クリームパイ

Final-04

翌朝、惣一が目覚めた時、裕太はいなかった。
「部屋に帰ったか」
そうつぶやきながら布団を片付ける。昨日のことを思い出す。
(あいつを抱いたんだな)
満足感。でも、何か不安のようなものもある。惣一は窓を開けてみる。そこにはあのベンツが停まったままになっていた。
(昨日は泊まったのか。だとしたら、裕太はどうしてるんだろう)
その辺りに裕太がいるかも知れないと思い、家のドアを開けて外を見てみる。しかし、裕太の姿はない。
(幼なじみとかいう友達のところにでも行ったか)
コーヒーを淹れる。今日は特に予定はない。アルバイトは夕方からだ。
(こんな日に裕太はいないんだからなぁ)
少し残念に思う。その時、その声が聞こえてきた。
「あぁ」
微かな声だった。気のせいかとも思った。
「ん・・・」
いや、確かに聞こえた。裕太の声だ。裕太の声が、上から聞こえてくる。
「いぃ」
つまり、あの男は、昨夜は裕太の母親を抱き、今はその息子である裕太を抱いているというのか。
「んふっ」
「・・・・・」
低いくぐもった声が聞こえる。
「うん、好き」
かすかにそう聞こえた。
(好きって)
惣一の心に嫉妬が燃え上がる。
(あいつは俺に好きって言ったっけ?)
それがさっきの不安の正体だと気が付いた。
(抱かれたいとは言われたけど、好きって言われたっけ?)
惣一の心の中に暗い雲が広がる。
「あいつは・・・あの男が好きなのか?」
声に出して言った。首を左右に振る。昨日の裕太の体、裕太のアナル、裕太の中の感触・・・
(あいつは、なんなんだ)
そのまま、何も手に付かない時間が過ぎていく。心の整理がつかないまま、惣一はアルバイトに向かった。

アルバイトから帰ってくると、流石にベンツは停まっていなかった。
(どうしよう)
裕太の部屋に行って、裕太に聞きたかった。
(でも、なにを聞くんだ?)
裕太ははっきりと、あの男を「僕の男」だと言った。つまり、裕太は隠し事をしている訳ではないし、惣一に嘘を言っている訳でもない。
(むしろ、俺が勝手に裕太は俺の物だとでも思ってるってことか)
しかし、裕太の心がどこにあるのか知りたい。気が付くと、裕太の家のドアの前に立っていた。
インターホンのボタンを押す。しばらく待つ。が、反応がない。もう一度押してみたが、やはり何も反応はなかった。聞き耳を立ててみても物音一つしていない。
(いないのか)
惣一はあきらめて自分の部屋に帰った。



「んあっ」
男が腰を打ち付けると、裕太は声を上げる。それが繰り返される。別の男が裕太の顔の前にペニスを近づける。裕太は口を開き、それを咥える。
更に別の男がスマホでそれを撮影している。
「あ、ああ、ああ」
裕太の声が大きくなる。やがて、裕太の尻に男の股間が打ち付けられ、大きな音がし始める。
「あん、あん」
「本当にやり慣れてるな、こいつ」
掘っている男が言う。
「そりゃあそうだ。実の父親に小さい頃から仕込まれてたらしいからな」
椅子に座った田所が言った。
「マジかぁ、そりゃ、すげぇな」
裕太を掘っている男が感嘆の声を上げた。
「お前、父親に掘られてたんだな」
更に裕太の耳元で言う。
「父親に掘られて気持ち良かったのか?」
裕太は答えない。
「どうなんだ、おらっ」
パンっと音がする。
「気持ち良かったのか? ああ?」
また音がした。
裕太が男の手を掴む。
「なんだこの手は、ええ?」
また音。男は繰り返し裕太に腰を打ち付けた。
「ああっ」
裕太が喘ぎ声を漏らす。
「親父に掘られたの、思い出したか?」
スマホで撮影している男が言いながら、裕太の顔に近づく。すると、裕太は顔を背ける。が、別の男がスマホに顔を向けさせる。
「ほら、僕はこんなに淫乱に成長しましたって伝えてやれよ」
裕太は犯され、男達の玩具にされている。
「その辺にしてやれ」
田所が声を掛けた。
「これ、田所さんの女の息子なんですよね?」
「ああ」
「どうすか、女の息子を玩具にしてる気分は」
(ゲスが)
田所は、男の顔を一瞥する。いかにも馬鹿なチンピラがいい気になっている、そんな顔だ。
「うるせーよ」
田所が少し低い声で唸る。
「春木、やめとけ」
裕太を掘っていた男がチンピラ男をたしなめ、また腰を打ち付ける。
「じゃあ、代わってくださいよ」
裕太に春木のペニスが入ってきた。またスマホが裕太の顔を撮す。
「いい顔してるなぁ、おい。これが恍惚ってやつなのか?」
裕太の頬は赤味を帯び、口は少し開き、その目は虚ろで鈍く光っていた。
「今度、こいつの母親も一緒に、みんなでマワしましょうよ」
春木が言った。田所が立ち上がる。
「あの馬鹿」
春木の前に裕太を掘っていた男が、小さな声でつぶやいた。
田所が、裕太から春木を引き離し、殴りつけた。
「そんなことしてみろ。殺すぞ」
床に倒れた春木は何も言わなかった。さっきつぶやいた男が手を差し出し、立たせる。
「お前、もう帰れ。これ以上田所さんの機嫌を損ねたら、どうなっても知らないぞ」
春木は慌てて服を着て、部屋から立ち去った。



惣一は、車の音で目を覚ました。カーテンから差し込む光はまださほど明るくない。
(こんな早くから来たのか)
裕太は帰ってるんだろうか、そんなことを考えながら、惣一は再び布団にもぐり込もうとした。
「じゃあな」
「うん」
男の声。そして裕太の声。
(なにか、あった?)
裕太の声がいつもと少し違う気がする。なんとなく疲れているのか元気がないように思う。
階段を上る足音が一つ。車が走り去る音。
(どうしよう)
すぐにでも裕太を捕まえて、こんな時間まで何をしていたのか問い質したい。が、惣一は思い留まる。裕太の母親が既に帰って来ているかも知れない。そもそもあの男が裕太と一緒だったからといって、あの男が裕太とこんな時間まで一緒にいたからと言って、何かあったとは限らない。あの男は裕太の母親の男。裕太にとっては父親代わりと言えないこともない。二人の間に体の関係があったとしてもだ。
二階のドアが開き、閉まる音が聞こえた。
布団に包まった惣一は、もう眠ることが出来なかった。

朝早くから目が覚めてしまい、仕方なく着替えて顔を洗った惣一は、スポーツウェアを身に着けた。
(朝のうちに久しぶりに走って来るか)
体を動かしていないとまたあの二人のことを考えてしまう。そう思って部屋を出た。
朝の空気が冷たい。少しだけストレッチをして、軽く走り始める。この時間はまだ通りにもほとんど人はいない。そんな中を一人で走る。走りながらもやはりあの二人のことを考える。
(あいつと裕太はなにをしてたんだ)
いや、それはかなりの確率でセックスをしていた、だろう、と惣一は思う。
(じゃ、どこに行ってたんだ?)
ただセックスするだけなら、いつものように裕太の家ですればいい。裕太の母親がいたのなら、その時は何か理由を付けて、母親か、あるいは裕太を外に行かせればいい。
(そうだ、あの男、あいつはどっちが好きなんだ?)
母親なのか、裕太なのか。
結局、惣一はずっとそんなことばかり考えていた。

家に帰ってくると、ドアの前に裕太が座り込んでいた。
「あ、帰って来た」
惣一に気付き、裕太が顔を上げる。
「お腹空いた。なんか食べさせて」
(会っていきなりそれか)
そう思いながらも鍵を開けて裕太を入れる。
「お母さんと喧嘩でもしたのか?」
冷蔵庫を覗き込みながら尋ねた。
「ううん、お母さん、帰って来てないから」
(じゃあ、昨日は上には誰もいなかったんだ)
また疑問が湧き上がる。
(じゃあ、なんであの家でしなかったんだ?)
しかし、惣一は首を左右に振る。
(一緒にいたからって、してたとは限らないし)
無理矢理そう思い込もうとしているのは分かっていた。
「ねえ、惣ちゃんって」
惣一のすぐ後ろで裕太の大きな声がした。
「え、な、なんだ?」
「だから、焼きそば食べたいって言ってるでしょ」
「や、焼きそば?」
惣一の頭の中には朝から焼きそばという発想は全くない。それに冷蔵庫にも焼きそばを作るための食材は揃っていない。
「無理。材料がない」
すると、裕太が惣一に手を突き出した。
「じゃ、コンビニで焼きそば買ってくるからお金ちょうだい」
惣一は財布から千円札を1枚抜き、少し考えてもう1枚足して、裕太に渡す。
「俺の分も」
「分かった」
裕太は走って出て行った。惣一はその後ろ姿に何か違和感を感じた。

テーブルで焼きそばを食べる裕太を、惣一は見つめていた。
「なに?」
その視線を感じた裕太が尋ねる。
「ちゃんと噛んで食べてるのか?」
先程から裕太の口に、焼きそばがどんどん吸い込まれていく。
「当たり前でしょ」
そう言いながらも裕太は焼きそばを口に入れる。
「まるで飲物みたいだな」
そして、惣一は自分の分を食べ始めた。今度は裕太が惣一の顔を見る。
「なんだ?」
「今、惣ちゃんとキスしたら、焼きそばの味するなって思ってさ」
「当たり前だろ、焼きそば食べてるんだから」
裕太が惣一の横に立った。
「惣ちゃん」
焼きそばを口に運ぼうとする惣一の手を握る。裕太を見上げた惣一の顔に顔を寄せた。
「やっぱ、焼きそばだ」
そう言って笑う裕太の様子に、惣一はまた違和感を覚えた。惣一は裕太の顔を見つめる。裕太が目を逸らした。
「なにがあった?」
惣一は短くそう尋ねた。裕太は惣一の前の椅子に戻って座る。テーブルの上で両手を組み、少しうつむき加減で話し始めた。

「昨日ね、田所さんの家に行ったんだ」
惣一は、悪い予感がした。
「男の人が3人いて、その人達とやらされたの」
「そいつらにマワされたのか」
裕太はうなずいた。
「あいつは、田所はどうしてたんだ?」
大きな声にならないように気を付けながら、惣一はなるべくゆっくりと尋ねる。
「ずっと僕がされてるのを見てた」
「つまり・・・」
惣一はどういう言い方をするか少し考えた。
「田所が、お前を・・・その・・・そいつらに抱かせたのか?」
「分かんないけど、たぶん・・・」
自分と関係がある裕太に、他の奴とセックスさせる。それを眺める。その気持ちが理解できない。
「無理矢理って感じでか?」
「そうじゃないけど・・・でも、聞いてなかった」
惣一は、そうぼそぼそ答える裕太を哀れに思うのと同時に、きっとこの子はそういうことも気持ち良かったと思ってるんじゃないかと勘ぐった。
「僕は・・・お父さんのこととか言われたりして、掘られてるのスマホで撮られたりして、でも・・・」
「でも?」
惣一はその先を促した。聞きたいという気持ちと聞きたくないという気持ち。どっちが本心なのか、惣一自身にも分からない。
「気持ち良かった」
裕太は言った。
「僕、頭おかしいよね」
そう訴えるように言って、顔を上げた。
「裕太・・・」
惣一は、なんと言えばいいのか分からなかった。

「お前は確かに普通じゃない経験をしていると思う。だけど、頭がおかしいなんて俺は思わない」
何かを言わないと、と思った惣一は、一旦は当たり障りのない答えに逃げた。
「惣ちゃん、僕のこと知らないから」
そして、裕太は話し始めた。



「お父さん、痛い」
「我慢出来るよな、裕太は強い子だから」
裕太のアナルにペニスを挿入しながら大成が言う。
「ほら、奥まで入った。自分で触ってみな」
大成に促され、自分のアナルに差し込まれている物を触る。
「うん、入ってる」
「そうだ。お父さんが裕太に入ってるんだよ」
「うん」
「嬉しいか?」
「うん、嬉しい」
「お父さんも嬉しいよ。気持ち良くしてやるからな」
「うん」
それは裕太がまだ小学4年の時だった。
裕太の父親、木戸大成は、まだ10才の実の息子と関係を持っていた。
「裕太はお父さんの自慢の息子だ」
「うん」
「お父さんの友達に自慢したいよ」
「うん、いいよ」
「そうか、自慢してもいいか」
「うん、自慢して欲しいな」

そして、大成は同じ趣味の友人達に息子を使わせた。それが大成の嗜好であり、夢だった。息子を犯し、その息子を友人達とマワし、その体を金に換えることが。

「裕太、気持ちいいだろ」
「うん、気持ちいい」
裕太はそう答え、左手で握った男のペニスを小さな口で咥える。アナルにも男が入っている。右手は別の男のペニスを握っている。男のペニスから口を離し、右手に握ったペニスを咥える。それを繰り返す。
「ああ」
アナルで男が動く。裕太はそれを気持ちいいと感じる。そう父親に教えられたからだ。
「裕太、次は誰に入れられたい?」
咥えていたペニスを口から離し、3人の男の顔を見る。
「えっとね、このおじさん」
それは左手で握っていたペニスの男だ。アナルに入れていた男と交代する。その男が裕太に入ってくる。
「ああぁ」
裕太が喘ぐ。
「本気で喘いでる」
「もちろんだ。な、裕太、気持ちいいんだもんな」
「うん、気持ちいい」
そうやって裕太は父親の欲望の道具になった。

<クリームパイ Final-05 に続く>

      


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