ライブチケットを持ったまま、その少年は目を見開いて僕を見ていた。周囲の景色が少しずつ暗くなっていく。
(ああ、僕、消えるんだ)
そして、次の場所に行く。
(意外と面倒くさいな、これ)
行った先で、また説明とかしなくちゃならないことを思うと、少し気が滅入った。
僕の周囲が明るくなった。次の場所に着いたんだ。僕はゆっくりと目を開いた。
「んくっ」
僕は声を押し殺す。自分の部屋で一人でしているとはいえ、下の階では親が寝ている。あんまり大きな声を出しちゃったら、親が起きてしまうかもしれない。
お尻の穴に突っ込んでいた人差し指を一旦引き抜く。中指を添えて、2本を揃える。その指にローションを垂らす。それをお尻の穴にあてがう。ゆっくりと、少しづつ力を入れる。
「んっ」
指が僕の穴に入ってくる。広げられている感じ、広がっている感じ。少しずつ、少しずつ奥まで入れて行く。ちんこの裏側の奧の方がなんだかぎゅっと締まる感じ。左手がちんこを握ろうと動く。でも、まだ握らない。まだだ。もっと穴で遊んでからだ。
穴に指を二本入れたまま、僕はベッドの上で四つん這いになる。そのまま指をゆっくり動かす。
(気持ち、いい・・・)
本当に気持ちいいんだろうか。よく分からない。でも、指をお尻の穴に入れるということをしている、というのが、なんだか普通じゃなくて、そういうことをしている自分に興奮する。ずぶずぶと指を動かしていると、まだ握ってないちんこがびくびくと動く。
(これが、気持ちいいってことなのかな)
また指を引き抜く。ローションを付けようとした。でも、そこで少し思い留まってパジャマを脱いでパンツだけになる。指をティッシュで拭って、パンツをはき直す。そのまま四つん這いになって、パンツの上からお尻を撫でる。お尻の割れ目に指を沿わせてそこを撫でる。くすぐったいような、ピリピリする感じ。声が出そうになるけど抑える。
(気持ちいい)
やっぱりこれがそうなんだ。パンツの中に手を入れる。自分のお尻を撫でる。円を描くように撫で回して、その奧に指を伸ばす。穴が少し湿っている。その周りを指で撫でて、穴を突っつく。ちんこが勃起している。パンツの上からちんこを撫でる。先のところが少し濡れている。でも、まだ握っちゃ駄目だ。もっとお尻で気持ち良くなってからだ。四つん這いになったままで、パンツのお尻の方をずらした。自分の部屋で、僕はお尻を丸出しにしている。また手でお尻を撫でる。撫で回す。
(誰かに撫でられたい)
そしたら、きっと気持ちいいだろうな、なんて思う。穴を触る。その指を匂ってみる。
(僕のお尻の穴の匂い・・・)
その指を咥える。また穴を触る。今度は指先を穴に押し付ける。また匂いを嗅ぐ。舐める。
(ああ・・・)
頭で体を支えて、両手でお尻を撫で回す。お尻を左右に開く。きっと、穴が丸見えになっている筈だ。
(見て・・・僕の穴)
左手でちんこを握る。ぎゅっと絞ると先走りが指に滴る。それも舐める。穴にその指を押し当てる。
(ああ・・・気持ちいい・・・)
またお尻を開く。そのままお尻を左右に振る。まるで穴を見せつけて、そこにおねだりするかのように。
僕は我慢が出来なくなって、ローションを指に垂らした。
そして、目を閉じて、指2本を穴に入れた。
目の前が明るくなった。次の場所に着いたんだ。僕はゆっくりと目を開いた。
目の前に、お尻があった。そのお尻が両手で開かれ、その奧にある穴が丸見えになっていた。
(えっ)
声が出そうになったのを押し殺した。
そのお尻に手が回され、穴に指が入っていく。
「ああ・・・」
声がした。
(えっなにこれ)
僕は声も出せずにそこに突っ立っていた。
「ああ・・・」
指二本は簡単に入る。それを奥まで入れて、中で動かす。指を抜いて、また入れる。
「んっ」
また奥まで入れて、今度は小刻みに動かした。
「気持ち、いい」
小さな声でつぶやいた。顔をベッドに押しつける。穴に指を出し入れする。少し口を開く、
「んん」
声が出てしまう。
「ああ、気持ちいいよ・・・」
そうつぶやく。誰もいないこの部屋で、僕は一人アナルオナニーをしている。誰も知らない僕の秘密。誰にも見られちゃいけない、僕の秘密・・・
「ああっ」
左手でちんこを握った。うっすらと目を開く。そこに何か、いつもと違う何かが見えた気がした。
「あ、あの・・・」
そいつが目を開いた。僕を見た。僕に気が付いた筈だ。
「いや、その、これは、ちがくて」
ちゃんと説明しないとって思うけど、ぜんぜん説明出来ない。っていうか、僕が今、見ていたのって・・・
「お、お前、誰だ!!」
ベッドの上で裸で四つん這いになってたそいつが、慌てて体に布団を巻き付けて、ベッドの端に後退った。
(さっきも見たな、これ)
なぜかそんなことはちゃんと思い出せる。
「い、いや、あ、怪しいもんじゃなくて」
まるでデジャヴのようだ。
「あ、あの、サンタだから」
とにかくそう伝える。
「僕、サンタクロースの代理だから」
そいつは引きつった顔で僕を見ていた。その顔が驚いたような顔に変わる。
「お前・・・み、三田?」
「え?」
名前を呼ばれて、少しだけ落ち着いたような気がした。ベッドで縮こまっているそいつの顔をよく見てみた。
「あれ・・・牧野、くん?」
同じクラスの牧野君だ。
「み、三田、お前、どうやって入ってきた」
牧野君が言った。叫びたいのを抑えているって感じだった。
「いや、だから、その、僕・・・」
なんだか急に恥ずかしくなる。
「僕、サンタクロースに代理を頼まれて」
牧野君も真っ赤になっている。
「お前・・・見たのか?」
「え?」
すぐに分かった。アナルオナニーのことだ。
「あ、いや、その・・・見たっていうか・・・」
「見たんだな?」
僕は何も言わずに俯く。いや、何も言えなかった。
「答えないってことは、見たんだ」
牧野君がベッドで布団に包まったまま、僕に背を向けた。ベッドの脇に立っている僕と、ベッドの隅で丸まっている牧野君のちょうど真ん中くらいにローションが転がっている。
「ごめん・・・」
僕は小さな声で言った。
「やっぱり見たんだ」
「いや、別に、見るつもりはなかったんだけど・・・」
でも、僕は見た。牧野君のお尻の穴も、そこに指が入っているのも、その向こうにある牧野君の玉も、そして、牧野君のちんこも、全部、僕は見た。
「ごめん」
「どうやって入ってきた」
布団に包まったまま、牧野君が体を起こした。
「いや、その・・・」
「警察に言うからな」
「待ってよ。ちゃんと説明するから」
そう言ってから、ちゃんと説明なんて出来ないことに気が付いた。
「あ、いや、説明は・・・その、とにかく、僕、今日はサンタクロースの代理人で」
「出てけ」
牧野君が小さくつぶやいた。
「え?」
「出てけ」
急に立ち上がる。裸のままの牧野君の体が見えた。
「今すぐ出てけよ、ほら、早く出てけ」
僕の服を掴んだ。
「ま、待って、待ってって」
牧野君の腕を掴む。
「お願いだから、落ち着いて、僕の話を聞いてよ」
「うるさい。人んちに勝手に入ってきて」
「だからぁ」
なんとか落ち着かそうと、牧野君をベッドの方に押しやった。ベッドに座らせて話をしようと思ったんだけど・・・いつのまにか、ベッドの上にあったローションのボトルが床に落ちていた。僕はそれを踏んづける。
「あっ」
僕はよろけた。牧野君の体に抱き付くようにして、牧野君もろともベッドに倒れ込んだ。
「あっご、ごめ」
僕の下で体を捻って俯せになっていた牧野君のお尻に僕の手が当たっていた。いや、なぜだか、運悪くというか、僕の手が牧野君のお尻を掴んでいた。そして、僕の人差し指が、牧野君の穴に入っていたんだ。
「あ、こっこれは、そっ、その」
慌てて手をどける。でも、僕は中途半端にベッドの端に体が掛かっている状態だったから、また蹌踉けてしまう。手を付いたところが、今度は牧野君のちんこの上だった。
「ひっごっごめんっ」
手をどける。これ以上この場にいたらどうなるか自分でも分からなくなる。慌ててサンタクロースの袋に手を突っ込んだ。
「こっこれっ、今の牧野君が一番欲しいか一番必要な物だから、サンタクロースからのプレゼントだから」
そこにあった物を握って袋から出し、牧野君の顔の前に突き付けた。
それは、太くてでっかい、黒光りしているディルドだった。
「冗談のつもり?」
牧野君が真剣な顔をしている。
「い、いや、その、これは・・・」
この瞬間、僕はサンタクロースを怨んだ。なにが「その時、その子が本当に欲しい物、あるいはその子に本当に必要な物がこの袋の中に現れる」だよ。まるでふざけているとしか思えない。なにしろ、さっき牧野君は・・・
「お前、僕があれをしてるの、知ってたの?」
牧野君の顔付きが変わった。僕を恐れているような、怒っているような・・・
「い、いや、ホントに知らなかったんだ。ホントに、サンタクロースから、この袋からはその時必要な物が出て来るって聞いてただけなんだ、信じてよ」
牧野君が僕の手からサンタクロースの袋を奪い取った。そうされても、僕は動くことが出来なかった。牧野君が袋に手を入れる。
「なんにも入ってない」
僕の顔を見る。
「牧野君に必要な物は、さっき、もう取り出したから」
牧野君の体の横の、あの黒いディルドが目に入る。
「あれ、使ってしろってこと?」
僕を見た。
「そ、それは・・・」
僕には答えられなかった。
こいつは急に現れて、ディルドを渡してきた。確かに、最近では指じゃ少し物足りないと思っていた。でっかいディルドとか突っ込まれたりしたら気持ちいいのかな、なんて思ってたのは本当のことだ。でも、なんでそれを三田が知ってるんだろうか。アナルオナニーのことは誰も知らない筈。もちろん誰にも言ってないし、誰にも見られてない。
「なんで知ってる?」
このままじゃマズい、そう思った。学校で言いふらされたり、親に告げられたりするかもしれない。それは絶対にマズい。どうにかして、この場を切り抜けないと。どうにかして、三田の口を封じないと。
「いや、ホントに、ホントに知らなかったんだよ、全然」
三田が頭を左右に振る。
「じゃあ、全然知らずに、僕があれをしてるところを見てたってこと?」
「いや、見てたっていうか・・・」
「見てただろ」
三田が頷いた。
「分かった。じゃあ、お前も裸になれよ」
三田が少し驚いた顔をする。
「僕のあれ見たんだから、三田も僕に見せろ」
その時、僕はお互いの恥ずかしいことしてる所を見せ合えば、お互い誰かに言ったり出来なくなるだろう、そう考えていた。
「お前も裸になって、一緒にオナニーしたら許してやる」
僕はディルドを握ってそう言った。
(もう、プレゼント渡したんだから、次のところに移動しろよ)
僕は心の中でそう祈っていた。が、全然移動しない。牧野君は僕に裸になれと言う。どうしたら、この場から逃げられるんだろう。
「あ、あの、裸になったらいいんだよね」
とりあえず言うことを聞く振りをするしかない。
「いいから脱げよ」
また牧野君の表情が変わっている。今は、完全に怒っている顔だ。
「わ、分かった」
僕はゆっくりとサンタクロースの服を脱ぐ。それを牧野君が見ている。パンツ1枚になる。
「全部脱げよ」
牧野君は、全裸でベッドの端に座って僕を見ていた。そんな牧野君をちらっと見る。ちんこも丸見えだ。
「人の裸は盗み見るくせに、卑怯者」
卑怯者とまで言われたら、取りあえず脱ぐしかない。僕は牧野君の視線を感じながら、パンツを下ろした。
「へぇ」
牧野君が僕の側に来て、ちんこに顔を近づけた。
「そんなに見ないでよ」
「じゃ、後ろ向け」
今度はお尻を見られる。
「触るぞ」
両手でお尻を広げられる。
「お尻の穴だ」
牧野君がつぶやく。僕は急に恥ずかしくなってしゃがみ込んだ。
「僕のも、見る?」
牧野君が言った。また表情が違う。今は少し恥ずかしそうな顔。
「あ、もう見られたか」
少し笑った。
「ほら」
僕の前に回って、僕の顔の前にお尻を突き付けた。それを両手で広げる。顔を上げると、牧野君のお尻の穴が見えた。
「その・・・指、入れてみる?」
そんなことを言われると、さっき見たことを思い出す。お尻の穴に指を入れてたことを。すると、急に僕のちんこが反応してしまった。たまたま僕を振り向いた牧野君にそれを見られてしまう。
「なんだ、三田もやりたいんだ」
「ち、ちが」
急に牧野君が顔に顔をくっつけてきた。思わず後ろに仰け反る。でも、牧野君は僕に唇を押し付けてきた。初めてのキス。その相手が牧野君。その牧野君は、さっきアナルオナニーをしていたんだ・・・
「あっ」
牧野君が僕のちんこを握った。キスはしたままだ。それどころか、舌を入れてきた。
「んんっ」
そのまま床に押し倒される。ちんこを握っていた手がそのまま玉の方に移動する。さらに、その奧の、僕の穴を撫で始める。
「ひっ」
「気持ちいいでしょ、こうされると」
指で僕の穴を撫で回す。
「うう」
気持ちいいというより、くすぐったい。体をよじってその手から逃れる。
「僕のお尻の穴に、指入れてよ」
牧野君がベッドの上で四つん這いになった。
「ほら、そしたら今日、ウチに勝手に入ってきたこと、許してあげるよ」
(勝手に入った訳でもないんだけどな)
そう思ったけど、でも、確かに勝手に、と言われれば勝手に入ったことになるのか。となると、牧野君の言うことは聞いておいた方がいいのかもしれない。僕はベッドに上がる。
「ほら」
ローションを渡された。
「分かる? 使い方」
僕も多少の知識はある。頷いてそれを受け取り、指に垂らす。
「人に入れられるの、初めて」
四つん這いのまま僕を見て言った。僕は、取りあえず人差し指を牧野君のお尻の穴に押し当てた。
「ゆっくり」
「うん」
力を込める。すんなりとそれは入っていく。
「ああっ」
牧野君が声を出す。
「痛い?」
すると牧野君は首を左右に振る。
「三田に入れられて、気持ちいい」
(そうなんだ)
一回引き抜いて、今度は二本入れてみた。
「ああっ」
それも簡単に入った。ゆっくりと出し入れする。
「ああ・・・三田にされるの、気持ち、いい」
なんだか僕も妙な気分になる。さっき見たように、指を小刻みに動かしてみた。
「ああああ」
指の動きに合わせて牧野君が声を出す。
「さっき、こんな感じだったよね」
「やっぱ、見てたんだ」
「うん、ごめん」
牧野君のお尻に指を入れながら、僕は謝った。
「これ、入れられたい」
牧野君が、あのディルドを差し出した。それは指二本にくらべるとかなり太い。
「こんな太いの、大丈夫?」
「うん、たぶん・・・でも、ゆっくりね」
僕はそれを受け取る。ローションを垂らして塗り広げる。
「いくよ」
牧野君が頷いた。お尻の穴に押し当てる、ゆっくりと、少しづつ力を込める。
「ああっ」
「先っぽが入った」
ゆっくりゆっくり押し入れる。
「うう」
「痛い? 抜く?」
「そのまま。そのまま入れて」
(牧野君、頑張ってる)
そう思うと、なぜか胸がきゅんとする。ちんこがむずむずする。
「ね、牧野君」
僕は唾を飲み込んだ。
「牧野君に入れてもいい?」
返事を聞く前に、僕は膝立ちになっていた。
結局、牧野君が返事する前に、僕は待ちきれずに牧野君のお尻の穴に入れてしまった。僕のちんこはさっきのディルドほど太くないから簡単に入るだろうと思った。でも、なんだかディルドとホントのちんこは勝手が違うみたいで、牧野君はちょっと痛がった。
「ちょ、ちょっと待って」
手のひらを僕に向けて突き出す。
「もうちょっと、その、ゆっくり・・・初めてなんだから」
「それって、初体験ってこと?」
「うん」
(そうか・・・僕が初体験の相手なんだ)
なんとなく少し感動する。
「ってことは、牧野君の処女を僕が奪うってこと?」
「男だけどな」
少し嬉しく感じる。
「三田の童貞は僕が奪う訳だし」
それはそれで嬉しい。
「じゃ、入れるね」
奥まで入れる。今度は牧野君は痛がらなかった。
「入った」
「入った」
二人同時に言った。
「動くよ」
牧野君の返事を待たずに牧野君のお尻で動き始めた。
「ああ、気持ち、いい」
思わず声が出た。
「牧野君の中、気持ちいい」
その暖かさ・・・僕のちんこを包み込む牧野君。
「あ、い、いくっ」
ほんの数回動いただけで、僕はその瞬間を迎えてしまった。牧野君の中で射精する。そのまま牧野君に抱き付いた。
「ごめん、気持ち良すぎ」
すると、牧野君も言った。
「僕も・・・いっちゃった」
牧野君が、精液まみれの左手を僕に見せた。
その時、僕の周囲が少しずつ暗くなっていった。
(やっと、次の場所かぁ・・・)
「あっ袋」
あわてて周囲を見回す。袋はベッドの上に落ちていた。それに手を伸ばし、掴む。
(やっぱいろいろと面倒くさいな、これ)
そう思った。 |