亀頭と睾丸に針が刺さったまま、奴隷は、ケンジは涙を流していた。
「痛いか?」
「はい・・・ご主人様」
答える声も小さくなっている。
「これはもう・・・だめだな」
俺は亀頭を指で押しつぶすように力を加える。
「うぅ」
奴隷の顔が苦痛で歪んだ。
「切るか」
そう言って、俺はキッチンに包丁を取りに行った。包丁を持って戻った俺を見ると、奴隷は初めて自ら口を開いた。
「切らないで下さい。お願いします、ご主人様」
(どうせ死ぬってわかってるのに)
切り落とされることに何を感じているのか興味はあった。しかし、それを知ったところで結果は変わらない。俺は奴隷の、ケンジのペニスの根元を左手でしっかりと握った。
「助けて下さい」
涙声で奴隷が、ケンジが言う。
「だめだ。どうせ」
そこまで言って、俺は針金で縛られているところに包丁を当て、力を込めて引いた。
「ぐあぁ!!!」
また大きな悲鳴とともに、血が飛び散る。
(ビニールシート敷いときゃよかったな)
床に血溜まりができる。しかし、ペニスはまだ切断できていない。
「もうちょっとだ、頑張れ」
そして、もう一度包丁を当てて、今度はペニスの先端を切り離した。
奴隷は、ケンジは気を失っていた。
ペニスに残っている針金を外すと、出血がひどくなった。指で強く圧迫してみる。少しましになる。そのままもう一度針金を巻き付け、縛り上げる。強めに縛ると出血はだいぶましになった。
「うぅ・・・」
気が付いたようだ。
「ほら」
俺はケンジに切断した亀頭の部分を見せてやった。
「あぁ・・・」
さて、これを見てケンジはなにを思っているのか。
「感想は?」
ケンジは何も答えない。答えられない。
「血が止まらない。止血しないとな」
俺が言うと、ケンジは股間をのぞき込んだ。
「あぁ」
そして、またうめいた。
「おっと、気を失うなよ」
軽くほおを叩いてやる。
「血、止めて」
奴隷からケンジに戻っている。
「血を止める方法、よく知らない」
「そんな・・・助けて」
実際に止血の方法なんて、圧迫以外は知らない。が、一つだけ本で見たことがある。
「じゃ、焼くか」
傷口を焼けば、血が止まるというのを何かで読んだ気がする。
俺はケンジの手錠を外した。ケンジは床にへたり込んだ。全く体に力が入らない様子だった。
「ほら、立て」
俺はそんなケンジの腕を掴んで立ち上がらせた。キッチンに引っ張っていく。ガスレンジの前に立たせる。
「血を止めたいなら、自分で焼いて止めろ」
ケンジが唖然とした表情で俺を見つめた。
「俺の奴隷なんだろ、自分でやれ」
「は、はい・・・ご主人様」
そう答えはしたものの、ケンジは、奴隷は動かなかった。
「やれ!」
俺は大きな声で命令した。ケンジは、奴隷はレンジに手を伸ばし、火を点けた。が、自分のペニスを焼くという行為はそう簡単にはできない。ケンジはレンジの火を見つめたまま、微動だにしなかった。
しかし、俺は何も言わずに待った。俺が何もしなくても、何も言わなくても、こいつは、ケンジはいずれ自分の意志で命令に従うだろうと確信していた。
「ぎゃぁぁぁぁ」
30分くらいかかったろうか・・・ケンジは自らのペニスをレンジの火にかざした。肉が焼ける匂いがした。
一旦火にペニスをかざし、その熱さに体を引いてしまう。それを何度か繰り返し、ようやくケンジはペニスを火の中に差し入れた。悲鳴を上げる。腰は引けている。しかし、自らの意志でペニスを焼き続ける。
(13才・・・だったよな)
中学1年の男の子。そんな子供が今、亀頭を切断され、ペニスを自ら焼いている。それをしたのは、させたのは俺。罪悪感はない。あるのは・・・オーガズムに似た達成感だ。
ケンジのペニスが炭のように真っ黒になり、ようやく血が止まった。ケンジはキッチンの床に崩れ落ちた。気絶した訳ではないが、放心状態だった。
「よくやったな。えらいぞ」
俺はケンジの頭をなで、その額にキスをした。そして、キッチンでしばらくケンジを抱きしめていた。
放心状態のケンジをそのままにして、俺はリビングに戻った。血溜まりの上に取りあえず新聞紙を置き、多少なりとも血を新聞紙に吸わせる。傍らにケンジの亀頭が落ちていた。それを拾って、キッチンで洗う。そして、ラップに包んで冷凍庫に入れておく。
キッチンの床にも点々と血が付いていた。それもぞうきんで拭う。血の付いたぞうきんを生ゴミ入れに放り込む。
「どうだ、大丈夫か?」
ケンジに声をかける。
「うぅ・・・」
反応はある。が、動きはない。俺はケンジを抱きかかえてリビングに運んだ。そして、あのケンジが自ら作った処刑台の横に並べて横たえた。
ペニスの周りが真っ赤になり、腫れ上がっている。所々に大豆のような水ぶくれもあった。しかし、血は出ていない。
(とりあえず、すぐに死ぬってことはないかな)
俺に医療の知識なんてほとんどない。だが、さっきのペニス切断の時の出血を見ると、すぐに失血で死ぬのではないかと思えた。それから考えれば、まあ、いずれ死ぬにしても、今は大丈夫だろう。
そんなケンジの足を持ち上げる。睾丸は少し腫れているようだが、そことアナルはペニスに比べれば全然普通に見える。俺は放心状態のケンジのアナルを犯した。
「くっ」
少しだけ声を出した。
「ほら、お前、ケツ掘られるの好きだろ?」
「ん・・・」
俺が呼びかけると、少し反応する。
そして、驚くべきことに、掘り続けているうちにケンジの焼け焦げたペニスが少しずつ勃起し始めた。炭化した皮がひび割れ、血がにじみ始めたが、それでも勃起し続けている。意識してか、あるいは無意識にケンジの手がペニスを握ろうとする。しかし、触れたところで痛みで手を引っ込める。それを何度か繰り返し、そしてついに勃起したペニスを握りしめた。
「気持ちいいのか、ケンジ」
ケンジが目を俺に向ける。
「気持ち・・・いい・・・です」
嘘ではない、そう感じた。
俺はケンジの中で射精した。ケンジも・・・おそらく。
しばらくケンジのアナルに挿入したまま、俺とケンジは一つになっていた。その間、俺はずっとケンジの頭をなでていた。
(俺は・・・この子を壊した)
後悔しているわけではない。俺が果たすべき役割を果たした、そんな気がしていた。
やがて、俺はケンジの体から離れると、ケンジを抱きかかえた。
「そろそろ、処刑の時間だ」
外はもう暗くなっていた。
俺は一人で床に座ってカップラーメンをすすっていた。
目の前には、ケンジが手を広げて横たわっている。両方の手はそれぞれの手のひらで、両足は足首あたりで一つに束ねて処刑台に釘付けしておいた。
「なあケンジ、こうなる運命だったのかな」
ケンジは何も答えない。気を失っているわけでも放心状態でもない。
でも、何も答えない。
「お前・・・本当は怖かったんだろ?」
(俺の言っている意味、分かるよな?)内心、そう語りかける。
「僕は・・・」
そして、また黙り込んだ。
どれくらい時間が経っただろう・・・ケンジが口を開いた。
「僕は・・・生きてないんです」
小さな声だが、ケンジは話していた。
「生きてないって・・・生きてるだろ、今は」
「そうじゃなくて・・・生きてることになってないんです」
ケンジが初めて自らのことを話し始めた。彼の生涯でこれ一度きりのことだろう、そんな確信があった。
「僕には・・・戸籍がないんです」
俺は、床に座ってケンジの話に耳を傾けた。
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