巨大少年物語
おおきくなりたい
5.復讐


やがて、僕等の学校が見えてきた。
「あれ・・・こんなに小さかったっけ?」昨日までは大きいと思っていた建物が、こんなに小さく、狭く感じるなんて・・・それに、校庭も狭い。僕は校庭の真ん中にあぐらをかいて座り込んだ。それでも、校舎は僕の視線の下にあった。
少し、体をかがめて窓から校舎の中をのぞき込んだ。まず、僕等のクラス。誰もいないや・・・ そのあとは、端っこから順番にのぞき込んでいく。低い階の窓をのぞき込むのは一苦労だった。
「もう、めんどくさいなぁ」そうつぶやくと、校舎の窓に手をかけて、そっと引っ張ってみた。
ごき・・・
そんな音、っていうか、感触がして、校舎の窓の側の壁が半分くらい、きれいにはがれた。
「うわぁ・・・丸見え! おもしろい〜」
僕は調子に乗って、校庭に面した側の校舎の壁を次々にはがしていった。中には誰も人はいなかった。
「ちぇ・・・誰もいないや」そういうと、僕は丸見えになった校舎に手を突っ込んで、中の物を校庭にかき出した。ぱらぱらと机や椅子、そのほかいろんな物が落ちていく。教室と教室の間の壁もむしり取る。しばらくそうしていたけど・・・
「そうだ、あいつら、さがさなきゃ」校舎で遊ぶことについつい夢中になってたけど、僕は復讐するために戻ってきたんだったんだ。
改めて回りを見渡すと体育館の入り口の柱の影から、何人かが僕の方を見ていた。僕がそっちを見ると、みんな頭を引っ込めて隠れたりしてる。その柱の影をのぞき込むと、先生達がそこに隠れていたんだ。
「き、きみは・・・なんでそんなことをするんだ」この先生、だれだったっけ・・・
「そんな悪いことをする子は・・・」僕は、その先生のところに右手を伸ばして親指と人差し指で輪を作った。
「や、やめなさい、君、な、なにをする・・・」
ぴん!!
僕は指で先生をはじいた。その瞬間、思い出した。そうだ、校長先生じゃん。すっかり忘れてた。

僕は立ち上がると、体育館の屋根に手をかけて持ち上げた。べりべりって音とともに、体育館の屋根がはがれて中が丸見えになった。体育館の中にはたくさん人がいた。初めは、誰も動かなかった。でも、僕が顔を近づけると、みんな一斉に出口に向かって走り出した。僕は、出口のところに膝をついて、誰も出られないようにドアを押さえた。それなのに、みんな出口に群がってくる。(まるで、蟻みたい)そんな中で、あいつらの友達をみつけた。指で床に押さえつけて、僕は尋ねた。
「ねえ、あいつら、どこにいるの?」必死になって頭を左右に振ってる。知らないってことかな? 僕は、少しだけ指に力を入れた。
「ねぇ、もう一回聞くけど・・・あいつら、どこにいるか知ってる?」そいつは僕の指の下で、手足をばたばたさせていた。そして、ふるえる腕を伸ばして、体育館の一角を指さした。その指の先、体育館の隅に、あいつらがいた。
「みぃつけた」僕は、立ち上がった。立ち上がるために手に体重をかけたときに、指先で何かをつぶしたような気がした。そうだ、忘れてた・・・「ごめんね」僕はもう一度しゃがみこんで、床でうずくまっていたあいつらの友達を指でつまみ上げ、体育館の外に出してあげた。

僕は、いじめっ子二人をつまみ上げて立ち上がった。
どこか良いところはないかな・・・プールだ! 僕はいじめっ子2人を、体育館の隣にある、今は水の入っていないプールの真ん中にそっとおろした。「よくも僕をいじめてくれたね」僕はプールの脇に仁王立ちになった。
パンツをおろす。そういや、朝からぜんぜんしてなかったけ・・・僕はおちんちんを摘むと、プールの中におしっこをした。プールにみるみる黄色い液体が溜まっていく。ぼくのおしっこのプールの中で、いじめっ子二人がおぼれそうになっていた。なんとか泳いでプールサイドにはい上がろうとする二人。でも、もうちょっとではい上がれるって時に、僕は二人をプールの真ん中に戻してやる。また泳ぐふたり。指でちょんってつついてやる。しばらく沈んで、ようやく顔を出したところでまたつつく。プールサイドのほうによっていったら、また指でつついて真ん中に戻してあげる。いじめっ子は僕のおしっこのプールの中で、必死に叫んでいた。「たす・・・ガボッ・・・けて・・・ゴホゴホッ」
しばらく二人をつついて遊んでたけど、だんだん動かないようになってきたんで、二人をつまみ上げてみた。二人ともぐったりしてた。なんか、おもしろくなくなったなぁ・・・
「もう、僕をいじめないでね」僕は、ぐったりした二人をぽいっと放り投げて、校庭にごろんと横になった。のばした腕の下敷きになって、あっけなく校舎が崩壊した。

        


インデックスに戻る