「奥本君に嗅いでもらいました」
磔台に固定され、佐竹先生にアナルの匂いを嗅がれながら、孝典は言った。
「そうか・・・どうだった?」
「恥ずかしかったです。でも」
そして、黙った。佐竹はしばらくアナルを舐めた後、顔をあげて孝典に尋ねる。
「でも?」
「な、なんでもないです」
孝典の前にしゃがみ込んでいた佐竹が立ち上がる。
「俺に嘘を吐くつもりか」
孝典の髪の毛を掴んで顔をあげさせる。そして、その口にむさぼりつくようにキスする。
「終わりだな」
「えっ」
「もう終わりだ。帰れ。二度と来るな」
そして、足枷を外そうとする。
「ま、待ってください」
慌てて孝典が言った。
「その後、奥本君としゃぶり合いしました」
足枷を外しかけていた手を止める。
「俺に黙って他の奴としたのか」
「したって・・・しゃぶり合っただけです」
「お前は俺のものだということを忘れたのか?」
「い、いえ・・・」
佐竹が腕組みし、孝典を見下ろした。
「ちゃんとご主人様に報告しろ」
「は、はい」
そして、孝典はあの日のことを全て打ち明けた。
「奥本は、俺とやってるって気付いたのか?」
孝典は首を左右に振る。
「僕、答えなかったから・・・たぶん気付いてないと思います」
「それは気付いただろ、むしろ」
佐竹が孝典の頬を掴む。
「お仕置きしないとな」
そして、佐竹は磔台を横に倒した。さらに倒し、孝典を逆さにした。
「確か・・・」
そう言って、部屋を出て行く。すぐに戻ってきたその手には、包丁を握っていた。
「ひっ」
孝典の頭にあの夢が蘇った。全裸で逆さに磔にされ、首を包丁で切りつけられる夢。でもそれはパラレルワールドの孝典に実際に起きたことだ。
「こんな感じだよな」
佐竹が孝典の首に包丁を当てる。孝典の体が震える。
「お前の夢を聞いて、お前とこういうプレイをするようになって・・・俺の中にもそういうことをしてみたいって気持ちがあるのに気が付いた」
「じょ、冗談でしょ、先生」
孝典の声が震えている。
「俺も、最初は単なる願望のようなものが、お前の話で触発されただけだと思っていた」
そして、佐竹が真剣な顔になる。
「でも、今は・・・」
「ひ、ひぃ」
逆さになった孝典のペニスから小便が漏れる。
「こんなチャンスは二度とない。でも生徒を殺したなんてことになったら俺の人生は終わる。その二つの中で、俺は今、葛藤しているところだ」
佐竹の顔がいつもの佐竹の顔とは違って見える。恐怖。狂気。そんなものを感じる。
「い、いやだ」
佐竹は脱ぎ散らかしたままの孝典のズボンのポケットから孝典のスマホを取り出した。ロックを解除し、孝典にそれをかざす。シャッター音がした。
「奥本に送ってやるよ」
「やめてっ」
しかし、佐竹は孝典のスマホを操作している。
「送信完了」
その画面を孝典に見せた。佐竹がスマホを床に投げ捨てる。
「これであいつにお前の本性がバレちゃったな」
孝典のアナルに指を突っ込む。
「あっ」
すぐに指が2本に増える。孝典のペニスが勃起する。
「お前はあいつのことをどう思ってるんだ?」
孝典は答えない。
「ケツの穴の匂い嗅がせたついでにフェラし合うくらいなんだから、それなりに思ってるんだろ?」
確かにその通りだった。一番仲のいい友達でもあり、そして、そういうことをした友達。それはつまり、すでに特別な関係だということ。そして、そういう気持ちがあったからこそそうなったと言われれば、そうじゃないとは言えなかった。
「俺の奴隷のくせして」
佐竹が拳を孝典の腹に打ち付けた。
「ふぐっ」
さらに、頭の上で両手を握り合わせ、それを孝典の股間に振り下ろした。
「あがっ」
孝典が大きく口を開き、そのまま固まった。
「どうなんだ?」
再び股間を打ち据える。
「お前、玉潰されたいんだよな?」
孝典の陰嚢を掴む。
「やめろ!」
孝典が喚く。が、手足を拘束されている上にほとんど身動きができない。そんな孝典の視界の奥で何かが動いた。

「ふがっ」
佐竹の頭が横に吹っ飛んだ。孝典は訳が分からず固まっている。そんな孝典の前に、ユウが姿を現した。
「え・・・・・」
孝典は目を見開いている。
「大丈夫か?」
ユウがしゃがんで孝典に話しかけた。
「ユ、ユウ?」
「ああ」
その時、佐竹が何かうめいた。
「ちょっと待ってろ」
ユウが手にしていたバットを振りかぶる。それを佐竹の顔面に打ち据えた。佐竹の体が震え、そして動かなくなった。
「ユウ!」
ユウがバットを投げ捨てる。
「ユウ・・・」
孝典が泣いていた。
「なんで泣くんだよ」
ユウが笑いかける。
「だ、だって・・・」
ユウがしゃがみ込んで、逆さのままの孝典の口にキスをした。

「これ、外してよ」
「うん、ちょっと待って」
ユウはゆっくりと孝典が磔にされている板を横に倒し、上下を元に戻す。
「外して」
「待って」
ユウは床に倒れたままの佐竹の足を持ち上げ、そのまま引きずって部屋の外に消えていく。その後、部屋に戻ってバットを拾い、また部屋から消える。音がした。そして、ユウが部屋に戻ってきた。床に落ちていた孝典のスマホを拾い上げる。
「友達に送られちゃったのか」
磔にされた孝典はそのままにして、スマホを見る。そして、また床に投げ捨てた。
「で、さっきの奴は何なの?」
「あ、あの人は佐竹先生、僕の担任」
「ここでは先生だったのか・・・」
ユウが言った。
「それより、ユウはなんでここにいるの?」
何ヶ月も前に、別のパラレルワールドに行ったはずだ。
「いや、ずっと雨の匂いがしてて、そろそろこの世界から移動しそうだったから、君と別れるのが辛いかなと思って・・・」
そして、磔にされたままの孝典に近づいた。
「でも、移動しなかった。ずっと雨の匂いがしてるのに移動しなかった。今も雨の匂いがしてるんだ」
軽く孝典にキスをした。
「で、なぜ移動しないのか考えた。今まで僕が見てきた世界とこの世界の違い」
「ねえ」
孝典が痺れを切らして口をはさむ。
「早くこれ、外してよ」
ユウはそれを無視して続きを話す。
「一つ思い当たることがあった。それは・・・」
また孝典にキスをする。今度は濃厚なキス。
「んっ」
孝典もそれに答える。手が自由だったら、おそらくユウに抱きついていただろう。
「他の世界じゃ、君は・・・僕は、みんな死んでるってこと」
ユウが孝典の頬に手を添えた。
「つまり、僕と君だけが例外ってこと」
その手を滑らせて、首に添えた。
「君が生きてるから、僕は移動できないんじゃないかってさ」
その手に少し力を込めた。
「ぼ、僕が生きてる・・・から?」
「そう。だから僕は移動できない。つまり自分がいた世界に帰ることもできない。まあ可能性があるってだけだけどね」
ユウが笑顔になる。孝典は少しホッとした。
「で、また君に会いに来たんだけど、そしたら驚いた。あいつがいたから」
「あいつって?」
「ここではお前の先生だったあいつだよ」
「佐竹先生?」
「そう」
ユウがチラリと部屋のドアを見た。
「今まで、どの世界でも、君を殺した奴は同じ奴だった。その中の一人があいつだった。あいつは別の世界じゃそれこそヤバい奴だったり、普通の会社員だったり、警察官だったりしたけど、どの世界でもあいつが君を殺したんだ」
「佐竹先生はどうなったの?」
孝典が口を挟んだ。
「殺したよ」
ユウがあっさりと言った。
「君を殺そうと、いや、何人もの君を殺したやつだ。死んで当然だよ」
「殺したって・・・」
また孝典が目を見開いた。
「そんな、人を殺すなんて・・・」
「心配しなくてもいいよ」
ユウが笑う。
「君も、僕が殺すから」
その言葉を孝典が理解するまで、20秒くらいかかった。

「君も、僕が殺す」
ユウは笑顔のままそう言った。
「君が死ななきゃ僕は移動できないのかもしれないって思い始めて、君の近くに戻ってから、ずっと君を見てたんだ」
ユウが言う。
「だから、君があいつとどういうプレイをしていたのかも知ってる。そして、そういうのを見てるうちに、僕も、いや、僕がやりたいって思うようになったんだ」
ユウが部屋の引き出しを開ける。まるでそこに何があるのか知っているかのように。
「そして、僕は君を殺してみたいって思うようになったんだ。ほら、僕って君と違ってSだから」
笑顔で話し続けるユウの言葉が孝典には全く理解できなかった。耳には入ってきている。脳にも届いている。でも、理解できなかった。
「分かんない・・・何、言ってるの?」
ユウが孝典の目を見て、そして顔を寄せた。
「君を愛してるってことだよ」
そしてキスをした。



ユウが孝典の足元にしゃがみ込んでいた。孝典は磔台に手足を固定されたままだった。ユウが足枷をフックから外す。
「手も外して」
ユウは孝典の両足首を掴んで持ち上げる。そのまま、佐竹がしたように足枷を手枷を止めているフックに引っ掛けた。孝典はまた、磔台で身体を折り曲げ、手足をV字に固定された。
「うぅ」
孝典が呻く。
「辛いか?」
「外してよ」
孝典にはユウの本心が分からなかった。自分を殺すと言ったユウ。でも、キスしてくれる。愛していると言ってくれる。でも、こうして磔にして、辛い姿勢で固定する。
「あいつ、いろいろと準備してたんだな」
シリンジとプラスチックのボトルを孝典の前に置く。洗面器も持ってくる。洗面器にボトルの中身を出し、シリンジで吸い上げる。
「な、なにするの?」
シリンジを手に、身体を折り曲げられた孝典に近づいた。
「ちょっときれいにしてやろうと思ってね」
そして、シリンジの先を孝典のアナルに突き刺した。
「うっ」
中の液体を孝典に注ぎ込む。
「漏らすなよ。我慢するんだ」
ユウが少し離れる。孝典のお腹が少し痛む。そして、便意が襲ってきた。
「ああっ ト、トイレ」
しかし、ユウはまた磔台を横に倒し、上下逆さまにした。そして孝典のスマホを拾い上げた。
「奥本ってやつからメッセージ来てるよ」
孝典のスマホを操作する。
「『さっきの、何?』だってさ」
磔台に全裸で逆さに固定された画像、佐竹が奥本君に送ったものだ。
「そ、それ・・・」
そして、身体を震わせる。
「あ、あの、漏れそう」
「そうか」
ユウは孝典にスマホを向ける。スマホから声が聞こえた。
「え、孝典?」
奥本君の声だった。
「なにこれ、どうなってるの?」
奥本君の顔が画面に写っている。
「え、あ、あぁ、お願い」
孝典がユウを見つめる。ユウはスマホをかざしたまま肩をすくめた。
「あ、もう、くぅ」
孝典が身体をよじる。それをスマホのカメラ越しに奥本君が見ていた。
「もう・・・だ、だめ」
孝典の尻からどぼどぼとあふれ出た。それをカメラで撮す。
「み、見ないで・・・お願い」
孝典が懇願する。しかし、ユウはそんな孝典の尻をアップで写す。そこから漏れ出ているさまを執拗に捉え、吹き出し、滴り落ちるそれをカメラ越しに奥本君に見せつけた。
「孝典、なに、どうしたの? 何が起きてるの?」
糞が孝典の体を伝って滴り落ちる。強烈な臭いが辺りに漂っている。
(この臭いも伝わったらいいのにな)
そう思いながら、泣き顔の孝典をアップにする。
「孝典、どうしたの、孝典!」
カメラの向こうで奥本君が言い続けている。
「お、お願いだから・・・もう、見ないで」
孝典は泣いていた。泣きながら排便し続けていた。そして、ペニスが勃起していた。それを撮す。ユウはスマホを適当に立てかけて、バケツに水を汲んできた。そのバケツの水を孝典に浴びせかける。それを2回、3回と繰り返す。
部屋が水浸しになった。が、ユウは気にしない。そもそもユウの部屋でもない。あの男の部屋だ。そうやって孝典の身体を洗い流した。
逆さのまま、孝典の足枷をフックから外す。孝典は体を伸ばすように足を持ち上げる。足枷をフックに固定して逆さまに大の字にする。お腹の辺りにまだ少し便が残っていたので、もう一度バケツで水を浴びせた。ペニスは萎えてしまっている。ユウがそこにスマホを向けた。すると、孝典のペニスが硬くなっていく。カメラ越しに奥本君もそれを見ている。
(見られてる)
排便するところを見られ、勃起するところを見られた。別にしゃぶり合いもしたんだから、勃起したところを見られるくらいどうってことはない。でも、萎えた状態から勃起していくのを見られたことが恥ずかしいと感じていた。奥本君に見られていることで興奮した、ということを知られてしまうのが恥ずかしかった。
「孝典・・・」
「奥本君、ごめん」
何を謝っているのか分からなかった。が、そんな言葉が孝典の口をついて出た。
ユウがローションを持って近づく。孝典の勃起したペニスの包皮を剥き降ろす。ピンク色の亀頭の先が露出した。手のひらにローションを取り、その手で孝典の亀頭を撫で回した。
「あ、はあっ」
孝典が腰をくねらせる。
「ああ、や、やめて」
その様子をスマホの向こうで奥本君が見ている。
「あ、だ、で、出るっ」
孝典のペニスから小便のようなものが迸る。
「はぁ・・・はぁ・・・」
孝典は荒い息を吐いている。もう奥本君は何も言わない。何も言わずに、ただスマホの向こうから孝典の痴態を見つめている。
磔台の上下を元に戻し、また足を持ち上げフックに引っ掛ける。そして今度はアナルに指を突っ込んだ。まず2本。その様子も奥本君に見せる。3本に増やす。アナルに指を入れられている孝典の様子を奥本君に見せる。その孝典の表情も見せる。アナルに突っ込まれていた指を舐める孝典。そして、指の代わりにディルドが入っていく様子。そのディルドが太い物に代わる。そのディルドが孝典のアナルを犯す様子。ぐちゅぐちゅという音。孝典の喘ぐ声。全てが奥本君の前に曝け出されている。
「あぁ・・・」
足がフックから外される。腰を抱えられるようにして、そのアナルにユウが入っていく。
「ああ・・・」
虚ろな目をした孝典が、ユウの肩に足を乗せるようにして奥まで受け入れる。ユウが孝典に腰を打ち付ける。ユウのペニスが孝典のアナルに出入りしているのを奥本君が見ている。ユウが腰を引き、そして奥まで入れる。孝典が喘ぐ。ユウが離れる。また奥まで入る。それを繰り返す。やがて、ユウが孝典の身体から離れる。孝典の足が開いた状態で磔台に固定される。勃起したペニスがビクビクと揺れ、先走りがとろとろと溢れ出ている。それもすべて奥本君に見られている。
(さあ、お楽しみの時間だ)
ユウが針を持て近づいた。が、孝典は虚ろな目のまま、半笑いのような表情を浮かべている。
スマホを床に置き、そのカメラに写るように孝典のペニスを握る。そこに針を突き立てた。
「ああっ」
孝典が身体を震わせた。スマホの上に、孝典の精液が滴った。

      


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