「どうする?」
僕は荒木君に尋ねる。
「どうしよう」
荒木君が言う。
「まさか、こんなことになるとはなぁ」
そうだ。鳴瀬君を僕らの間から追い出すためのイジメ・・・あくまでプレイとしての、だけど・・・のはずだったのに・・・
「一応確認だけど、鳴瀬君はまたあんなことされたいってことなんだよね?」
「そう・・・だと思う」
荒木君も、まだ少し信じられないような感じだ。
「あれってつまり・・・鳴瀬君、どMだったってこと?」
「だったのか、俺達にされて覚醒したのかは分からないけど・・・とにかくどMってことには間違いないんだろうな」
そして、僕等は脅されたんだ。またしないと・・・つまり、またイジメてやらないと、今までのことをバラすって。
「なんでこんなことに・・・」
僕は溜め息を吐く。
「とにかく・・・俺達でどうにかできることじゃないと思う」
「じゃ、どうするのさ」
「あの人に相談してみようかって思ってる」
あの人・・・荒木君が付き合ってる、あの人だ。
「でも、僕等のことも言うことになるよ?」
荒木君と僕の関係は、あの人にとっては、いわば浮気のようなものだろう。
「知ってるよ。話してるから」
「えっ」
「だから、お前とこういう関係ってのは話してある。意外とお前が変態でパンツ交換とかさせられたとかも」
「えぇ・・・」
急に恥ずかしくなる。荒木君とだから、ああいうことが言えて、ああいうことが出来たのに。それを他の人が知ってたなんて・・・
「まぁ、こんなことの力になってくれそうな人って、あの人しか思いつかないし」
僕はちょっと考えた。親・・・絶対ダメ。先生・・・問題外。他には・・・言えそうな人なんていない。確かに、言えるとしたら、あの人だけだ。
「なんとかなるかどうかは分からないけど・・・とにかく、相談してみようと思ってる」
そして、荒木君はスマホでLINEを立ち上げる。
「お前、明日、空いてる?」
明日は土曜日。特に予定はない。僕は頷きかけた。
「え、ちょ、ちょっと待ってよ。僕も行くの?」
「当たり前だろ。これは俺とお前と鳴瀬の問題なんだから」
あの人ともう一度会う。初めて会って、荒木君とのセックスを見せてもらって、そのあと荒木君にオナニーを見せてやってくれって頼まれて、そして逃げ出した僕が、またあの人に。
「僕・・・逃げちゃったし」
「大丈夫だよ。気にしてない」
スマホを操作しながら荒木君が言う。
「それとも、3人で会うの、不安?」
そう言われて、初めてそうなる可能性・・・僕も一緒に3人でセックスする可能性・・・いや、むしろ僕が犯される可能性・・・に気が付く。
「そ、それは・・・」
僕はさりげなく股間を手で覆う。
「お前、立ってきてるじゃん」
荒木君にはお見通しだ。
「とにかく、明日大丈夫みたいだから、お前も来い。いいよな?」
「う、うん」
僕のちんこが完全に勃起した。そんな僕に荒木君はスマホのレンズを向けた。
「撮んなよ」
そして、シャッター音がした。
次の日の昼過ぎ、僕は荒木君に連れられてあのホテル、初めてあの人と会ったホテルに来ていた。少し緊張している。ホテルに入る前に、荒木君は部屋の番号を聞いていた。エレベータに乗る。あの時を思い出す。そして、ドアの前に立った。
ドアに鍵は掛かっていなかった。荒木君は何も言わずにドアを開けて中に入る。僕はその後に付いていく。部屋の造りは同じだ。短い廊下の先にベッドが少し見える。
「やあ、来たな」
声がした。
「連れてきた」
荒木君が言う。そして、僕はまたあの人と会った。
「久しぶりだね」
その日は、その人は前のようなガウンじゃなくて、普通の格好をしていた。
「あの、さ・・・聞いて欲しいことがあんだけど」
荒木君が少し説明を始める。僕等がボクブリを交換したこと、校舎の屋上で擦りつけあったこと、学校を抜け出そうとしたこと、そして、僕の家の玄関で下半身裸になって擦りつけあったこと。
「そしたらさ、そいつが来たんだよ・・・あとの説明は任せた」
急に荒木君が僕に話を振った。
「ええ?」
「お前だって責任あるんだから」
「ま、まぁ、そうだけど・・・」
そして、僕は玄関のチャイムの音がした所から話し始めた。
「なるほどね」
鳴瀬君に脅されたところまで話し終えると、その人が笑いながら言った。
「要するに、イジメて追い出そうとしたら、どMが覚醒して逆にイジメやめるならバラすって脅されたって訳だな」
「笑うなよ、こっちはマジ悩んでんだから」
「ああ、これは済まない。でも、笑える話だな。ミイラ取りがミイラになったって訳だ」
「ねえ、どうしたら良いと思う?」
その人はしばらく笑っていたけど、少し真剣な顔になって考え込んだ。
「その子・・・鳴瀬君だっけ? は、君等のどっちかが好きとかそういうことは?」
「ないと思う。普通に好きな女子は斉藤さんだって言ってたし」
「ふむ」
少し考えているようだ。
「じゃあ、君等じゃなくてもいいってことか、相手は」
「僕等じゃないとダメってことじゃないとは思いますけど・・・」
「じゃ、その子、ここに今呼び出せる?」
荒木君がスマホで電話をかける。
「俺。今日、来れるか?」
そして、ホテルの場所と部屋番号を伝えている。どうやら来るようだ。
「喜んでたよ、あいつ」
「俺のことは話したのか?」
「話してないよ。俺と三島って言ってある」
なんとなく騙した様な気分になる。それを感じたのか、荒木君が付け加えた。
「二人だけとは言ってないし、そもそも二人だけだったらお前の家ですればいいんだし、あいつも少しは何かあるって気付いてるんじゃない?」
まあ、それもそうだ。僕等は鳴瀬君が来るのを待つことにした。
「てっきり、別れ話でも切り出されるのかと思ってた」
鳴瀬君が来るまでの間、僕等はベッドに座ってなんとなく話をしていた。
「お前等二人、なんか良い感じっぽいしな、話を聞く限り」
あの人が荒木君に言った。
「まあ、三島とはセクフレだから」
「俺とは?」
「恋人?」
そして、二人がじゃれ合う。
(いいなぁ)
僕はそれをうらやましく思う。
(やっぱ、セクフレじゃな・・・)
そして、部屋のドアをノックする音がした。
「来たっ」
荒木君が小さな声で言った。そして、僕を見た。僕は頷いて、部屋のドアを開いて鳴瀬君を部屋に引き入れた。僕は閉じたドアに鍵を掛け、チェーンロックをした。
「やあ、初めまして」
あの人の声がした。僕もベッドの所に戻る。鳴瀬君があの人の前に立っていた。少し緊張している感じだけど、驚いたりはしていないようだ。
「今日、ここに呼ばれた理由、分かりますか?」
鳴瀬君はちらりと荒木君を見た。
「荒木君に呼ばれたから」
小さな声だった。
「それがここに来た理由ですか?」
すると、鳴瀬君は小さく首を左右に振った。
「そうですよね。じゃ、あなたは何をしにここに来たんですか?」
鳴瀬君が小さな声で何かを呟いた。その呟きは、僕にも、荒木君にもあの人にも聞き取れない。
「聞こえませんね。あなたがここに来た理由、何ですか?」
「・・・から」
少しだけ聞こえた。
「もっと、はっきり答えて下さい」
「い・・・イジメてもらえる・・・と思ったから」
そして、鳴瀬君はあの人をチラリと見た。
「そうですか。あなたはイジメられたいんですね」
鳴瀬君は俯いて答えなかった。
「そうですか。じゃ、あなたの体に聞いてみましょう」
そして、荒木君に向かって言った。
「啓人、この子のズボン、脱がせて下さい」
誰かがゴクッと唾を飲み込む音が聞こえた。僕じゃ無いし、あの人でもない、荒木君か鳴瀬君。たぶん、鳴瀬君だ。そんな鳴瀬君の前に荒木君がしゃがみ込んだ。ズボンのベルトに手をかける。鳴瀬君は何もせずに、荒木君にされるがままにズボンを下ろされる。鳴瀬君のボクブリが盛り上がっていた。
「それはなんですか?」
あの人がその部分を顎で指した。
「ちんこ・・・です」
鳴瀬君の顔が赤くなっている。
「ちんこがどうなっているんですか?」
「ぼ・・・勃起してます」
「なんで勃起してるんですか?」
鳴瀬君が答えるまでの間に、少しだけ間があった。
「イジメられたいからです」
今度ははっきりと聞こえる声で言った。
「そうですか」
あの人はそう言う。次に何を聞くのか、あるいは何をするのか、僕はドキドキしながら見守る。でも、その人は何も言わない。何もしなかった。そのまま1分、2分と時間が経つ。
「あ、あの・・・」
鳴瀬君が顔を上げた。
「あの・・・」
でも、それ以上言わない。
「なんですか?」
あの人は普通の表情・・・なんとなく、少し真剣な表情で鳴瀬君を見ている。鳴瀬君がまた俯いた。
「あなたが言わなければ、ずっとこのままですよ」
そして、また数分誰も何も言わない。
「い、イジメて・・・イジメて下さい!」
やがて、鳴瀬君が大きな声で言った。鳴瀬君がこの部屋に来てから初めて、あの人が笑顔になった。
「じゃ、まずは全裸になって下さい」
鳴瀬君は少し顔を伏せながら、服を脱いでいく。
「あなたはどMなんですってね。私はそんな子が大好きなんですよ」
僕は荒木君の顔を見た。何も言ってないのに、僕を見て頷く。その仕草に何故か安心した。
そして、鳴瀬君が全裸になった。ちんこからは既に先走りが垂れている。
「あなたはなぜそんなに興奮してるんですか?」
「・・・」
鳴瀬君が何か、小さな声で答えた。
「聞こえませんね。もっと大きな声で言いなさい」
あの人が鳴瀬君を見る。俯いていた鳴瀬君が顔を上げる。ほんの短い間だけど、二人の目が合ったように思う。
「見られてるから」
鳴瀬君が僕を、そして荒木君を見る。
「そうですか。あなたはこの二人に見られていると、興奮して勃起するんですね」
「はい」
鳴瀬君が頷いた。
「この二人に見られながら、イジメられたいんですか?」
「はい」
「じゃ、二人に、もっとよく見て下さいってお願いして下さい」
あの人は、鳴瀬君にはずっと丁寧な言葉使いだ。それがなんだか違和感というか、何か張り詰めたような空気になっている。その空気には逆らっちゃだめだと思わせる何かを感じた。鳴瀬君もそうだったのかもしれない。僕等に言った。
「もっと、僕を見てください」
そして、頭を下げる。
「あなたは二人にアナルを撮影されたそうですね。私もあなたのアナルを是非見てみたいと思いますよ」
鳴瀬君は体を反転させた。上半身を少し前に倒して、両手でお尻を開く。
「見て下さい」
脅しや暴力じゃない。完全に自分から進んでお尻の穴を僕等に見せている。こんな鳴瀬君、もちろん想像できなかった。
「あなたは学級委員なんだそうですね」
「はい」
「学級委員が自分でお尻を開いてアナルを見せるなんて、やっていいことですか?」
「そ、それは・・・」
鳴瀬君が答えに詰まった。
「こんな学級委員、失格だと思います」
そして、答えた。
「いいえ、むしろ、もっといやらしいことも平気でするような学級委員になってください」
僕はまた荒木君をチラリと見た。荒木君は動かないでずっと鳴瀬君を見ている。今度は僕と目を合わせてくれない。
「啓人」
あの人が言った。荒木君があの人を見た。
「バスルームからひげ剃りとシェービングクリームを持って来て下さい」
荒木君は何も言わずにベッドを乗り越えてバスルームに向かう。すぐに戻ってくる。
「さあ、学級委員はこの二人に見てもらいながら、自分で毛を剃りましょう」
そして、ひげ剃りとシェービングクリームを鳴瀬君に手渡す。鳴瀬君は、それを受け取りはしたけど、どうしたらいいのか分からないようだ。
「啓人、教えてあげなさい」
荒木君が鳴瀬君に近づいて、シェービングクリームを少し手に取り、それを鳴瀬君の股間に塗り付ける。そして、ひげ剃りで剃るような仕草をする。今度は鳴瀬君が自分でクリームを手に取って、それを股間に塗り付けた。ひげ剃りを当てる。それをゆっくりと動かした。
「剃ってる」
思わず僕は呟いた。一瞬、鳴瀬君の手が止まる。でも、また剃り続ける。僕はそれを固唾を飲んで見ている。僕等の目の前で、鳴瀬君の毛が無くなっていく。その最中、荒木君がまたベッドを乗り越えてバスルームに行く。やがて固く絞ったタオルを持って戻ってくる。そのタオルを鳴瀬君に渡す。鳴瀬君はそれで股間を拭き取った。そこにはもう、毛は無かった。鳴瀬君は、僕等のクラスの学級委員は、今、僕等の目の前で、自分で毛を剃ったんだ。
「もっときれいに剃りなさい」
あの人が命じる。鳴瀬君は股間にシェービングクリームを塗って、ひげ剃りを当てた。やがて、鳴瀬君のそこはまるで小学生のようにつるつるになっていた。
「さあ、きれいになりましたね」
あの人は笑顔だ。優しそうな笑顔。でも、その奧に一瞬、冷たい笑顔が見えたような気がした。
「では、ここに、彼等の方を向いて立って下さい」
その通りに鳴瀬君が立つ。ちんこはずっと勃起して、先走りがだらだらと垂れている。
「両手を背中に回して下さい」
その通りにした鳴瀬君の手を、あの人がガウンの紐で縛る。
「君、下の名前教えてもらえないかな」
急にあの人が僕に言った。
「えっ、あ、博史です」
「じゃ、博史君、この子のペニスを上から下に、平手で叩いてあげて下さい」
僕は言われた通り、鳴瀬君の勃起したちんこを手のひらではたくように叩いた。
「うっ」
鳴瀬君が少し腰を引く。
「もっと強く」
次は少し強めに手を振り下ろす。
「うっ」
今度は少し痛そうな声だった。
「もっと」
更に力を入れる。
「もっと」
それに従う。
「もっとですよ、もっと」
僕はほぼ全力で手を振り下ろした。鳴瀬君のちんこがさっきより固くなっている。叩いている僕の手が痛い。
「ほら、この子はますます興奮しているようですよ」
鳴瀬君のちんこが、ほとんどお腹にくっつくくらいに反り返っていた。
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