「Ho−Ho−Ho!」
その声が響いた。僕の腕の下に何か堅い物を感じる。上半身を起こした。腕の下にあった物は、皿だった。
「三田三太じゃん」
知った顔が言った。
「ルドルフ?」
周りを見回す。
(サンタクロースの家だ)
僕の体の下で、牧野君も周りを見回していた。
「なんで・・・」
僕と牧野君が同時につぶやいた。
「Ho−Ho−Ho!」
赤ら顔の髭の男が笑う。手にはあの白い袋を持っている。
「これを裏返しにして被るとはな、Ho−Ho−Ho!」
また笑う。
「えっ どういうこと?」
また周りを見回す。
「あの袋は、手を入れたらプレゼントが出現する。だから、裏返しにしたら逆になって、袋に吸い込まれてここに戻るんだよ」
ルドルフが言った。
「えっ?」
頭が回らない。
「つまり、裏返しにしてその中に入ったら、ここに出て来るってことだよ」
僕は牧野君と顔を見合わせた。
「ってことは・・・」
「僕等、助かったってこと?」
「どうでもいいんだけどさ・・・夕食の邪魔だから、そこ、どいてくれる?」
そう、僕等はサンタクロースの家の、大きなテーブルの上に抱き合って横たわっていた。
「ついでに、なにか着てよ」
しかも、全裸で、だ。
「それから、それ、なんとかしないとこのおっさんに襲われるよ」
誰かが僕のちんこを指差した。それは勃起したままだった。牧野君のほうも同じだった。
「いやいや、構わんよ」
サンタクロースが言う。
「いいオカズが出来た」
「出たよ」
「あ〜あ」
少年達が口々に言う。
「だ、誰?」
そんな中、牧野君が僕の顔を見た。
「ああ、えっと・・・サンタクロース」
サンタクロースの方を指して、牧野君に告げた。
「本物だよ。信じられないと思うけど」
そして、周りの少年達を見回す。ルドルフを見付ける。
「彼がルドルフ。トナカイさん・・・なんだっけ?」
ルドルフに尋ねた。
「一応、天使・・・みたいなものかな。クリスマスの時は、トナカイになってサンタクロースの橇を引くけど」
牧野君が首を傾げている。
「まあ、取りあえず助かったってことで」
牧野君の顔の前で手を振った。
「サンタ・・・クロース・・・だって?」
牧野君の頭の回転速度がかなり遅くなっている。
「Ho−Ho−Ho!」
サンタクロースが大声を上げた。
「そんなことより、早く食事を済まそうじゃないか。美味しそうなデザートもあるようだし」
すると、サンタクロースの周りの9人の少年達が一斉に溜め息を吐いた。
みんなが食事している最中、僕等は服を借りて身に着けた。暖かいスープをもらう。椅子に座ってそれを飲んでいると、ようやく少し落ち着いてきた。
「じゃあ、あの袋を裏返しにして被ったから、ここに飛んできたってこと?」
「まあね」
少年達の中の一人が言った。
「じゃ、やっぱり助かったんだ」
牧野君がつぶやいた。
「ま、助かったというか・・・ここにもヤバいおっさんいるけどね」
食事をしながら、あるいは食事後の皿を片付けながら、少年達は口々に言った。
「Ho−Ho−Ho!」
ヤバいおっさんと言われたサンタクロースが大声で笑う。そのすぐ後、ほんの短い時間だったが、鋭い目つきになる。
「コメット、後で覚悟しとけ」
さっきヤバいおっさんと言った少年に向かって言う。そして、立ち上がる。
「どれ、君達。なにがあったのか聞かせておくれ」
僕と牧野君を手招きした。
「気を付けなよ」
僕の横にいた少年が耳打ちした。さっきから、みんなのサンタクロースに対する態度が気になる。でも、何となく想像できた。
寝室で、サンタクロースはベッドに横になった。
「ほら、来なさい」
広いベッドには、サンタクロースの大きな体の左右にまだ十分な余裕がある。そこを両手で叩いて僕等を促した。
「つまり、するってことですか?」
「Ho−Ho−Ho!」
サンタクロースが笑った。
「察しのいい子は大好物だ」
他の少年達がドアの所から顔を出した。
「あの・・・なんていうか・・・サンタクロースにされるなんて、光栄ですけど・・・」
流石にこのところ、されっぱなしだった。少し遠慮したい気分だ。
「君はどうだね」
サンタクロースが牧野君に尋ねた。
「僕は・・・」
牧野君が僕を見た。サンタクロースが僕の手を握った。
「3人ならしてもいい、ということだな」
サンタクロースが僕の手を自分の股間に当てさせる。熱くて堅くて太い。その手に牧野君が手を重ねてきた。
「Ho−Ho−Ho!」
サンタクロースが僕等二人を抱き締めた。
「あ〜あ」
「ま、仕方ない。運命だよ」
「かわいそ」
サンタクロースの寝室を覗いていた少年達が口々に言う。もちろん、僕の耳にもそれは届いている。でも、僕等はもう、あの倉庫で酷い目に遭ってきた。あれ以上のことなんてないだろう。
三田がサンタクロースとキスをしていた。つまり、サンタと三太のキスだ。サンタクロースの手は僕の胸を撫でている。その手が僕の服をたくし上げる。僕は体を起こして服を脱いでパンツだけになる。サンタクロースがそのパンツを引っ張る。パンツも脱ぐ。サンタクロースが僕のちんこを握る。握られただけで、堅くなる。それを軽く扱きながら、三田の服も脱がせる。三田のちんこもサンタクロースに握られ、堅くなっている。サンタクロースの顔の上で僕と三田がキスをする。涎が垂れる。その涎をサンタクロースが大きく口を開けて受け止める。サンタクロースも裸になる。太くて堅いちんこを握る。三田の方が先にそれに顔を近づけた。負けじと僕も顔を近づける。三田と二人でサンタクロースのちんこをペロペロと舐め合う。お尻をサンタクロースの顔の方に向けて四つん這いになり、サンタクロースのちんこを口に含む。太い。サンタクロースの玉を三田が舐める。僕のお尻の穴にサンタクロースの指が入ってくる。
「んっ」
僕が呻くと、三田も僕と同じように四つん這いになった。僕等はサンタクロースの左右で四つん這いになり、穴に指を入れられている。
「ああっ」
二人で呻く。サンタクロースのちんこの向こう側を三田が、こちら側は僕が舐める。ちんこの根元から先までそうやって舐め合って、ちんこの先を越えたところで三田とキスを交わす。舌を入れ合い、口を貪る。その最中も穴に入った指が動き回る。
「くっ」
指が2本から3本に増えたようだ。気持ちいい。三田はどうだろうか。少し体が赤くなっている。
(きっと、気持ちいいんだろうな)
三田と目が合う。体を起こしてキスをし合う。
「どっちが先だ?」
サンタクロースが言った。三田が僕の顔を見る。でも、それは違うと思った。
「やっぱり、先にサンタにされるのは、三太でしょ」
三田が少し笑う。誰かがサンタクロースにローションのボトルを手渡す。いつのまにか、みんなサンタクロースの寝室に入ってきて、ベッドの脇に立って僕等を見ていた。
「Ho−Ho−Ho!」
サンタクロースが大きな声を上げる。三田の脇に手を突っ込んで、その体を抱え上げた。
「行くぞ」
そのまま、勃起した太いちんこの上に下ろした。
「ふぐっ」
三田が頭を仰け反らせる。
「Ho−Ho−Ho!」
サンタクロースが腰を突き上げる。そのまま三田の体を揺さぶった。
「あっあっあっ」
三田の口から喘ぎ声が漏れる。
「Ho−Ho−Ho!」
それを見て羨ましいと思った。先を譲るんじゃなかった。後悔した。
その時、三田の体がゆっくりと斜めに傾き、そのまま後ろに倒れた。
そんなに気持ちいいのかな、と思った。
「Ho−Ho−Ho!」
サンタクロースが笑う。でも、なんだか少し変だ。
「み、三田?」
三田は動かない。
「おい、三田」
他のみんなも三田の近くに集まった。誰かが三田の顔の前に手をかざし、その後、首の所に手を添えた。
「大丈夫、息してるし脈もある」
その少年がサンタクロースに顔を向けた。
「気を失ってる。あんなことがあったばっかりなんだから、もうちょっと気を遣ってあげて下さい」
「Ho−Ho・・・」
サンタクロースが三田から太いちんこを引き抜いた。
「ベッドで休ませてあげて」
さっきの少年が他の少年達に指示をした。僕のお尻に何かが触れた。サンタクロースの手だった。
「いい加減にしなよ」
さっきの少年が、今度は大きな声で言った。
「今日はもう、終わりです」
僕にも言う。
「あなたも、三田三太と一緒に、今日はもう休みなさい」
その言葉には、なんだか逆らえない気がした。
「あ〜あ、怒らせちゃった」
「ルドルフ、怒ると怖いからねぇ」
他の少年達が言い合っている。僕は一人の少年に導かれて、三田が寝ている部屋に案内された。
大きなベッドに三田は横になっていた。全然動かない
「大丈夫、眠ってるだけだよ」
その少年は声を抑えて言った。
「きっと、精神的な負担が大きかったんだと思う、あんなことがあったんだから・・・」
別の少年がトレイにカップを載せて運んできた。
「ココアだよ。飲むといい。落ち着くよ」
僕はカップを受け取る。いい匂いがした。
「あのおっさんはそういうところ、気が回らないから」
僕を案内してくれた少年が言った。
「したいだけだからね、あのエロ親父」
ココアを運んでくれた方の少年だ。
「あの・・・」
僕は、少年達の顔を見た。
「ああ、僕はダッシャー、彼はブリッツェン」
ブリッツェンが軽く会釈した。
「あの、さっき、サンタを止めてくれた人は?」
「彼はルドルフ。あいつが代理人になってくれって頼んだんだよ」
「責任感じてるんじゃないのかな」
だから、あんなに心配してくれたのか。
「噂をすれば」
ダッシャーが少し体を引いた。
「どう?」
「うん、大丈夫」
短い会話を交わした。ルドルフが僕を見た。
「すまなかったね。君も疲れただろ?」
「いえ、僕は」
なんだか他の少年とは少し違う気がした。
「君も今日は休みたまえ」
そう言って、三田が眠っているベッドを指し示した。僕等二人くらいは余裕で寝られそうなくらい大きなベッドだ。
「分かりました」
そう言われると、急に体が重くなった。
「ちゃんと眠るんだよ。彼と一緒のベッドだからって、そういうことはだめだからね」
ブリッツェンが微かに笑う。でも、今の僕にはその気力もない。それくらい、疲れが襲ってきていた。
「体の疲れも、心の疲れも、ゆっくり眠ればきっとすぐ回復するからね」
僕等二人を残してルドルフ達は出て行った。ドアが閉まる。離れて行く足音。そして、微かに声が聞こえる。
「全く、あなたって人は、なんでいつもそうなんですか」
「Ho−Ho−Ho・・・」
「少しは考えて動いて下さい」
「Ho−Ho−Ho・・・」
(怒ってる怒ってる)
笑ってしまった。ベッドの中で体を三田の方に向ける。三田は背中を向けていた。その背中に体を寄せる。微かに寝息が聞こえる。
「いろいろあったな」
小さくつぶやいた。後ろから三田の体に腕を回した。
「あれもあったしな」
アナルオナニーを見られて、三田と初めてセックスして・・・
「何日くらい経ってるんだろう」
時間の感覚がなくなっていた。全て、ついさっきの出来事のように思える。でも、体に溜まった疲労感は何日も経っているかのようだ。
「今日って、何日なんだろ」
後で聞いてみようと思った。
大きなベッドの端で、二人の少年は抱き合うようにして眠っていた。その寝顔からは、なんの不安も憂いも感じられなかった。
その時は、まだ彼等は気付いていなかった。
「うわぁっ」
大きな叫び声がした。僕は飛び起きた。
目を開くと、三田がベッドの上で体を起こしていた。
「どうしたの?」
僕は三田の手を取った。少し呼吸が荒い。
「大丈夫だよ、僕等、逃げられたんだから」
すると、ゆっくりと三田が僕を見る。
「僕等は・・・そうだよ。でも」
「でも?」
その時、僕の頭の中に顔が浮かんだ。はっとした。
「鳴瀬君は・・・」
(そうだ、鳴瀬は、あいつはあのまま、あそこにいるんだ)
「どうしよう、僕等、僕等だけ逃げ出しちゃった」
三田が取り乱している。
「僕等だけ消えたんだよ? 鳴瀬君だけ残されてるんだよ?」
「そうだ、あいつは」
誘拐犯の中に一人取り残されている筈だ。最初は鳴瀬一人だったんだから、最初に戻っただけだ。いや、違う。僕等はあそこにいて、僕等だけ消えた。それはつまり、鳴瀬は最初より危ない状態になったってことじゃないんだろうか。
「鳴瀬君、僕等だけ消えたからヤバいんじゃないかな」
誘拐犯にしてみれば、僕等は逃げ出したと思ってる筈。そして、警察とかに駆け込むんじゃないかって考えてる筈。それはつまり、誘拐が失敗するってこと。だったら、人質は・・・
「ころ・・・され・・・る?」
二人でベッドから飛び出した。
「誰か!!」
誰でもいい。あそこに戻る方法を教えてくれる人だったら。サンタクロースの寝室には誰もいなかった。
リビングに行く。あの大きなテーブルの周りに、彼等みんな座っていた。
「やあ、体調はどう?」
そう言ったのはルドルフだった。 |