アイ・コンタクト


玖翔の処女を奪いたい。
玖翔の童貞を奪いたい。
ずっとその気持ちは俺の中にあった。しかし、それを伝えることはない。なぜなら、それを口にしたら必ず中野は俺にそうさせないようにするだろうから。俺が今でも玖翔を俺だけのご主人様にしたいと思っているのと同じように、中野も俺を中野だけのものにしたいと思っているのが分かっているからだ。
(どうすれば、玖翔の処女と童貞を奪えるだろうか)
玖翔は、今も俺達にセックスをさせたり、たまにティッシュペーパーにしてくれるけど、玖翔自身は俺と、あるいは俺達とセックスしようとしない。俺達のセックスをオナニーのネタにするくらいなんだから、興味がない訳はない。その気になればいつでも俺か中野とすることも出来るはず。それなのに玖翔自身はしようとしない。何か理由があるんだろうか。あるとしたら、どんな理由だろうか。
そんな玖翔の処女と童貞を奪うには・・・・・
無理矢理、じゃ意味がない。それに無理矢理なんて出来ない。仮に何かの勢いで無理矢理押し倒したりしたとしても、あの目で見つめられただけで俺は玖翔の物になってしまう。
じゃあ、目を見ないようにすればいいのか?
玖翔の目の前で中野とセックスするときに、それは試してみたことがある。中野と目を合わせないようにセックスする、ということを。
結論から言えば、出来なかった。やっぱりどうしても目が合ってしまう。だったらいっそのこと目を瞑ってしたらどうか。それも試した。出来たもんじゃなかった。相手が協力してくれるなら話は別だろうけど、目を瞑ったまま入れたり入れられたりなんて無理だった。
(どうすれば・・・)
取りあえず、障害物は中野の存在。中野を排除することは玖翔が許してくれないのは分かってる。だったら・・・
(手懐けるかな)
あいつを油断させて、俺の思うようにあいつを動かす。そうやってあいつを遠ざけるか、あるいはあいつに自ら玖翔の奴隷を止めると宣言させるか。
いずれにせよ、あいつの気持ちを利用して、あいつを手懐ける。それが俺の今、目の前の課題になった。

玖翔の目の前での中野とのセックス。最近は、意図的に中野に入れられることが多い。その日も、俺のケツを中野が掘って、玖翔はそんなセックスを見ながらオナニーした。

「もう帰っていいよ」
俺達のセックスを見て、オナニーして、床や腹に飛び散った精液を俺達に舐め取らせた後、玖翔はいつものようにぶっきらぼうに言った。
「じゃ、また明日」
俺達は床に散らばった服をかき集め、身に着ける。玖翔の部屋から出る。見送りなんてない。そして、家を出た。
「最近さ・・・」
俺と中野は途中までは同じ道を通る。いつもは終わった後は何となく気恥ずかしさで無言のまま帰ることが多い。でも、今日は中野に声を掛ける。
「なんすか、先輩」
玖翔と別れた後は、中野は普通にサッカー部の後輩に戻る。
「少し・・・分かってきた気がするんだよね」
もっと直接的に言うつもりだったけど、いざとなるとなかなか言えないものだ。
「なにがすか? 先輩」
「その・・・お前にされる・・・・・気持ち良さっていうか・・・」
中野が俺の顔を見た。
「マジっすか、先輩。嬉しいっす」
中野が俺の前に回り込んで笑顔で言った。
「うん」
俺は恥ずかしくなって顔を伏せてしまう。
「先輩・・・まだ、イけますか? イけますよね?」
中野が俺の手を握る。その手を引っ張る。
「俺、今すぐ先輩としたいっす」
そのまま公園のトイレに連れ込まれる。俺は抵抗しない。中野がしたいようにさせてやる。公園のトイレの個室に連れ込まれ、そこで服を脱がされる。
「あいつには秘密っすよ、先輩」
狭い個室内で、俺のケツに中野が入ってくる。
「ああ、嬉しいっす、先輩」
俺を掘りながら、中野は耳元で囁き続ける。なるべく声や音を出さないようにした。それでも小さな喘ぎ声とぐちゅぐちゅといういやらしい音がトイレ内に漏れていただろう。

そんなことを何回も重ねた。玖翔の前ではお互い入れたり入れられたりだけど、公園でのセックスでは俺は中野の好きなようにされる。いや、好きなようにさせることで、中野を俺が思うように操ろうと考えた。
が、そうそう簡単にはいかない。俺は何度も公園で中野に入れられた。そして、実際、それが気持ちいいと感じるようになってきていた。

「ああ、先輩」
俺のケツを中野が掘っている。パンパンという音がしている。今日は誰もいない部室でだ。公園のトイレで気を遣いながらするよりも、部室で思いっきりされる方が気持ちいい。俺は四つん這いになり、その俺を中野が犯す。玖翔に見られながらのセックスとは、また別の気持ち良さを感じている。
「ほら、先輩、気持ちいいっすか?」
「ああ、気持ちいい・・・もっと」
「先輩、欲しがりっすね」
その瞬間、俺は中野のものになる。中野を感じる。中野と愛し合う。

こうして、俺は玖翔の物であると同時に、中野とのセックスにものめり込んでしまった。
玖翔を俺だけのご主人様にしたいという気持ち、そして、玖翔の処女と童貞を奪いたいというあの気持ちは徐々に薄れていった。



部室のドアを開ける。誰もいない。俺は服を脱ぐ。全裸になる。そんな俺をベンチに座った中野が見ている。全部脱いで中野の方を向く。勃起している。中野が立ち上がる。
「もう勃起してんすね、先輩」
俺は無言で頷く。
「僕に掘られたいっすか? 先輩」
また頷く。
「ちゃんと言ってくださいよ、先輩」
「中野のちんこで俺のケツ、掘って」
「掘ってください、でしょ? 先輩」
俺は床に正座し、頭を下げる。
「中野のちんこで、俺のケツ掘ってください」
そして立ち上がる。並んでいるロッカーに手を突いて、中野にケツを突き出す。
「すっかり変態っすね。前からだけど」
中野が俺のケツを開く。そして、入ってくる。
「ああ、中野」
「沖先輩」
誰もいない部室に、パンパンという音が響いた。

「ああ、気持ち、いい」
中野に掘られながら俺は喘ぐ。
「僕も、先輩の中、気持ちいいっす」
中野が俺の後ろから俺の胸に手を回す。俺は抱き締められる。体を少し仰け反らせて、首を捻る。中野がキスしてくる。キスしながらケツを掘られる。俺のちんこを握られる。扱かれる。くちゅくちゅと音がする。部室の中でその音が大きく聞こえる。
その時だった。
ガチャリと音がした。同じような音がいくつも聞こえた。俺と中野は部室の真ん中で体を硬くした。俺のケツには中野が入ったままだ。
「あれぇ、なにしてるんだ、沖」
子安がロッカーから出てきた。サッカー部の他の奴等も出てくる。
「中野に抱かれてるんだ、先輩なのに」
「後輩に抱かれて気持ちいいって言ってたな」
「俺も先輩に入れたいっす」
口々に言っている。俺は部室を見回した。山下や安西も、そして少なくとも他に3人はいる。まだロッカーの中に誰かいるかもしれない。でも、それを確認することは出来なかった。
「ほら、俺も気持ち良くしてくれよ」
いくつものちんこが俺と中野の前に差し出された。

「ああぁ」
何本ものちんこで俺は犯された。口の中にも何回も射精されている。しかし、俺と中野もそうであるのと同じように、こいつらは何回射精しても満足していないようだ。中野も掘られている。俺も掘られている。掘られながら咥えさせられ、飲まされ、ぶっかけられた。
それが何時間も続いた。部室の床が精液まみれになっていた。
「ほら、お前等、ちゃんと舐めてきれいにしとけよ」
俺達をマワした奴ら・・・結局9人・・・が腕を組んで俺達を見下ろしている。床には大量の精液が飛び散り、滑りやすくなっている。俺と中野は全裸のまま四つん這いになり、床を這いずりながらそれを舐め回す。
「沖、お前、すげえな」
山下が言う。その言葉は、俺を見下し、辱めるための言葉だ。
「ほんとにな。これが、あの沖なんだもんな」
そう言いながら、ちんこを突き出してくる。俺はそれを咥える。少しずつ人が減っていく。
「これから毎日、お前等オナホール代わりな」
そう言い残して最後の一人が出て行く。俺と中野は四つん這いのままだ。中野のケツの穴から誰かの精液が垂れている。俺も同じだろう。体にも、顔にも、頭にも誰かの精液が付いたままだ。
「先輩・・・」
中野が声を出した。俺は中野に近づき、その体に付いた誰かの精液を舐め取った。
「明日もされるんすか?」
「俺達はオナホールだそうだからな」
俺の中で、それならそれでもいい、という気持ちが生まれていた。
「先輩、使われて喜んでるっすよね?」
どうやら、俺の心は中野に見透かされているようだ。
「お前はどうなんだ?」
中野は何も答えなかった。

それ以降、部活終わりに俺と中野はマワされるようになった。ケツを掘られ、しゃぶらされ、飲まされる。あの9人以外にも、サッカー部全員が俺達を使った。それは遅い時間まで続いた。玖翔の家に行く暇がないほどに。



「最近、あんまり来ないね」
俺と中野は玖翔の前で全裸で正座していた。
あれから部活のある日は必ず、部活終わりに俺と中野は性処理に使われていた。だから玖翔のオナニーのネタになる頻度が大きく減っていた。
「あ、あの・・・サッカー部の方で・・・」
俺が途中まで言う。玖翔が俺を見る。その目の奧に暗い光が宿っていた。
「いろいろと、忙しくて・・・」
本当のことを言ってしまいそうになるが、なんとか嘘を吐いた。
「ふうん・・・」
が、玖翔はそう言っただけで、あとはいつも通りだ。いつも通り、俺達にセックスさせて、そしてそれを見ながらオナニーする。俺達に精液を飲ませるか、舐めさせて終わり。いつも通りだ。いつも通り、俺は、俺達はただのティッシュペーパーでしかないんだ。



それから数週間が経った。俺達は相変わらずだった。部活のある日は部室で、ない時は玖翔の部屋で、俺と中野は性処理道具やティッシュペーパーになっていた。そして、そんなことを続ける間に、俺の気持ちが変わってきていることを俺は自覚していた。
玖翔は俺を使ってはくれない。玖翔の前では俺は中野とセックスするだけ。そして、玖翔がイった後の処理だけだ。一方、部活の方では、みんなが俺を使ってくれる。犯されるだけだけど、中野と一緒にみんなにマワされる。その違い・・・気持ちが少し、玖翔から離れているように思う。ただ、それでも俺は、玖翔のあの目の奧に宿る暗い光からは逃れられないでいた。それが俺と玖翔の繋がり。いや、俺が一方的に玖翔に引かれる唯一の理由だ。


「ねえ、先輩」
あるとき、部室で皆にマワされた後、俺と二人きりになった時に中野が声を掛けてきた。
「なんだか・・・これも慣れちゃいましたよね」
正直、俺もそう思い始めていた。最初の頃は、同級生や後輩に見られながら犯され、使われ、辱められることが辛いと思った事もある。が、すぐにそれは興奮に変わった。やがて気持ち良さになり、やみつきになり、そして、今やそんな行為に慣れてきてしまっていた。
「最初の時みたいな興奮、あんまり感じてないんじゃないっすか?」
「ドキドキはしなくなった・・・かな」
床の精液を舐め取りながら答えた。
「っすよねぇ」
中野も全裸で四つん這いになって床を舐めている。しばらくそうしていたが、また中野が言った。
「先輩、この近くにハッテン公園があるのって、知ってっすか?」
俺は曖昧に頷いた。
「そこって、ゲイが集まっていろいろしてるらしいっすよ。そこでなら最初の頃みたいにドキドキするんすかね、先輩」
俺は何も答えなかった。でも、俺が唾を飲み込む音が、たぶん答えの代わりになっていたと思う。

しばらくは、これまで通りの日常・・・部室でマワされ、玖翔のオナニーのネタになり、ティッシュペーパーになるという日常・・・を続けていた。しかし、部室での行為も徐々に人が減ってきている。
(みんな、飽きてきてるんだ)
その気持ちは良く分かる。俺だって、同じことの繰り返しに慣れて、そして少し飽き始めている。中野もそうだ。みんなに掘られると喘ぎ声は出す。でも、半分はもう、演技だ。自分を興奮させるためにそんなに気持ち良くなくても喘いでいるってのが本当の所だ。その最中、時々中野と目が合ったりもするけど、あいつの目も覚めている。
(つまらない)
そう思った。そして、あの時の中野の言葉を思い出す。
(ハッテン公園でいろいろされてみたい)
中野も同じ筈だ。



部活がない日、俺と中野は玖翔の部屋には行かなかった。その日の少し遅い時間、俺達が向かったのは、この街にある公園だった。事前にネットで情報は調べてある。トイレの裏の方、照明が少ないところにあるベンチ辺りがそうらしい。中野と二人でそのベンチの近くをうろうろしてみた。確かにトイレの裏から道路に面する部分まではあまり街灯とかの光は届かない。道路に近い方には木がたくさんあって、道路からは見えないようになっている。そして、ベンチの周りの茂みに何人かが身を潜ませるように佇んでいる。俺達が歩くと視線を感じる。がさっと音がする事もある。暗い場所で急にそんな音がするとびっくりしてしまう。でも、それはそこにも誰かいるということだ。中野を見る。中野も俺を見る。俺は頷いた。俺と中野は、ベンチに座ってみた。
すぐに誰かが現れて犯される、そんなことを想像していた。でも、実際は違った。俺達が座っても何も起きない。視線は感じるし、ガサガサ音はするけど、でも何も起きない。
「なんか・・・あんまりっすね、先輩」
中野が小声で俺に言う。
「やっぱ中学生だからっすかね」
そうかもしれない。そもそも俺達もそういう目的でここにいるって分からないのかもしれない。そうだ。きっと・・・
俺は少し腰を浮かした。そして、履いていたハーパンをボクブリと一緒に一気に膝まで下ろした。
「先輩、それ、大丈夫っすか?」
俺は上半身をベンチの背もたれにもたれかけさせて、ちんこを扱き始めた。隣で中野も俺と同じように下を脱いで扱き始める。
「ちょっと、ドキドキするっす」
中野がつぶやく。
「うん、興奮する」
俺も答える。そのまましばらく扱く。中野が俺のちんこを握った。俺も中野を握る。キスをする。視線を感じる。どこかで音がする。ドキドキする。足音も聞こえる。俺は目を閉じる。気配を感じる。後ろで音がした。
心臓が高鳴った。


      


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