荒木君の体が熱い。息が荒い。普段は感じる事がない、そんな荒木君を直に感じられるのが気持ち良かった。もちろん、僕の体も熱いだろうし、息も同じように荒くなっている。
時々小さな声を出しながら、荒木君は僕の中で動き続けている。その動きを感じる。僕は無意識に喘いでいた。自分がこんなふうに喘ぐことなんか、想像したこともない。でも、今、荒木君を感じて、僕は喘いでいる。そして、体の奥が熱くなっていくのを感じていた。
「あ、なんか、来る!」
何かが僕の体の奧の方からちんこの方に押し寄せて来た。
「ああ!!」
荒木君にのしかかられ、体を折り曲げた状態で僕のちんこから精液が噴き出した。凄い量だ。それは僕の顔に飛び散った。
「ああ、締まる!」
荒木君も僕のお尻に打ち付ける。体の奧に熱い感触が広がる。
「ああっ」
荒木君が声を上げ、僕に打ち付け、そのまま動きを止める。荒木君の体がびくっびくっと脈動する。
(僕の中でいったんだ)
僕はそれを感じた。そして、まだ僕の中に入ったままの荒木君の頭を抱き寄せ、激しくキスをした。舌を絡め合い、お互いの口を貪り合った。そして、荒木君は僕の顔に飛び散っている僕の精液を舐め取る。それを僕に口移しする。自分の精液を荒木君と分け合っている。そして、それを荒木君は味わってくれているんだ。
僕の心が、気持ちが満たされるのを感じた。たぶん、それは荒木君もそうだと思う。
「抜くよ」
そして、荒木君が僕の体から出る。見なくても、触らなくてもお尻の穴が広がっているのが分かる。さっきまで荒木君がいたところ。荒木君を感じられなくなる。でも、僕の穴の奧は荒木君で満たされている。
「中に出したの、分かった」
「へぇ、分かるんだ」
僕が言うと、荒木君は意外そうだった。
「俺は中で出されてるって感じたこと、ないんだよな」
(そうなんだ)
僕より経験している荒木君が感じないことを僕は感じられた。それが少し嬉しい。
「どうだった?」
僕の隣に荒木君が横になった。
「気持ち良かった」
少し前までは、それを正直に言うのがくやしいような気がしていた。でも、今は本気でそう言える。荒木君に入れられて、本気で気持ち良かった。
「さっきと全然違ってた」
「俺もすっごく気持ち良かった」
荒木君が僕の手を探り、手のひらに手のひらを重ねる。指と指を絡ませ、手を握り合う。
「これでようやくセクフレだな」
思わず同意しそうになった。でも・・・
「まだだよ」
すると、荒木君は意外そうな表情で僕を見た。
「次は僕が入れる番だよ」
荒木君が溜め息を吐いた。
「やっぱ、そうなるか」
そして、笑顔になる。
「じゃ、少し休憩してからな」
でも・・・
「もう、今日は無理かも」
さっきのセックス・・・気持ち良かったセックス。今日はあれで充分だと思った。あの時、僕は触ってもいないのに射精してた。凄く気持ちがいい射精だった。あんなに出るとは思わなかった。今日、出る精液はあれで全部出たと思う。
「もう、たぶん出ない」
「トコロテンで凄くいってたもんな」
「トコロテン?」
「掘られてるだけでいっちゃってただろ? あれがトコロテン」
荒木君が僕のちんこに手を伸ばした。それはもう、完全に萎えてしまっている。
「今日はもう終了って感じだな」
荒木君が指で皮をつまんでぐにぐにした。でも、全然反応しない。そんな僕のちんこをしばらく触って、それでも全然固くならない。
「荒木君は?」
僕は荒木君のちんこに手を伸ばす。
「俺も、ホントのこと言うと、もう立たないっぽい」
確かにそこは、僕と同じように萎えてふにゃふにゃになっていた。僕もそのちんこをしばらく揉んだりしごいたりしてみた。やっぱり全然固くならない。
「いつもならもっとやれるんだけどな」
それは僕も同じだ。
「でも、さっきの・・・お前のアナル、気持ち良すぎた」
「僕もあんな気持ちのいい射精、初めてだよ」
ベッドに横になったまま、お互いの顔を見つめ合う。同時に顔を寄せ合った。そのまま唇を重ねる。最初は軽く、そして口を開いて貪り合う。舌を入れて絡め合う。
「ああ・・・」
「はぁ・・・」
長くて激しいキスをした。でも、そのキスの最中も、僕等のちんこは萎えたままだった。
「鳴瀬君、どうするの?」
全裸のまま、二人並んでベッドに横になりながら、僕は荒木君に尋ねた。
「さぁな・・・どうすっかな」
「誰かに喋ったりしないよね」
「それは出来ないだろ」
学級委員だったから、早退した僕のところにプリントを届けに来てくれただけなのに・・・
「ちょっと、鳴瀬君には悪いことしたかな」
「お前はがんがん掘ってたからなぁ」
そうだ。鳴瀬君に痛い思いをさせたのは僕だ。
「でも、俺が騙したんだし」
「そうだよ・・・でも、したのは僕だし」
荒木君が僕の方を向いて言った。
「明日、あいつも気持ち良くしてやろうぜ」
僕は荒木君から目を反らした。荒木君が僕を見つめているのを感じた。
「それじゃ、だめ?」
僕は頭を横に振る。
「僕は・・・荒木君とのこと・・・二人だけの秘密にしたかった」
ぼそっと言った。
「鳴瀬君には悪いけど・・・あいつに入ってきて欲しくない」
たぶん、僕の正直な気持ちだ。
「でも、もう巻き込んじゃったし」
「それはそうなんだけど・・・」
どうすればいいのか分からなかった。
「つまり、あいつもセクフレにするってのには反対なんだな」
「うん・・・」
荒木君はベッドに横になったまま、腕組みをする。
「お前はどうしたいの?」
それが分からないから困ってる訳なんだけど・・・
「三人でするのは嫌で、二人ならいいとか?」
「二人って、どういう意味で?」
「つまり、俺とお前、俺と鳴瀬、お前と鳴瀬がってこと」
「それは・・・嫌だ」
これは・・・たぶん、嫉妬だ。普通の嫉妬とはちょっと違うようには思うけど、嫉妬であることは間違いないんじゃないだろうか。別に荒木君を独り占めしたいとかじゃない。でも、この秘密の関係は、僕と荒木君の二人だけのものにしたい。そういうことだろう。
「俺が鳴瀬とするのも嫌なんだ」
「うん」
「じゃ、俺とあの人・・・ホテルで会ったあの人がするのは?」
「それは仕方がないと思うし・・・」
あの人は、僕が荒木君とこうなる前から荒木君と付き合っている。そして、荒木君もあの人のことが好きだってことを知っている。だから、そこに踏み込むことは出来ない。あの人と荒木君の関係は特別だって思えるから。
「ふぅん・・・複雑なんだな」
そう。僕は自分がどうしたいのかも分からない。
「じゃ、もうこのまま鳴瀬には何もしないとか?」
「それはそれで不安じゃない?」
荒木君は溜め息を吐いた。
「セクフレはダメ。何もしないってのもダメ。じゃ、いっそ、誘拐してどこかに閉じ込めるとか」
悪くない考えだと思う。実際にそれが出来るのであれば、だけど。
「あーあ、あいつ、引っ張り込まなきゃ良かったなぁ」
荒木君が溜め息交じりに言った。なんだか、荒木君に申し訳なく思う。
「ごめんね。僕があのとき上手くごまかしてたら・・・」
「お前のせいじゃないよ。あいつが勝手にドア開けたんだし」
そうだ。あの時、鳴瀬君が勝手にドアを開けなければ良かったんだ。そもそも、人の家に来て、勝手にドアを開けるなんてことする方が悪い。鳴瀬君だって悪いんだ。
「もう、僕等と関わりたくないって思わせたらどうかな」
「たぶん、もう、関わりたくないと思ってるよ」
そりゃそうだ。痛い目にあわされて、明日も来いって脅されてるんだから。
「鳴瀬君の方から『もう勘弁して、絶対誰にも言わないから』って言わせられたらいいかもね」
「それはつまり、もっと痛い思いをさせるってこと?」
「う〜ん・・・どうかな」
具体的にどうするかなんて、何も考えてない。
「例えばどんなことするとか?」
しばらく考えてから答えた。
「掘るのとか、ひっぱたくとか、恥ずかしいことさせるとか?」
「いじめだな」
そう言われればそうだ。
「それは・・・嫌だなぁ、いじめるなんてのは」
僕はいじめに加わったことも、いじめを受けたこともない、たぶん、荒木君もそういうタイプだと思う。だから、僕等が鳴瀬君をいじめる、というのは想像したくない。
「でも、例えばセックスのプレイとしてそういうこととかは?」
「プレイとして?」
「そう。つまり、SMみたいな」
ネット動画で見たことがある。でも、そのSMは、外国人が革の服を着て、鞭打ちとか卓球のラケットみたいなのでお尻を叩いたりするようなやつだ。
「いじめじゃなくて、あくまでプレイとしてってことでやるってのは?」
「そんなこと、出来る?」
「どうかな・・・真似事程度かな」
「ちょっと待って」
僕は起き上がり、全裸のまま、机の上のノートPCの電源を入れた。
「なに、動画でも探す?」
「うん」
荒木君も僕の横に来る。僕は椅子に座ってSMの動画を検索してみた。
「ゲイ、SM、動画で検索した方が良くない?」
その通りにしてみる。そして、そういう動画サイトにたどり着いた。動画のリンクを適当にクリックしてみる。縛られた男の人が、でっかいディルドを入れられる動画だった。
「こんなのは無理だろ」
その後、いくつか見てみたけど、とても僕等に出来そうなものはない。
「じゃ、普通に嫌なことさせるとかは?」
「例えば?」
「・・・授業中にオナニーさせるとか」
「却下。見つかったら俺達のこと言うだろ、それ」
それもそうだ。つまり、他の人に見つかるようなことはさせられないってことだ。
たどり着いた動画サイトで適当に検索してみる。目隠しをしてちんこを口の奥まで突っ込んでたり、何人かで一人を犯してたり。
「なんだか、普通に僕等がやれそうなのって、意外とないよね」
そう言ってる僕自身、どういう基準でやれる、やれないって言ってるのか分かっていない。もっと言えば、僕がどういうことをやりたいのかも分かっていないんだ。
「これとか、どう?」
荒木君がある画像を指差した。それをクリックしてみる。体に落書きされて、口に何か猿ぐつわみたいなのされて、犯されてる動画だった。
「落書きは有りかもね」
次にクリックした動画の中では、男の人がおしっこをぶっかけられている。
「お風呂とか使えるなら、これもありかもね」
そして、その動画の下に表示されている画像を適当にクリックする。
「あ、こういうの、させてみたいかも」
「貞操帯だな」
「持ってる?」
「持ってる訳無いだろ」
残念だけど、ないなら仕方がない。そして、次の動画を見る。ちょっと良い感じの男の人が、上半身は普通に服を着て、下半身だけ裸で映っている。その男の人は、画面に向けて自分のお尻を広げてお尻の穴を晒しながら、質問に答えていた。
「へぇ・・・なんかヤラしい」
「こんな感じでいろいろヤラしいこと言わせて撮影するってのもありかもな」
少し気になって、その動画をしばらく見る。
「いいかもね。こんなのクラスの奴等に見られたら凄いことになるだろうし」
「こっちからこういうこと言え、みたいな指示出したりとか」
「そうそう。ヤラしいこと書いた紙見せて、それを言わせるとかね」
「ヤラしいことじゃなくても、こんな格好させながら普通のこと答えさせてもいいかも」
なんだか少し、楽しくなってきた。
「荒木君はそういうこと、されたことないの?」
「色々言わされるみたいなこと?」
「それに限らず、エロいイジメみたいなプレイとかも」
「そうだなぁ・・・剃られたり縛られたことはあるけど」
「剃ってみるってのもありだね」
そう言う僕の顔を荒木君が見た。
「お前・・・案外Sなんだな」
顎で僕の股間を指した。僕のちんこが勃起していた。
その後、二人でいろいろネット動画を見たり、検索してみながら相談した。
鳴瀬君を僕等のことは秘密にしたまま僕等の関係から追い出す筈の計画が、いつの間にか、どんな風にしてエロくイジメるか、という違う話になっていた。
翌日、僕と荒木君は初めて待ち合わせて一緒に登校した。もちろん、教室に入る前には別れる。僕は自分の教室に入る。見回すと、鳴瀬君はもう来ていた。ひょっとしたら休むかもしれないって思っていたけど、さすがは学級委員だ。僕が見ていることに気が付くと、鳴瀬君は目を反らした。近くに行く。僕のことは見ていないけど、意識しているのが分かる。
「おはよ、学級委員」
学校で鳴瀬君に声をかけるときは、"鳴瀬君"というより"学級委員"と呼ぶ方が断然多い。他のみんなも同じだ。つまり、いつもの通りの挨拶だ。でも、鳴瀬君は僕に背を向け、おどおどしている。もちろん、他の奴等には気付かれない程度だけど。そんな鳴瀬君の肩をとんとんと叩く。一瞬、肩がびくっと跳ね上がる。そして、恐る恐るって感じで僕の方を振り向いた。
「おはよ、鳴瀬君」
笑顔で言った。鳴瀬君の顔が引きつる。
「お、おはよ・・・三島・・・君」
小声で返事した。その様子が面白い。もっといろいろ話したら楽しいだろうな。『昨日は楽しかったね』とか、『お尻、大丈夫?』とか。でも、あんまり朝から追い込まない方がいいだろう。僕は鳴瀬君から離れて自分の席に座った。
授業中も僕はずっと鳴瀬君を見ていた。鳴瀬君はそれに気が付いている。ずっと僕を意識している。目が合うと、おどおどと目を反らす。でも、それ以上のことはしなかったし、近づくこともしなかった。お楽しみは放課後、学校が終わってからだ。
そして放課後、僕と荒木君は一緒に校門に向かう。僕等はわざと、少し時間が経ってから教室から出てきた。校門で鳴瀬君が待っていた。
「お待たせ」
荒木君が鳴瀬君の肩に手を回す。
「じゃ、行こうか」
僕は鳴瀬君の手から鳴瀬君のカバンを奪い取る。逃げたり出来ないようにするためだ。もちろん、逃げたらどうなるかは鳴瀬君も分かってるはずだけど。
途中、敢えて僕等は何も話さなかった。鳴瀬君は不安になるはずだ。
「あ、あの・・・」
そして、耐えきれずに僕等に何かを言おうとする。でも、僕等はそれを無視する。鳴瀬君は僕を見て、荒木君を見て、そして俯いた。笑ってしまいそうになるのをこらえる。
そのまま僕等は歩き続ける。僕の家が見えたところで、鳴瀬君の足が急に遅くなる。僕は鳴瀬君の後ろから、肩を押して歩かせた。
そして、僕等は玄関のドアの前に立っていた
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