俺達はそんな関係で、いわばご主人様と奴隷のような・・・いや、ちょっと・・・かなり違うな。あの目に見つめられると俺の心の奥の奧にある変態が顔を出す。それは命令されるとかいうんじゃなくて、俺の奧にある「こんなことさせられたい」とか「こんな変態になりたい」という気持ちが呼び起こされるという感じだ。
もちろん、玖翔にも少ないとはいえ友達がいる。その友達とは普通に話をして、普通に仲良くしている。ということは、あの目で見つめられるとこんな風になるのは俺だけのようだ。つまり、玖翔の目と、俺の欲望の波長が合ってる、みたいな感じなのかもしれない。
玖翔は俺のそういうことを否定しないし嫌がる素振りもない。俺がしているのを無表情で、そしてあの目で見つめるだけだ。玖翔の精液を飲んだときだって、いや、それ以前にちんこを見たときだって、あいつは無表情のままだ。もちろん、射精するときは気持ち良さそうな顔をするけど、それは俺のせいじゃない。あくまでオナニーの結果だ。だから、玖翔とある程度会話をするようになっても、そういうことを求められたことは一度もない。舐めろとか飲めとか言われたことも一度もない。全部、俺が俺の気持ちに従ってしたことだ。だから、俺達はそういう関係じゃない。
部活のあの後輩・・・中野には、あれから何回かしゃぶらせた。中野は嫌がらなかった。むしろ、喜んでしゃぶっていた。俺にそうやって使われることが、この学校のサッカー部のエースに気に入られてるって喜んでいるのかもしれない。時々、部室で俺と二人になるのを待っているときすらある。でも、俺にとって、こいつにしゃぶらせるのは、まぁ言ってみれば暇つぶしだったり玖翔とああいうことが出来ない時のストレス発散だったり、そんな意味しかない。玖翔が俺のを触ってくれない分、こいつにしゃぶらせてるって感じだろうか。
でも、そんな玖翔との関係、少しずつ進展はしている、と思う。なぜなら・・・
試合の日程が発表された日、つまり大会の1ヶ月くらい前のその日、俺の靴のロッカーにメモが入ってた。
「出すの禁止」
それだけだった。でも、俺にはすぐに分かった。このメモは玖翔が入れたもので、その意味は射精禁止だって。俺はその命令に喜んで従った。玖翔が初めて俺に命令してくれたんだから。ちょうど大会に向けて練習に明け暮れるって感じだったから、正直禁止されてなくてもあんまりオナニーする気にはなれなかった。でも、2週間くらい経ったころから、急にしたくてたまらなくなった。ちんこがむずむずして、気が付くと手が股間を撫でてたり、時には握ってたりすることもあった。練習の最中でも、スパッツと擦れただけで勃ってしまうことも頻繁にあった。
「沖先輩」
その日、練習中に勃ちっぱなしで少し困っていた日、あの後輩、中野が俺の前に跪いた。部室には他に誰もいない。
「ずっと勃ってますよね」
そう言いながら、中野は俺のサッカーパンツに手を掛けた。その真ん中は盛り上がってる。
(どうしよう)
一瞬、俺は中野を突き飛ばそうとした。玖翔に禁止されてるんだから。でも、正直、出したい。練習中もむらむらして、集中出来なくて、ずっとオナニーしたいって思っていた。
中野が俺のサッカーパンツとスパッツを一緒にずり下げる。勃起した俺のちんこがピンと跳ね上がる。それを口に含もうとする。
「ま、待てよ」
俺はそれを止める。中野が俺を見上げる。
「今日はダメだ」
すると、中野が俺のちんこを握る。
「沖先輩の、こんなに固くなってるじゃないすか」
握られただけでイきそうになる。俺は腰を引く。
「今は・・・そう、大会終わるまでやらないことにした」
適当なことを言った。
「願掛けってやつっすか? でも、抜いた方が集中出来ますよ、きっと」
中野は手を離さない。
「今日だって、ずっと勃ったままで、動きにくそうなの、ずっと見てましたよ、先輩」
俺を見上げる。
「大会のためって言うなら、僕にさせて下さい」
そして、俺のちんこを口に含んだ。
中野の言う通り、たぶん出した方が集中出来るようになる。俺は部室を見回した。ドアは閉まってる。窓も閉まってるし、磨りガラスで外からは見えない。つまり、玖翔にはバレない筈だ。
(一回くらいなら・・・)
俺は部室のベンチに座って身を任せる。中野が俺のちんこを一旦奥まで口に含んで顔を離す。舌を出して、ちんこの付け根辺りを舐める。
「汗臭いっすね、今日の先輩」
いつも練習の後でしゃぶらせてたから、臭いはいつもと同じ筈だ。
「すごい臭いしてますよ」
俺を見上げて嬉しそうに言う。そして口に含む。
(なんで臭うんだろう)
しゃぶられながら考えた。ずっと射精出来なくて、すぐに勃ってしまいそうになるからあまりちんこを握ったりはしなかった。そうだ、お風呂でもそうだったからあんまりちゃんと洗えてなかったかもしれない。だから、臭いがするのかも。
「沖先輩の臭い、臭くて最高っす」
ちんこを握り、しゃぶり、根元を舐め回す。
「くっ」
思わず声が出る。
「気持ちいいっすか、先輩」
俺は何も答えない。すると、中野が俺の足を持ち上げた。
「な、なに」
俺はベンチに仰向けにされる。そして、中野が俺の足の間に頭を突っ込む。さらに足を持ち上げられる。
「沖先輩のケツの穴」
そう言って、そこに鼻を近づけた。
「うわぁ、すっげぇ臭い」
俺を見る。
「先輩のケツの穴、凄い臭いしてますよ」
そして、笑う。ケツの穴を舐め始める。
「や、やめろ、汚いって」
しかし、やめない。それどころかそこに口を押し当ててくる。
「あっ」
舌がケツの穴に入ってきた。すると、中野が顔を上げて俺に言った。
「感じるんすか? ってことは、入れられたことあるとか?」
俺は首を横に振る。
「入れられたことないんすか」
今度は縦に振った。
「へぇ、それなのに感じるなんて、先輩、やっぱ変態だったんすね」
さらに足を持ち上げられる。俺の顔の前に俺のちんこがある。
「舌伸ばしたら自分の舐められそうっすね」
そうしろと言われた訳じゃない。でも、俺は頭を起こして舌を出し、思いっきり伸ばした。
「お、もうちょっと。もうちょっとで届きますよ、沖先輩」
中野が俺の足を俺の胸の方に押し付けてきた。
「ほら、頑張って、沖先輩」
そう言って、また俺のケツの穴を舐める。俺は舌を伸ばし続ける。中野は上目遣いでその様子を見ている。さらに体を曲げてくる。そして、俺の舌の先が、俺のちんこを・・・
「あっ」
そこに舌が触れた瞬間、俺は射精してしまった。後輩に見られながら、後輩にケツの穴を舐められながら、俺は自分で自分のちんこの先を舐めて、そしてイってしまった。俺の顔面に大量の精液が飛び散った。
「へへっ 先輩、そんなに気持ち良かったんすか、ケツの穴」
中野が俺を見下ろしていた。そして、放心状態の俺にスマホを向ける。
「撮るな・・・」
しかし、何回か音がする。
「沖先輩のこんなやらしい姿、撮らない訳ないじゃないっすか」
そして、スマホを脇に置く。
「じゃ、沖先輩、僕のものになって下さいね」
中野がズボンを降ろした。勃起したちんこを俺のケツの穴に押し当てる。
「や、やめろ」
中野の体を押しのける。
「ふうん、先輩、これ、みんなに送ってもいいんだ」
スマホを俺に見せる。精液だらけの俺の姿が映ってた。
「いい加減にしろよ。殴られたいのか?」
中野は声を出して笑った。
「変態のくせに、偉そうに言うな」
中野の態度が変わった。
「沖先輩・・・先輩、Mだろ。僕にやられて気持ち良かったんだろ?」
スマホを操作する。
「それとも、どMだから、この画像みんなに送って欲しいとか?」
俺にスマホを向ける。メッセージアプリの、サッカー部のグループの画面だった。
「やめろっ」
俺はそのスマホに向かって手を伸ばした。中野がその手を掴む。
「ほら、暴れたら間違えて送信しちゃうっしょ、先輩」
「お前、こんなことしていいと思ってるのか?」
「いい訳ないっしょ、こんなこと。先輩がされたいって言うなら別っすけど」
中野が俺に体重を掛ける。ベンチの上で仰向けになっている俺の方が体勢的に不利だ。
「ほらぁ、先輩、して欲しいんでしょ?」
そんなことを言いながら、俺に覆い被さる。
「や、やめろ」
すると、中野がすっと体を引いた。
「ほんとにやめてもいいんすか、先輩。こんなチャンス、二度とないかもっすよ」
「な、なにがチャンスだよ」
「僕に、後輩に犯されるチャンスっすよ、どMな沖先輩」
中野は俺を見ていなかった。その視線は俺の顔より下の方、俺の股間を見ていた。俺の股間の、勃起してビクビクと揺れている俺のちんこを。
「いいっすよ、先輩。これでやめても」
俺に顔を近づけた。
「どうします、先輩」
俺のケツの穴に何か当たっている。中野のちんこだ。それは熱くて、固い。
「ほら、先輩。どうするんすか?」
それを俺に押し付ける。なぜか玖翔の顔が脳裏に浮かんだ。玖翔のちんこが浮かんだ。あの、太いちんこ。あれに・・・俺はあれに・・・
「お、犯され、たい」
俺はそう口走っていた。
「え、なに? 聞こえないっす、先輩」
中野が言った。
「お、犯されたい・・・」
俺はもう一度言った。
「え、なんて言いました? もう一回」
「犯されたい!」
俺は大きな声で言った。頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。そのぐちゃぐちゃの奧に、玖翔のあの目が見えていた。
「違うでしょ、先輩。僕にお願いして下さいよ」
中野が俺の頬を掴んだ。
「お、おか、犯して・・・」
「はあ? 犯して下さい、でしょ、沖先輩」
「犯して・・・下さい」
俺は中野にお願いした。いや、違う。俺の中の玖翔の目にお願いした。たぶん、そうだと思う。そして、それが俺に入ってきたとき、俺はただ単に、そのための道具となっていた。玖翔のティッシュペーパーになるのと同じように、俺は、中野の・・・・・道具に成り下がった。
俺は玖翔の部屋で、玖翔のベッドの横で全裸になって正座していた。玖翔はいつものように俺を見てはいない。でも、俺のちんこは勃起している。
そのまま、俺はベッドの上の玖翔を見つめる。スマホを触っている玖翔の横顔を見つめる。
(普通・・・だよな)
俺は思う。
(いや、むしろ・・・普通以下か)
低い鼻。小さい目。髪型は少し短めに切っているだけ。女子にモテるようなタイプじゃないことは確か。
少しだけ目を閉じた。中野の顔を思い出す。あいつはまあまあだ。いや、むしろそこそこかっこいい方だ。時にはけっこうかわいい素振りも見せる。バレンタインの時期になると、部室にチョコが置かれたりしているが、あいつ宛てのチョコの数は俺宛とそんなに変わらない。試合の時にあいつ目当てで見に来ている女子もまあまあいる。
(俺は・・・)
あれから何回か、中野に使われた。でも、それは俺の意思じゃない・・・・・たぶん。あいつに逆らえないのは画像とか動画を撮られたからだ。それが理由。
その筈なのに・・・
ちんこがびくんと脈打った。
その瞬間、玖翔が俺を見た。
玖翔は何も言わずに、ただ俺を見ていた。いつもなら、ここで俺も玖翔の顔を見て、あの目を見て、俺の欲望の沼に沈んでいくんだけど・・・今日はまっすぐにあの目を見るのが辛かった。中野とのことを思い出してしまう。そして、それを思い出すとちんこが脈打ってしまう。
「あ、あの・・・」
少しだけ腰を浮かせて俺は言った。いや、言い掛けて、言えなくなった。玖翔は何も言わない。ただ俺を見ている。そのまま時間が過ぎる。
やがて、玖翔は俺に背を向ける。まるで俺には何の興味もないかのように。
いや、実際興味ないのかもしれない。俺はただのティッシュペーパーなんだから。必要な時に使って、そのまま丸めてゴミ箱に捨てられるような存在なんだから。
(それならそれでもいいんじゃないか?)
そうも思った。でも、俺は・・・
(俺はどうしたいんだ?)
それが自分でも分からない。また少し目を閉じる。今度は中野を思い出すことはしない。玖翔のあの目を思い出した。思い出しただけで体が熱くなる。
「あ、あの・・・さ」
また声を出した。玖翔が俺の方を向く。
「あ、あの・・・言っておきたいことが」
玖翔が俺を見つめた。
「なに?」
あの目で見つめられている。その目が俺を縛り、俺を堕としていく。
「俺、実は・・・」
少し声が出にくい感じがする。
「サッカー部の後輩とセックスしてる」
ようやく、声を絞り出した。
玖翔は何も言わずに俺に背を向けた。まるで興味がないって感じだ。
「あ、あの・・・」
俺はその背中に声を掛けた。
|