アイ・コンタクト


「ほら、先輩」
玖翔の部屋で、壁に手を突いて立った状態でケツを中野に掘られ続けていた。中野はそう言いながら俺のケツを突き上げる。その度に俺のちんこが脈打つ。
「僕に掘られて気持ちいいでしょ?」
俺は頭を上下に振る。それを玖翔が見ている。
「あんな奴より、僕がいいでしょ?」
それには答えられない。答えちゃダメだ。でも、気持ちいい。
「ほら、どうなんすか?」
また突き上げられる。理性が飛びそうになる。
「く、玖翔・・・」
俺は玖翔の方に手を伸ばした。が、その手を中野が掴む。
「先輩は僕のものだよ。あいつじゃない、僕のだよ」
「違う」
中野の手が俺のちんこを握った。
「ほら、僕に掘られて気持ち良くイくところを見せてあげて下さいよ、先輩」
そう言って、体を捻り、向きを変える。玖翔の正面で俺は勃起したちんこを揺らしている。中野がケツを掘るのに合わせてそのちんこを扱く。それを玖翔が見ている。玖翔が俺達を、いや、俺を見ながら扱いている。
「ほらっ」
突き上げられる。
「ふぐっ」
足が一歩前に出る。玖翔に近づく。
「ほらっ」
また突き上げられる。近づく。
「ほらっ」
ベッドに座って扱いている玖翔の目の前で、俺のちんこが扱かれる。玖翔の目の前で突き上げられる。
「ああっ」
気持ちいい。それは、誤魔化せない。
「ほら、イけよ、変態」
俺のちんこを握る手に力が込められ、早くなる。同時にケツも何度も突き上げられる。
「ああっ イくっ」
玖翔の顔のすぐ前でイきそうになる。
「ほら、そいつにぶっかけちゃえよ、この変態」
中野がそう言い終わる前に、俺は射精した。俺の精液が玖翔の顔面に飛ぶ。玖翔はそれを避けようともしなかった。その瞬間、中野が俺の中で射精した。玖翔も射精していた。



「気持ち良かったでしょ、先輩」
玖翔のベッドの前で全裸のままあぐらをかいている中野が俺に言った。俺は答えなかった。答えずに、四つん這いになって、床に飛び散っていた玖翔の精液を舐め取った。玖翔の顔を見る。まだ俺の精液が付いたままだ。その顔に顔を寄せる。と、中野が俺の髪の毛を掴んで引っ張った。
「え、気持ち良かったんだろ?」
髪の毛を引っ張られながら、それでも俺は強引に顔を玖翔に寄せた。ブチブチと髪の毛が抜ける音が聞こえた。玖翔の顔に舌を這わせて俺の精液を舐め取っていく。また髪の毛を掴まれる。
「そいつにはこんなに気持ち良くしてもらったことないだろ?」
それでも俺は顔を玖翔に押し付ける。
「気持ち良かったくせに」
中野が俺を突き飛ばした。俺は玖翔と一緒にベッドの上に転がった。
「気持ち良かったくせに!」
また俺の髪の毛を掴む。自分のちんこに俺の顔を押し付けようとした。俺は中野の体を手で押さえてそれを拒否する。そして、まだ勃起したままの玖翔のちんこを口に入れた。
「なんでそいつなんだよ!」
中野が怒鳴る。
「気持ち良くしてやったのは僕でしょ?」
後ろから後頭部を殴られる。それでも玖翔のちんこをしゃぶり続ける。
「なんで、そんな奴がいいんだよ」
中野の声が少し小さくなった。
「なんで僕じゃないんだよ」
玖翔のちんこを口に入れたまま、顔を横に向けて中野を見た。中野は泣いていた。俺がそれに気付いたということに気が付くと、中野は顔を伏せる。
俺は玖翔から離れて、中野に向き合った。
「違うよ」
中野の頭に手を載せる。
「確かに気持ち良かったけど・・・それは玖翔が見てくれてたから」
玖翔の顔をちらっと見る。
「玖翔の前で犯されて、それを玖翔が見てオナってくれた。だから・・・」
床に散らばっていた中野の服を拾い集める。
「だから、やっぱり俺は玖翔の物だよ」
服を中野に押し付ける。
「だったら・・・また、こうして」
「もう、お前とはしない」
俺はきっぱりと言った。
「玖翔が望まないことは、俺はしない」
中野が顔を上げた。
「じゃ、先輩は・・・先輩は、望んでたってこと?」
「違うよ。俺の望みは、玖翔が望むことだから。俺は玖翔の物だから」
また中野の目から涙が溢れた。
「それじゃあ、僕、もうどうしようもない・・・」
「そうでもないよ」
玖翔が口を開いた。俺と中野は同時に玖翔を見た。
「けっこう興奮したよ、君達のセックス」
玖翔の手が、ゆっくりとちんこを扱いていた。
「オナニーのネタにはいいかもね」
「ちょっと、玖翔、どういう意味だよ」
俺は玖翔に近づいた。
「沖君次第ってことだよ」
そう言って玖翔は笑う。
「意味分かんないよ」
「沖君はなにがしたいの?」
玖翔が俺の顔を見て問うた。目が合う。俺の中の黒い欲望がざわめき出す。
「お、俺は・・・」
いろいろな欲望が湧き上がってくる。考える。その奧の奧にある、純粋な俺の欲望。それを見いだすまで、しばらく時間がかかった。
「俺は・・・玖翔の物だから・・・玖翔の使いたいように使われたい」
すると、玖翔が中野を見た。何も言わない。ただ、顔を見つめていた。
中野の呼吸が少し荒くなる。俺は中野を振り返る。中野のちんこがゆっくりと勃起していく。
「ぼ、僕は・・・」
中野の顔付きが少し変わっていた。俺は気が付いた。中野も、玖翔の目の力を感じ始めたことに。
「僕は先輩を犯したいし先輩に犯されたい」
少し驚いた。俺を犯したいっていうのは分かる。でも、俺に犯されたいというのは初耳だ。これまでそういう素振りを見せたことはなかった筈だ。
「じゃあ、僕達の利害は一致してるね」
玖翔が笑う。目からあの暗い光が消えた。
「僕はオナニーのネタが欲しい。沖君は僕が使いたいように使われたい。君は沖君を犯したいし犯されたい」
そして、中野の顔を見た。
「あ、中野、中野和孝っす」
そうだ。玖翔は中野のことを知らなかったんだった。つまり、さっき中野は初対面の人の前でやったってことなんだ。
「中野君と沖君が僕の前でセックスする。僕はそれをオナニーのネタにする。それでハッピーじゃないの?」
それは確かにそうかもしれない。でも・・・
「俺は・・・俺だけを、玖翔の物にして欲しい」
すると、玖翔が俺を見た。その目が暗く光っていた。
「沖君、君は僕のなに?」
少し、今までの玖翔と雰囲気が違う。
「俺は、玖翔の・・・・・三浦君の物です」
そう丁寧に答えるのが正しいように思えた。
「僕の物のくせに、僕を独占したいんだ」
まあ、そういうことになる。
「物のくせにわがままなんだね」
玖翔が、三浦君が・・・いや、ご主人様が立ち上がった。僕はその場で土下座した。
「なんなら沖君捨ててもいいんだよ、僕は全然構わない」
「すみません、ご主人様」
ついに玖翔のことをご主人様と呼んでしまった。しかも、土下座して。さらに、それを後輩の中野に見られている。
「中野君・・・だったっけ?」
「はい」
俺の隣に中野が座る気配を感じた。
「中野君、君はなに?」
「僕は・・・僕も、ご主人様の物っす」
いつの間にそうなったのか・・・恐らく、中野が玖翔の・・・ご主人様の目の力を感じた瞬間からだろう。
「君達は二つとも、僕の物なんだよ」
俺達の前にご主人様がしゃがんだ。
「僕の性処理の道具になってればいいんだよ」
「はい、ご主人様」
俺が答えると、少し遅れて中野も同じように答えた。
「沖君、君は中野君を犯したい?」
ご主人様が俺に尋ねた。どう答えるのが正解なんだろう・・・俺は少し迷った。迷ったけど、本心を告げるのが正しい物の在り方だと考えた。
「俺・・・俺は、別にそうは思ってないです」
「じゃ、中野君に犯されたい?」
その質問には、ちょっと嘘を吐いた。
「少しだけ」
「だってさ。中野君、君はどうなの?」
「僕は犯したいし犯されたいっす」
前と同じ答えを繰り返した。
「沖君は犯したいとは思ってない。でも、中野君は犯されたいと思ってる。困ったね」
ご主人様は笑う。
「二人ともご主人様の物っすから、ご主人様が命じてくれれば」
中野が言った。
「そうだね。沖君は僕が命令したらどうする?」
「それをご主人様が望むなら・・・犯します」
「よし、決まったね」
ご主人様が立ち上がり、ベッドの縁に腰掛けた。俺は顔を上げた。中野も顔を上げている。3人とも何も言わない。ただ、中野のちんこが勃起していた。
(そうか)
俺はご主人様の考えを理解した。正座したままの中野を床に押し倒す。中野は俺にされるがままに、仰向けになる。チラリとご主人様を見る。俺を、俺達を見ている。その目を見る。俺の中で気持ちが高ぶった。

俺は中野にキスをした。舌を入れ、それを絡ませ合い、貪った。
「ああ・・・先輩」
中野が声を出す。
「嬉しい・・・っす、先輩」
中野もキスを返してくる。乳首にもキスをする。そのまま体をずらして臍を舐める。毛の辺りも舐める。体の向きを変えて、中野のちんこを口に含む。中野も俺のちんこを舐め始める。お互いがお互いのちんこをしゃぶり合う。その様子をご主人様が見ている。勃起しているけど、まだ扱いてはいない。まだオナニーのネタとしては不十分なんだ。俺は中野のケツの方に頭を動かし、首を持ち上げる。両手で中野のケツを広げる。さっきも舐めた穴。でも、今こうして見ると、きれいなピンク色をしている。そこに鼻を押し付ける。臭いを嗅ぐ。
「臭いよ」
でも、その様子をご主人様に見られている。見てもらっていると思うと嫌な臭いじゃなくなる。鼻を穴に押し付けて、深く息を吸い込む。
「ああ、先輩」
さっき俺を犯した中野が、俺の後輩に戻っている。
「お前、入れられたことあるんだろ?」
中野のこれまでの様子から、そういう経験はあるものだと思っていた。
「ないっす、初めてっす。先輩」
(そうなのか)
チラリとご主人様を見る。ご主人様と目が合う。玖翔が頷く。
「じゃ、俺が処女を奪ってやる」
「お願いします、先輩」
俺は体を起こす。中野は俺の前で四つん這いになった。ご主人様が見やすいように体の向きを変えさせる。
「入れるぞ」
「はいっ 先輩っ」
とはいうものの、俺も入れるのは初めてだ。なかなか上手く入らない。
「もうちょっと下っす、先輩」
それに従って、少しちんこを下に向けて押し付ける。
「ああ、先輩、入ってくる!」
中野が叫ぶように言った。いつの間にか、ご主人様が俺達のすぐ横にしゃがんでいた。ご主人様に見られながら、少しずつ中野の中に入れる。
「ああ、先輩」
中野が喘ぐ。俺はそれを聞きながら、ご主人様にキスしようとした。が、ご主人様は顔を逸らす。つまり、そういうことはダメ、ということだ。少し、いや、凄く残念だけど、気を取り直してご主人様に見られていることに集中する。
「ああ、見て下さい」
俺はそう言いながら、中野の中で動き始めた。グジュグジュと音が聞こえ始める。
「いやらしい・・・」
ご主人様がそうつぶやいた。俺はもっと音がするように、腰を強く、大きく動かす。
「いやらしい音、聞いて下さい」
ご主人様が扱いていた。俺はその手の動きに合わせて腰を動かす。まるでご主人様に扱かれているかのようだ。
「ああ、ご主人様、気持ちいい」
「ああ、先輩、気持ちいい」
俺と中野が同時に叫んだ。そして、3人同時に射精した。



それから何回も、俺達は玖翔の命令で、玖翔の前でセックスした。
その度に、玖翔はあの目で俺達を見つめる。それは媚薬のように俺達を興奮させ、狂わせた。が、そういう日々を過ごすうちに、俺の奧に新たな欲望が生まれていることに気が付いた。
玖翔の処女を奪いたい。
玖翔の童貞を奪いたい。
中野も同じように考えているかもしれない。でも、この二つは譲れない。
(なにか手はないかなぁ)
俺は考えた。考え続けた。


      


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