ヒーロー

1 ロボット

大きなモニターに、異獣の姿が映し出されていた。
古代研究所の司令室で、何人もの人達がそのモニターの中の異獣と軍の戦闘を見つめている。しかし、異獣には彼等の軍事力は全く通用しない。それはせいぜい、異獣が消失するまでの11分16秒間、運が良ければそれを辺境近くに足止めする程度にしか役立たない。
そんな司令室に、突然警告音が鳴り響いた。
「所長」
オペレーターが司令室の中央に立つ男に向かって言った。
「ロボットが消えました」
「何?」
その男、古代研究所の所長が別のモニターに目を向ける。そこは、あの断層で発見されたロボットが格納されていた場所が映し出されている。が、今はもぬけの空になっていた。
「何があった?」
「確認中です」
オペレーターがロボットの格納庫の監視映像をプレイバックする。
「所長、あれっ」
別の職員が中央のモニターを指さした。そこには、あの異獣と、そしてこの研究所に格納されていたはずのロボットの姿が映し出されていた。
「何が・・・起きたんだ」
所長がつぶやく。
「所長、これを」
オペレーターが言った。サブモニターに格納庫の映像が映し出される。右下に時間が表示されている。そして、そこに映し出されたロボットが、ある瞬間、姿を消した。時間表示に途切れはない。
「なんだ、これは・・・」
「瞬間移動・・・とでもいうしか」
オペレーターが少し小さな声で言った。
「所長、あれを」
またさっきの男だ。メインモニターの中で、あのロボットが異獣に掴みかかっている。短い時間、異獣と押し合いになっていたかと思うと、異獣が地面に倒される。その下敷きになり、いくつかの建物が崩壊する。
「戦ってる・・・」
職員の誰かがつぶやいた。が、所長はただ黙ってモニターを見つめていた。

体がガクガクと震える。乱暴に腕を掴まれ、足を縛られ、体を押さえ付けられる。
「い、いやだ・・・やめて・・・」
声が震える。
「何をやめて欲しいんだ? 何されるのか、分かってるのか?」
僕はふるふると頭を左右に振る。
「何をされるかも分からずにやめろというのか」
今度はガクガクと前後に振った。
「ふん」
男が僕から少し離れた。
「じゃあ、説明してやる。これからお前がどうなるのか」
ほんの少しの間だけ、僕の体が自由になった。

ロボットが一瞬動きを止める。異獣がロボットに体当たりする。ロボットはそのまま仰向けにひっくり返った。さっきのような動きではない。まるで人形の動きだ。
「がんばれっ」
誰かが叫ぶ。
(ロボットの目的は分からない。が、今はあれに頼るしか・・・)
所長は思う。訳が分からない状況だが、このまま異獣を抑えてくれれば・・・
「時間は?」
「残り7分43秒です」
所長は祈るような気持ちでモニターを見つめる。7分43秒後、あのロボットはどうなるのか不安も感じながら。

上半身を起こすと、すぐにまた押さえ付けられた。
「まず、お前の服を脱がせる」
すでに上半身は裸だった。立ち上がった男が、他の二人に頷きかける。すると、他の二人は僕のズボンを掴んで引きずり下ろそうとする。ベルトが引きちぎられる。何かが裂ける音がする。手を上げさせられ、その手を一人が掴む。もう一人がズボンを引っ張る。
「全部脱がせろ」
下着を掴まれ、それも引っ張られる。ズボンよりも簡単にそれは引き裂かれた。僕の体が3人の目の前に晒された。
「そして、お前を犯す」
立っていた男が僕のお腹の上に跨った。手を伸ばして胸の辺りに押し付ける。指で乳首の辺りを触る。
「まだここは感じないか」
その男が立ち上がる。そして、ズボンを脱いだ。
「しゃぶれ」
下半身裸になった。男のペニスが上を向いていた。
「しゃ、しゃぶるって?」
意味が分からない。
「そんなことも知らないのか。じゃあ、口を開けろ」
男が中腰になって僕の顔にそれを近づける。僕はうつむき口をつぐんだ。別の男が僕の髪の毛を掴んで引っ張る。
「んん」
僕は抵抗する。と、僕の股間に痛みが走る。
「うぐっ」
足を押さえていた男が、いつの間にか僕の股間を掴んでいる。
「逆らうと、このまま玉を握り潰すぞ」
その痛みは下半身の奥の方から鈍く体中に広がっていく。
「うあぁ」
思わず僕はうめき声を上げた。口が開く。髪の毛が引っ張られ顔を上げる。そして、男のペニスが僕の口に入ってくる。
「歯を立てたら殺す」
僕は目と口を大きく開いた。

ロボットが再び動き出す。異獣が口から赤い光線を放った。あの、街を一瞬で蒸発させた光線だ。モニターが赤一色になる。
「うわっ」
誰かの声。誰もがあのロボットも蒸発しただろうと思った。が、次の瞬間、モニターには異獣と、異獣の前に立ちはだかるロボットが映し出された。
「おおっ」
あの蒸発光線ではなかったのか、と所長は思う。が、ロボットの周りの建物がなくなっている。蒸発したんだ。さっきのあの赤い光は間違いなくあの蒸発光線だったんだ。このロボットにはあの光線は通用しない、ということだろう。
「すごい・・・」
またロボットが異獣に組みつく。
「攻撃しろっ」
誰かが叫んだ。が、ロボットは組み付くだけで、何も攻撃はしなかった。
「残り時間は?」
「まもなく5分を切ります」
「まだ5分もあるのか」
しかし、このまま異獣を抑えてくれるだけでも十分だ。その後のことはその後のことだ。
「頼む・・・」
皆、祈るような気持ちでモニターの中のロボットを見つめていた。

「うぐっ」
男のペニスが口の中に出入りする。他の二人もすでに裸になっていて、両手にそれぞれペニスを握らされている。
「ほら、ちゃんとしゃぶれよ」
「こっちもちゃんと握れ」
僕は何をしているんだろう・・・怯え、男達の言いなりになりながらも、妙に冷静に考えていた。
「ほら、ちゃんとしないと・・・」
また股間の痛みが増す。頭を動かす。手も動かす。これで終わるんだったら・・・そう思った時だった。
「じゃ、準備体操は終わり。これから本番だ」
左右の男がまた僕を押さえ付け、足を持ち上げた。僕の口にペニスを突っ込んでいた男が持ち上げられた足の向こう側にしゃがむ。
「痛い思いをしたくないなら、逆らわずに受け入れることだ」
そして、僕のお尻を持ち上げた。そこに顔を寄せる。何かがお尻の穴の辺りに触れる。
「うっ」
思わず体に力が入る。
「逆らうな」
男が顔を上げて言った。僕は力を抜いた。男が体を寄せる。そして、痛みが襲ってきた。
「いぐあぁぁ」
「力を抜け」
男が僕に覆い被さる。お尻の穴から入ってくる。僕を引き裂きながら入ってくる。そして、体を揺さぶる。
「うがあぁ」
力を入れても、抜いても痛みはほとんど変わらない。引き裂かれる痛み。男が入れ替わる。二人目が僕の中に入ってくる。少しして、3人目に交代する。そうやって何度も僕のお尻が3人の男達に引き裂かれる。
「少し緩んできた」
そう言っている。でも、意味が分からない。
「代われ」
最初の男に代わる。また入ってくる。痛み。でも、少し違う気がする。体が熱くなっている。
「このガキ、感じてきてるぞ」
僕のペニスが掴まれる。
「勃ってる」
確かに、いつの間にか僕は勃起していた。
「悪くない」
そして、男が激しく体を打ちつけてきた。
「ああ・・・」
声が出る。体から力が抜ける。誰かにペニスを扱かれている。お尻の奥が熱い。下半身が熱い。それは不思議な感覚だった。

ロボットが異獣を投げ飛ばした。
「おお」
歓声が上がる。少しずつ、ロボットが攻撃を始めている。
「記録しているか?」
所長が声を掛ける。
「はい、全て録画しています」
ロボットの体は、まるでセラミックのような質感のものでできていた。つなぎ目のようなものはどこにもなかった。それが今、柔軟に動いている。まるでゴムか何かのようだ。異獣のあの光線にも全く傷付いてないように見える。
「一体、あれは、何なんだ」
思わず口走る。
「時間は」
「あと3分」
また異獣が光線を放つ。が、ロボットは何事もなかったかのように戦い続けている。
「いいぞ、そのまま、あと3分」
誰もが祈った。


3人目が僕に入れている。僕はぐったりと横たわり、体を折り曲げられ、その男に入れられていた。別の男が僕のペニスを扱いている。最初に僕に入れた男は少し落ち着いた様子で僕等を見ている。
「ああ、いきそうだ」
僕に入れながら男が言った。そして、体の動きを早めた。それに合わせて僕のペニスを扱く手の動きも早まった。
その時、僕の体の奥で何かが起こった。それは体の奥から体中に広がった。
「ああぁ」
体が反り返り、首が動く。
「ああ、い、いく!!」
僕は叫んでいた。そして、ペニスの奥の熱い塊が僕の体を突き抜けた。
「ああっ」
体が痙攣するかのように動いた。それは何度も僕を襲った。


突然、ロボットの体が光りだした。初めは弱い光だったが、すぐに明るく強い光になる。それが胸の赤い円の辺りに集まっていく。
「あと1分です」
オペレーターがそう言ったのと同時に、モニターが赤い光に包まれた。さっきの異獣の時と同じような、いや、それよりも強い光だった。
そして、その光が収まると、そこにはロボットしかいなかった。
「時間は?」
「まだ残ってます」
「どういうことだ」
「分かりません」
司令室がざわめいた。

「あぁ・・・」
3人目が僕から離れた。他の二人と一緒に僕を見下ろし笑っている。でも、そんなことはどうでも良かった。そんなことよりも、さっきの強烈な気持ち良さ、体の奥を突き上げるような気持ち良さの余韻に僕は呆然としていた。
「犯されて感じてやがる」
男達がニヤニヤ笑う。そのまま、さっさと服を着て荷物を抱え上げた。
「お前はそのままそこにいろ」
そう言い残して、3人の男達は森の向こうに消えていった。
僕はそこにいた。あの強烈な感覚を反芻していた。男達が消えていったことにも気がつかなかった。


モニターの向こうで、異獣は消えていた。誰もが呆然とそれを見ていた。しかし、それで終わりではなかった。
「えっ」
彼等の見つめるモニターの中で、あのロボットが現れた時と同じように突然消え去った。所長は思わず格納庫のモニターに目を向けた。
「どういう・・・ことだ」
そこには、何もなかったかのように、あのロボットが横たわっていた。

すぐさま、ロボットについて再調査が行われた。が、もうロボットは全く動かなかった。それどころか、その体の表面は消える前と何ら変わっておらず、蒸発光線を浴びた後であっても傷一つなかった。何か関節のようなものが現れている訳でもない。おそらく最後にロボットが放ったビーム、それは胸の赤い円から放出されたと考えられたが、そこも何も変化はなかった。
結局、何が起こったのか、彼等には理解することはできなかった。

「しかし、これまでの異獣襲来時には全く何も反応しなかったのが、今回は反応した。その理由があるはずだ」
所長は職員達にその理由を調査するよう命じた。それが解明できれば、異獣を駆逐するための最大の武器になり得るということは皆分かっていた。

      


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