「さっきの表だと、ランク7はランク1から6までの利用目的を含んでるってことでいいんだよね?」
契約を終えた俺は、目の前で正座している少年に確認した。
「はい、その通りです、ご主人様」
契約が成立したとたん、この少年は俺の問いかけに対し、必ず答えの最後に『ご主人様』を付けるようになった。
「とりあえず、いろいろ質問してもいい?」
「もちろんです、ご主人様」
なんだか少し照れくさい。
「じゃ、君の名前は?」
「性処理道具です、ご主人様」
「あ、いや、そうじゃなくて・・・普通に呼びたいんだけど」
「普通に・・・ですか、ご主人様」
少年は一瞬困ったような顔をする。
「その『ご主人様』ってのもやめてくれない?」
「しかし、決まりですので。ご主人様」
微妙に会話がかみ合っていないような気がする。
「じゃ、今は奴隷じゃなくて、お手伝いとして利用することにする。それならいいだろ?」
「はい、ご主じ・・・」
少年がちょっと頭をかく仕草をする。
「はい、わかりました」
(かわええ・・・犯してぇ)
そんな思いとともに、ペニスが頭をもたげてくる。が、今は我慢だ。
「じゃ、質問に戻るけど、名前は?」
「名前ですか・・・えっと・・・」
(本名は言えないよな)
考え込む少年を見て思う。
「別に本名じゃなくてもいいよ。君を何て呼ぶかってことだから」
「はい、では・・・ケンジです」
「わかった。ケンジね」
「はい。僕はお客様をなんとお呼びすればいいでしょうか?」
「そうだな・・・堀内さんか、ホリさんでいいよ」
「わかりました、ホリさん」
こんな男の子に俺の愛称である『ホリさん』と呼ばれるのは、なんだか嬉しい。
「じゃ、質問のつづき。君は奴隷とか性処理道具の意味はわかってるんだよね」
「はい」
「経験はあるの?」
「はい、あります」
俺は唾を飲み込む。
「どんな?」
「それは、守秘義務に該当するので、すみませんがお答えできません」
(そうきたか・・・)
「怖くないの? 痛いことされるかも知れないし、殺されるかも知れないんだよ?」
「そうですね・・・でも、契約ですから」
(なぜ?)
そもそもなぜこの子はレンタルされることになったのか、誰に、いつ奴隷や性処理道具にされたのか、どんな経験を今までしてきたのか、全てが謎だった。さらに、俺は追加のサービスも契約した。つまり、これから痛めつけられ、怪我をするかも知れないこと、殺される可能性もあるということ、それも理解しているはず。それなのに、なぜこうも笑顔でいられるのか、逃げ出したくないのか・・・全部疑問だらけだった。しかし、それらを質問しても、恐らく俺の疑問を解消してくれるような答えは返ってこないであろうことは容易に想像できた。
「じゃ、とりあえず、クリスマスの飾り付けを手伝ってくれない?」
「はい、ホリさん」
その子は、ケンジは笑顔で答えた。
この部屋で、クリスマスの飾り付けなんて初めてだった。昨日、あわてて買ってきたクリスマスツリー・・・ちょっと目算を間違えて、天井まで届いてしまう大きさだったけど・・・に、大小さまざまなオーナメント、リボンに雪を模した綿、ケンジはそれらを器用に飾り付けていく。この部屋にはでかすぎるクリスマスツリーによじ登って、オーナメントを飾り付け、木から降りて、少し離れてそれを眺める。そして、また登ってちょっと位置を直す。そういうことを繰り返し、徐々にクリスマスらしくなっていく。俺はそんなケンジの肢体・・・腕の筋肉、太股、ふくらはぎ、服の上からもわかる張りのあるお尻、そして、股間・・・そういったものを鑑賞していた。
(これが、俺の性処理道具になるんだ)
そう思うと、今すぐにでも押さえつけ、犯したいという欲望がわき上がる。でも、それはまだ我慢だ。今はまだ、それをする時じゃない。
「こんなもんでしょうか、ホリさん」
2時間ほど経ったところで、ケンジが俺に尋ねた。材料を余すところなく使い、それでも過不足なく非常に見事な飾り付けだと俺には思えた。
「見事だ」
そういうと、ケンジはうれしそうに頷いた。全く普通の少年だ。しかも、俺好みの。
「じゃ、次。イブの日の夕食の買い出しだ。献立はケンジに任せても良いか?」
「はい、ホリさん」
近所のスーパーまで、献立の相談をしながら並んで歩く。こんなクリスマスは初めてだ。
夕食は、七面鳥・・・は大げさすぎるので、チキンにした。基本的にはケンジが提案し、俺がOKする、というやり方でメニューを決める。調理はすべてケンジが担当。どこでこんなことを覚えたのか、13才の少年とは思えない手際の良さだ。
「じゃ、一緒に食べようか」
俺はツリーの横にテーブルを置いて、ケンジと向かい合って座った。部屋の照明を消して、ろうそくに火を灯す。ケンジの顔が、ろうそくの炎のゆらめきで光と影を織りなす。
(きれいな顔だ)
俺は心からそう思った。今日出会ったばかりのこの少年、レンタルした少年。でも、仕事だからといった割り切り感や、仕方なくやっているという感じは全くない。少なくともこれまでの数時間、俺とケンジはまるで恋人同士のようだった。
「お前も少し飲むか?」
俺はワインのグラスをケンジのほうに差し出した。
「はい、頂きます」
ケンジは俺のグラスを受け取り、その中身を少し口に含んだ。まだ小さな喉仏が上下に動く。
「飲めるのか?」
「まあ、少しなら」
俺はケンジの分のグラスを準備した。
「じゃ、乾杯だ」
「なにに乾杯ですか?」
「そうだな・・・クリスマスと・・・」
俺は少し考えた。
「お前に出会えたことに、だ」
二人はグラスを合わせた。
食事はなにも言うことがなかった。まったく見事な腕前だ。一流シェフ、とまでは行かないんだろうが、俺にはそれと同等だった。
そして、洗い物もケンジと二人で片付けた。ケンジは「僕の仕事ですから」とか言っていたが、俺としては、ケンジと一緒にやりたかった。ケンジと二人なら、いつもは面倒な洗い物や後片付けも楽しかった。
そう、俺はケンジが気に入っていた。
その日は一緒に風呂に入った。
小さな湯船に二人で一緒に浸かり、体も洗い合った。
初めて、ケンジの裸体を見た。きれいな体だった。太ってもおらず、やせてもいない体についた薄い筋肉。適度に日焼けしている部分と焼けていない部分のコントラスト。さっきは服の上からしか見ていなかったお尻。それは美しい弧を描いている。思わず、その弧に手をはわす。ケンジはいやがらない。前を向かせると、股間にはまばらに毛が生えている。
「いつから生えた?」
「今年の初め頃かな」
俺はその毛を1本つまんで引っ張った。
「痛いですよ、ホリさん」
「ちょっと我慢して」
俺は毛を1本抜いた。それをバスルームの鏡に貼り付ける。
「ま、記念だ」
そして笑った。ケンジが恥ずかしそうに少し赤くなる。
「なんだ、恥ずかしいのか?」
「そりゃ・・・」
そして、そのまばらな毛の根本に、ケンジのペニスがある。体の割には大きめ、というか、太さはそうでもないが、長めに見える。俺はそっとそれを握る。ゆっくりと握った手を上に上げると、ケンジのペニスの先から亀頭が半分くらい顔を出す。
「剥けてる?」
「まだ完全じゃないけど」
相変わらず恥ずかしそうにしている。それは演技なのかもしれない。が、今の俺にはどうでもよかった。恥ずかしそうにしているケンジ、それで十分だ。
「ひざまづけ」
俺はケンジに命令した。いや、今は性処理道具、俺の奴隷だ。
ケンジは、俺の奴隷は俺の命令通り、俺の前にひざまづいた。
「口でしろ。わかるよな?」
「はい、ご主人様」
ケンジは、俺の奴隷は俺の意図をちゃん理解していた。今、この瞬間から性処理道具になったことを。
俺の奴隷はフェラが上手い。勃起した俺のペニスを口に含み、奥までくわえ込み、そうかと思うと亀頭の裏を舐め、竿に舌を這わせた。
「今まで何人に奉仕してきたんだ?」
「20人くらいです、ご主人様」
こういう聞き方をすれば答えが返ってくるのか。『どんな人に』と聞くと、その人の特徴を話すことになり、『答えられません』という答えが返ってくる。でも、何人くらいとか、特定の誰かに繋がらない質問ならいいって訳だ。
「精液はもちろん飲めるよな」
「はい、ご主人様」
「俺の精液飲みたいか?」
「もちろんです、ご主人様」
そう言いながら俺のペニスを頬張る俺の奴隷・・・ケンジ。
俺は、ケンジの顔面に射精した。ケンジは口を開き、それを少しでも多く口で受け止めようとした。口の中に入った精液はもちろん、顔面に飛び散った精液も、可能な限り指ですくい取ってケンジはそれを味わった。射精したあとの俺のペニスも口できれいにしてくれた。俺の精液を飲むケンジの顔が、幸せそうに見えたのは俺の気のせいなんだろうか・・・・・
クリスマスイブの夜、恋人同士に戻った俺達は、一つのベッドで全裸で抱き合って眠った。
俺は幸せだと思った。でも、ケンジはどう思っていたのだろうか・・・ケンジのぬくもりを全身で感じながら、ケンジも幸せを感じていて欲しいと願った。
せめて、今日は・・・
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