ホントの気持ち
4.幸せなとき |
康弘のおかげで、僕らは普通に一緒にいて、手をつないだりしても誰も変なこと言わなくなってた。それは、康弘がいなくなってからもずっとそうだった。でも、さすがにキスとかはできなかった。あのキャンプの夜以来。あれから、もう2年近く経ってた。僕らは中学校に入り、そこでも同じクラスになった。まわりの友達は、小学校からそのままだから、僕達も安心だった。別の小学校から来てる子も、友達が全然普通にしてくれてたから、変な事言ったりはしなかったよ。 中学校にはいってから、僕はインターネットをするようになった。父さんのくれたノートパソコン、ちょっと古いタイプのやつらしいんだけど、それで、電話につないで、康弘と電子メールのやり取りをするようになったんだ。洋輔はパソコン持ってないから、僕の家で一緒にインターネットしてる。僕の肩越しに画面を覗きこんでる。ときどき、洋輔の息が僕の首にかかったり・・・なんか、どきどきする。洋輔に代わってあげて、今度は僕が洋輔の肩越しに画面を見る。でも、僕には画面よりも洋輔の方が気になった。画面を一心に見つめる洋輔。ホッペタに触りたい、とか思う。キスしたい、とか・・・ そういうことしても大丈夫だってことはわかってた。洋輔も、たぶん僕と同じように、キスしたいとか思ってるんだと思う。でも、そうわかっててもなかなかできないもんなんだなぁ、って・・・ 夏休みは、康弘が二人でアメリカに遊びにきたらって言ってくれた。でも、アメリカってのはね。ちょっと、遠すぎるし、そもそも言葉わかんないし・・・ 僕らは、あのキャンプ場に行くことにした。想い出のキャンプ場。2年ぶりに、今度は二人っきりで、5時間くらいかけて自転車で行くことに。テントとかも準備して、二人で一晩一緒にすごすことにした。 前に来たときには気が付かなかったけど、近くに大きな湖とかあって泳ぐことも出来たし、結構自転車でうろうろするのにはちょうどいいところだった。僕らはさんざん遊び回った。そして、夕食はご飯ははんごうで炊いて(これが大失敗)、レトルトのカレー。結局、ごはんはまともに食べられそうなのが半分くらいしかなくて、カレーのルーが主食になった。ま、こんなもんなのかな。家でやってみたときはうまくいったんだけど・・・ その日、僕は決めてたんだ。洋輔とキスをする。洋輔と一緒にオナニーするんだって。きっと洋輔もそうしたいと思ってる、と思う。「オナニーしたことある?」って最初に聞いてきたの、洋輔だもん。そのとき、僕は正直に「ある」って答えた。洋輔、なにか言いたそうだったけど、それ以上何も言わなかった。今日こそ、絶対、キスする。そして、洋輔のおちんちんに触るんだ、そう決めてた。 夜、どきどきしながら一緒にテントのなかで、ゲームしてた。僕と洋輔は、足を投げ出して座って、背中でもたれあってた。キスやオナニーのことばかり考えてたから、ゲームはへまばっかで全然クリアできなかった。もういいや、そう思ってゲームボーイを放り出す。 「どうしたの」洋輔が尋ねる。僕がなにも答えないでいるとさらに聞いてきた。 「なに、考えてるの?」 「別に・・・」いまがチャンスだ、とは思ったけど・・・言いだす勇気がない。 「ねぇ・・・キスしていい?」洋輔が言いだす。 「うん」そう言って体をねじって洋輔の方を見る。目の前に洋輔の顔があった。唇にかるく唇が押し付けられる。この感じ。いままでしたくてたまらなかったもの。 一旦体を離すと、僕は洋輔に抱きついた。そして、唇に唇を押し当てる。今度は強く。 「あ・・・」洋輔が軽く声を出す。そして、その少し開いた口に僕は吸いついた。 洋輔の手が、僕のズボンを間探り、遠慮がちにおちんちんにふれる。ちょっとびくっとして、思わず体を離してしまう。 「ごめん、いや?」 「ううん、そうじゃない」そうじゃなかった。堅くなってたからちょっと恥ずかしいだけ。 もう一回洋輔に抱きつく。洋輔の手がズボンの上からおちんちんに触れる。こんどは逃げない。僕も洋輔のおちんちんを探る。洋輔も堅くなってた。 「あぁ・・・たっちゃん・・・」 「洋輔・・・大好き。大好き・・・」 そういいながら、二人は抱きしめあった。 洋輔のからだって、すべすべなんだ・・・僕はそう思った。洋輔に握られて、洋輔の手の中でいったあとも、洋輔が僕の手の中でいったあとも、僕らはずっと抱き合っていた。おちんちんはまだ堅いままだった。 「ね、泳ぎに行こう」僕がいった。昼間泳いだ湖。あたりはもう暗かったけど、月明かりが案外明るかった。夜の湖は、静かで、神聖な場所のような気がした。まわりに誰もいないことを確認すると、僕らは全裸で泳いだ。そして、湖のほとりでもう一度抱きしめあった。そして、また泳いで・・・ テントに帰ってきたときには、二人とも疲れていた。二人はお互いの愛を確かめられ、幸せな気分で眠った。ずっと手をつないだまま・・・ 目がさめると、目の前に洋輔の顔があった。小さな鼻。規則正しい寝息。唇・・・ またキスがしたくなった。そっと体を起こして、洋輔に覆い被さるように顔を近づける。その瞬間、洋輔がパチッっと目を開けた。ちょっとびっくり。 「寝てると思った?」 「思った・・・」 洋輔が僕の首の後ろに手をかけて引き寄せる。キス。ゆっくりと、時間をかけて、相手を確かめた。 長いキスのあと、荷物をまとめて、家に向かって自転車を走らせた。途中、また湖によって泳ぐ。二人とも、昨日一日でかなり日に焼けていた。人気のない森の中で、裸で寝そべる。お互いの体の日に焼けた部分と焼けてない部分の境界線を指でなぞる。「きれいなおしり」洋輔が僕のお尻を触りながら言う。 「洋輔だって・・・」洋輔のお尻。思わず頬ずりしたくなる。 「ふふ」洋輔が小さく笑う。 「なんだよ」 「たっちゃんのおしり、カシオペアがある。知らないでしょ?」 「ほら、ここと、ここと・・・」洋輔が、僕のお尻をつつく。 「ここ。小さいほくろが並んでる。Wの字みたいに。だからカシオペア」 「そんなの、自分じゃ見えないもん」そう言って、僕は洋輔のお尻にキスをした。 それから2週間後、夏休みが終わり、学校が始まった。 そして、あいつがやってきた。 |