9.混乱

「ほんとにあなたって人は・・・」
ルドルフがサンタクロースに向かって言った。
「Ho−Ho−Ho!」
サンタクロースが笑う。
「お前も分かってるだろ」
「なら、あんな媚薬、なんのために」
「Ho−Ho−Ho! 少しは楽しくなるだろうよ」
ルドルフは黙り込んだ。
彼等は皆知っていた。あの誘拐された少年が、今、どうなっているのかを。



冷たいコンクリートの感触。それが火照った体に心地いい。
僕のお尻には三田が入っている。それが僕の中で生き物のように動いている。
「ああ」
頭の片隅には、今の状況を理解しようとしている僕がいる。その他に、今のこの気持ち良さを受け入れている僕もいる。
白い袋の中で、僕は三田に抱き締められ、足を持ち上げられ、お尻に入れられている。
白い袋の中で、僕等はキスし合っている。
白い袋の中で、僕等は、なぜここに戻ったのかを忘れかけていた。
そのまま三田が僕の中で動き続ける。やがて、僕に体を押し付ける。
「ああ、気持ちいいよ、牧野君」
「僕も気持ちいいよ」
二人で言い合い、抱きしめ合い、口を貪り合った。三田がサンタクロースの白い袋を取り払った。



「それでは現地から中継です。現地の鈴井さん?」
「はい、こちら、NJホールディングス社長、鳴瀬純一氏の長男、鳴瀬純也君が誘拐、殺害された現場です。古い倉庫で1週間以上監禁され、殺害されたとのことで、現在もご覧のように警察による現場検証が続いています」
「鈴井さん、現場はかなり山奥にあるとのことですが、寒さはどうなんでしょう」
「はい、ここはかなり山道を上がって来たところですので、気温は平地に比べるとかなり低いようです」
「そんなところに純也君は監禁されていた、ということでしょうか」
「そうですね。純也君が監禁されていた場所は」
カメラがパンする。
「警察の調べでは、この壁のところに手錠で拘束された上で監禁されていた、とのこ」
急にレポーターが黙り込んだ。カメラに映し出された古い倉庫の壁、その場所とカメラの間に黒い靄のようなものが突然湧き上がる。それはみるみる形を成していく。
全国中継しているカメラの前に、白い袋を被った人とおぼしきものが姿を現した。

運悪く、丁度カメラの前に、彼等が交わり繋がっている部分が現れた。全国に、その部分のアップが中継される。そのタイミングで陰嚢の裏側がヒクヒクと動く。三田が牧野のアナルの中に射精した瞬間だった。
「ああ、気持ちいいよ、牧野君」
「僕も気持ちいいよ」
彼等は叫ぶように言い、袋を取り払う。興奮し、上気した二人の少年の顔が現れた。彼等は全裸でペニスを勃起させ、片方のアナルからは精液が垂れ、もう一人のペニスは体液に濡れてテラテラと光っていた。
それを映し出してしまったカメラは、慌てて有らぬ方向に振り向けられた。レポーターもスタジオも皆が絶句していた。
「あ、あの、今、突然・・・」
レポーターはなんとかその場を取り繕おうとした。カメラが再び彼等の方に向けられる。警察官が彼等を取り押さえようとしていた。

「やめろ!!」
男が僕等を押さえ付ける。僕はその手から逃れようと必死だ。誘拐犯の手から逃れて、鳴瀬君を救い出す、それが僕等がここに来た目的だ。
牧野君も僕の下でもがいている。いや、牧野君は僕の手を掴もうとしている。その時だった。
僕のお尻から火花が噴き出した。

「ひゃあ」
現場で悲鳴が上がる。火花と煙。誰も、何が起きているのか理解出来ていなかった。
「鈴井さん、鈴井さん」
スタジオからの呼び掛けも混乱した現場には届かない。カメラは火花の発生源を撮そうとし、全裸の少年達を撮してしまう。慌てて別の場所を撮す。
「スタジオ、スタジオに戻せ」
誰かが叫んだ。現場の中継が打ち切られ、画面はスタジオに戻った。
「いや、なにが起きたのか、現場は大変混乱しています」
テレビ局も、警察も、もちろん三田と牧野も何が起きているのか全く理解出来ていなかった。

「鳴瀬、鳴瀬!」
僕は叫ぶ。男の手を振りほどく。でも、また別の男が僕を押さえ付ける。誰かが僕の上に馬乗りになり、別の誰かが僕の頭を床に押し付ける。手も押さえられる。身動き出来なくなる。
「鳴瀬ぇ!!」
叫ぶ。三田も叫んでいる。その男も叫んでいる。
「大人しくしろ」
三田も何人もの男に押さえ付けられて動けなくなっている。
そして、ようやく気が付いた。
(あいつらじゃ、ない)
「確保ぉ」
三田が僕を見た。三田も気付いたようだ。僕等は暴れるのを止めた。警察らしい男達が、僕等の周りを取り囲んでいた。僕等は取り押さえられ、手錠を掛けられた。

「現場は騒然としています。突然現れた犯人が、警察に拘束された模様です」
その場が少し落ち着いたところで、また現場からの中継に戻った。
「今、犯人が連行されるようです」
カメラが彼等の姿を捉える。上着を体に掛けられた二人が、警察の車両に乗せられるところが映し出される。
「犯人は、二人です。かなり小柄な・・・まるで、子供のような・・・」
その時、上着の下から見えていた犯人とおぼしき者の尻から、何かが落ちた。太い円筒形の物。それが全国に生中継される。
「なにかが犯人から・・・犯人がなにかを落としたようです」
周りの者達が彼等から距離を置く。
「まるで、ダイナマイトのような・・・」
一瞬、犯人が自由になり、カメラの方を振り向く。体を覆っていた上着が落ちる。全裸の少年がカメラに映し出される。が、すぐにまた警察関係者が彼等を取り押さえた。
「いえ、違うようです。まだなにかはこちらでは分かりませんが、危険はないようです」
車に押し込まれ、ドアが閉まる。
「こちら現場はまだ混乱しています」
映像がスタジオに切り替わる。
「はい。鈴井さん、また動きがありましたらレポートお願いします」

僕と牧野君は警察に取り押さえられた。
手錠を嵌められ、一人ずつ、車に乗せられる。両脇に男の人が座る。
「このまま連行して、詳しい話を聞かせてもらうからな」
男が言った。
「鳴瀬君はどうなったんですか?」
男の人に尋ねた。男の人は、僕を挟んで顔を見合わせた。でも、何も答えてくれなかった。
もう一度、同じ質問をした。でも、同じだった。
僕は、いや、たぶん僕等は、何も分からないまま、警察に連れて行かれた。

警察署に連れて行かれた僕等は、一人ずつ、小さな部屋でいろいろなことを聞かれた。僕は、正直に全てを話した。
正直に、サンタクロースの代理として鳴瀬君にプレゼントを渡すためにあの場に瞬間移動した、ということも。
もちろん、警察はそんなことを信じてくれる筈もない。
「お前達が犯人グループと繋がってるのは分かってるんだ。正直に話すまで、帰す訳にはいかない」
僕等は留置された。でも、いくら本当のことを話しても、何も信じてくれなかった。

何回も何回も同じことを聞かれて、僕は何回も同じように答えた。
もちろん、信じてはもらえない。でも、それが事実なんだから、そう答えるしかなかった。
何度も嘘つきと言われ、机を叩かれ、時には机の下で足を蹴られ、体を押し付けられ、頭を押さえ付けられた。でも、僕がどれだけ本当のことを言っても、誰も信じてくれなかった。
ただ、そうやっていろいろと聞かれる中で、おぼろげながら分かってきたこともあった。
鳴瀬君は、もう、恐らく死んでいる、ということ。
つまり、僕等は手遅れだったんだ。

鳴瀬君は、既に殺されていた。それも、かなり酷い状態だったらしい。
そして、僕等がその犯人だと思われているようだ。
これが、数日間拘留され、いろいろと聞かれた中で分かったことだ。
なぜ、突然あの場に現れたのか。なぜ、お尻に花火を入れていたのか。それも聞かれる。いや、彼等はあれを花火だとは思っていなかった。ダイナマイトのような爆発物を所持していた。それをお尻に入れて隠し持っていた。そう彼等は考えていた。
どれだけ僕等が鳴瀬君を助けるために、そのための武器として花火をお尻に入れてサンタクロースの袋を使ってあの場に移動したんだと言っても、彼等は端から信じる気はなかった。彼等にとっては、僕等は鳴瀬君を惨殺した犯人なんだから。

両親が面会に来た。弁護士と一緒だった。
お母さんは泣いていた。お父さんは怒っていた。弁護士の人は、そんな両親をなだめながら僕に質問する。僕が答えるのは同じことだ。サンタクロースの代理人になって、サンタクロースの袋を使って鳴瀬君がいる場所に移動した。そしたら、鳴瀬君は誘拐されていて・・・
弁護士は話を聞いてくれた。でも、信じてくれていない。
僕と牧野君のことは、もう町中で噂になっているそうだ。
学校からも連絡が来たらしい。
僕等があの場所に再び現れたときのテレビの中継の様子がネットの動画サイトにアップされ、全裸で僕と牧野君がセックスしている姿が晒されているそうだ。
鳴瀬君のことも少し分かった。
惨殺されていたらしい。殺される前に犯されて、ちんこが切断されて、指も一本一本切り落とされていたらしい。さらに手足も切られ、最後は首も切り落とされたって。
それを僕等がやったことになっているそうだ。
もちろん、警察は僕等だけでそんなことをしたとは思っていないらしい。
でも、ネットでは僕等が鳴瀬君を誘拐して、僕等が鳴瀬君を犯して、僕等が鳴瀬君をバラバラにして殺したことになっているらしい。だって、僕と牧野君がセックスしているのを皆に見られてるんだから。テレビカメラの前でそんなことをしていた変態なんだから、頭のおかしい奴等なんだから、そんな奴等なんだから、そんな奴等が犯人に決まっている、と。
「本当のことを話しなさい」
弁護士の人が優しい口調で言った。でも、僕が言っていることが本当のことだ。それを信じてもらえないなら何を言えばいいんだろうか。
「君達と鳴瀬君の間に何があったのか。どういう理由であんなことになったのか、本当のことを話してもらえないと、君を助けることが出来ない」
(本当のことって、なに?)
実際に起きたことじゃなくて、彼等にとって理解出来る、本当と思える(・・・・)ことだろうか。
それってつまり、僕等が鳴瀬君を殺したってことなんだろうか・・・・・
牧野君も今、同じような思いなんだろうか・・・
(なんでこんなことになったんだろう・・・)
僕は絶望した。

僕がこんなにくやしい思いをしているのだから、恐らく三田はもっとくやしいだろう。
どんなに本当のことを言っても誰も信じてくれない。たぶん、僕が言っていることと三田が言っていることは同じだと思う。でも、信じてもらえない。頭がおかしいって言われた。妄想だとも言われた。なんであんなところで裸でセックスしていたのか、お前は変態なのかなんてことも言われた。頭がおかしいのだから、あんな酷い殺し方も出来るんだろう。あんな風に殺しておいて、それでも平気でセックスしていられるんだろう。罵られた。一度、殴られた。
「ごめんごめん」
へらへら笑いながらそう言っていた。でも、目は全然笑っていなかった。
(三田、お前、大丈夫か?)
人のことを心配している場合じゃないけど、でも、三田が心配だった。

そんな三田の顔を久しぶりに見た。
僕等はどこかに連れて行かれるらしい。そのために載せられた車の中で、久しぶりに三田の顔を見た。数日しか経ってないのに、やつれていた。顔色も悪い。
「だいじょ」
「口を開くな」
そんな三田に声を掛けようとしたら、大きな声で制された。三田は顔を下げた。僕もうなだれた。
(僕等、どうなるんだろ)
涙が出そうになるのを必死でこらえた。



「Ho−Ho−Ho!」
サンタクロースが大声で笑う。テーブルの上に、手を紐のような物で拘束されたまま車に乗せられている三田と牧野の姿があった。まるで立体映像のように彼等の姿が見えている。
涙をこらえる牧野。ただうなだれている三田。そんな二人を見ながら、サンタクロースは笑っていた。
「悲惨だな」
傍らのルドルフは苦い顔をした。
「だから言ったんだ」
サンタクロースがにやにや笑う。
「元はと言えば、全て、あなたが」
「Ho−Ho−Ho! いいじゃないか」
髭を撫でながら言った。
「楽しくなってきた」
サンタクロースが指を立てた。

僕の横に男が座っている。その向こうに牧野君だ。牧野君は泣きそうだった。きっと、僕と同じように誰も何も信じてくれず、いろんなことを言われて、罵倒されて、心が折れ掛かってるんだろう。抱き締めたいと思う。抱き締めて欲しいと思う。それで心が楽になるように思う。そうなったら、たぶん・・・
(もう、いいや)
最後に抱き締め合えたら、このまま諦めてもいい。
(キスしたい)
その気持ちが心の中で急に大きくなった。僕は頭を下げ、上半身を前に倒した。隣の男は動かない。チラリと横を見ると、牧野君も同じように上半身を倒していた。
(同じこと、考えてるのかな)
牧野君もチラリと僕を見た。
男を挟んで、僕等は素早くキスをした。男が僕等を押し戻そうとした。でも、僕等はそのまま口を押し付け合った。

その時、車が揺れた。
いや、揺れた気がした。
僕等の間にいた男の人が消えた。
車が消えた。
景色が消えた。
暗闇の中に僕と牧野君の二人だけだった。二人でキスをし合っていた。
「三田」
「牧野君」
久しぶりに声を聞いた。僕等は抱き合った。体を押し付け合った。股間を押し付け合った。お互い、そこは堅くなっていた。

「停めろ!」
後部座席で二人の少年の間に座っていた男が叫んだ。車が急停車する。
「あいつら、どこへ行った?」
助手席の男が振り返る。車内には、運転していた男、助手席の男、後部座席の男の3人しかいない。
「消えた」
後部座席の男がつぶやいた。
「そんなことある訳ないだろ」
「だったら、どこに行ったというんだ」
大きな声。しかし、誰も答えを出せなかった。

堅い物の上に横になっていた。
(これ・・・またここか)
目を開く。サンタクロースが僕等を見ていた。
「知ってた・・・の?」
三田が言った。
「Ho−Ho−Ho!」
答える代わりに笑う。
「知ってたんだ」
三田が肩を落とした。
「大丈夫?」
僕が声を掛けると、三田が抱き付いてきた。
「僕等・・・なんのために・・・」
三田が泣いていた。僕はそんな三田を抱き締めることしか出来なかった。

「人生終わったな」
皆が沈んだ表情の中、サンタクロースだけが笑っていた。
「どうだ、殺人犯になった気分は?」
追い打ちをかけるように言う。
「あいつがどんな風に殺されたか知りたいか?」
「やめなよ」
誰かがサンタクロースに言った。
「だから言ったんだ。俺達も、お前等も関係ないって。それなのにわざわざ行くから」
「ああ、そうだよ。僕が・・・僕が悪いんだよ」
「お前は悪くなんかない」
泣きながら叫んだ三田に、牧野が言った。
「いいや、お前等、自分達でなんとか出来ると思ったんだろ? それが間違いだ」
サンタクロースが三田の頭に手を乗せた。
「つまり、お前等が悪い」
「いい加減に」
そう叫び掛けた牧野を三田が抑える。
「いいよ、もう・・・もう、遅かったんだから」
「Ho−Ho−Ho! あいつは、誘拐犯達に散々マワされた挙げ句、ペニスや指を切り落とされて、腕を引き千切られて、足ももがれた。生きたままな」
三田が耳を塞いだ。
「もがき苦しみながら、鼻を落とされ目も潰されて、最後は首を落とされた。なかなか見応えあったぞ」
「ゲス親父が」
誰かが言う。
「Ho−Ho−Ho!」
「部屋に行こう」
ルドルフが、三田の体に手を回し、肩を貸しながら部屋に連れて行った。

「結局、なんにも出来なかった」
三田がつぶやいた。その隣で横になっていた牧野が体を三田に向ける。
「もう、遅かったんだ。僕等はなにも悪くない」
「でも、あの時、僕等だけで逃げ出さなかったら」
「そしたら、きっと、僕等も殺されてた」
三田が牧野に背を向ける。
「その方が良かった」
「なに、言ってんだよ」
その背中から牧野が抱き付いた。
「僕は、こうして三田と生きていられて・・・良かったと思う」
三田は何も言わなかった。

「あんた、それでも一応、神の化身なんだろ?」
ルドルフがサンタクロースに言った。テーブルには彼等二人しかいなかった。
「神の化身ならなんでも許す、なんでも思い通りになるなんて思うな」
「でも」
「あいつらは、身の程を分かっていない」
少し、ルドルフが俯く。
「そうだ。お前も前はそうだった」
二人とも、しばらく何も言わなかった。

「ねえ、今日って、何日なんだろ」
牧野が言った。
「知らない」
三田は興味なさそうに答える。
「あれから、何日経ったんだろう」
彼等二人が初めてセックスしたのは、12月24日の夜のことだ。ひょっとしたら、もう25日になっていたかもしれない。あれからもう、何日も、何週間も過ぎた気がする。でも、つい昨日のことだったような気もする。
「ちょっと、聞いてくる」
牧野がベッドから降りて部屋から出て、リビングに向かう。そこにはサンタクロースとルドルフの二人しかいなかった。
「あの」
声を掛けると、ルドルフが振り向いた。
「三田君、大丈夫?」
「あ、ええ、大丈夫・・・だと思います」
牧野はルドルフに尋ねた。
「今日って、何日なんですか?」
すると、今度はサンタクロースが言った。
「もう、クリスマスは終わってる」
そして、ルドルフが言った。
「今日は31日、明日はもう、新年だよ」
(あれからもう、1週間経ってたんだ)
牧野は考える。
「日本式に言えば、明日はお正月だよ」
ほんの1週間の間に、彼等、三田と牧野の人生は大きく狂ってしまった。サンタクロースのせいだ。そう言うのは簡単だ。でも、それだけじゃない。そんな簡単なことじゃない。
「帰りたいか、家に」
サンタクロースが尋ねた。牧野はしばらく考える。
「たぶん・・・もう、帰れない・・・です」
「そうだね、しばらくはここにいれば」
「Ho−Ho−Ho」
サンタクロースが低く、小さく笑った。
「しばらく? 無理だな。お前等はもう、一生、家には帰れない」
牧野も内心そう思っていた。でも、帰れると言って欲しかった。
牧野はうなだれ、三田がいる部屋に戻った。

「明日、お正月なんだって」
「へえ、そう」
三田はあいかわらず興味なさそうだ。
「おせち料理とか、食べたいなぁ」
「無理だよ。僕等はもう、一生、家には帰れないんだから」
三田は分かっていた。それを知った牧野は、もう、何も言わなかった。

      


index