・父さんにされたときのように・・・嫌だった。俺と智佳子は掲示板に書き込んだ。
”中2と小6のセックス見たい人、見せます”
すぐにメールが来た。見知らぬ誰かの家で、俺と智佳子は見られながらセックスした。母さんに見つかる心配がない分、家でするよりも思いっきりやれた。見られてるってのにも、なんだか興奮した。俺達兄弟の異常な関係が、ますますおかしくなっていく。

そんなとき、俺達のセックスを撮影させてほしいってメールが来た。智佳子と相談してOKする。指定されたホテルに行くと、体の大きい、少し怖そうな男が待っていた。その男に連れられて部屋に入る。部屋には他に二人、やっぱり怖そうな男がいた。本格的って感じの撮影用のライトやカメラを準備していた。
男達の怖そうな感じに少し怖じ気づいていた俺達を、大きい男がいろいろと話して、リラックスさせてくれる。見た目と違っていい人なのかもしれない・・・
そして、俺達は男に言われてなにか錠剤のようなのを飲んで、セックスを始めた。明るいライトをあびて、撮影されながら・・・

俺達が終わったあと、他の二人はライトやカメラを抱えて出ていった。大きい男と俺達だけが残った。
「俺にもさせろよ」大きい男が俺に言った。俺は智佳子の顔を見た。智佳子は頷いた。
「いいですよ」俺がそう言うと、男の怖い顔が少しゆるんだ。
「いくらだ?」俺はまた智佳子の顔を見た。智佳子が少し首を傾げて、そして笑った。俺には智佳子の言いたいことがわかる。
「今日はいいですよ。サービスしときます」
「そうか。お前らに一つ借りだな」そして、男は智佳子を抱いた。俺はそれをずっと見ていた。

俺が中3になっても、その男との関係は続いていた。俺と智佳子は学校帰りにその男のマンションでセックスするようになっていた。男はホテルに客を集めて俺達のセックスを見せたりした。俺達がインターネットでやっていたときに比べると遙かに儲かった。そして、俺達のセックスに男が加わったり・・・たまには俺まで男に入れられたけど・・・3人で楽しくやっていた。
その頃には、男がどこかの暴力団の関係者だってことは知っていた。でも、俺と智佳子には優しいし、変な要求(俺達のセックスや、それを人に見せることが変なことじゃないなら、だけど)もしなかったし。
あとで聞いたけど、男は俺達のセックスを撮影したあと、俺達を麻薬漬けにして、いろいろと言うことを聞かせるつもりだったらしい。そうならなかったのは、あのサービスのおかげ。あのときお金を取らなかったことで、男は俺達のことを気に入ったらしい。だから、そのあとも俺達のことを金稼ぎのパートナーみたいに思ってくれてたんだって。
人殺しや麻薬取引、恐喝・・・いろんなことを聞かされたけど、男のおかげで智佳子とのセックスがお金に変わる。客の誰かが俺達の住所を調べて智佳子にしつこくしてきたこともあったけど、男に言ったらすぐにそういうことはなくなるし・・・いろんな意味で、俺達にとってもこの男は大事な人になっていた。この男がいれば、俺と智佳子は安心してセックスできる・・・そう思った。

だから、俺には彼女はいない。必要なかった。智佳子がいるから。智佳子とならいつでもできるから。

そんな俺のこと、楢崎がなにか気付いているのかと思った。だから、しばらくあいつとつきあって、様子をみてみることにした。あいつが知っててなにかたくらんでるのなら、それを言い出すようにし向けた。つまり、あいつをいじめた。
あいつは俺のことが好き。つまり、おかまってこと。俺が父さんにされたようなこと、こいつはされたいのかな、と思った。あんなことされたいなんて、頭がどうかしてるんじゃないかって。俺があんなことしてやろうかと思ったけど、でも、さすがに男にはできなかった。だから、人前でオナニーさせてやった。
てっきり拒否すると思ってた。あるいは、そんなことさせるんなら、俺の秘密バラすとか言われるかと。もし、こいつが俺の秘密を知ってるのなら、俺達の秘密の関係に引っ張り込んでもいいと思っていた。べつに智佳子はいやがらないと思う。楢崎がもし何か知ってるなら、秘密を共有するのにちょうどいいかもしれない。だから、あいつが秘密をネタに俺を脅そうとするようにし向けたんだけど・・・
あいつは俺を脅したりはしなかった。ハンバーガーショップでオナニーさせたら、素直に言うとおりにした。こいつはどうやら、本当に俺のことが好きなだけみたいだった。
少し残念に思った。

俺は楢崎をおもちゃにした。金づるにもした。人前でオナニーさせて、いろいろ買わせたりして。秘密の共有はしなかった。だって、こいつはおかまなんだし、智佳子とHしたいなんてきっと思わないんだろうし。
そして、こいつにアルバイトをさせた。売春ってやつ・・・かな?
こいつから巻き上げた金で、俺は智佳子とホテルに行った。そこで智佳子と思う存分セックスした。自分たちで稼いだ金でホテルでしたことはある。あの男のマンションでしたり、客に見せるためにホテルでやったりもした。でも、楢崎に稼がせた金を使ってホテルでするのはまた違った感じだった。智佳子は感じていたみたいだった。大きな声を出していた。俺も何回も智佳子の中でいった。

それからも、何回か楢崎にはバイトをさせて、楢崎が男に抱かれている間、俺は智佳子としていた。智佳子は同学年の楢崎のことを知っていた。同じクラスじゃないけど、楢崎はクラスの委員で、頭が良くて、他のクラスでも知ってるやつは多いらしい。そんな楢崎が男とセックスしてお金を稼いで、そのお金で智佳子と俺はホテルでセックスしている。もちろん智佳子もそのことを知っている・・・楢崎は、俺達兄姉のおもちゃだった。

そんな楢崎を、今度は学校中のおもちゃにしてやろうと思った。きっかけは、智佳子が言った、”楢崎君ってけっこう女子に人気あるよ”という一言だった。学校中のみんなの前で、男子にも女子にも見られながら恥ずかしいことをさせてやろうと思った。まずは野球部の中で。そして、クラスで。クラスの中で一番弱そうな、そんなこととは無縁なやつの性処理道具にしてやろうと思った。

野球部での性処理道具は簡単だった。みんなの前でオナニーさせたら、すぐにそういうのが好きな奴があいつを使い始めた。矢島がそういう奴なんだとは知らなかったけど、矢島が使い始めたら、みんな使うだろうと思った。そして、案の定、毎日部活が終わったら、部室が楢崎の性処理部屋になった。

智佳子の話では、楢崎のクラスで一番小さい橘ってやつが、セックスとかに全然興味がないようだった。俺もちょっと野球部の1年生に聞いてみた。まだオナニーも知らないらしい。ちょうどいい・・・今度は橘の性処理道具にしてやろう。俺は1年の部員に頼んで橘を呼び出した。

橘は、初め3年生に呼び出されたってことでびくびくしていたけど、俺の話に興味を示した。決して興味ない訳じゃないけど、恥ずかしくて誰にも聞けなかったと。俺は簡単にオナニーとか説明してやった。そして、今日、野球部の部室で楢崎を使わせてやるというと、すぐに話に乗ってきた。ただ、楢崎と二人になるのが怖いから、俺に一緒にいて欲しいって条件は付けてきたけど。
俺と橘は、矢島達3人が楢崎を使っているのをのぞき見していた。橘のちんちんは勃起していた。3人が終わる。部室から出ていき、楢崎一人になる。俺は橘を後ろに従えて部室のドアを開いた。

橘はすぐにその行為の虜になった。予想外だったのが、したことをクラスで言いふらしたこと。楢崎としたことの意味が、男同士でしたってことの意味がよく理解できていないらしい。でも、そのために楢崎と橘の二人がクラスで見せ物になった。それはそれでよし、と。

俺はまた橘を呼び出した。楢崎を使わせてやる条件として、俺の言うことを一つ聞くことになっていた。俺は橘を男に抱かせた。橘がどんなことをされたのか、俺は知らない。でも、橘は少し前のなにも知らない奴じゃなくなっていった。クラスメイトの見ている前で楢崎として、男とホテルでして、橘は開発されていった。

やがて、橘の本性が表面に現れてきた。クラスメイトの前で楢崎としているだけでは飽き足らなくなってきた。橘は楢崎を自分以下の存在と思うようになっていった。楢崎に命令し、クラスメイトの前で楢崎を犯した。楢崎は、橘の性処理道具に成り下がった。そんな二人の関係は、俺が思っていた通りになった。

が・・・俺の中でなにか不満だった。なにが不満なのか、俺自身わからなかったけど・・・

智佳子とセックスしたあと、その話をしていた。そして智佳子から言われた。
「お兄ちゃん、楢崎君のこと、ほんとは好きなんじゃないの?」冗談半分だったんだろうけど・・・俺はどきっとした。セックスにどん欲な智佳子は俺のことをよく分かっていた。もちろん、セックスの相手として楢崎が好きなわけじゃない。ただ、俺のおもちゃとしての楢崎・・・それを橘に取られたような気がしたんだ。俺は自分の気持ちがようやく理解できた。橘がじゃまだった。あいつをなんとかしよう、そう考え始めていた。

橘を家に呼んだ。智佳子のアイデアだった。

「あ、橘くん」チャイムの音で玄関に出た智佳子は橘を家に招き入れた。
「あの・・・先輩に家に来いって言われたんだけど」本当は、家でもっとおもしろいこと教えてやるって言われていたが、先輩と智佳子の関係を知らない橘にとっては、智佳子にそう言うわけにはいかなかった。
「お兄ちゃん、ちょっと出かけてる。上がって待ってて」そう言って、智佳子は橘をリビングに通した。ソファに座らせて、飲み物を出す。
「橘くん、別に野球部ってわけじゃないのに、なんでお兄ちゃん知ってるの?」そんなことを言いながら、智佳子は橘の横に座る。
「え・・・いや、べつに・・・」自分と楢崎の関係はクラス中が知っていた。ひょっとしたら、智佳子も知っていいるかもしれない。でも、まさか先輩に楢崎を使わせてもらったなんて言える訳がない。
「橘くんって、楢崎くんと、してるんでしょ?」
「え?」いきなりの質問になにも答えられない。のどが乾いてきた。
「クラスでしてるって聞いたよ。本当なの?」智佳子は次々と質問してくる。結構男子の間で評判の智佳子にこんなことを言われて・・・早く先輩帰ってこないかな、そう思いながら、橘は出された飲み物に手を出した。
「今度、見に行ってもいい?」智佳子の言葉にどぎまぎした。そりゃ、僕たちがしてることはみんな知ってるし、今までにいろんな人に、男子だけじゃなくて、女子にも見られたけど、でも、こうやって面と向かって見たいなんて言われるとは・・・そんな時に、智佳子の手が橘の太股にふれた。
「今、見てみたいな」どきどきしていた。なんだか体がむずむずして、勃起していた。
「ね・・・・いいでしょ?」現実離れしてる、そう思った。自分たちが学校でしていることも現実離れしていたけど、まさか、今日、こんなことになるなんて・・・でも、体が火照っていた。
「橘くん・・・」智佳子が抱きついてきた。体がふれる感触が気持ちいい。橘はソファに押し倒された。

飲み物に混ぜておいた薬のせいで、橘の理性は吹き飛んでいた。智佳子にされるままに服を脱がされ、その上に智佳子が乗っていた。初めての女の子とのセックス・・・それもかわいいって評判の智佳子と・・・智佳子の体は熱かった。橘は何のためにここに来たのかも忘れて、智佳子とのセックスに夢中になった。その行為を先輩がデジカメで撮影していることにも気付かずに・・・

「妊娠しちゃったみたい」階段の踊り場の隅で、橘はそう智佳子に打ち明けられた。あの日、1度きりの行為で・・・橘は殴られたような衝撃を受けた。
「どうしよう・・・今日、家に来てくれる?」智佳子に言われ、橘はうなずくことしかできなかった。

先輩が待っていた。デジカメの画像を見せられた。中絶費用と慰謝料を要求された。あわせて50万円。橘はうつむいたままだった。
「そ、そんなお金・・・」小さな声でそう言うのがやっとだった。
「お前、俺の妹を妊娠させて、どうするつもりなんだよ」先輩が言った。
「そ、それは・・・」
「こっちも親に言えないし、お前がなんとかしろよ」
「でも、そんなお金ないし」
「ないなら稼いでこいよ」先輩が大きな声で言った。
「何なら俺が紹介してやる。なんとしてでも稼いでこい」橘は先輩の言うとおりにするしかなかった。
「すみませんでした」橘は先輩と智佳子の前で土下座した。そして、とぼとぼと家に向かった。

もちろん、妊娠なんて嘘だった。先輩は橘をあの男に売った。男は橘を麻薬漬けにして、M奴隷として調教してくれるはずだった。そして、橘に約束させた。もう、楢崎とはしないこと、楢崎になにか言われたら、嫌いになったと告げることを。

それから数ヶ月が経った。橘の様子はわずかの間に大きく変わっていた。髪の毛を染めて、ピアスを付けるようになり、そしてあまり学校に出てこなくなっていた。先生達も最初はその変わりようにいろいろと心配していたようだったが、すぐに橘には不良とのレッテルが貼り付けられた。
楢崎は、自分をおもちゃとして扱ってくれていた橘に、なんとかまた使ってもらいたくて何度か話しかけた。が、そのたびに無視された。そして、やがて一言だけ告げられた。
「もう、お前とはしない。お前は嫌いだ」
ショックを受けた楢崎を残して、橘は去っていった。

アングラサイトで公開されている顔を隠した少年らしき画像は、明らかに橘だった。俺はそれを見ながら智佳子とセックスした。橘はほとんど家にも帰らず、あのマンションに通っていた。男は橘を調教し、貸し出し、多額の金を稼いでいる。その金は、男が7割を、残りは俺と智佳子がもらっていた。

そして、俺は取り戻したおもちゃを使ってどう遊ぶか考えていた。

     


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