ベッドで寝ている僕の頭のすぐ横にエビラが座っている。座って僕を見ている。そして、僕を生かしてあげたと言った。
「それって・・・」
エビラが何を考えているのか分からない。僕をどう思ってるのか。僕の事が好きなのか、僕を生かしたいのか、それとも僕をいたぶりたいのか、僕を壊したいのか、僕を殺したいのか。
「もう、僕は嫌い?」
そう尋ねると、エビラは少し笑った。
「好きだよ。好きに決まってる。だってななちゃんだし」
「でも、エビラは僕を壊したいんじゃないの?」
「そうだよ」
あっさりとエビラは認めた。
「ななちゃんは僕のものだから、僕の好きなようにしたい。愛したいし、いたぶりたいし、壊したいし、殺したい」
笑顔でそんなことを言う。
「なんで・・・僕のこと、好きって言ってたのに」
「もちろん好きだよ。愛してる。だから、他の奴とは違うんだよ」
理解出来ない。話がかみ合っていない気がする。
「だって、ななちゃん、待たせ過ぎなんだよ」
そして、エビラは心の内を話し始めた。
あのとき、ななちゃんが死んだみたいに動かなくて、病院でも何も出来なくて、ただ、動かないななちゃんを見守る事しか出来なくて・・・大好きなななちゃんがもう戻ってこないかも知れないって考えたら、僕も生きて行けないって思った。僕も死のうって思った。
でも、時間が経って、僕は、僕がななちゃんを助けるんだって思うようになった。それが僕の生きる意味になったんだ。
15年だよ。ななちゃんがやっとキスしてくれたあの日を最後に15年、僕はななちゃん愛してるのに、話をすることも、笑うことも、キスすることも、手を繋ぐことも、ちんこ扱いてもらうことも何も出来ずに15年だよ。出来ることは何でもした。ホントに、何でも。でもななちゃんは目を覚ましてくれなかった。もうダメだ、もうあきらめようって何回も何回も思った。そして、今度こそ諦めよう、ななちゃん殺して僕も死のうって思った矢先、ななちゃん目を覚ましたんだよ。
正直、嬉しいとかよりも驚いたって気持ちが先だった。
なんで今なんだよ、なんでこのタイミングなんだよって思ったさ。もちろん、嬉しくもあった。でも、僕はもう28歳になっていて、ななちゃんの知っている僕とは違う僕になっていた。ななちゃんにもエビラじゃないって言われた。それを聞いて僕は・・・
エビラが僕の頬を撫でた。
目の前にいるななちゃんは15年前と何も変わっていないんだよ。僕が好きだったななちゃんそのものなんだよ。あの時愛してたななちゃんが目の前にいるんだよ。そして僕は15年もずっとななちゃんを想ってきて、もうだめだって思って、もう終わりにしようと思って・・・それなのに、目の前にあのななちゃんが戻ってきたんだ。
複雑な気持ちだったよ。もう15年も経ってる。ななちゃんにとっては僕はエビラじゃない。でも、僕にとってはあの時のななちゃんそのままなんだ。またあんな風になりたいって思うし、あれ以上の関係になりたいって思うし。だけど、ななちゃんにとっては僕はエビラじゃない。そんなこと言われて、15年間の僕の気持ち、どうすればいいんだよ。
15年間ずっと、僕はななちゃんを想って生きてきた。人生を賭けたって言ってもいい。その15年が僕を歪ませた。まさか目覚めるなんて思ってなかった。だから僕はまともでいられた。それなのに、目を覚ますなんて・・・
エビラが泣いている。28歳の大人が話しながら涙を流している。
「ごめん、なに言ってるか分かんないよね」
そう言って泣いている。
「でも、だから、僕はななちゃんを僕のものにしたいんだ。僕だけのものに」
「それが、殺すってこと?」
僕は尋ねた。
「だって、生きてたら、ななちゃん僕以外の誰かのものになっちゃうかも知れないでしょ」
「僕は・・・」
何を言えばいいのか分からない。
「だから、ななちゃんは死ななきゃならないんだよ」
僕の目を見ながらそう言った。
エビラの気持ちは分かった。恐らく、15年間ずっと辛かったんだろう。でも、なぜそれが今、僕が死ぬことに繋がるのんだろうか。僕はエビラのものなのに。
「だから、それじゃだめなんだよ」
言っていることが分からなくなってきた。結局、エビラはどうしたいのか。僕はどうすればいいのか。
「僕は・・・エビラのために、どうすればいいの?」
すると、エビラはすぐに言った。
「だから、死んでよ。僕の目の前で自殺してよ」
エビラの目が見開かれている。
「ななちゃん死んだら、僕のものになるんだから」
意味が分からない。
「ななちゃんが死んでくれたら、僕だけのものになるんだ。そうしたら、僕も幸せになれるんだ」
目が血走っていた。
(狂ってる)
そう感じて体が震えた。
(15年の間、ずっと僕を想い続けて、そして狂ってしまったんだ)
「死んでよ」
エビラが僕に言い続けている。
「僕のために死んでよ」
「ね、お願いだから」
「そしたら、ななちゃんも僕も幸せになれるんだから」
僕はエビラに命を救われた。この命はエビラにもらった命だ。後輩君にも助けられた。
「エビラ・・・ホントに、本当に僕が死んだら幸せになる?」
「当たり前だろ」
エビラはそう断言した。
(僕はずっと、エビラを苦しめてたんだ)
エビラの顔を見ながら思う。その顔は28歳の大人の顔ではなかった。あの時の、中学時代のエビラ。それも、僕だけが知っているエビラの顔だった。
「エビラ・・・辛かったんだね」
そう言うと、またエビラの目から涙が溢れ出す。
「ごめんね、エビラ」
僕は体を起こしてエビラを抱き締めた。そして、頭を撫でた。
「子供扱いすんな」
泣きながらエビラが言った。二人とも笑う。
「僕が死んだら、一人になるけど大丈夫?」
エビラはうなずいた。
「分かった」
僕は小さな声で言った。
そして、僕等は最後のキスをした。
2階のエビラの部屋で、僕はスツールの上に立つ。横にはエビラが立っている。目の前にはロープが下がっている。映画なんかで見た、絞首刑の時のような輪っかになっている。
「死ぬんだね」
エビラが言う。
「うん」
僕の声は少し震えている。エビラに助けてもらった命とはいえ、やっぱり死ぬのは怖い。でも、エビラは僕を見ている。しかも、期待に満ちた顔で。
その顔を見ると、僕が死ぬのを楽しみにしているようにしか思えない。さっき言っていたことが本心なのか疑いを感じてしまう。エビラが言っていたことは理解出来たし共感も出来た。もし僕がエビラの立場だったら同じように思っただろう。
ただ、エビラに死んでほしいとは思わない。
そこだけは理解出来ない。
だけど、エビラがそれを望むんだから・・・・・
僕はロープの輪っかに首を通した。
「本当にいいの?」
もう一度エビラに尋ねた。
「もちろん」
エビラの目が輝いている。それは涙が光っているんじゃない。
「ほら、早く死んじゃって」
期待に満ちた目。僕の死を楽しみにしている目。
(やっぱり、理解出来ないや)
大きく息を吐く。最後にもう一度エビラを見る。
「ほら、早くっ」
僕は生きることを諦めた。このエビラにもらった命、狂ったエビラに返す時が来たんだ。
スツールを後ろに蹴飛ばした。足が宙に浮いた。首にロープが食い込んだ。
が、次の瞬間、僕の体に掛かっていた力が全てなくなった。僕は床に落ち、転がった。
「ね、どうだった?」
エビラがロープの端を握って立っている。そして、僕の横にしゃがむ。
「怖かった? 怖いよね。死ぬんだもんね」
目がキラキラしている。
「お、お前」
僕は咳き込んだ。
「ホントに死のうとするなんてね。さすが、どMだね」
笑顔がどこか歪んでいる。
「ぼ、僕に、死んでほしいんじゃ、なかったの?」
少しずつ言葉を句切って僕は言った。
「死んでほしいさ。でも、簡単には死なせないよ」
そしてエビラは僕に馬乗りになった。僕の喉に手を掛ける。
「15年だよ、15年。僕はずっと辛かったんだ。そんな簡単には死なせないよ。僕の15年分の想い、もっともっとななちゃんを苦しめて、痛めつけて、最後はななちゃん自身が死にたいって思うくらいにいたぶって、それからやっとじわじわと殺してあげるよ」
手に体重を掛けてきた。苦しい。そんな僕の目をエビラはまっすぐに見ている。
(死ぬ)
息が出来ない。エビラの手を喉から引き離そうとする。でも、大人の力にはかなわない。
(死ぬ)
エビラが手を離した。
「簡単には死なせないって」
そう言って笑う。今度の笑顔は歪んでいない。心の底から楽しいんだろう。
(やっぱり、狂ってる)
僕が眠っていた15年で、人はこうも歪んでしまうんだろうか。僕のせいだ。もっと早くエビラのことが好きなんだって気付いて、あの中学時代にもっと気持ちを伝えていればこんな事にはならなかったかも知れない。
でももう遅い。
あれから15年が経ってしまった。取り返しが付かない程、長い時間が。
鼻にフックを着けられていた。
そのフックで吊り下げられている。
玉で吊られて、ちんこで吊られて、乳首で吊られて、今度は鼻だ。鼻がもげそうなほど痛む。そんな状態でエビラは僕のお尻を犯す。犯しながら、裂けたちんこに指を突っ込んでくる。
僕は玩具だ。僕にはもう、何も出来ない。エビラに壊される以外は、何も。
「気持ちいい?」
さっきから何度も聞かれる。その度に僕の顔を見る。
「気持ちいいんでしょ?」
もう、気持ち良くなんかない。でも、それは言わない。せめてものエビラへのお詫びのようなものだ。
「言ってよ、気持ちいいって」
まるで子供だ。
「ほら、こんなことしたらどう?」
僕のお尻からちんこを引き抜いて、僕の前にしゃがんだ。僕の裂けたちんこの先を掴み、横に引っ張った。
「ぐあぁぁ」
激しい痛み。
「ほら、見てよ。ちんこが2本になったよ」
エビラが下から僕を見上げている。僕はそこを見る。さっきは先の方だけ裂けていた僕のちんこが、根元から裂け、まるで2本あるように見えた。
「すごいよね、ななちゃんは。ちんこ2本あるんだ」
にこにこしている。そして、ちんこの裂け目をペロペロと舐める。
「うっ」
痛みが走る。やがてその左右に裂けたちんこをひとまとめにして口に咥える。頭を動かす。口でする。
「勃たないじゃん」
「あ、当たり、前だろ」
エビラが僕を見上げる。
「どMのななちゃんのくせに」
血だらけの顔面で、僕を見てにやっと笑った。歯だけが異様に白く見えた。
「ちんこ、切られたいんだよね」
僕の裂けたちんこを弄びながらエビラが言った。僕は何も答えない。
「よぉし、じゃあ」
根元まで裂けているちんこの片側を掴んで、体の横の方に引っ張った。
「ぐあぁ」
股間の奥の方が引っ張られるような痛み。エビラはもう一方の手で僕の体を押さえ、更に引っ張る。
「あがあぁ」
やがて、頭のてっぺんまで響くような痛みを感じた。
「ほら」
エビラが僕に見せた。僕の体からちぎり取った、僕のちんこの半分を。
少し意識が遠のいた。
「ダメだよ。まだまだこれからなんだから」
僕の頬を打つ。少しだけ意識がはっきりする。体が痛む。下半身がじんじんする。鼻の奥が痛い。
「ちんこ、切られたいって言ってたじゃん」
まだ僕から引き千切ったちんこの半分を握っている。
「これは僕がもらうね」
机の上に置きに行く。
「残りの半分は」
僕を見る。
「ななちゃんのだから、引き千切って」
僕の手がエビラに導かれ、それを握らされる。
「ほら、頑張ってちぎってよ」
それを握った。もうちんこを握っているという感じは全くしない。ぐにゃっとした、生暖かい何か。自分の体とも思えない。
「ほら、頑張れ」
エビラが僕を見ている。僕は力を込めてそれを引いた。が、簡単に千切れるようなものではない。
「じゃ、ちぎりやすいように、ちょっと切り込み入れてあげるよ」
はさみを持ってくる。それをちんこだったものの根元に当てた。
痛み。それが何度か続く。
「ほら、あとちょっとだから、これで千切れるよ」
また僕の手を取り、それを握らされる。
「よぉし、行っけぇ」
その掛け声に合わせて僕は残った力全てを込めて、それを引いた。ぐにゃっとした感覚。それが僕の体から離れたのを感じる。
「さっすがななちゃん。自分で出来たねぇ」
エビラが僕の頭を撫でる。
「だ、から・・・こ、子供・・・扱い・・・・・すんなって」
僕はまた気を失った。
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